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群馬の田舎から情報発信!

『日本人の足を速くする』(為末 大)

2008-07-31 19:25:11 | 読書日記
 プロ陸上選手である為末選手の作品です。

 ”足を速くする”とうい表題が付いていますが、その部分のハウツウ部分は前半の僅か。多くは、普段どのような思いでハードル競技に臨んでいるかが描かれています。

 ハードルという陸上競技は、ただ速く走るだけでなく、技術、駆け引き、メンタルなど総合力で戦うものであり、それ故に日本人向きの競技であると述べています。400メートルを毎回同じ歩数で駆け抜ける競技を、これからはちょっと違った視点で見られるような気がします。

 「仮に周囲が満足してくれたとしても、選手本人が満足できないのです。現状維持では昨日の自分を越えたことにならず、極言すれば、同じ記録しか出なくなったのなら続けている意味がありません。」

 「夢を与えるには、本物を見せるのが一番だと思います。人間は、一生懸命何かに打ち込むとこんな凄いことができるようになる、という実例は、何よりも雄弁です。」

 「私自身、今でもいろいろな凄い人を見て、いろいろな夢を抱かされます。ハードルで昨日の自分を越えられなくなったら、挑戦してみたいことは山のようにあります。」

 「私の夢は、日本人の足を速くすることです。そして、日本の陸上界を変え、日本のスポーツシーンを大きく動かすことができたら、こんな幸せはありません。」

 安定したサラリーマンの道を棄て、プロ陸上選手となり、更には、コーチを付けづに、自分で全てをマネージメントして努力し続ける。

 明確は目標を持ち、その目標に向かって論理的に計算しつくした努力をし、成果を出す。そのあまりにも”プロ”らしい姿に、為末氏はハードルに限らず、どんな分野でもきっと活躍できる人なのではないかと思います。
 
 北京での活躍を期待しています。
 

『頭がいい人の45歳からの慣習術』(小泉十三)

2008-07-22 22:09:26 | 読書日記
 人生を一日に例えると、40歳前後が正午となる。ここから5年間はまさに働き盛り、まさに人生の最盛期である。しかし、45歳を過ぎると、太陽はじょじょに傾き始める。すなわち「人生の午後」の始まりである。人生をいよいよ充実させるために、いま考えるべきこと、実行すべきことをイラスト入りでまとめたのが本作品です。

 この作品では五つの習慣術を唱えています。
第1章 心を老けさせない思考習慣術
第2章 頭をサビつかせない刺激習慣術
第3章 頑張り過ぎない健康習慣術
第4章 組織とうまくつき合う遊泳習慣術
第5章 自立したシニアになる変身習慣術

 それぞれの章とも、細かなワンテーマ毎に記述され、読み易く書かれています。

 人生の午後を充実して過ごすためには、それなりの心構えと、ちょっとした工夫(事前も含む)が必要なのでしょう。
 どのような人生を過ごすかを決めるのは、結局は自分自身なのですから。

『鬱の力』(五木寛之 香山リカ)

2008-07-22 21:54:53 | 読書日記
 作家である五木氏と精神科医である香山さんとの、「鬱」に関する対談集です。

 「治療すべきうつ病と、人間本来の感情である『鬱』は分けなければならない」など、五木氏の考えをもとに精神科医としての専門家の意見を香山さんが補足していくような内容です。

 書き下ろしの作品と違い、一貫した考えを、きちんとした構成で記述している作品ではないので、『鬱』について勉強したいと思ったり、鬱をいかに克服するかを知りたいと思うと、ちょっと物足りないかもしれません。

 しかし、「鬱」を中心にいろいろな五木氏の引き出しの多さを素直に楽しめば、面白い作品だと思います。

『成功の五角形で勝利をつかめ』(三田紀房)

2008-07-19 15:26:54 | 読書日記
 なぜ、体育会系は就職に強いのか?
 それは、会社とは「学校」そのもので、学校の論理・システム・ノウハウがそのまま反映された縦社会が、日本の会社なのだ。
 そして、体育会系は、「縦社会における対人スキル」を身につけているから就職に強いのだ。

 そして、「生きる力」、いや「生き抜く力」を学ぶのが学校であり、それを学ぶ最高のツールとして、国数理社英の5教科がある。

 国語:読解力、コミュニケーション力
 数学:ロジカルシンキング能力
 理科:仮説力、検証能力
 社会:ネットワーク力
 英語:クソ度胸

 ロジカルシンキングなんていうイマドキのワードがちりばめられていて、分かりやすいビジネス書だと思います。

 ビジネスの細かなテクニック取得を目指した本ではなく、ビジネスの基本は何か、そしてその基本をいかにして取得するかを解説してくれている作品です。
 
 「学校が好きなら、会社も好きになれる」「大切なのは、やりたいことや好きなことを『会社の中に』みつけること。」「チームの力を決めるのがキャプテンであるように、会社の力を決めるのは部長や課長の中間管理職である」など、かなり独特な切り口で会社社会で生き抜く方法を説いています。その切り口の鮮やかさが、読後に「頑張らなくちゃ!」と思わせてくれます。

『ダイブ』(森 絵都)

