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群馬の田舎から情報発信!

2007年のマイベスト本

2007-12-31 17:48:34 | 読書日記
 2007年ももうすぐ終わり。
 雑誌や新聞で、今年のベスト10などが発表されていますので、このブログで紹介した作品の中から、お勧めのベスト3を発表します。

 とは言え、ビジネス系と小説ではちょっと趣が違うので、それぞれベスト3とします。

 まずはビジネス系
  第1位 「決断力」(羽生善治)
  第2位 「ヤバい経済学」
  第3位 「実戦 問題解決法」(大前研一 斎藤顕一)

 「決断力」ですが、作者は将棋士の羽生さんです。「決断力」というテーマですが、それだけに限らず、人間としての生き方まで、幅広い話題が論じられています。 「才能とは継続できる情熱である。」といった羽生さんの経験に基づく珠玉の言葉があちこちにちりばめられていて、読み甲斐のある作品です。

 第2位の「ヤバい~」は身近な問題を経済学という視点から解説してくれている本ですが、本当に楽しい作品です。

 第3位の「実戦~」は大前研一氏らの作品。相変わらず大前氏の作品は、指摘が具体的で、すぐにでも実践できるような内容で、努力してみようと思わせてくれます。

 次に小説系です。
  第1位 「ハゲタカ」
  第2位 「象の背中」
  第3位 「しゃべれども しゃべれども」

 第1位は「ハゲタカ」です。NHKのドラマにもなっていましたが、外資ファンドを中心に、日本経済、さらには日本の政治風土にまで及び壮大な問題意識、そしてそこで必死に戦う(働く)人々の人間模様を活き活きと描いています。

 第2位は「象の背中」です。最近読んだ本なので、ちょっとその分有利な判定かもしれませんが、「男の理想的な死」をドラマティックに描いています。泣けます。

 第3位は「しゃべれども しゃべれども」。ミステリー小説ばかり読んでいる私としては、ちょっと毛色の変わった作品を入れました。
 それぞれ悩みを抱えた人達が、落語教室を通じて成長?し、自分に「良し」と言ってあげられるようになるという、なんとも読後にホンワカした気分にしてくれる作品です。
 まだまだ、読んだことのない面白い作品がたくさんあるのだなあと、改めて思わせてくれました。

 来年はいったい何冊の本を読めるだろうか・・・。面白い作品にたくさん出会えたらいいなあと思います。

 

 



『スタバではグランデを買え!』(吉本佳生)

2007-12-24 21:37:41 | 読書日記
 同じペットボトル飲料が、スーパーでは88円で売っているが、店の前の自動販売機では150円で売っているということがある。どうして、同じものなのに価格が違うのか?
 携帯電話の料金設定は、なぜ多様で複雑なのか?

 こういった、我々が日常接する「価格」というものを通じて、やさしく経済のメカニズムを解説してくれています。

 「差別価格」という概念は新鮮でした。高く買う客には高く、安くないと買わない客には安い価格で売る。他に手段のない者には高い値段でうる。何となく「そうなんだろうなあ」と考えていたものを明確に解き明かしてくれています。

 売る側(企業)は、利益を最大限にしようと考え・工夫して価格設定している。だからこそ、携帯電話の利用料に複雑怪奇は料金設定ができている。複雑さに屈服する利用者は価格差別の餌食になるとさえ著者は言っています。

 もう一つ、価格を考える際に重要なのが「取引コスト」という概念。例えば、スーパーで88円で売っているペットボトルのお茶が、コンビニで150円で売っている場合があるが、これは「冷やす」や「すぐにほしいお茶が見つかり時間が節約できる」といったサービスも買っていることになるから。これが「取引コスト」というもの。
 
 この取引コストを販売側と購入側のどちらがどれだけ負担するかで、価格が変動することとなる。

 自分の生活の”満足度”を上げるには、こういった価格の仕組みを大まかにでも理解することが、一つの有力な手段になるのだと思います。

『象の背中』(秋元 康)

2007-12-15 23:35:16 | 読書日記
 肺ガンで余命6カ月を宣告された48歳の男が、延命治療を一切拒否し、残りの人生を精一杯生きようと、 これまで心にひっかかっていた様々な人と会って、 自分がもう長くないと”遺書”を伝えようとする。

 前半は、愛人との生活や、贅沢な食事の場面など、ちょっと普通のサラリーマンでは考えられないような場面が多く、今一感情移入ができませんでした。しかし、ホスピスに入る頃になると、主人公の人間臭さが現われ、実に泣かせる作品に仕上がっています。

 余命半年と宣告されれば、いくら「よし!これからやり残した事を全てするぞ!」といき込んだところで、すぐに普通に生活できない生活となってしまうのでしょう。
 
 そういったシチュエーションだからこそ、「生と死」、「家族」といったことを考えるようになるのだと思います。

 主人公は48歳で妻と子供二人がいるという状況を考えると、自分でも切実に生と死を考えさせられました。
 果たして、私は余命半年と宣告されたら、延命治療を拒否するだろうか?気持ち的には、拒否したいですが、その場になればやはり少しでも長生きしたいと思ってしまうかもしれません。

 最後に家族に「お疲れ様」と言われて息を引き取った主人公の満足感が、この作品の最後を暖かく締めくくってくれています。

 死に方は人それぞれあるでしょうが、それまでにいかに生きたかが、その人の満足感を左右されるのでしょう。

 死ぬ間際に「何かを残してほしい」という妻の願いで手紙を交換することになるが、妻が手紙を読む場面は本当に泣けました。こんなふうに家族の記憶に残れたららなあと・・・・