蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

フランス大統領  (bon)

2017-05-10 | 科学・生物

 この度、フランスでは今年5月16日に任期満了するフランソワ・オランド大統領の後継
大統領を選ぶ選挙がありました。 5月7日の決選投票では、エマニュエル・マクロン氏が
66.1%の得票で マリーヌ・ルペン氏(33.9%)に勝利しました。

        マクロン氏勝利宣言
         (ニューズウイーク日本版より)

 

 もとより、ここで、国際政治について口を挟むなどもってのほかで、その知識もない
全くの報道レベルからの感想でしかありませんが、敢えて記述してみました。  曲解し
たり、重要な部分の見落としなどあるかもしれませんが、やはり、大きな変曲点だと思い
ましたので・・。


 昨年のイギリスの EU離脱に続いて、アメリカでは、ドナルド・トランプが大統領となる
など、世界の潮流がポピュリズムの流れにあって、極右政党・国民戦線のルペン氏が掲げる
“EU離脱・自国第1主義”が大きな波紋を広げる中、フランス国内はもとより 世界中の関心
と“まさかの勝利”(ルペン氏)に対する不安が高まっていました。

 4/23の第1回目の投票では、トップ、マクロン氏が24.01%、2位ルペン氏21.30%、3位
20.01%・・と拮抗し、11人も候補者が乱立した大統領選挙は、2大政党をしり目に上位2人の
決選となったのです。マクロンの1位と、2位ルペンとの差が2%強とわずかであり、“まさか”
の懸念はさらに継続する形になっていたと想像されます。
 マクロン氏は、36歳の若さでオランド政権下で経済相・デジタル相に抜擢された フランス
エリートながら、1年前に政治運動体「前進」を結成したアウトサイダーで、政治経験はなく、
立候補当初は、人々の間にもそれほど大きい信頼を勝ち得ていなかったと思えるからです。

         候補者(主要)
                https://my-knowledge.net/より

 

 「欧州ポピュリズム政党の台頭」(水島治郎氏、千葉大学法政経学部教授)によれば、
欧州の多くの国において、ポピュリズム的な主張・スタイルで特徴づけられる政党が、有力
な政治勢力として既成政党を脅かす動きは、すでに世紀の転換あたりで顕著になり、ライフ
スタイルの変化、個々人の志向の多様化とともに、都市部の中間層をはじめとして、旧来型
の団体とはかかわりを持たず、特定の政党を支持しない無党派層が増加の一途をたどってき
た。
 そして、既成政党を既得権益にまみれた特権階級と批判し、反エスタブリッシュメント
を訴えるポピュリズム政党の主張が説得力を持つようになってきた。そして、この代表格は、
フランスといえる。 国民戦線は、極右色・反民主主義を徐々に弱め今や3大政党の一角に
食い込んでいる。とあり、これらの大きな流れの中にあって今回の選挙を迎えて、フランス
の有権者はこもごも悩みの渦の中にいたことと想像されます。 


 果たして5月7日、フタを開けてみれば、66.1% 対 33.9% で 1000万票以上の大差を開けた
圧倒的なマクロン勝利となり、ほっとしたところでしょう。  しかし、投票率が74.56%と
低く、さらに、白票などの無効票が11.47%(400万人以上)と異常に高いことから、積極的
なマクロン支持というより、ルペンよりはまし、との見方が多かったのではないかと分析さ
れています。 また、国民戦線が 33.9%もの票を得たことも見逃せず、国内は大きく分断
された格好を呈しているのです。 労働者や低所得層の経済的な不満や、移民政策に対する
反発がそれだけ大きいということの表れと思われます。

          決選投票結果
                                                    (ウイキペディアより、一部加工)

 

 しかし、ともあれ、親EU派大統領が選ばれたことで、EU分裂危機は回避され、フランスは
もとより、世界中がホット一息ついたのでしょう。 ユーロ高(対円)とともに、EUにおけ
る日本企業の安泰から、日経平均株価は前日比450円の高値引け、取引中には2万円の
大台をうかがう局面もあったとか。  もし仮に、反対の結果となっていれば、イギリスに
続いてフランスもEU離脱となり、EUを支持する大国が離脱することになれば、EUの構成は維
持できず崩壊することは明らかであり、欧州だけでなく、世界秩序と経済の大混乱が予想さ
れたからです。そして、世界的混乱の中、欧米が保護主義路線を進むとすれば、中・ロ
その行方を注視するばかりでなく、その介入の方向性がともすれば、これら2国の色彩に
塗り替えられ、民主主義の崩壊はもとより 前近代的な社会へと逆戻りする危険さえ予想され
るでしょう。


 とりあえずの危機は、回避されたわけですけれど、マクロン新大統領は、自らの前進党は、
これからその基盤を固めなければならず、来る6月の国民議会(下院議員)選挙で、議員獲得
に成功して 過半数以上の強固な基盤を構築できるかどうか、そして、自政党から首相指名で
きるかどうか、政策推進には予断を許さない前途多難な道筋が残されているのです。

 39歳のマクロン氏は、高校の恩師先生であった25歳年上で2児の母である夫人と結婚
した情熱家でもあり、ピアノ、英語が堪能なユニークなエリートが作る未来と希望にかけた
フランスを温かい気持ちで注目して行きたいと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 


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