習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

劇団なつみかん『12』

2018-10-21 21:20:23 | 演劇
これには唖然とした。バカバカしさ全開でオープニングから笑わせてくれる。この突拍子のない無意味なパフォーマンス。こんな振付が必要なわけがない。だけど、それをやることで、このロミジュリもどきのお芝居(劇中劇だけど)は、とんでもなくへんてこな空間を作る。 でも、正直言う。台本がつまらない。本筋に入ってからはあたりまえの展開しか見せないから、後半は退屈してしまうのだ。簡単に一言でいうと、劇団の内紛と和解 . . . 本文を読む
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レトルト内閣『まつりGORIN』

2018-10-21 20:44:28 | 演劇
あこがれの広告業界に入った新入社員の奮闘記。レトルト内閣お得意のオフィスもの。一流企業に入社してバリバリ働くつもりだったのに、小さな広告会社に、コネ入社(叔父が社長)しかできなかった主人公が、それでも頑張って戦う姿を描く。 軽いタッチでテンポよく生演奏の音楽とともにある種のパターンから一歩も出ないお話が展開していく。今回は音楽の比重が大きく、ドラマ部分は弱くてもいい、というバランス感覚で見せてい . . . 本文を読む
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超人予備校『ねこすもす』

2018-10-21 20:04:56 | 演劇
とても気持ちのいいファンタジーだった。今回は「猫」を巡るお話だ。猫はふたつの世界を行き来出来る存在でこの世の中には表と裏がありその両者は相似形を成している。その裏の世界から表の世界へとやってきてしまった男を巡るお話。たまたま乗ったタクシーに誘われて(運転手は亀)竜宮城(キャバレーかなんか)に行ってしまい、酒に酔って記憶をなくし、家に帰ったら、そこはまるで同じような環境の別世界の我が家でもうひとりの . . . 本文を読む
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『覚悟はいいかそこの女子』

2018-10-21 08:12:59 | 映画
こういうつまらない映画を見るのは、そこに『寝ても覚めても』の「唐田えりか」がいるからだ。あの子はなんだったのだろうか、ということを確認したくて、もう1本他の映画を見てみたい、と思ったところに、どんぴしゃで彼女の2本目の主演映画が公開されるのだから、それを見ないわけにはいかないだろう。しかも、監督はこういう少女漫画の映画化からはてしなく遠い世界にいる井口昇である。あの際物映画を連打する彼が東映映画で . . . 本文を読む
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『1987 ある闘いの真実』

2018-10-20 22:22:52 | 映画
最初は何が描かれているのか、それさえよくわからなかった。事件を巡ってのめまぐるしく変わるいくつものシーンに翻弄される。事件そのものは明白である。警察が取り調べでひとりの青年を殺した。そのことはわかっても、誰が誰だかよくわからないくらいにたくさんの人たちが続々と登場してきて、それがリレー式になっていて、ストーリーを追うだけで手いっぱい、後半になり、ようやく映画のスタイルが頭と体に入ってきて相互の関係 . . . 本文を読む
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『きみの鳥はうたえる』

2018-10-19 20:49:01 | 映画
公開最終日でようやく見た。9月から上映されていたのに、見れないまま、今日に至る。もう諦めていたのだが、たまたま時間が取れたので劇場に行く。期待半分、不安半分。初めての監督の映画はいつもそうだ。先日の『寝ても覚めても』もそうだった。手の内が見えないから、ドキドキする。しかも、評判がとてもいいから、余計に不安になる。本作も同じパターンだ。『ハッピーアワー』で大評判になった濱口竜介監督の商業映画第1作だ . . . 本文を読む
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エイチエムピーシアターカンパニー『高野聖』

2018-10-16 21:57:15 | その他
  泉鏡花の小説をこんなふうに舞台化するなんて思いもしない。もちろん、このやり方はいつもの笠井さんのタッチで、前作、『忠臣蔵 序』や『四谷歓談』でやったことの延長線上にあることは明らかだ。しかし、小説をそのまま見せていくかと、思わせてやがてパントマイムのような言葉のない世界へと誘われ、しかも、小説を読んでない人にはストーリーすら伝わらないほど、シュールなタッチで、(もともとこのお話自体 . . . 本文を読む
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『コーヒーが冷めないうちに』