2008-07-12 15:46:46 | 読書日記
 オリンピック出場をかけて、少年たちの熱く長い闘いがはじまる! 高さ10メートルから時速60キロで飛び込み、技の正確さと美しさを競うダイビング。赤字経営のクラブ存続の条件はなんとオリンピック出場だった!少年たちの長く熱い夏が始まる。

 性格の違う3人のダイバーが、互いに競いながら、そして少しずつ友情を育みながらオリンピック出場に向けて頑張る姿が描かれています。

 どんなスポーツも同じでしょうが、そのスポーツが好きで、向上する意欲と、ずっと続けられること、そして上達するためにはどんな努力でもする自己統治能力が一流のアスリートには必要なのではないでしょうか。

 この作品の3人とも、若者特有の悩みを抱えながらも、ダイブに賭け、もがきながら成長していきます。なんともすがすがしいスポーツ小説であるとともに、青春小説でもあります。

 知季が作品中こんなことを言います。「そう、ほくが目指すのは優勝でも、オリンピックでもなかった。この世界の、この時代の、この毎日の至るところの存在する見えない枠を越えること。越えて、自分にしか見ることのできない風景をつかむこと。」

 飛び込みというと個人競技で、一人で戦うイメージがありますが、知季はこんなことも言います。
 「おれには元オリンピック選手の両親もいないし、幻の天才ダイバーとか言われるおじいちゃんもいない。でも、普通の家族がいつもいた。父さんがいて、母さんがいて、ヒロがいた。MDCに行けば要一くんがいて、レイジがいて、サッチンがいて、陵がいて、沖津くんがいた。それからもちろん冨士谷コーチがいて、大島コーチがいて、中西コーチがいた。中西コーチがいなくなってからは麻木コーチがいた。みんながみんないて、空や山や川みたいにいつもいて、14年間の全部がぴったり合わさって、今のおれがいる。」
 「一人でも足りなかったら、ぴったり合わさらなかったって」

 こんなに一生懸命に青春時代を駆け抜けていく姿があまりにも眩し過ぎます。そしてカバーのプールの青さが目に焼きついてしまいました。

『20世紀少年』(浦沢直樹)

2008-07-06 16:42:44 | 読書日記
 あの頃、彼らは少年だった。そして今、人類は滅亡する。20世紀を生きてきた少年達は、いかに世界を救い戦ったのか…最後の冒険が、始まる。

 コミックについては詳しくない私ですが、ストーリーはもちろんのこと、絵・構成も巧く、完成度が高く、「コミックの世界はここまで来ているのか」と改めて感心させられました。もう、全く子どもだけの娯楽品ではなくなってきています。

 特に12巻までの”ともだち”の正体が判明するまでの謎解きと怖さは、映画さながらで、次から次へとページをめくってしまいました。
 逆に、実写化は難しい作品だと思いますが、映画化されるとのことなので、どんな作品になるのか、今から楽しみです。
 
 著者の浦沢氏は1960年生まれとのことで、昭和の頃の場面がたくさんあり、今の子ども向けというより、著者と同年代の大人が楽しめる作品だと思います。子どもの頃の悪ふざけを、大人になってからも続けるなんて・・・。子どもにとって原っぱの秘密基地は特別な場所だったなあ。

『コンサルタントの「質問力』(野口吉昭)

2008-07-05 20:29:11 | 読書日記
 多くの基本的なコンサルティング&スキルの中で、「質問力」はコンサルタントに特に必要なもの。
 いい質問は、いい空気を作るし、いいコミュニケーションを作る。いい質問は「動機付け」の結節点であり、エネルギーの素である。質問は、そのときの言葉だけでなく、準備・本番・アフターというプロセス全体でもあり、質問する人間の人生そのものと言える。

 著者は質問力を3つ挙げている。
 質問力1 「仮説力」
 質問力2 「本質力」
 質問力3 「シナリオ力」

 質問力は、仮説力・本質力・シナリオ力の組み合わせによって威力を発揮する。この三つの能力は、単独では存在しえない。いつも一緒に動き。いつも同時に相乗化される。
 
 コンサルタントも、ただ一方的に自説を述べるのではなく、相手とのコミュニケーションを繰り返すなかで、問題の本質に迫り、解決策を見出すものなのです。
 だからこそ、「質問力」にこだわり、そのスキルの充実に力を注いでいるのでしょう。
 しかし、これはコンサルタントだけに限らず、様々なビジネスの場面でも求められているスキルであり、私も身に付けなければいけないと痛感させられました。

 本書の中で紹介されている例で、『トヨタ自動車では「なぜ?を5回繰り返せ」を実施している。』というのがある。なぜを繰り返すことで問題の真因に迫ることができるからだ。
 これは、すぐにでも使えます。1つの問題解決を考えるにあたり、なぜを5回、自問することで、問題の本質を捉え、より良い解決策を見出せるような気がします。

 また、ちょっと「質問力」からは離れますが、企業のトップは「人材・資金・モノの最高な資源配分を考える」ものであるらしい。
 この最適化を実現することで、企業力をアップすることが可能なのです。こんなことは人任せにはできませんよねえ。これを部下に任せてしまうと、組織のあり方に歪みがでてしまうのでしょう・・・。