ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




両山堂印刷所。台東区池之端2-3。2007(平成19)年10月18日(4枚とも)

両山堂印刷所は不忍通りの池之端二丁目バス停の裏手にあるが、今は通りからも見える。食品容器などに貼られるラベルを印刷する会社のようだが、現在は事務所棟と思われる左写真の建物だけが残り、倉庫のような外観の工場と住居のような建物は「ザ・パークハウス上野池之端レジデンス」(2015年12月築、77戸、14階建)というマンションになってしまった。
看板の「レッテル」は次第に「ラベル」に置き換わって、今はほとんど死語である。それにつれて「レッテルを貼る」という常套句もあまり聞かなくなった。



ネットの情報によると、両山堂印刷所は1915(大正4)年の創業。写真の3棟の建物は1954(昭和29)年に建てられた。創業者が栃木県鹿沼市の出身で、両山とは男体山と筑波山ではないかという。
谷根千ウロウロ>光画館と両山堂印刷所(2006.06.20)』には、「両山堂印刷所本社は、ちょうどトロリーバス(都電)の「七軒町」停留所向かいに、あったそうです。現在は代替わりが進み、「光画館」という別会社となっていましたが、……銅板で覆われた建物は、昭和六十年代に現在のビルに建て替えるまであったそうです」とある。不忍通りの池之端二丁目交差点を東に入ると、すぐ右に都電の車両が置かれている「旧池之端七軒町都電停留所」があり、その向かいに「光画館」のビルがある。
1966(昭和41)年の住宅地図を見ると、池之端七軒町電停に向いて「両山堂印刷」があり、「ザ・ライオンズ上野の森」という高層マンションのところは「東京鉄道管理局/上野鉄道職員集会所」(後に「弥生会館/国鉄共済組合」)。池之端二丁目交差点に向いた「ビレッタ池之端」というマンションは地図では「上野弁天トルコ」。写真の建物にそれぞれ名称が入っていて2枚目の写真で、左から「KK両山堂」「KK両山堂印刷工場」「事務所」である。
その「事務所」は入母屋屋根のようなので構造は木造で、壁に大谷石を貼ったものだろうか。入り口のベランダを支える柱のデザインが異様である。角に柱を立てるのが普通だが、玄関を角に設けたため、その正面を開けたためだろう。ガウディを連想してしまう。

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