2018-10-16 21:55:33 | 映画
  原作小説を読んだときに、「これはまるで舞台劇のようだな」と思った。で、調べるとやはり小劇場演劇のノベライズ。それを今度は映画にする。正直言ってこれは難しいと思った。リアリズムの映画ではこの作品世界を支えきれない。そのままやれば空々しい映画にしかならないはずだ。嘘くさいお話は演劇というフォーマットの中でなら機能するが、映画という現実世界をベースにする世界では、乗り切れないものになるこ . . . 本文を読む
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『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』

2018-10-16 21:52:42 | 映画
  声帯ドーピングにより大きな声を出せるようになったロックミュージシャン(阿部サダヲ)と、自分への自信のなさから小さな声でしか歌えないストリートミュージシャン(吉岡里帆)がたまたま出会い、なんかわけのわからない大冒険を繰り広げることになる映画。夢を実現した男と、夢を追いかける女。声を失ってしまいつつある男と、夢を信じようとしない女。成功した男と、埋もれていこうとしている女。中年男と、若 . . . 本文を読む
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なまものなのでお早めにお召し上がりください。『盲目の動物』

2018-10-13 17:40:03 | 演劇
こういうタイプの独りよがりでわがままな芝居は好きではない。だけど、そこに確固とした強い意志が感じられたなら、それはそれで納得のいく芝居になる。いちばんたちが悪いのは「観客であるあなたたちに判断を委ねます」とかいうふうに逃げる芝居だ。自分に表現力がないから、そうなる。(だいたい「自由に読め」なんて言われなくても、観客は自由に読むしかないし。)作り手はある種の方向性をストーリーででも演出でもいいから、 . . . 本文を読む
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『寝ても覚めても』

2018-10-13 16:28:02 | 映画
こんなにも後味の悪い映画だとは思いもしなかった。終盤の朝子の突然の行為だ。この映画を見た誰もがそれには驚いたはず。その後の展開もまさかの、まさかだ。ラストシーンまで一気に。河を眺めるふたりの姿を捉えたあのなんともいいようのない幕切れを見た後、暗転してエンドタイトルが流れても、これで終わりなのか、という暗澹たる想いが胸を支配する。ほんとうにこれでこの映画は終わるのか、信じられない気分のまま、席を立つ . . . 本文を読む
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dracom『ソコナイ図』

2018-10-13 11:05:51 | 演劇
  こんな芝居があっていいのか、と驚く。でも、これはドラカンなのだから、何をしても驚くに値しない、と言い切ってもいいのだけど、でも、いつもながらの大胆さだ。ギリギリのバランスで作品が作られてある。これはギリギリでアウトである。だが、そこも狙い通りで筒井さんはわざとそういうところで、バランスを取っている。バランスを崩すところで保つということだ。   死体だから動かない。ずっ . . . 本文を読む
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8月から10月にかけてDVDで見た映画

2018-10-13 11:03:08 | 映画
8月から10月にかけてDVDで見た映画は、23本。玉石混淆だが、いずれも見逃したままで終わらせたくない映画を選んだ。でも、時間がなくて、まったく感想も書いていない。   一番面白かったのは、トム・フォードの『ノクターナル・アニマルズ』だ。この緊張感はただごとではない。2位はハネケの『ハッピーエンド』。あの衝撃のラストにはのけぞる。3位はオゾンの『婚約者の友人』。最後までどうなるか、先 . . . 本文を読む
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8月から10月にかけて読んだ本

2018-10-13 11:02:13 | その他
8月から10月にかけて読んだ本は、42冊。一部は感想を書いたけど、そのほとんどは何も書かないまま、忘れ去られようとしている。   一番面白かったのは、井上荒野『その話は今日はやめておきましょう』。これはキツい。近未来の自分を描いたような小説。70代の夫婦のところに、ひとりの青年がやってくることで、彼らの平穏だった老後の日々が壊れていく。2位は吉野万里子『南西の風、やや強く』これは少し . . . 本文を読む
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STAR☆JACKS 『君が為 恋風は楊梅の薫り』

2018-10-13 10:59:29 | 演劇
  こういうエンタメ作品は普通ならもっと大きな劇場を選ぶはずなのだ。だが、敢えてこの狭い空間(in→dependent theatre 1st)で、しかも限定した少ないキャストで演じるという冒険に打って出た。岡田以蔵を主人公にして切ない恋心を描く。お話としては、あくまでアクション主体であることは当然なのだが、以蔵の恋心をそれと同じくらいの比重で描くことで、ただのアクションもの . . . 本文を読む
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