五重塔が地震に強いのは事実だが、何故地震に強いのかは学術的にも異論が別れるところだという。以下の読売新聞の記事のように心柱が吸収するとか、超高層ビルのような柔構造(実際には超高層が五重塔を真似たと言われているが)をしているとの説もある。私が専門家に聞いた意見では、地震に対しては眼に見えるような動きはまず起こらないそうだ(つまり超高層ビルのように派手には揺れない)。組み物の摩擦は局所的に多数の部位がミクロなすべりを起こす現象で、それが木材の軋み音として聞こえている。大きな力を水平に掛けた実験を行なっても、組み物一段あたりでせいぜい1ミリ以下、それが10段かさなったとしても全体として数ミリ程度(薬師寺塔では全体の積み上げ高さが約150センチほどある)しか変形しないという実験結果があるそうだ。つまり現在の免震ゴムやピストンと全く異なっていて、小さな変形がありながら膨大な摩擦エネルギという形で、入ってきた破壊的な入力エネルギーを内部消費できるところが、伝統社寺建築の組み物の極めて優れた特徴と考えられている。
地震に強い五重塔の謎に迫る、有力説に疑問符も
大地震でも倒れた記録がない、法隆寺などにある五重塔の耐震性の謎に迫る実験が14日、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)で行われ、有力説の一つとされてきた「心柱(しんばしら)振動吸収説」に疑問符がつく結果が出た。
心柱は塔の中心を貫く太い柱。この心柱が耐震に不可欠かどうかを、実物の5分の1の高さ約7メートルの模型で実験した。心柱を外したり、心柱を接地させず1階のはりの上に建てたりして、震度5強の揺れを与えた。
すると、屋根の上の輪飾りが大きく揺れ、扉の一部が外れたが、振動を止めると塔はすぐに復元し、心柱の有無は耐震性に大きく影響しないことがわかった。
五重塔の耐震性については、五重構造自体の弾性が揺れを受け流す「柔構造説」など諸説あり、本当の理由は突き止められていない。同研究所では、実験を重ね、さらに耐震性の謎に迫っていくという。
(読売新聞) - 4月14日22時14分更新
地震に強い五重塔の謎に迫る、有力説に疑問符も
大地震でも倒れた記録がない、法隆寺などにある五重塔の耐震性の謎に迫る実験が14日、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)で行われ、有力説の一つとされてきた「心柱(しんばしら)振動吸収説」に疑問符がつく結果が出た。
心柱は塔の中心を貫く太い柱。この心柱が耐震に不可欠かどうかを、実物の5分の1の高さ約7メートルの模型で実験した。心柱を外したり、心柱を接地させず1階のはりの上に建てたりして、震度5強の揺れを与えた。
すると、屋根の上の輪飾りが大きく揺れ、扉の一部が外れたが、振動を止めると塔はすぐに復元し、心柱の有無は耐震性に大きく影響しないことがわかった。
五重塔の耐震性については、五重構造自体の弾性が揺れを受け流す「柔構造説」など諸説あり、本当の理由は突き止められていない。同研究所では、実験を重ね、さらに耐震性の謎に迫っていくという。
(読売新聞) - 4月14日22時14分更新
地震に強いのは木材の弾性によるものだとばかり思ってました。