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群馬の田舎から情報発信!

『大人のケンカ必勝法』(和田秀樹)

2009-04-30 20:20:24 | 読書日記
 ”ケンカ”に勝てないと生き残れない時代がやってきた。
 つまり、我慢して泣き寝入りするタイプの人にとってはとても不利な時代にきているということ。

 ケンカが弱いと思っている人の多くは、何も抵抗しないで言いなりになるパターンが多いのではないだろうか。
 まず、予期不安に負けない勇気の持ち方や平常心の保ち方を身に付ける必要がある。それには、日頃から言い返す訓練や抵抗の姿勢を示す習慣づけが必要だ。

 心理的に圧倒されないためのキメの言葉。「部長のおっしゃるやり方で、大丈夫なんですね」と反応して、上司に責任があることを明確にする。

 ケンカに弱い人の特徴として「自動思考」に陥ってしまう傾向が挙げられる。自動思考から脱却するためによくやる方法は、紙に書いてみることだ。他の可能性を列挙してみることで、思考のバリエーションが広がっていく。

 ケンカというのは、たいていの場合、先に感情的になったほうが負けるものだ。自滅を待っていれば、たいていのケンカは勝てる。

 ケンカの現実的な解決法は、①面従腹背②被害最小の論理③仮想仕事の原理

 勝てないケンカではなく、勝てるケンカに集中した方が人生はうまくいく可能性が高くなる。

 ケンカに強い人というのは、結果的に、自分の長所をよく心得ていて、上手に勝ち、勝ちを目立たせ、負けを目立たなくしているに過ぎない。

 ”ケンカ”というキーワードで語られていますが、生きていく上で様々な場面でで様々な人と接するときのテクニックを説いた作品です。決して敵対する場合だけではなく、チームでビジネスを行う場合などにも通じるものがたくさんあります。
 
 個人主義や能力主義、成果主義などといった風潮が進むにつれて、自己の主張を様々な場面で押し通そうとすることが多くなってきていると思います。結果として、多くの摩擦が生まれ、日々その摩擦と戦わなくてはならなくなっている。
 そんな時、少しでもケンカのテクニックを身につけておけば、無用なトラブルの泥沼にはまることもなくなるのかもしれません。

『鴨川ホルモー』(万城目 学)

2009-04-28 21:53:27 | 読書日記
 「ホルモー」はけっして「ホルモン」ではない。
 「ホルモー」はオニを使用した対戦型競技の名前である。
 決して、戦国時代の話ではない。現在の京都を舞台とした大学対抗の戦いである。
 しかし、読み終えた後も、「ホルモー」の意味が分かったような分からないような。とどのつまりあまり正確には記述されていない。その競技の奥深さがうかがい知れるだけである。

 なんとも荒唐無稽な設定ではあるが、「ホルモー」の世界にぐいぐい引き込まれてしまいます。
 京都を舞台としているせいか、時代感が薄れ、独特の世界を展開しています。

 とは言え、今時の大学生を描いており、友情あり、恋愛ありと、エンターテイメント性は十分。

 最初から最後まで楽しく読ませていただきました。
 
 ホルモーの競技の場面も確かにおもしろいのだが、主人公阿部と楠木ふみの掛け合いが何といってもおもしろい。
 朴訥とした楠木が「黙れ、阿部」と呼び捨てで命令するあたりは、何とも言えない可笑しさである。

 あえて分類するとすればファンタジーであろうか?

 万城目の他の作品も読んでみたくなりました。

『不安症を治す』(大野裕)

2009-04-26 12:36:03 | 読書日記
 「不安」がテーマの作品です。

 不安障害には様々なものがある
・パニック障害
・飛行機が怖いなどの特定の恐怖症
・手を洗うのがやめられない強迫性障害
・体験がトラウマになるPTSD
・全般性不安障害

 3つのCで立ち直る
①Cognition(認知・モノの見方)
②contorol(コントロール感覚)
③communucation(人間関係)

①認知
 狭くなったり歪んだりしているものの見方・考え方を、もう一度広く柔軟なものにしていくためには、現実と向き合い、現実を素直な目で見ることが大切。不安な気持ちが強まったときこそ、思い切って外に出たり、あえて不安な場面に出向いたりすることが大事。

②コントロール感覚
 自分の力でものごとをコントロールしているという感覚が持てている間は、結構がんばれる。

③人間関係
 人間関係は、スキルを身に付けることによって、改善させることができます。話し方、聞き方、笑顔、視線。上手な自己主張、自己実現。苦手は苦手として、それなりにうまくやる方法を工夫する。

 不安はたしかにつらいものです。しかし、不安や何かを苦手に思う気持ちから逃げずに、少しずつでも向き合っていけば、それが自分を成長させるバネになります。ほどほどに不安を感じられるようになると、不安な気持ちが。いろいろなことを教えてくれる自分の見方になってきます。

 世の中では、能力主義、個人主義の流れが進み、人と人との結びつきが弱くなり、個人として”ひとり”で立ち続けなければならない場面が多くなっている気がします。
 だからこそ、さまざまな場面で”不安”がクローズアップされるようになったのでは。

