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群馬の田舎から情報発信!

『サッカーという名の戦争』(平田竹男)

2009-06-27 15:53:44 | 読書日記
 「サッカーは戦争である」とよく言われるが、戦わなければいけないのはピッチの中だけではない。ピッチの外で行われる、他国との交渉という戦争でも勝たなくてはいけない。

 「マッチメイク」、「試合を組むこと」がサッカーの試合でいかに重要かを認識させてくれた作品です。
 
 w杯アジア予選においても、その方式に確たる決まりがあるわけではなく、グループ分けされたチーム(国)通しの話し合いで勝ち抜ける方式が決まるとのこと。

 そうであれば、いかに有利な条件で試合を行うかという、試合”以前”の戦略が非常に大事だということ。

 その時の交渉に当たっては、サッカーのことのみ詳しいだけの人ではなく、外交交渉の経験等がものをいうのかもしれません。

 著者は、通産省時代に中東の諸国で活躍したことがあることから、w杯予選などのマッチメイクでは活躍されたとのこと。

 日本サッカーが世界基準を目指すなら、世界基準でマッチメイクをすることができる人材の育成も必要なのかもしれません。

 サッカーの技術を短期間に飛躍的に向上させることが難しいのと同様、世界基準のマッチメイクする人材もすぐすぐには作り上げることはできない。 
 ある程度の長いスパンを見通したうえで、活動を積み上げていくことが必要なのかも。
 欧州の力も、長年の積み重ねの中で培われたものなのでしょう。

『日本サッカー遺産』(山本昌邦)

2009-06-21 12:00:06 | 読書日記
 世界基準のサッカーとはどんなものか。
 ドイツワールドカップにおけるワンタッチバスの比率がイタリアは35.1%で日本は29.4%。日本は下から数えて4番目。世界はスピーディーなサッカーを指向している。

 先のバーレーーン戦での走行距離。トップは長友選手の12.58㎞。2位は中村俊輔選手の12.44㎞。

 24㎞以上のスプリント回数。C.ロナウドやルーニーは1試合60~80回のスプリントをこなす。Jリーグのトップレベルでも40~60回程度。

 世界基準のサイズ。ユーロ2008ではGKの72.9%、DFの43.8%以上が185㎝以上。

 「遺産」とはあるものの、著者のこれまでのサッカー界での経験を集めた作品です。

 日本サッカーを世界基準に押し上げるにはどうしたらいいのか?
 
 世界レベルでの戦い(ワールドカップ)を経験していく中で、いろいろなものが見えてくると思います。

 南アフリカ大会への出場も決めましたし、今度のワールドカップへ向けての努力そして、その経験からさらに一歩上の世界へ日本サッカーが登っていくことを期待しています。

『女子大生会計士の事件簿

2009-06-21 11:40:40 | 読書日記
 企業が裏金をどうやって作るのか?
 どうして裏金を作ってはいけないのか?税務調査により重加算税などを課されると不利益を被るから。

 債務保証、株価操作を利用した詐欺事件。

 会計士が残高確認をなぜするのか?それはきちんと監査をしたという証拠で裁判に負けないため。

 販売用不動産は流動資産の中の棚卸資産に計上される。日本の会計システムでは強制評価減が適用される。市場価格が帳簿価格の半分を下回ったら、市場価格まで評価を強制的に減らさないといけない。

 SPC。スペシャル・パーパス・カンパニー。特別目的会社。アメリカのエンロン事件の基本は、SPCを利用した粉飾決算と株価操作。経営トップが、経理を知らないで、特定の部下に任せきりにすると、会社が傾く恐れもある。

 公認会計士の仕事を小説を借りて楽しく紹介してくれている作品です。さりげなく、様々な会計用語が散りばめられていて、ストーリー展開を楽しみながら、会計のお勉強もできてしまうという一石二鳥のの本。

 
 

『その後のツレがうつになりまして』(細川てんてん)

2009-06-15 19:49:06 | 読書日記
 第1作が、うつとはどういうものか、を語った作品でしたが、今回は、うつになってしまった人、そしてその周りの人がどのように対処すべきかをアドバイスしてくれている作品です。

 うつの症状はいろいろあるでしょうし、その治療法、対処法もいろいろだと思います。

 そんな中で、著者とツレが、実体験をもとに語ってくれるアドバイスは、何とも貴重であり、重たいものです。

 うつ病を乗り切るための秘訣は「あ」「と」「で」
 「あ」は「焦らない、焦らせない」
 「と」は「特別扱いしない」
 「で」は「できること、できないことを見分ける」

 「疲れたら休む」「無理はしない」
 こんなことを心掛ければ、うつから抜け出すことができるのかも。

 全国でうつに悩んでいる人はたくさんいると思います。そんな人も周りに頼れる人がいて、適切にアドバイスしてくれる人がいれば、何とか治ることもできると思います。
 うつを克服して、お互いに「必要な存在」と認めあえるようになった作者夫婦はうらやましくもあります。(そんな軽い言葉は不謹慎かもしれませんが) 

