橡の木の下で

俳句と共に

「馬の小鈴」平成28年『橡』11月号より

2016-10-27 17:29:10 | 俳句とエッセイ

 馬の小鈴     亜紀子

 

たらちねの涙もろきに夏も過ぎ

のげしなり薊に似たる黄の花は

風の道芦原の秋進みゆく

蝲蛄の餌はするめなりすぐ掛かり

秋の野に駒のごとくに子ら放つ

秋光や名のみ伝はる渡しあり

うまおひの大き影あり夜の厨

大橡の全容見する黄葉かな

市民らの花壇の秋のたけなはに

西向いて夕日が好きなかりんの実

やや若き林檎の味の棗の実

残る蚊と眼中の蚊と飛び交へる

月を行く馬の小鈴か虫しぐれ

月の供花真夜の厨に穂をひらく

秋ついり鷺のうからの釣師かな

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