芽を開き紫陽花らしくなりにける 亜紀子
二月 亜紀子
木々の芽に夕日親しき二月かな
穏やかな空をことほぐ大試験
魚は氷に古家節ぶし鳴らしをる
赤心の河津桜のつぼみかな
ひと声を発止と鶇寒戻る
卓に挿す河津桜も満開に
鴉愛語春は名のみの風の中
黄の花は野辺のまばたきオキザリス
ぐるぐると眼鏡さがして長閑なる
大樟の手品春禽出し入れて
しとど雨蕗の爺さま総立ちに
忘れもの取りに戻りし鶇らし
上州の風強からむ雛の頃
桃の日や軒端すずめの声もよき
猪に流行病や野に斃れ