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(自称)ハンバーガー発祥の店 ルイーズ・ランチ@ニューヘイブン 後半

2016-08-05 | アメリカ

さて、ホームページを見てもその歴史と秘伝のスパイスとレシピ、
味とやり方に誇りを持ちまくっていることが痛いほどわかる、
ニューヘイブンのオリジナルサンドイッチハンバーガー屋、ルイーズ・ランチ。

30分経ってドアが開き、皆は店内に吸い込まれていきました。

しかし、それは先頭からわずか10人ほど。
それもそのはず、店に入って最初にカウンターでオーダーしなくてはいけないからです。





てっきりレストランでテーブルに着いてオーダーをするものだと思っていたら、
まさに「ファストフード方式」で、カウンターで注文したバーガーを、
中のほんのすこしのテーブルと椅子で食べるか、テイクアウトするか。

お支払いは現金のみ、お皿は紙皿。
スタッフの着ているTシャツの背中にはケチャップにバツじるしが(笑)

ケチャップがなくては生きていけないアメリカ人に、ケチャップなしのハンバーガだと?



この店が有名になったのは「ハンバーガー発祥の店」と自称しているからです。
昔々、1900年のこと。
ルイーズ・ラッセンというオーナーがその5年前にオープンし、
切り盛りしていた小さなこのレストランに一人の紳士が駆け込んできて、

「兄さん悪いけどな、わて今ごっつう急いでまんねん。
せやからすぐにささっとできてぱぱっと食べられるもんだしてんか」

みたいなことをいって急かすので、店主は、ステーキをパンに挟んで供し、それが
アメリカで最初に「ハンバーガーサンドイッチ」の生まれた瞬間となりました。



お店の歴史を表す、あちこちにガンガン刻まれた客の名前。
落書きどころか皆掘り込んでるわけですが、これも勲章。

実はこの店のあったところは元々はここではなく、1970年に、
高層ビルの建築計画が起こり、立ち退きと解体を余儀なくされました。
しかし、世界中の熱心なファンの働きかけで建物を保存することが決まり、
ルイーズ・ランチのこの小さなレンガの家は、30分離れたところに
引っ越すことになり、現在に至ります。


予想ですが、そのような形でこの建物が保存されることになったのも、
その熱心なファンの中には、かつてはイエールに学び、
今では社会的に力を持つようになったという人がいたからではないでしょうか。

現在の店主ジェフ・ラッセンはルイーズの曾孫だということです。



イートインスペースはほんのわずかですが、それと同じくらいの
従業員の控え室が隣にあります。
ルイーズがやっていたころは、ここにも客用テーブルがあったと思いますが、
今はカウンターが中心なので、ここで悠々と従業員がお昼を食べたりしています。

貼紙によると、ATMもあるそうですが、とてもそう見えません。



店の中に入れる人は並んでる中のごく一部。
しかし、メニューはシンプルなので(チーズ入りかなしかだけ)
列は案外早く進んでいきます。



客が注文したものを食べるのはこの四角いテーブルの周りか・・、



わたしたちが座った壁際の椅子。
椅子にもテーブルにもいたるところ落書き?が。



そして、カウンターが販売カウンターの横にあるのみです。
たちまち店内の椅子は全てふさがりました。



中国でこれを上下逆さまにして「倒福」でタオフー、
「多福」と同じ発音なのでそうすると聞いたことがありますが、
もちろんアメリカ人はそんなことしません。

それより掛けてある二丁の銃は果たして本物かしら。



さすがにお手洗いはあります。
なにが「261」かと思ってしまうわけですが。



なんとトイレの鏡にも客は文字を彫り込んでいるのだった。



意外と時間がかかるのでカウンターを覗いてみました。
この狭いスペースで三人が同時に作業しています。



こちらからはどんな風に焼いているのか全くわかりません><



待っている間に先に出てきたデザート。
三人で一つ頼んだブルーベリーパイは、パイ生地が粉っぽく、
ブルーベリーはひたすら甘かったです。



業を煮やして?キッチンの前に回ってみました。
うおおお、なんかみたことない不思議なコンロが3台稼働している!



