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群馬の田舎から情報発信!

『夜のピクニック』(恩田陸)

2006-09-28 19:44:38 | 読書日記
 映画公開に先立ち、文庫化されたので早速購入してみました。

 全校生徒が夜を徹して80キロを歩き通すという「歩行祭」が舞台である。高校生が朝8時から翌朝の8時までにゴールするというだけの話で、特別な事件が起こるわけではない。

 普段はしゃべれないことも、ただ並んで歩くだけなのになぜか話せてしまう。普段とはちょっと違った一面を見せる子もいる。いろいろな思いを持った高校生達が、夜通し歩きながら語らい合うことで、ちょっとずつ変化(成長?)していくほのぼのとした青春小説です。

 高校時代なんて遠い昔の話となってしまったけど、こんな風に友達と語らいあえるなんて羨ましいなあ。高校生は高校生なりにいろいろなことに悩み、いろいろなことにコダワリを持っている。だけど、なかなかそれを素直に外に現すのは難しいんだよなあ。「歩行祭」みたいな機会に友達と本当の自分をさらけ出すことができた生徒はラッキーだよなあ。

 久しぶりに青春小説の世界にゆったりとした気分で浸りました。

久しぶりの管理釣り場

2006-09-23 21:30:51 | フライフィッシング
 久しぶりに管理釣り場に行ってきました。

 気がつけば、渓流は既に禁漁期間になっていて、これからは管理釣り場の季節ですね。
 
 本当に久しぶりだったので、ライントラブルが多く、途中で情けなくなってしまいました。
 
 釣果は5匹ほど。決して多くはないのですが、釣れた時の感覚は本当に楽しい!
そして、ニジマスは本当にキレイです。

 楽しい時間はあっという間に過ぎでしまうものです。午後6時間ほどの釣りでした。

『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』

2006-09-19 19:29:50 | 読書日記
 「誰も教えてくれなかった!裏会計学」との副題が着いた会計の入門書です。
 と言っても、直接会計の知識が身につく本ではありません。

「ぜな、社長のベンツは、中古の4ドアなのか?」
「なぜ、年商の4倍の借金がある旅館が潰れないのか?」
「なぜ、社長は生命保険が好きなのか?」
など、気を引くような問題提起に、会計的見地からの回答を示し、自然と会計の知識が身につくことを狙いとした本です。

 いかに節税するか。いかに経費で落とすか。いかに資金繰りをするか。決算書は最終的には金融機関から融資を受けるため、そして、税務署に税の申告をするためのもの。したがって、いかに融資を受けるに有利な決算書にするか。いかに納税額を少なくする決算書にするか。このことが重要であり、中小企業の経営者になったら、このことに気を配るべきとのことである。(中小企業の経営者の発想が分かるようになります。)

 今流行(?)の粉飾決算も、なぜ、そんなことをしようと思うのか、経営者の心理を解説してくれます。その会社の置かれた状況で、どのような決算を打つべきか変わり、経営者の意図に沿った形で決算書が作られるものなのですねえ。

 サラリーマンの私からすると、一つの読み物として楽しませてもらいました。

『アヒルと鴨のコインロッカー』(伊坂幸太郎)

2006-09-17 12:17:41 | 読書日記
 引っ越してきてアパートで最初に出会った長身の美青年に、いきなり「一緒に本屋を襲撃しないか」と持ちかけられる。そして、いつの間にかたった一冊の広辞苑を奪うため、モデルガンを持って書店の裏口をボブディランの歌を口ずさみながら蹴ることとなった主人公。この行動がどのような意味を持つのか。

 物語は2年前と現在が同時進行的に進み、2年前の出来事が、”現在”ようやく終結を迎える。 

 伊坂作品らしく、ちょっとクセがあるが不思議と魅力ある主人公達が活躍します。(キャラクターづくりが本当にうまい!!!)

 最後に「アヒルと鴨のコインロッカー」のちょっと切ない意味がようやく分かります。

 映画化が決まったそうですが、どのように映像化されるのかが楽しみです。

「彩月」(蕎麦屋)

2006-09-09 19:55:56 | 群馬グルメ
 今日は、「そば」が食べたいということで、前橋の大渡橋近くにある日本料理「彩月」さんへ。

 以前、改装のため一時的に「そばひろ」さんが営業していたところでしょうか?
初めての訪問です。

 土曜日ですがランチもありました。そばのランチが1,000円。うどんのランチが750円。(違いは分かりません)
 写真はそばランチの1,000円です。そばの他にとろろご飯に刺身、小鉢が付きます。さらになぜかコーヒーがセルフサービスで飲み放題。
 もりそばは「大盛り」というのがないらしいので、2枚で1,000円でした。

 肝心のそばですが、ちょっと田舎風のそばで、いかにも”手打ち”という感じです。一口そばを口の中に入れると、そばの風味が口の中に広がり、本当においしいそばでした。連れの家族は、「ちょっとぼそぼそし過ぎるかなあ」などと言っていましたが、洗練させた細い麺より、私はこの店の素朴な蕎麦の方が好きです。久しぶりに蕎麦らしい蕎麦を食べた気がします。

 店内は宴会もできるような感じで、昼間に蕎麦だけを食べに一人で入るのはちょっと気が引ける感じがしなくもないです。
 一人当たりの単価がちょっと高めに設定してある気がしますが、余裕があって、おいしい蕎麦を食べたい時には是非出かけたい店です。

『照柿』(高村 薫)

2006-09-07 21:50:18 | 読書日記
 やっと合田3部作の2作目、「照柿」が文庫化されました。ということで早速購入して読みました。

 合田刑事とその幼馴染の野田達夫との視点が交互に描かれながら話が進みます。
ストーリー自体はそれほど展開があるわけではなく、いわゆる「ミステリー」とジャンル分けするのは難しい作品です。

 しかし、熱処理工場の細かい描写や人間の心の描写は正に「高村作品」であり、最初からぐいぐいと惹きつけられました。

 人間は心の中に「現状を壊したい」という”マグマ”のように沸き立つ感情を持っているかもしれません。普段は理性や臆病な気持ちなどで高い壁を築いて、その”マグマ”がこぼれないようにしている。が、何かの拍子にちょっとでもその壁にキズが付き、”マグマ”が漏れ始めると、一気に破滅へと転がり落ちてしまう。

 何かがプツンと切れてしまう感覚。「照柿」色が様々な”熱”を感じさせ、その暑苦しさが破滅へ導く「不快感」。そして破滅を恐れながらも、一線を超えてみたいという衝動。作者は人間の業を読者に突きつけて、決して安易な逃げ道など示してくれません。

 読後には、自分の心の中の”マグマ”が沸々と湧き上がるような感覚に見舞われました。