橡の木の下で

俳句と共に

草稿11/30

2022-11-30 17:21:13 | 一日一句
閲しをり蘇鉄の菰のできばえを  亜紀子

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草稿11/29

2022-11-29 16:45:19 | 一日一句
椅子濡れて雨の紅葉の色濃なる
雨なればもみぢ松葉と散るぞよき
目の前で止まる師走の消防車
亜紀子

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服部朋子句集『海びらき』

2022-11-28 11:01:59 | 句集紹介
『海びらき』
令和4年11月12日発行
著者 服部朋子
発行 揺籃社
私家版


著者略歴

昭和20年 福島県会津生まれ
平成2年  橡投句
平成27年 橡同人
俳人協会会員

問い合わせ

〒249−0004
神奈川県逗子市沼間5−13−1
Tel&Fax:046-873-2277


『海びらき』に寄せて 

 世の中には本当の善人がいるんだねえ。もう三十年以上昔のことになるが、橡同人の植松靖氏の葬儀から戻ってきた星眠のこの言葉を覚えている。父星眠は心底感激していた。
 服部朋子さんがその植松氏のご息女で、母上も同じく俳人だったたかさんであると知ったのはそれからずっと後のこと、私が父の代理をするようになってからだ。誌上での服部さんは存じ上げていたがお会いする機会もなかった。初めてお目にかかった服部さんは柔和な丸顔のお日様のような方。かっと照る真夏の太陽ではなく、旅人の外套を穏やかに脱がせてくれる春のお天道様。その後いただくようになった年賀状の家族写真にお子様、お孫さま全員よく似たお日様。毎年楽しみにしている。
 喜寿の記念にと自選されたこの集は俳句をやらない読者にも分かり易い句を基準にされた由。文章もご両親やお子様に触れたものを選ばれた。ご家族を第一の読者に想定されてのことと思う。
 しかしながらどんな読者にとっても本集が本格であることは明らかだ。句も文章も丁寧、緩みがなく、それでいて窮屈なところもない。句材も多彩である。こんな言い方はやや卑近に聞こえるかもしれないが、一つとして外れがないのだ。これも欠けたところのないお日様と言うべきか。
 百聞は一見にしかず。各章から作品をあげる。

白南風
恐竜展出て炎天の蟻となる
遠足や磯にクレヨン撒きしごと
飛魚の入日に触れて落ちにけり
差し入れの西瓜ごろごろ合宿所
帰り花ころびし耶蘇の墓小さし
背負籠の肩にくひこむ鹿尾菜取り
観潮船右に左に人動く

いわし雲
くぐもれる声ではじまる栗鼠の恋
着ぶくれの皆顔みしり始発バス
少年の胸まだ白くボート番
トロ箱に童女爪立ち若布干す
夏果ての波が消しゆく愛の文字

サーファー
息づかひのみの幼の初電話
膝つきてひたすら均す白子干し
師の墓所を訪へば師の声秋の声
冬至湯の幼にならふ数へ唄
飛ぶ鳥に聖句ふと出て五月の野
子への荷をまた詰め直す余花の雨
稲架解きて小さき湾の現はるる
もう少し少しと零余子採り止まず

亡夫
雪雲の沖に迫りて浜どんど
亡き夫の書斎そのまま古簾
親子して蜘蛛は小春の空を飛ぶ
醒めてすぐ独りに戻る春の夢
天水鉢峰雲入れてあふれけり
泣けばすぐ若き母ゐて春夕焼
浜に待つ妻も老いたり若布刈舟

読後にしみじみと幸福な気持ちが満ちてくる。

 服部さんは最愛のご主人を送られ一人暮らしとなられた。また病の後遺症もおありと伺っている。『海びらき』の成ったことを心よりお喜び申し上げる。

            令和四年 秋吉日
                          三浦亜紀子










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草稿11/28

2022-11-28 10:59:14 | 一日一句
店頭にかくも急かすか年用意  亜紀子

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草稿11/27

2022-11-27 18:09:12 | 一日一句
照らされてまやかしめける夜の紅葉  亜紀子

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