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群馬の田舎から情報発信!

『ジウⅠⅡⅢ』(誉田哲也)

2009-02-28 11:35:02 | 読書日記
 文庫3巻までわたる作品だと知らずに、まずⅠを読みました。新手の陰湿な誘拐事件から始まり、警官を人質にとっての立てこもり事件。少しずつ誘拐犯の影が見えてきます。しかし、犯人のジウがほとんど登場せず、「え、これでお終い?」という感じでした。まだまだ序盤ということで、登場人物の紹介がメインで、それぞれのキャラクターの描写が少ないため、主人公が誰かもよく分かりませんでした。
ジウの正体も全く分からず、「早くⅡが読みたい!」

 ということで、早速Ⅱを読破。伊崎基子が不気味な変身を遂げ、怪しげな「ミヤジ」なる人物が登場。「結論はどうなるのか」とわくわくしながら読み続けると、いきなり終了。「Ⅲがあったのか~」とその時知りました。

 読み終えてみると書店にタイミング良くⅢが平積みに。
 Ⅲは総理大臣誘拐、歌舞伎町の閉鎖、銃の派手な撃ち合い。いきなり、スケールが大きくなりました。

 かなり長い作品ですが、一つの誘拐事件から、国家を転覆するようなスケールの大きなテロ事件につながり、なんとも展開が速く盛りだくさんな内容で、一気に読ませてくれます。
 それに、警察内部の事情まで絡んできて、警察小説の色合いも強い。
 しかし、女性警官が主役で今までの警察小説のとはちょっと違う。

 なんとも贅沢なエンターテイメント小説です。

『狐火の家』(貴志佑介)

2009-02-24 20:18:35 | 読書日記
 「硝子のハンマー」の続編。
 今回も弁護士純子と防犯探偵榎本が密室殺人トリックに臨みます。

 短編集だけあって、「硝子の~」に比べ、謎解きの過程の奥行が浅い気がしますが、いくつもの密室トリックを楽しめます。
 そして、弁護士純子の天然ボケ具合や、榎本の探偵らしさが際立ってきて、キャラクターとして完成度が増しています。

 ますます続編が読みたくなります。

『ぼくが最後のクレーマー クレーム攻防の方法』(関根眞一)

2009-02-24 20:10:51 | 読書日記
 「となりのクレーマー」の第2弾です。
 
 プロが身につけた対応7カ条
①非を認めて謝罪
②感情を抑えて素直に聞く
③正確にメモを取る
④あわてず冷静に考えてから説明
⑤現場を確認する
⑥迅速かつ正確に対応する
⑦対応は平等に

 今日では、いつ誰がクレーマーとなるか分からない時代。クレームは日々高度化するのに、その対応はなかなか進化していない。
 だからこそこのような作品が売れるのでしょう。

 クレームは千差万別。その時々で対応方法は違ってしかるべき。しかし、ある程度、準備がないと上手な対応はできない。心の準備とともに、必要な技術も常日頃訓練しておくことが大事なのかもしれません。

 奥の深い問題です。

『人生は「引き算」でうまくいく(人生戦略会議)

2009-02-24 20:01:14 | 読書日記
 どうやったらスッキリと生きられるのか?
 じつに簡単です。
 世間で求められている「悩む」「背負い込む」「抱え込む」といったことを、やめればいいのです。つまり知らないうちに集まってしまったモノや人を、あるいは、頭の中にこびりついてしまった価値観、プレッシャー、寄せ集めの知識を、すべてまとめて、潔く捨てるということです。

 答えのないことを考えたり、持たなくてもいい不安に悩んでいる場合ではありません。目に前には、楽しいことや美味しいものがあります。やらなきゃいけないことも、リストに並んでいます。みなさんには、なによりも大事にしなければならない生のあれこれがあるのです。

 「引き算」という言葉で表現していますが、要はシンプルに生きる生き方を、具体的例をひきながら説いています。

 できる限りシンプルに考え、シンプルにまっすぐに進む。しかし、これが難しいんだけどなあ。

 ちょっと気楽に物事を考え、一歩引いて、自分の目指す生き方をシンプルに突き進むこと。これをちょっと心がけるだけで、前向きな生き方ができる気がします。

『この世でいちばん大切な「カネ」の話』(西原理恵子)

2009-02-18 19:16:07 | 読書日記
 著者が、経験をもとに現時点で「カネ」の意義を見出した自伝的作品です。
 
 「貧乏」は札束ほどにリアルだった。
 「暴力」と「貧困」が居場所を失う。
 「カネ」を稼ぐことは「自由」になること。
 「カネ」ってつまりは「人間関係」だ。
 「お金には、そうやって家族を、嵐から守ってあげる力もあるんだよ。いざというときに、大切な誰かを安心な場所にいさせてあげたい。そう思うなら、働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。そうして強くなりなさい。それが、大人になるっていうことなんだと思う。」
 「生きていくなら、お金を稼ぎましょう。」
 「どんなときでも、働くこと、働き続けることが「希望」になる、っていうことを」
 「人が人であることをやめないために、人は働くんだよ。働くことが、生きることなんだよ。」

