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群馬の田舎から情報発信!

『ツレがうつになりまして』(細川てんてん)

2009-05-30 22:17:31 | 読書日記
 今まで元気に、バリバリのビジネスマンとして働いていた夫が、急にうつになり、家に閉じこもり気味になり、寝てばかりいる生活を送るようになったら、家族はどんな思いだろうか。

 「病みは闇なり」
 著者は漫画でその様子を描いていますので、極力明るく描いています。でも、本当は辛いことが多かったのだろうなあ。
 途中の夫のコラムで、同窓会の挨拶で著者が嗚咽で言葉がでなくなった話がありましたが、本人は本当に辛かったのだと思います。

 うつになった時、いつまでも一緒にいてくれる連れがいるということが、何と素晴らしいことか。決して投げ出さず、暖かい目で見守ってくれる。こんなツレがいたからこそ、自殺もせずに生きていける。
 「夜は、必ず明ける」

  

 ツレが

『趣味力』(秋元 康)

2009-05-30 22:10:17 | 読書日記
 「年をとった人はよく、「いい人生だったな。いつ死んでもいい」という。だが「いい人生だった」とうことは、まだ命はあるのに、過去のために生きているようなものだ。僕は70歳になっても80歳になっても、「まだやりたいことがある」と思っていたい。どんな境遇であれ、死の間際まで「まだこれがやりたい」と思いながら、今が一番楽しいという状態で最期を迎えたいのだ」

 「趣味は人生の濃さを決める」

 著者が今、陶芸に凝っていることから、「趣味力」という表現を使っていますが、生き方そのものを説いた作品だと思います。

 人生を楽しむ方法は、常にやりたいことをやり、楽しむということ。それが趣味であれ、仕事であれ、今一番やりたいことを楽しみながらやること。これをし続ければ、結果とすればいい人生が送れたということ。

 楽しみは定年後になってからなんて言わないで、今やりたいことをやって、人生を楽しめ!と、元気づけてくれました。

『日本人の死に時』(久坂部羊)

2009-05-30 21:45:56 | 読書日記
 長生きは苦しいらしい。
 年を取ると、決して今と同じ状況ではありえない。
 排泄機能が低下して垂れ流してしまう。筋力低下で歩けなくなる。関節の痛み。

 「人生でやりたいことは、死ぬ時までにしておかなければなりません。60歳を死に時にしていると、時間が短いので早めに努力せざるを得ません。80歳だと余裕があって、ついサボってしまう。ところが80歳でいろいろやるつもりでも、機能も能力も衰えているので、最後のほうはなかなかうまくできなくなってしまう。60歳ならまだ能力もさほど落ちていない。体力もあるので想定どおりの力が発揮できる。」

 「死に時が来たときは、抗わないことがいちばん楽です。受け入れる準備さえできていれば、心も穏やかになれるでしょう。そろそろ終わりかな、という感覚」

 「ああ、楽しい一生だった、なかなか面白い人生だった、あのときは楽しかった、あんなこともあった、こんなすごいこともあった、つらいとき、苦しい時もあったけれど、よく頑張った、あれほど笑って、あれほど泣いて、感動したり、興奮したり、満腹したり、うっとりしたり、きれいだとか、切ないとか、素晴らしいと思ったり、怒ったり、考え込んだり、嘆いたり、想えば盛りだくさんな人生だった・・・。そんな気持ちで最期を迎えられれば、少しは落ち着いて逝けるのではないでしょうか」

 確かに、決して長生きはいいことばかりではないのでしょう。
 やりたいことは、今、元気なうちにやっておかなくては。そして、天寿が来たときには心安らかに受け入れる・・・。

 とは言うものの、自分が本当にそんなに冷静に死を捉えられるだろうか。「もうちょっと頑張ればいいことあるかも」と悪あがきしてしまうかもしれません。

 しかし、リアルな長生きというものを、事前に知っていれば、普段の生き方にも生かせるかもしれません。それに対する心構えもしておけば慌てることもなく、自然な形で受け入れることも可能かも・・・。

 老いや死は誰にでも訪れるもんだけれど、誰もが初体験。自然な形で受け入れることが晩年を穏やかに暮らすコツなのでしょう。

『農業が日本を救う』(財部誠一)