これはルイーズランチオリジナルのグリル。

手前の魚焼き網みたいなのにパテが挟まれ、それをどうやら
縦に押し込んで焼き上げるようですね。
時間がかかっているのは、注文を聞いて焼くからです。



焼き上げる前のパテが並んでいます。
肉だけでも数種類、調味料も、全てのレシピは門外不出の秘伝なんだそうです。



ハンバーガーというからあの丸い「バンズ」を想像していましたが、
思いっきり大きなパテをサンドイッチパンで挟むものでした。



なんてこった。
” Annual inventory of spoons” が何の意味かわからないのですが、
とにかく109周年のイベントのために8月は休業すると。
ますます殿様商売ですが、これで十分やっていけるということなのでしょう。



やっと来た息子のチーズサンドイッチ的バーガー。
ミディアムレアというよりもうこれは「レア」という感じですが、
ここは焼き加減など一切客の好みを聞いてはくれません。


「うちが出すのはこれ、嫌なら食うな」

というきっぱりした態度で、頑なにこの焼き加減を守っています。



どれ、それではそのありがたいバーガー的サンドイッチを賞味。
パンはあくまでも「肉を挟んで食べるための道具」という感じで、
主役はやはり肉、これでもかとその存在を主張していましたが、
だからといってこれをパン無しで食べることは考えられない、みたいな。

ハンバーガー文化で育っていないわたしたちには、正直なところ
これがそれほど美味しいバーガーだと言明することはできませんでしたが、
何年かしてここを訪れた時、ふとまたあれを並んで食べてもいいかもしれない、
と懐かしさ半分で思いつくにちがいないと思わせる”何か”がありました。



ここは”バーガーキング”ではありません

ここではあなたの食べたいように食べることはできません

我々の食べてもらいたいものを食べていただきます

それが嫌なら食べなくてよろしい


うーん、なんたる王様、じゃなくて殿様商売。
ある意味自分こそが「バーガー王」だと言い切ってるわけね。 




食べ終わって外に出ると、不思議なことにあれだけ並んでいた人々が
ほとんど捌けて、あと3人だけという状態になっていました。

いつの間に・・・。

お店の前につながれていた犬は、肉の焼けるいい匂いに落ち着かない様子。
飼い主が満足して出てくるのはまだまだ先に違いありません。

 





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3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
取り急ぎお返事 (エリス中尉)
2016-08-05 23:57:40
いえ、それはおそらく(おそらくってなんだw)別の方々です。
現在まだわたしたちはカリフォルニアにおります。
わたしたちだと思われたその方々がどんなだったのかちょっと気になりました。
た、食べたい (佐久間)
2016-08-06 03:07:38
エリス中尉の写真を拝見すると、香りまで漂っているようで、ヨダレまででそうです。ケチャップ禁止は予想どおりでしたが、焼き加減も、器具も、当時と同じジューシーさでした。死ぬまでに、もう一度食べたいです。後は、ワンワン物語に出てきたイタリア人街のピザですかね。ノロ・ウイルスなどお構いなしに、生のクラムを、スチームド・ロブスターと、プライムリブとともに、腹一杯食べたいです。
変わってないんですね。 (エリス中尉)
2016-08-09 00:17:04
佐久間さんがここに毎日のように通われていたのがなん年前かと。
おそらく、10年後に行っても全く同じものを売っているのでしょう。
世界のどこに行ってもそこに帰っていくと昔と変わらないものが食べられる。
こんなやり方を貫いているからこそ、このお店は人気があるのだろうと思います。

日本では老舗と言われる店が世界で一番たくさんあるのだそうですが、
アメリカのような歴史の浅い国は、いや浅いからこそこういう店には
多くのファンがつくのではないでしょうか。
広いアメリカ、どこに行っても同じブランドの店ばかりです。
ボストンでは市街に古いクラムチャウダーの店などが残ってはいますが、
建物の保存はともかく、「老舗」が残りにくいのには、
日本のように「途絶えさせないように家業を継ぐ」という意識が
あまりないからではとわたしは思っています。
このお店は、創業者の子孫が継いできたので今日の姿があるのですが、
これもどちらかというとアメリカにはあまりないことではという気もします。
印象ばかりで語ってしまいますが。


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