Sightsong

自縄自縛日記

『山田實が見た戦後沖縄』

2015-03-21 06:56:40 | 沖縄

『山田實が見た戦後沖縄』(琉球新報社、2012年)を読む。

山田實さんは1918年10月生まれだというから現在96歳。那覇に生まれ、関東軍に召集されて満州で敗戦を迎え、2年間も極寒のシベリアに抑留。引き揚げ後沖縄に戻り、写真機店を開き、自身も多くの写真を残している。まさに戦後の沖縄を見続け、記録し続けた人であるといえる。

山田さんの写真には、飾らない人たちの日々の感情が写し出されている。漁を終えて海から上がってきたお爺さん、得意そうな子ども、遊びに夢中でカメラが眼に入らない子ども、カボチャを両手と頭で運ぶ女性、瀬長亀次郎。どれも良い写真ばかりだ。

沖縄における写真文化の受容と発展についても書かれていて、興味深い。木村伊兵衛、土門拳、濱谷浩、東松照明らが与えた影響。岡本太郎が無神経に風葬の写真を公開した顛末(わたしも岡本太郎のふるまいについての悪評を一度ならず聞いた)。怒れる青年・伊志嶺隆の写真が、本人の言動とは違って「静かな詩情」をたたえていたこと。米兵に、安いペトリカメラがたくさん売れたこと。

先日(2014年12月)、山田さんの写真群が東京都写真美術館に収蔵されるとの報道があった(>> リンク)。展示は未定だというが、写美が再オープンしたらすぐにでも観たいものだ。

●参照
平良孝七『沖縄カンカラ三線』
平敷兼七、東松照明+比嘉康雄、大友真志
『LP』の「写真家 平敷兼七 追悼」特集
比嘉豊光『赤いゴーヤー』
比嘉豊光『光るナナムイの神々』『骨の戦世』
伊志嶺隆『島の陰、光の海』
東松照明『光る風―沖縄』
豊里友行『沖縄1999-2010』、比嘉康雄、東松照明
豊里友行『沖縄1999-2010 改訂増版』
『LP』の豊里友行特集
仲里効『フォトネシア』
沖縄・プリズム1872-2008
「琉球絵画展」、「岡本太郎・東松照明 まなざしの向こう側」、「赤嶺正則 風景画小品展」
高良勉『魂振り』


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