2009-05-24 16:12:18 | 読書日記
 「アメリカの農家は金に執着するが、日本の農家は土地に執着している。これが日米の農家の最大の違いだ」
 「日本農業を呪縛するのは「農地」に尽きる」
 「農地をめぐる問題は大きく二つに分かれる。「耕作者主義」と「転用期待」だ」
 「いま耕作放棄地の急増が問題となっているが、法制度上は耕作放棄地は絶対に発生しない」
 「新農地法は所有と利用の分離を目指す」
 「農業における経営資源というのは、私の理解では農地であり、人であり、技術であり、経営ノウハウです。それら全てを生産者が自由に使いこなし、創意工夫のできるような法的措置をしたい」
 「農協は生産者しか見ない。我々は消費者を見る。」

 中国産餃子事件など、食の安全に対する要求が高まり、国内農産物にも注目が集まっている。
 しかし、日本の農業の現状は、農業の担い手が年々減り続け、さらには高齢化が進むとともに、埼玉県の面積に匹敵するような耕作放棄地が存在するほど、厳しい状態に置かれている。

 この原因を行政の無策によるものと決め付けるだけでは解決しないことを本書は強く訴えています。
 
 もともとは経済の専門家がジャーナリスト的見地から書き上げた作品だけに、「消費者」の目を意識したものとなっています。

 本書の中でも言われていますが、これまでの行政は「農業=善」「農家=弱者」とういう前提に議論されてきた。したがって、農家への直接公費支出も躊躇なくほどこされてきた。
 しかし、結果として農家の”力”は強化されたか?後継者のいない高齢者の農業者が増え、挙句のはてに農業を続けられなくなり、耕作放棄地が増える。
 たとえ耕作しなくとも、今後の「転用期待」から決して農地は手放さない。

 これからは「消費者」の視点も踏まえた行政が必要になるのではないか。確かに、農業、特に食の安全保障的観点からは、すべてをビジネスベースで割り切ることはできないことである。したがって、いかに農家と消費者との考え・思いをくみ取った政策をすることができるかが重要。
 そのためには、多くの人に農業・農家の置かれている現状をよく理解してもらうことが大事では。
 そんな時の入門書として、本書は適している作品ではないでしょうか。

 

『ぼくと1ルピーの神様』(ヴィカス・スワラップ)

2009-05-24 15:53:34 | 読書日記
 アカデミー賞を受賞した映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作です。

 クイズ番組で見事全問正解し、史上最高額の賞金を勝ち取った少年。どうして12問の難問を正解することができたのか。

 インドの経済状況、生活水準などはよく知りません。
 しかし、IT関連では世界の中心になってきていたり、九九は二桁まで覚えるなどにより、、数学的才能に恵まれた人を多数輩出しているうえ、その人口の多さから、世界中で最も経済的に成長が見込まれている国の一つであることは確かです。
 
 そんな驚異的な経済成長を遂げつつあるインドで、一人の少年が、その勇気と才覚で、成功を掴みとるインドドリーム。とは言え、ここでの成功は金銭的な成功という意味合いが強いですが・・・。

 あまりにもハッピーすぎるエンディングで、ちょっと「できすぎだよなあ」と思ったところ、最後の幸せの”1ルピー”の種明かしにはちょっとビックリ。
 自分の進むべき道は自分が決めるべきであり、自分の手で夢をつかむものなのだということ。

 

『フライ、ダディ、フライ』(金城一紀)

2009-05-14 21:57:06 | 読書日記
 男が平凡な日々の中でも守りたいものがある。それは恋人かもしれないし家族かもしれない。必死で守りきらなければならない時もある。

 今までの殻を破って、一歩踏み出すことができるか。それが若者に教えを請うようなカッコ悪いことでも。

 その勇気が人間(男)を大きく羽ばたかせる原動力となる。

 主人公が自分の不甲斐なさのせいで味わう惨めさ。そこから抜けだすための泥臭い努力。なぜかその主人公を手助けしようとする不思議な不良少年たち。

 「この歳になるまで、強いとか弱いとかそんなことどうでもよく生きてきたけれど、君たちに出会って、私は変ったよ。もう、自分の弱さから目をそむけることはできない、絶対に」 
 「勝つのは簡単だよ。問題は勝ちの向こう側にあるものだ」
 「真の勝者は鷹となって大空に羽ばたき、限りない自由へと近づく」
 「私はまだ鷹には程遠いけれど、いま、飛べそうな気がしているんだ。」