『日本の難点』(宮台真司)

2009-06-14 11:57:08 | 読書日記
 いじめはなくせるのか?
 「いじめ」とは、人の「自由」な日常的活動のベースになっている「尊厳」を、回復不能なまでに傷つけることで、以前と同じ生活を送れないようにしてしまうこと。
 このように定義づけられた「いじめ」であれば、「殆どなくすことができる」と言います。
 
 「いじめ」は殆どなくすことができると、親や教師が「本気」で考え、「感染」させること。
 人間はなぜか、利他的な人間の「本気」に「感染」します。「本気」で話されたことを「本気」で聞くという土台が子どもには必要。
 そのためには、国家(行政)は「個人の自立」を支援するのではなく、「社会の自立」を支援すべき。言い換えると、国は社会がそれなりに自立して回るように助けることに徹すべき。

 日本の農業・自給率は大丈夫か?
 「農家らしい農家」ないしそれに協力する人たちに、政府が直接支払する補助金政策へと転換する必要がある。
 農業保全→国土保全→社会保全→社会的コミットメント保全→内需経済圏保全→農業保全→・・・・という循環を回すことが必要。

 本当にスゴイ奴に利己的な輩はいない。東大でも霞が関でも一番優秀な連中あ軒並み利他的だからです。

 難解な作品でした。「はじめに」からして理解できませんでした。それぞれの「難点」については、理解しやすいものもあれば、とても理解できないものまでさまざま。
 しかし、この幅広い分野にわたる論点を社会学的観点から切りまくる筆力はすごい。
 もう少し、私が学術的力量が上がれば、もっとこの作品を深く理解できるのでしょうが・・・。
 精進がたりませんねえ。

『螺細迷宮』(海堂 尊)

2009-06-11 20:19:37 | 読書日記
 病気を治す医療がある一方、死と向き合う医療もある。

 デスコントロール。終末医療。死亡時検索。

 小説の世界ではあるが、医療が死をコントロールしようと思えば、できてしまうかと思うと背筋が寒くなります。
  
 死は誰にでも訪れる。「死は万人の前で平等であるべき」。
 これまで、医療も行政も「死」を正面から捉えてこなかった?医療関係者のモラルばかりに頼ってばかりいられないということでしょうか。

 「大切なのは比率、割合だよ。光と影を黄金比に混ぜる。それこそ人生の秘訣さ。その調合できるのは、真の闇を知る者のみ。」

 それにしても、医療の世界をこんなに楽しいミステリー小説に仕上げてしまう著者はすごい。
 
 一つ残念なのは、今回はロジカルモンスター白鳥の活躍がいま一つだったこと。もっとバッサバッサと医療関係者を切り倒してほしい。
 
 でも新しいキャラクター「氷姫」こと姫宮さんが、なんとなく魅力的。今後の活躍が期待できます。

 今後の白鳥さんの活躍を期待します。
 
 

『ゼロからでもできる農業のススメ』(常瀬村泰)

2009-06-06 17:29:11 | 読書日記
 資金、経験、コネがなくとも農業はやれるのか?
 「とにかく農業がしたい」という強い意欲、ひたむきな姿勢、まっすぐな情熱があれば、できると著者は言います。

 具体的な就農までの流れは次のとおり。
①情報を集める
②実際に農作業体験や現場見学をする
③どんな農業をしてみたいのか、自分なりの農業ビジョンを明確にする
④農業に必要な技術や知識を習得する
⑤資金を確保する
⑥農地・住宅を確保する
⑦機械や施設を確保する
⑧営農計画書を作成する
⑨農地を取得する
⑩就農

 著者も言っているとおり、この本は農業で稼ぐためのハウツー本ではない。
 あくまでも農業に興味がある人が就農までたどりつくまでの流れを示してくれただけである。

 実際に就農しようとすると、それなりの時間が必要であり、なおかつ、たとえ就農したとしても、そこそこ生活できる程度まで稼げるようになるには5年ぐらいはかかるとのこと。
 決して、家庭菜園の延長では農業で食っていくことは難しい。

 食糧自給率の向上、安全な食の確保、国土保全の観点など、いろいろな面から農業に注目が集まっていますが、そこで働いている農家の人たちの姿があまり知られていないのでは。

 いくら新規就農者を増やそうとしても、やはり現実として農業に従事するためには様々な高いハードルがある。
 しかし、そのハードルを何とか低くしようという努力も始められている。

 でも、農業はやはり難しいのでしょうねえ・・・。
 素晴らしい作物を作ってくれている農家の方々に感謝して、今日もおいしく食事をいただきたいと思います。