
遠洋練習航海帰国行事、航海実習を受けてきた新幹部が帽振れで見送られ、
これで一応終了したことになるのですが、「かしま」ではまだ行事は終わっていません。
真鍋司令、「かしま」艦長とともに新幹部を見送っていた「はるさめ」艦長が「かしま」を降ります。
続いて「かしま」から一団の幹部、海曹、海士が二人に敬礼をして降りてきました。
どうやら「かしま」に乗り組んだうち、練習航海が終わって下艦する乗員のようです。
実習幹部と同じように、ラッタルの上部で艦尾の自衛艦旗に向かって敬礼。
そして降りていきます。
彼らにとっても半年近くの航海を行ってきた艦を去るのは感慨ひとしおでしょう。
岸壁に整列し、「かしま」に別れを告げます。
岸壁に整列した乗員と真鍋司令ら「かしま」乗員との間に帽振れの儀式が行われました。
「帽〜振れ!」
練習艦隊司令官として最後の帽振れを行う真鍋海将補。
艦橋ウィングの航海科の乗員も帽振れ。
帽振れが終わった後、岸壁の乗員たちは「かしま」とその乗員たちに向かって
一斉に礼をしました。(冒頭写真)
帽振れが終わってもずっとお手製の(ですよね)自衛艦旗を降っていた乗員。
おそらく「はるさめ」にも挨拶をするために行進していきます。
一人民間人の女性が加わっているようですが、どういった方でしょうか。
この乗員は、彼らの背中に向かってずっと旗を振っていました。
これを以って行事は全て終了です。
先ほど帽振れで退艦した幹部と乗員たち、又しても乗艦してます。
今度は正真正銘最後、自分の荷物を下ろすためでしょう。
わたしがここまで一連の行事を見ているうちに、車でやってきた関係者、
式典出席者は全員とっとと帰ってしまったらしく、岸壁の端っこには
わたしの車がポツンと一台だけ残っていました。
そしてわたしの車が残っているせいでこの写真の自衛官は
その場を去るわけにいかず、ずっとここで待っていたようです。
わたし一人のためにお待たせしてその節は申し訳ありませんでした。
さて、この後、横須賀でお昼ご飯を食べるときはいつもここ、
と決めている(というか他に知らない)メルキュールホテルのレストランで、
お高いところから横須賀地方総監部を眺めつつランチをいただくことにしました。
横須賀軍港が一望できるこのレストラン、去年の大晦日に来て以来のお気に入りです。
バッフェはサラダと前菜、その都度作ってもらえるパスタにメインディッシュは
肉か魚を選べるという方式。
バッフェなのにちゃんとしたお皿でメインがいただけるのが嬉しい。
さて、このレストラン、窓際にあるカウンターに座れば、目の前がこんな景色。
さっきまでいた横須賀地方総監部の岸壁が一望できます。
港に出入りする自衛隊の艦船や民間船を見ていると、時間の経つのも忘れてしまいます。
わたしはこの日、望遠レンズを持ってこなかったことを後悔しました。
「かしま」の前には式典が行われたテントなどがまだありますが、
先ほどとはうって変わって人影もまばらです。
拡大して見てみると、「かしま」乗員と「はるさめ」乗員以外は解散になったらしく、
「かしま」から手荷物を降ろし、それぞれの帰途についている様子です。
直接次の赴任地に向かう者、家族と一緒に実家に向かう実習幹部もいるでしょうか。
よくみると乗員とその家族たち、岸壁から追い出されている感じでもあります。
このレストランからは潜水艦基地もよく見えます。
いつもの岸壁に「しお」型二隻。
横須賀の潜水艦基地には第二潜水隊群が配備されており、
その隷下に第二潜水隊と第四潜水隊がいます。
「しお」型は
「おやしお」「うずしお」「たかしお」
「やえしお」「せとしお」
が今年現在配備されているということですのでそのどれかです。
もちろん浮かんでいる潜水艦を見ても艦名まではわかりません。
ちなみに、この左側に12月31日繋留することになった潜水艦は、
自動的にセイルに電飾を施して、年越しと同時に新しい年号に付け替えねばならず、
これがなかなか大変なのだと元潜水艦の自衛官から聞いたことがあります。
艦上のところどころに見えるグリーンのものはカバーで、
これはハッチ(の厚み)を隠しているんでしたっけ?