 ある意味、多くの中年男性が憧れるような夢物語。現実はこんなに上手くいかないかもしれない。だけど、カッコつけて、屁理屈つけて、惨めなままでいるより、ボロボロになってでも、一歩踏み出す勇気が、新しい世界・今まで経験したことのない世界へのドアになるのでしょう。

 個人的に好きな場面は、主人公の行動が実は奥さんにバレていて、奥さんがそれを主人公に言う場面です。
 『22年間も一緒に暮らしてきて、私が気付かないとでも思ってたんですか?』 「夕子は今度ははっきりした呆れ顔で、近くにあったしゃもじを投げた。今度はよけなかった。おでこにぶつかり、パカン、という間抜けな音がダイニングに響いた。『なんでよけないの?そんなんで大丈夫なの』夕子は腹立たしげにそう言って、泣き笑いのような表情を浮かべた後、エプロンを乱暴に脱ぎ捨て、キッチンをでていった」
 
 何か奥さんの愛情の深さと、夫婦の絆の強さがうまく表現されている文章だと思います。

 軽やかな文体で一気に読ませますが、読後にじんわりと胸に響く作品です。  

『自転車ツーキニスト』(疋田 智)

2009-05-10 18:24:50 | 読書日記
 都会では、健康のため、環境のために自転車通勤している人が増えているらしい。

 田舎暮らしで、公共交通機関が発達していないため、自転車通勤をせざるをえない私。ちょっとでも通勤を楽しめるようにと1年程前にクロスバイクを購入しました。これがよかった。こぎ出した瞬間から今までのいわゆる通勤車とは違うことが実感できる。加速していくスピード。特に巡航速度に達してからの走りの爽快感はたまらない。

 問題はいつもいつもいい気候の時ばかりでないこと。特に雨の日は危険と隣合わせであり、ハラハラドキドキしながらの通勤となってしまう。この本の著者は雨の日はできる限り自転車には乗らないようにしているとのことだが、田舎暮らしで通勤の代替手段がない私は、雨にも負けず合羽を着て自転車通勤をしている。

 本作品は、自転車通勤のための様々なアドバイスが載っているというより、通勤に限らず、広く自転車に関するエッセイ的な作品である。
 これから自転車通勤を初めてみようとする人から、自転車を趣味とする人まで楽しめる作品となっている。

 自転車の楽しみ方はいろいろあるのでしょけど、通勤を楽しめるというのは素晴らしい。
 私のクロスバイクはそれほど高価なものではないけれど、その満足感が大きい。この値段でこれだけ楽しめれば、本当に安い買い物だとさえ思える。

 著者も、自転車を通して世の中を見ることで、日本の交通事情が車中心にできていることや、道路も自転車走行を考慮されていないなど、さまざまなことが見えてきたと言っている。私も自転車通勤する上で、いろいろ不便な点や不満な点がある。そういったことを行政に反映していければ、多くの人に”やさしい社会”ができるのかもしれません。
 

『小説 金融庁』(江上 剛)

2009-05-09 20:42:51 | 読書日記
 金融庁はよく分からない組織であった。
 危なげな銀行に監査に入ったという話もあれば、「金融庁から中小企業向けの融資を伸ばせと言われている」との金融機関の話も聞く。いったいどういった仕事をしている組織なのか?

 もとメガバンクで企画管理部門を経験している著者だけに、迫真にせまった内容の小説になっているのではないかとの期待を抱いて読みました。

 しかし、登場する主人公がちょっとカッコよすぎ???
 適正な引き当てをするために、経営陣に対し一社員が楯突くことが現実的か?
 とは言え、それぞれの正義感を信念を持って貫き通す気概には驚きます。

 この小説でちょっと気になるのが金融庁の仕事の仕方。引当金額の見解の相違がある銀行員をどなりつける金融庁の役人の言葉があると、何かゾッとします。
 行政が民間企業の経営にそこまで口出しするのか???民間企業側からすれば「大きなお世話」ではないか。
 しかし、金融庁の“指導”に文句も言わずに従うのは、金融機関側にもメリットがあるからか。今でも「護送船団方式」がまかり通っているのか?

