蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

ビッグバン  (bon)

2024-03-22 | 日々雑感、散策、旅行

 最近届いた会報の連載記事「宇宙の言の葉を尋ねて」(渡部潤一氏、国立天文台
上席教授)は、
今回第8回で、そのテーマは『ビッグバン~我々の宇宙の創成~』で
した。これまでには『すばる』や『アンドロメダ』等のテーマについて分かり易い
解説があり、その都度会報記事およびネット検索などをして拙ブログにも取り上げて
きました。
 で、今回はこの「ビッグバン」について、取り上げようと思っているのですが、
このビッグバンは何度聞いても、しっくりとストンと理解できないでいる事柄なん
ですね。それも当然のことで、アインシュタインの一般相対性理論やその他の難しい
理論によって展開されているのですから、私ごときには理解の及ばない世界ではあ
ります。

 しかし、この会報記事やその他のネット記事には、それらの難しい理論を気にしな
いように解説されていましたので何とかフォローしながら、この果てしない宇宙の
成り立ちにチャレンジしてみました。

 我々が住む、この宇宙はいったいどのように出来たのか、そしてどのようになって
行くのかなどに思いを巡らすのは、日常の暗いやりきれないニュースの中にあって
何ともロマンあふれる思考展開であると思われます。

        ビッグバン イメージ
        (ネット画像より)

 この宇宙、20世紀の初頭ころまでは、宇宙は始まりも終りもなく、平衡を保った、
いわば静かな宇宙という概念に基づいた「定常宇宙論」であったそうです。それが、
1922年ころから、ソ連のフリードマンやベルギーのルメートルにより、「宇宙は原始的
原子による爆発から始まり、膨張を続けている」とのモデルが提唱され、さらには
1929年にハッブルは銀河が地球に対してあらゆる方向に遠ざかっており、その速度は
地球から各銀河までの距離に比例していることを発見したことから、「膨張宇宙論
が有力となるのです。
 しかしこのことは大変大きな衝撃的なことで、なかなか世間には受け入れられな
かったそうです。丁度、15世紀頃の天動説からコペルニクス、さらにはガリレオに
よる地動説に転換するのに似ているようです。

 膨張宇宙論は、この宇宙は現在もどんどんと膨張しており、それぞれの銀河は
我々から遠ざかっているというのです。そしてそのスピードは、遠い銀河ほどその
距離に比例した速いスピードで遠ざかっていることが分かっているのです。拙ブログ
「アンドロメダ」の記事で紹介しました天文学者ハッブルが観測したデータに基づい
て、ベルギーの天文学者ルメートルが最初にこの「膨張宇宙論」を提唱したのです。

    宇宙の膨張モデル
      
     ビッグバン理論では、宇宙は極端な高温高密度の状態で生まれた、とし(下)、
     その後に空間自体が時間の経過とともに膨張し、銀河はそれに乗って互いに離れ
     ていった、としている(中、上)
。  (ウイキペディアより)

 

 この膨張論は、1940年代までにウクライナ生まれのジョージ・ガモフらによって
詳細に論じられましたが、一方では、イギリスのホイルはなお、定常宇宙論を唱え、
むしろ多くの学者の支持を得ていたとあります。
 地動説の頃と同じく、なかなか新しい膨張宇宙論に反対する学者は多く、ようやく
この論争は、1951年にローマカトリックにおける会議で膨張論に決着するのです。 
 その後も種々の観測データによって宇宙膨張論は検証されそれまでの定常宇宙論は
次第に影を潜めることとなったのだそうです。

 膨張しているということは、逆に時間をどんどん巻き戻して行けば、宇宙はどん
どん小さくなりいずれは体積がゼロになる瞬間が存在することを示しているわけで、
その時点が宇宙の始まりとなるのですね。つまり宇宙には始まりがあるのです。
 今から138.2億年前のことなのですね。世界のすべては、この無限小の空間?から
始まったということになり、とすれば、この小さな空間に押し込められていたとてつ
もなく大きいエネルギーが一瞬に爆発し急速(10⁻³⁴秒=1兆分の1秒のさらに1兆分の1秒の
1億分の1秒
)に膨張(インフレーション)し冷えて行くのです。冷えるといっても
まだまだ高温で、この爆発から約38万年ほどの間は、高温ゆえに素粒子の密度が高く、
光が電子に衝突して、あたり全体が暗い霧のような状態であったとされているのです。
そしてこの期間が過ぎると宇宙の温度は約3000度くらいまで下がって、電子は陽子と
結合して水素原子となり光の直進が邪魔されなくなり明るくなって、いわゆる「宇宙
の晴れ上がり」と呼ばれる時期に入るのです。
 この時に放射されている電磁波は、現在観測され「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」
と呼ばれていて、この電磁波の発見がビッグバン宇宙論が受け入れられる決定打と
なったとあります。

  ビッグバンモデル図 
  (山賀進氏より)

 

 これまでを要約しますと、今から約138.2億年前に、無限に小さい空間が爆発し、
とてつもなく短い時間に急激な膨張(インフレーション)を起こし、その後「晴れ
上がり」を経て膨張を続けている‥これが「ビッグバン」と呼ばれる宇宙論なんで
すね。

 ビッグバンとは、ビッグなバン(big bang)、つまり「大きなバン(音)」の意味
となりますが、ビッグバンの命名者となったのは、むしろ膨張宇宙論に反対の立場に
いたイギリス人ホイルが、この膨張論を揶揄的に「ビッグバン」と呼んだことによる
とありました。
 今では、宇宙だけでなく、何か新しいことを始める/始まるようなときにビッグバン
と呼んだり一般的に使われていますね。

             

 われわれ人間の尺度である生命の時間や行動の空間からこのような宇宙論は、
不思議の何物でもないとの感じがしますが、逆に見ればそのような巨大ではる
かな宇宙の中に生きていることもまた大変不思議なことに思えてくるのです。

 お疲れさまでした。

 

 

 

【何かおかしい】宇宙の始まりの出来事「ビッグバン」に矛盾が発見される

 

 

 

 


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2 コメント

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ビッグバン宇宙論に問題発生 (ウォーク更家)
2024-03-24 22:12:23
ビデオ解説、とても分かり易かったです。
ありがとうございました。

途中、ビッグバン宇宙論が否定されるのではないか、とひやひやしましたが、新たな疑問点として重要な問題が発生したことは理解できました。

最近は、ネイチャーのビッグバン特集号などを読んでいます。
子供の頃から、どうして宇宙が出来たのか、いつも関心をもっていたので、中学時代には、図書館のガモフ全集を読破しました。
最近は、ニュートン別冊のビッグバン特集などを読んでいます。
コメントありがとうございます。 (bon)
2024-03-25 16:18:19
ウオーク更家さん、youtubeビデオ、ご心配をおかけしました。
タイトルを見てびっくりし、躊躇しましたが、内容的にビッグバンを
うまく解説されていましたし、中立的な立場で書かれていましたので
採用しました。 
ガモフ全集を読破されたり、ネイチャーのビッグバン特集なども
読まれているとか・・恐れ入ります。
小生などの駆け出し記事を、お読みいただき恐縮です。
日頃、奥多摩の連載を拝見して懐かしく読ませていただいています。
ありがとうございます。

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