つむじ風

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生贄

2016年07月24日 22時14分35秒 | Review

飯干晃一/祥伝社ノン・ポシェット

 1986年2月25日初版、1996年7月10日第38刷。著者の「生贄」は、「生贄」「生贄・Ⅱ」「生贄・完結編」「生贄・外伝」があり、その最初のものが本書である。すっかり忘れていたが、2013年4月27日に「生贄・完結編」を読んでおり、著者の名前を僅かに覚えている。ドキュメンタリー風の作品で警察調書に基づく犯罪実録のようなものである。「生贄」では9件の強姦事件を扱っている。以下、目次のタイトルよりそのサブタイトルのほうが判りやすい。

・検察官が色を失った供述の中身
・羊の面をつけた暴走族
・体が知っていた愛の記憶
・女を甘く見た男たちの結末
・凌辱は場所を選ばない
・なぜ、32人の女性を襲ったか
・愚かな強姦魔は現場で寝る
・“記憶なき時間”のあとの奇跡
・親が知らない息子たちの狂気

 「子孫を残す」という生物本来の基本的な行動とは違う。基本にあるのはやはり「社会の歪」か。あらゆる(社会的、経済的、能力的)欲求の不満が性的衝動に走る。社会的脱落者は自堕落で、怠慢で、グータラで、怠け者で、自ら脱落を選択した者である。それはどんな世の中にも居る「救われない人々」である。多くがひどく幼稚で事の良し悪しを考えない、弱いものをイジメる子供のイタズラのような行動、思考回路が短絡したような行動である。彼らは自分が犯してきたことを振り返って、愕然とすることは無いのだろうか。人の心の中に棲む「心の闇」はますます深く、暗黒の度合いを強くしているように見える。

 いくら法律が「厳罰に処す」といっても死刑になってもよいと開き直られれば、何の抑止にもならない。最近「ただ、人を刺してみたかった」そんな犯罪が徐々に増えているように思うのは気のせいだろうか。そして世界中で起きている自爆テロを見ているとその無差別さは、人間に恨みを持つ異星人の仕業としか思えないような事態である。



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