 そもそもルールを決めるのは、誰から見てもルールに則っているかどうか分かるように判断基準が明確になっている必要があるのではないか。
 普通の民間企業なら決算数値を操作なんかできるはずがない。銀行の決算というのは、経営判断によって操作できるのか?
 そんなグレーゾーンなんかを作っているから”行政指導”がまかり通ってしまうのではないか。
 もっと民間企業の自己責任を重んじたらどうか?
 それとも金融機関、特に銀行は”公”の組織なのか。”公”の組織なら、もっと厳しく国民の目が届く仕組みづくりが必要なのではないか。

 
 
 

『40歳から伸びる人は、ここが違う』(川北義則)

2009-05-06 11:40:51 | 読書日記
 ノーベル化学賞を受賞した白川教授の言葉。
 失敗や偶然から大発見する「セレンディピティ」の元になる態度①好奇心を持つこと②観察し記録すること③当たり前を疑うこと④何でも学ぶ姿勢を持つこと

 伊藤忠商事の丹羽さんは、部下の扱いについて次のように言っている。
 「認める」「任せる」「褒める」の3段階だ。人間はこの3段階がなめれば動かない。

 リスク・マネジメントの手法をマスターすれば、オールラウンドプレーヤーとして引っ張りだこな存在になれる。

 ブログやメールの普及で、人の話を聞かない人が増えてきている。
 聞き上手になるのは簡単だ。人の話を熱心に聴きさえするよう努めるだけでいい。

 人生は、理屈抜きで愉しんだ人の勝ち。
 人生が愉しくなる3つの条件
①勉強好き
②素直
③プラス発想

 大人には、いやなことを笑い飛ばす技術が必要。

 今の世の中全体に余裕というものがなくなってきている。するとどうなるか。なんでも「決めつけすぎ」なのだ。

 明るくふるまうだかで人生得をする。

 著者の考えている人生のアドバイスを80ほどにまとめた作品です。
 特別、40代だけに通じるアドバイスではない。
 人生の折り返し時点にきているだけに、定年後の過ごし方を意識した人生設計の重要性などが多く載っています。
 

『最新農業の動向とカラクリがよ~くわかる本』(筑波君枝)

2009-05-06 09:01:57 | 読書日記
 農業のことを勉強したくててに取りました。
 「カラクリ」などとうたっていますが、特に農業の暗部をあぶり出そうとしている作品ではなく、現代農業の置かれている状況を幅広い面から解説してくれている作品です。農業を勉強する入門書としては良い本だと思います。

 一口に農業問題といっても様々ある。
 担い手農家問題や後継者問題、農協や農業法人など、農業を担う人の問題。
 農薬や有機農法などといった農業技術の問題。
 米の生産調整などの食料管理問題。
 WTO問題や輸入野菜などの海外との競争問題。
 BSEや鳥インフルエンザなどの畜産問題。
 企業の農業進出と新技術開発。

 農業の三つの特色
①耕作する土地の条件によって栽培できる作物が決まってしまうため、土地の持つ力以上の生産量は期待できないこと。
②気候、降水量、気温、日射量、土質などの自然条件に大きく影響されること。
③農業が食糧生産を行う、人の命を支える産業であること。

 農業を人類が始めたのは1万2000年前ぐらいからだとのこと。そこから工夫に工夫を重ね、今の農業が成り立っている。
 人々の食をまかなう重要な産業であることは間違いないが、いろいろな問題に直面している。
 国の農業政策が、どのような方向に向かおうとしているのか?
 食の問題と直結するだけに、農業が直面している問題をできるだけ広い人に知ってもらい、国民的議論の中で、今後の農業のあり方・政策を決め、盛り上げていく必要あるのでは。(一般論のコメントしかありませんが・・・)