一番手前の「いかづち」の向こうにいる護衛艦の名前を拡大したところ、
どうやら「あたご」らしいことが判明しました。
舞鶴から遊びに(遊びじゃないか)来ているようです。
護衛艦群はどれも満艦飾を施しています。
見ているとヘリがやって来ました。
ヘリポートに着陸しようとしています。
もうすでに岸壁には人の姿は全くなく、荷物を運ぶコンテナトラックが二台。
ヘリを待っている人影をみるとどうも海幕長とその随伴のようですね。
海幕長、これから市ヶ谷にお帰りになるのかもしれません。
ここからヘリで市ヶ谷だと10分もかからない感じでしょうか。
横須賀軍港めぐりの船が定期的に行きすぎます。
今日の案内アナウンスは練習艦隊の帰国のことを話題にしたのでしょう。
向こうの潜水艦岸壁にタグボートが到着しました。
しばらく見ていると、沖に停泊していた「しお」型潜水艦が帰還して来ました。
艦上には乗員が立ち、タグボートを二隻従えています。
こんな近くで潜水艦の往来をみることができた軍港めぐりの船はラッキーかもしれません。
見ていると、潜水艦は岸壁に直接行かないで、ずずーっと「かしま」に近づいて行きます。
そして「かしま」に平行になるように向きを変え、しかるのち接岸に入りました。
「かしま」に敬意を評して挨拶をしたのかと思ったのですが、どうでしょうか。
潜水艦が帰還して来て着岸するとき、乗員は外に立つことになっているんでしょうか。
「おやしお」型の乗員は全部で70人だそうなので、甲板に出ているのは
そのうち半分もいないわけですが・・・・・。
タグボート二隻で艦体を岸壁の潜水艦と平行に持っていってくっつけるようです。
いつの間にか岸壁の潜水艦の上にも人が出て防舷物を設置し、
もやいもいつのまにか繋がっています。
あー!つまり外に立つのは着岸作業のためだったのね。
それにしてもこの距離でいつのまにもやいの受け渡しをしたんだろう・・。
肉眼では何をしているか全くわからないので見逃してしまいました。
潜水艦のより一回り大きなタグボートが出動したかと思うと、
次に出航するのは「はるさめ」でした。
色々あってサビを艦尾につけたまま帰国行事に出ることになった
「はるさめ」ですが、横須賀に錨を降ろしたのも束の間、
早々に出航していきます。
タグボートは時計回りに「はるさめ」の艦体を押して回しています。
「かしま」はまだこの時には出航する様子はありませんでしたが、
母港は呉、練習艦隊の司令部も呉に置かれていますから、
練習艦隊司令官はこの後「かしま」で呉に帰ったのでしょうか。
「はるさめ」艦首が湾口を向き、自力で航行が可能な状態になりました。
こんな遠くからでもサビがよく見えていますね。
「はるさめ」乗員が登舷礼のために舷側に立っているのが見えます。
どうして「はるさめ」がこんなに急いで行ってしまったんだろうと思い、
今これを作成している時点で念のため現在位置を検索してみたら、
なんと「はるさめ」、南シナ海あたりを航行しておりました。
わたしたちのあずかり知らぬところで、海上自衛隊の艦船は今この瞬間も
国防の任務に当たっているのだということを改めて実感した次第です。
練習艦隊帰国シリーズ、続く。
退艦して整列している隊員と制服でない女性は随行者と呼ばれる方々だと思います。人事発令上は練習艦隊司令部付の立場で音楽隊員と武道員。防衛省職員の事務官か技官が乗組みます。
中尉も挑戦してみられては(笑)
「かしま」は司令部が乗艦しており、帰国後の報告や整理が必要なため少し遅くなっているのもと思いますが、乗員は可能な限り早く呉に帰りたいともっているのではないでしょうか?
潜水艦の艦上に立っている乗員は入港のため、上部構造物(乗員が乗っている部分)に設置してある係留用ロープを通すクローズドフェアリーダーやロープを結びつけるビット等が甲板下に隠れているものを反転させたり、上昇させ使用できるよう作業が必要なためです。
これは突起物が出ていると海水がスムースに流れず、渦や音を発生させるのでそれを防ぐため、出港時は格納し、入港時は設置するためです。当然係留用ロープは取り出して甲板に並べて係留用意が出来て、乗員は整列しています。数えるとキッチリ25名が甲板要員ですね。
残念ながらエリス中尉の考えは当たっていなくて出船でつけるため大きく回っているため「かしま」の近傍を通ったのでしょう。
最初に潜水艦岸壁に行ったのは係留している潜水艦の外側に目刺で入港中の潜水艦が接舷しますのでその間に防舷物を2個設置する作業を実施しました。17枚目と18枚目の写真に写っている岸壁に接舷している潜水艦の左舷の外に浮いている丸い2個の物体が潜水艦と潜水艦が擦らないように間に挟む防舷物です。
50tタグボートが2隻で潜水艦を押していますが、俗に押し船と言ってますが、このタグボートは船首水線下の船首材で潜水艦を傷つけないようにゴムの防舷材が水線下にも取り付けてあります。
潜水艦の入出港支援用タグボートはこの50tYTです。260tYTだと力量が大きく、船首材が大きく接舷部を傷つけたりもしますのでほぼ潜水艦には使用しないと思います。
参照資料によれば260tYTが全国で28隻、50tYTが16隻いる事となっています。
ただし一番古いYT63が昭和57年建造ですので支援船も防衛予算からみからなかなか新陳代謝がすすまないようです。
260t曳船
長さ28.4m、幅8.6m、深さ3.5m、喫水2.5m、速力11kt、1800馬力、平成22年建造船YT95から長さ31.0m、幅8.6m、深さ3.6m、喫水2.3m、速力11kt、2600馬力となっています。
50tYT
長さ17m、幅4.8m、深さ2.4m、喫水1.2m、速力8kt、500馬力
参照海上自衛新聞「海上自衛隊艦艇と航空機集平成29年度版
私も打ち寄せる波をボウーと見ていたり、遠く沖を行く船を眺めたり、港内を忙しく動き回る港内船を見ていたり、造船所で出来上がる船を見たりが好きでしたが、海の見えない所に居住していますのでエリス中尉の投稿される写真を見てあれこれ思い楽しませて頂いております。感謝。
随行者ですか。半年がっつり一緒にいくのでなければ大丈夫かも(笑)
遠洋航海中、何度か実習幹部は講演を聴講しているので、その演者は少なくとも
現地で参加することになりますね。
今年の演者の中には竹田恒泰氏もいたということですが、
練習艦隊司令官はその講演内容を絶賛しておられました。
お節介船屋さん
連続の写真からこれだけのことがわかるのですね。
>上部構造物に設置してあるクローズドフェアリーダーやロープを結びつけるビット等が
下に隠れているものを反転させたり、上昇させ使用できるようにする
上に立っていろんなことをしているんですね。
ぼーっと遠くから見ているだけではなかなかここまで確認できません。