宇都木家具店、大津商店。文京区本郷4-7。1988(昭和63)年10月16日
前の道路は春日通りで、写真左にすぐ真砂坂上交差点。都電16系・大塚駅前―錦糸町駅が走っていた頃は真砂坂上電停があった辺り。昭和35年頃の地図では「真砂町」の停留所名になっている。2軒の古い家は今も残っている。
宇都木家具店の看板には「継木細工和洋家具一式製造販売」とある。
銅板張りの店は大津義男商店で、消えかかった建物上部の文字は、右から「醫療器機」、庇の上は、右から「大津醫療器機店」だろうか。8枚ある硝子の引き戸の枠だが、もしかして壁に合わせて銅張り? ネット検索で店名は出てくるので商売は今も続いているのだろう。写真右のビルとの隙間にレンガの塀が覗いている。
諸井邸。文京区本郷4-9。1988(昭和63)年2月21日
真砂中央図書館の向かい。写真右奥へ行くと炭団坂である。
現在もこのままで残っているのがすごい。明治末の建築である。武家屋敷のような感じで、門の脇に長屋が附属している。そこで書生でも寝起きしていたのかもしれない。
1991(平成3)年に諸井邸の南隣に文京ふるさと歴史館が開館した。諸井亭のほうを歴史館かと思う人もいそうだ。
2017.07.12追記
『東京都の近代和風建築』(東京都教育庁編集、2009年)に「諸井家住宅」について説明されているので紹介する。「構造=木造2階建、寄棟造、瓦葺。建築年=明治39年(1906)。設計者=不詳。施工者=木口熊吉」で、建て主の諸井恒平は明治38年3月に土地を取得、明治39年3月15日に上棟式、同年年末には家族が移転してきたということだ。
内部は「2階応接室のみが洋間で、他は和風。応接室も付柱や長押、格天井がつき、和洋折衷。玄関は6畳大の土間で、上がると6畳の寄付があり、その右手が一間幅の畳廊下。奥に進むと2階への階段がある。畳廊下の北には並行した板廊下があり、そこから北側には内々の部屋が配されていた。2階は15畳と10畳の続きの客座敷。奥の数寄屋造りの部屋は増改築による。部屋や階段室など所々にガス灯の灯具が残る」とある。
建築当初の姿をよく残していて、工事仕様書などの資料や文書が残されていて貴重なものという。
| Trackback ( 0 )
|
|