 不安も医療的ケアで治すことができる時代になっているとのこと。普段から人と人との関係を良好に保つことで、不安とうまく付き合うようにするとともに、辛くなったら医師のドアを叩くことも大事ということ。

 人間、生きていれば、救いの手はあるということか。 

『ゆりかごで眠れ』(垣根涼介)

2009-04-23 21:45:33 | 読書日記
 凄絶な幼少期を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、ひとりの少女を伴い来日した。目的はライバル組織に売られ、日本警察に勾留されている部下の奪還と復讐、そして…。

 人は生まれる環境を選ぶことはできない。生まれながらにして、ギャングになる運命の人間がいる。そうしなければ生きていくことができないからだ。そして、一度ギャングの世界に足を踏み入れると、決して五体満足で抜け出すことができない。
 
 懸命に生きても、正しく生きようとしても、決して幸せになれない人間がいる。
 「仕返ししようなんて思わないことだ。人を怨んじゃいけない。自分の心を檻にいれちゃいけない。憎しみはね、檻だよ。いったんその檻に入ってしまったら、終りだ。どんなに正しい生き方をしようが、どんなに真面目に働こうが、心に憎しみを飼っている人間を、神様は明るく照らしてはくれない。一生、灰色の壁の中で息をすることになる。抜け出せなくなる。」

 悲しい結末ではあるが、何かまだ「・・・」とストーリーが続きそうな気がします。自分に課された運命の中で、必死にもがき苦しみながらも戦い、生き続けた男が、最後に達した境地に一筋の光が見えたからか。

『反貧困ー「すべり台社会」からの脱出』(湯浅 誠)

2009-04-23 21:16:13 | 読書日記
 うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。そんな社会にはノーを言おう。合言葉は「反貧困」だ。

 ”溜め”は、外界からの衝撃を吸収してくれるクッションの役割を果たすとともに、そこからエネルギーを汲み出す諸力の源泉となる。

 ”溜め”は金銭に限定されない。有形・無形のさまざまなものが”溜め”の機能を有している。頼れる家族・親族・友人がいるというのは人間関係の”溜め”である。また、自分に自信がある、何かをできると思える、自分を大切にできるというのは、精神的な溜めである。

 結局、貧困状態まで追い込まれた人たちの”溜め”を増やすための組織的、社会的、政治的ゆとりが日本全体から失われているのではないか。国も地方自治体も、企業も、社員も、学校も、家庭も、今や誰もが「サバイバル」を口にし、一瞬でも気を抜いたら負けてしまう危機感を煽っている。

 作者は”溜め”という言葉を使っていますが、確かに、世の中のあらゆる部分に「余裕」というか「ゆとり」がなくなってきている気がします。
 何か問題が起こると、他人をとことんまで咎め、追い詰めてしまう。自分に余裕がないから、他人のちょっとしたミスも許せない。すると人間関係がどんどんギスギスしてしまっている。

 自分のことで精一杯だから、人が”すべり落ちる”ことを何とも思わない。いやそれ以上に競争相手が減ったぐらいに考えて、逆に這い上がろうとする人を足蹴にしたりする。

 何ともやり切れない風潮が広がっている気がしてしょうがない。

 この社会を変えるためには、ただ役所の窓口対応を批判しているだけでは意味がいないのでは。

 もっと、世の中の人々が心の余裕を持ち、他人の行動を大らかな気持ちで眺めるようにならなければ・・・。
 
 「みんなで社会を変えていこうじゃないか」という力強いメッセージが込められた作品です。
 

『人間の関係』(五木寛之)

2009-04-18 15:11:07 | 読書日記
◎鬱からぬけだすための3冊のノート
 ①歓びノート
 ②悲しみのーと
 ③あんがとノート

◎文化遺産の功罪
 文化といい、歴史の遺産といい、何かありがたく、貴重なもののように思われる遺産が、富の偏在と、権力の集中からしか生まれなかったという皮肉な事実

◎人間は信じられるのか。それとも信じられないのか。そんなことを議論しても仕方がない。ほんの小指の先ほどの信頼でも、信じられるものがあるということが重要なのである。

◎人間の関係におけるシナプスとは一体なんだろう。「人間」を考えるのではなく、「人間の関係」を考えることこそ重要だ。

 正直なところ、著者の意図するところを私が十分理解し得たとはとても言えません。
 しかし、世の人々に対する著者の暖かい眼差しが、随所に感じられます。
 どんなに世の中が変わっても変わらない「人間の関係」
 著者自身も思い・考えていて、人間としての明確な生き方の解が得られているわけではなさそうです。
 しかし、解っていないことを解っているかのように説教するわけではなく、「私も思い悩んでいるのですよ!」と言われると、何か自分も「一緒に考えなくちゃ」という気にさせられました。

 

『汗をかかずにトップを奪え!』(三田紀房)