 お金の話が中心ですが、単にお金の大事さを述べるだけでなく、働くことの意義、さらには生きることの意味を説いています。

 漢字に振り仮名がふられ、中学生や高校生を意識して書かれた作品でしょうか?子どものころに「カネ」の話を学ぶことも必要でしょう。しかし、大人でも十分読み応えのある作品だと思います。

『雑談力』

2009-02-15 10:17:56 | 読書日記
 とりとめのない会話が、コミュニケーションを格段に高める。
 雑談も一つの技術です。

 「たかが雑談、されど雑談」人とコミュニケーションをとるのは難しいですねえ。その入口となる「雑談」がその後のコミュニケーションを円滑に進める一つの武器になるのでしょう。

 そういう私も、親しくない人と気楽に雑談することができず、思わずこの作品を手にとりました。

 誰とでも無理なく話せる人が羨ましくてしょうがありませんでしたが、雑談も周りの人に対する気配り・愛情でうまくできるようになるのかもしれません。

『無痛』(久坂部羊)

2009-02-15 10:02:59 | 読書日記
 神戸の住宅地での一家四人殺害事件。惨たらしい現場から犯人の人格障害の疑いは濃厚だった。凶器のハンマー、Sサイズの帽子、LLの靴跡他、遺留品は多かったが、警察は犯人像を絞れない。八カ月後、精神障害児童施設の十四歳の少女が自分が犯人だと告白した、が…。外見だけで症状が完璧にわかる驚異の医師・為頼が連続殺人鬼を追いつめる。

 医学部卒の医師という異色の肩書きを持つ著者だけに、医学的な記述にも説得力があります。
 それにしても、人間を外側から見て、医学的徴候の診断だけでその人の健康状態や病気の進行状態を読み取ることのできる、主人格の為頼英介というキャラクターはすごい!帯を見た時には何か宗教的な人かと思いましたが、実は医学的根拠に基づいて診断している。その観察力の凄さは、まさに医学会の”シャーロックホームズ”といったところか。本当にこんな医師がいるかわ分かりませんが、魅力的な人物です。

 この作品の一つの大きなテーマは『刑法第39条の「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」という規定』
 この条文には、被害者側・加害者側・警察側から見た様々な議論があるでしょうが、もう一つ、医学的見地からの議論も、もっとクローズアップされてもいいのではないでしょうか。現在の精神科医の診察で、どこまで加害者の精神分析を正確に判断できるのか?

 死者を解剖する手順が克明に記されてたりする一方、刑法39条の重たいテーマが盛り込まれ、盛りだくさんの内容を一気に読ませてくれるエンターテイメント小説になっています。

『人を動かす』(D・カーネギー)

2009-02-01 15:17:12 | 読書日記
 自己啓発本の古典的作品です。といっても初めて読みました。

1人を動かす3原則
 ①盗人にも5分の理を認める
 ②重要感を持たせる
 ③人の立場に身を置く
2人に好かれる6原則
 ①誠実な関心を寄せる
 ②笑顔を忘れない
 ③名前を覚える
 ④聞き手にまわる
 ⑤関心のありかを見抜く
 ⑥心からほめる
3人を説得する12原則
 ①議論を避ける
 ②誤りを指摘しない
 ③誤りを認める
 ④おだやかに話す
 ⑤“イエス”と答えられる問題を選ぶ
 ⑥しゃべらせる
 ⑦思いつかせる
 ⑧人の身になる
 ⑨同情を持つ
 ⑩美しい心情に呼びかける
 ⑪演出を考える
 ⑫対抗意識を刺激する
4人を変える9原則
 ①まずほめる
 ②遠まわしに注意を与える
 ③自分のあやまちを話す
 ④命令しない
 ⑤顔をつぶさない
 ⑥わずかなことでもほめる
 ⑦期待をかける
 ⑧激励する
 ⑨喜んで協力させる
5幸福な家庭を作る7原則
 ①口やかましくいわない
 ②長所を認める
 ③あら探しをしない
 ④ほめる
 ⑤ささやかな心づくしを怠らない
 ⑥礼儀を守る
 ⑦正しい性の知識を持つ

 どれも一つ一つを見れば、特別なことではない気がします。それぞれ、いろいろな自己啓発本などでも見られる原則かもしれません。しかし、分かりやすい具体例を引用しながら、温かみのある表現で語りかけるような文章で、すんなりと頭の中に入ってくる気がします。

 基本は”人”への愛情が必要ではないでしょうか。何かと世知辛い世の中になって、日々様々な人間どおしの摩擦があちこちで生じています。個々の人があと少しだけ他人に”愛情”を持って接することだできれば、各段に住みやすい世界になるのだと思うのですが・・・。