金木犀、薔薇、白木蓮

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68:辻村深月『この夏の星を見る』

2024-04-04 18:48:18 | 24 本の感想
辻村深月『この夏の星を見る』
★★★★☆
 
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この物語は、あなたの宝物になる。

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。
顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。
コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、
望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も
今年は開催できないだろうと悩んでいた。
 
真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。
27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、
「長引け、コロナ」と日々念じている。
 
円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。
高校三年生で、吹奏楽部。
旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、
やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。

コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で
大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。
しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。
リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。
スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。
 
****************************************
 
最近出たコロナ禍の物語、作者は辻村深月。
ということで、模試や入試等、あちこちで使われていた作品。
 
まあとにかく分厚くて、読むのに一週間かかってしまった。
しかし、作者のネームバリューというか、
「時間を費やしても、無駄にはならないだろう」
という信頼があり、読了。
 
3つのパートが交差する第3章から、ぐぐっと引き込まれる。
オンラインで一堂に会したとき、遠い場所に住む彼らが繋がりあい、
理解者を得る流れに胸が熱くなる。
 
小説の中に新型コロナが出てくると、
なんだか息苦しくて嫌だなあと思っていたし、
それを出す意味というのが感じられない作品が多かった。
でも、これはちょっと違って、
「今を描く」「今を切り取る」ことの価値を初めて感じられた。
Zoomのシステムに戸惑う気持ちなんかも忘れていたな~。
やっぱり喉元を過ぎると印象が薄れていく。
 
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