2009-04-18 14:49:13 | 読書日記
◎格差の本質を見抜け
・馬鹿な若者が搾取される格差社会
・転職か独立か→あえて現在の会社に残ってみろ

◎仕事とは「大きなるヒマつぶし」だ!
・「半径5メートル」の人間関係に気をつけろ
・人間関係の悩みを断ち切る方法 
 ①他者から必要以上に好かれようとせず、適度な変わり者になること
 ②別人格を演じる
 ③「たかが仕事じゃないか」と考える
・仕事は探せ。自分は探すな。必要なのは「自分探し」ではなく、一段ずつ自分を積み上げていく「自分づくり」なのだ

◎自分を発信することを考えろ
・人間関係のトラブルの9割は「無知」から起こる。たとえ「本当はいいやつ」であっても、「いいやつ」をオープンにしてくれない限り、誤解が正解になるのだ。

◎会社員のゴールはどこにあるのか。それは「指名」である。
 「この仕事はお前に任せる」「担当は○○さんでお願いします。」

◎とりあえず大声で笑ってみろ。「一緒にいると楽しい」と思わせるだけで十分である。

◎名前を呼んで「他人」から脱せよ

◎使われるのか厭なら、使う側に回る
◎騙されるのが厭なら騙す側に回る
◎社会のルールに文句をつける前に、ルールをつくる側に回る

 どれだけ多くの仲間に囲まれているか。つまり、どれだけ人生を楽しんでいるかが、最終的な仕事力を決めるのだ。

 「トップを奪え」という表題にはなっていますが、基本は仕事論、つまり仕事ととは何かを語っている作品です。

 「仕事とは大いなる暇つぶしだ」
 仕事の本質をこのように捉えるだけで、日々の生活の見方・考え方が大きく変わる気がします。
 仕事上の悩みや喜びの多くは人間関係に由来するものが多い。そこで、「仕事は大いなる暇つぶ」なんだと心に思っているだけで、どれだけ豊かな人間関係を築けるかが、人生を謳歌できるか否かの分かれ目だと理解できるようになるのだと思います。

『隠蔽捜査』(今野 敏)

2009-04-16 20:23:00 | 読書日記
 竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は“変人”という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。

 警察組織を中心とした捜査小説かと思い読み始めましたが、全く違いました。捜査小説というより、一人の男・仕事人(ビジネスマンとも言える)の生き方・生き様を描いた作品です。

 「知っているか?おまえは、俺たちがやるべきことを必ず役割とか役目と言う。決して仕事とは言わないんだ」

 「おまえにとって、警察の仕事はただの仕事じゃないんだ。きっと天に与えられた役割か何かだと思っているんだろう。」
 「そんな大げさなもんじゃないさ。ただ、金を稼ぐだめの手段でないことはたしかが。大切な使命を帯びている、官僚ってのはそういうものだろう。」

 強烈なエリート意識と使命感。
 鼻もちならない人間であるが、国家の土台を支える人間としては、これだけの使命感ある人間が必要なのかもしれない。

 その個性を包み込んで、活かしきる度量が組織にあるかどうかが重要であるが・・・。

 広くビジネスマンに読んでもらいたい作品です。

『川は静かに流れ』(ジョン・ハート)

2009-04-16 20:09:25 | 読書日記
 「僕という人間を形作った出来事はすべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えている」殺人の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていたのは自分を勘当した父、不機嫌な昔の恋人、そして新たなる殺人事件だった。

 アメリカの田舎の風景が、目に浮かぶ、ゆっくりとした語り口。
 ミステリー色もあるが、家族の絆について、じんわりと描いた作品です。

 生まれ育った狭い空間。そこで起こった悲劇。故郷を一時的に離れながらも、いつも心にある風景。
 
 一度故郷を離れると、より故郷の素晴らしさが分かるのかもしれません。そして家族の素晴らしさも・・・。

 田舎では時の流れが都会よりゆっくりしているように見える。しかし、それでも時は流れているのである。
 人間なんてちっぽけなものと思わせるような大きなうなりの中でも、確実に時は流れている。

 人の心も常に動いている。そんな中だからこそ、いつでも帰ることができる家族がいるということ。その素晴らしさを改めて感じさせてくれました。
 
 

『レジ待ちの行列、進むのが早いのはどちらか』

2009-04-05 10:55:14 | 読書日記
 「観察力」「推理力」を養い、人間として賢い生き方をするために必要不可欠な能力を磨くための本である。

●レジ待ちでは、行列にどのような人が並んでいるかを観察し、スピードの遅い人がいない列に並ぶ
●交渉者として競争的で攻撃的な人を見極める方法として、喫煙者か否かを見極め、喫煙者であれば、攻撃的であるので注意して臨む。

など、具体的な事例(イラスト)に基づいて、観察力・推理力アップの訓練ができます。

 本書にあるとおり、まず見た目・外見から様々な情報を読み取り、傾向・性向を見極めることで、物事をうまう運ぶこともできるのでしょう。
 とは言え、傾向・性向を見極めるには、事前に必要な知識を頭に入れておく必要があるのですが・・。

 名探偵シャーロック・ホームズの言、「分からないのは見えないからじゃなく、不注意だからさ。見るべき場所を見ないから、それで大切なものをすべて見落とすのさ」。

 見ようとすれば見えるものはたくさんあるのだと気付かせてくれる作品です。