G's HOME日記

群馬の田舎から情報発信!

『行きずりの街』(志水辰夫)

2011-03-21 16:07:04 | 読書日記
 女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。

 導入部で、主人公はもっと年寄りだと思っていたが、途中で40歳だと判明し(冒頭で読み飛ばしたか?)、やっと後半のハードボイルドタッチにも納得できました。。前半の頼りなさから、後半のマッチョなハードボイルド振りは、とても老人ではない。
 
 高校教師の職を追われて、田舎で塾の講師をしている人間が、教え子を捜しに行くが、過去の事件と絡み合いながら、次から次へと話が展開していきます。

 確かに映像向き。既に映画化されているようだが、映画となれば、少しも気を抜く暇を与えず、ストーリーが展開していくことだろう。

 ちょっと気になる塾の教え子。12年前に分かれた妻との再会と再出発。例え他人から見れば小さなことでも、その男からすると大事な事、それにひたすらこだわるといった、ハードボイルドとはちょっと違う。今一つ主人公の一本筋の通った考え、あるいは正義感みたいなものがあれば、もっと感情移入できたかなあ~。

 とは言え、最初からグイグイとストーリーの世界に引き込み、一気に最後まで読ませてしまう、著者のプロット構成術は見事。

『小暮写真館』(宮部みゆき)

2011-03-14 18:45:35 | 読書日記
 主人公一家は、ある日、寂れた商店街の築33年の写真館に引っ越ししてくる。
 そこで、元の主小暮老人の幽霊が出るという噂から始まり、心霊写真の謎解きが始まる。

 決してホラー小説ではなく、登場人物達の複雑な気持ちが写真に現れていることを見つけ、今を生きる人たちの気持ちを安らかにしてくれる。

 宮部さんの独特のほのぼのとした世界が最初から最後まで展開されます。
 現代の寓話とも言うべきお話が主人公を中心に繰り広げられます。
 
 大部な作品ですが、場面場面で素敵なお話が散りばめられており、最後まで楽しく読ませていただきました。完成度が高いよなあ~。さすが宮部さんという作品です。
 

『信頼する力』(遠藤保仁)

2011-03-09 20:39:30 | 読書日記
 サッカー日本代表遠藤選手の作品です。

 南アフリカワールドカップでの日本代表の活躍の舞台裏を知りたくてこの作品を思わず手にとってしまいました。

 「選手間でも疑問に思うことは、ピッチであろうがロッカーだろうが、すぐに聞く。そうやってコミュニケーションを取って、監督が何を求めているかを理解し、自分がどういうプレーをすべきかを明確にする。そうすれば迷わずにプレーできる。」

 「日本の選手は、組織の一員であることを意識し過ぎて、自己主張は「ほどほどに」と思っている。でも、自分の考えていることを理解してもらい、自分も相手のことを理解しないと決してチームは強くならない。」

 「岡田監督を見ていると、良い監督、良くない監督の基準が、ハッキリと見えてくる。チームを強くし、勝つために研究を怠らない。」「「監督って、このくらいやらないとダメなんだ」って思ってた」「あれだけ真剣にサッカーと向き合う人もいない。そういう姿勢を見せてくれるだけで、選手もチームも変わる」

 日本代表の活躍の一つの要因は、岡田監督の指導力だったのかもしれない。監督として、チームが勝つために必要なことは何かを研究しつづけ、それを強い意志をもって実践する。

 そして、何よりも重要なのは、その意思を、コミュニケーションを密にとることで、チーム全体に浸透させたこと。

 リーダーとしての資質を持った人なのだと再度認識しました。

 そんな日本代表の中で、監督と選手とのコミュニケーションを間をとりもつ選手として遠藤選手がいたのでは。こういった選手がいなかったら、うまくチームが一丸となることもできなかったのだろうと思います。