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映画・演劇のレビュー

ヨヴメガネ『海月息子の帰るとこ』

2007-10-29 22:33:02 | 演劇
 きちんと作りこまれた美術(西本卓也)と、考えられた演出(伊藤拓)のもとで、作られたヨヴメガネの第2作はとても完成度が高い。しかし、その分、彼らが持っていた野放図な魅力が、少し損なわれてしまった気もする。  台本は、それぞれかなり荒削りで、よく解らないものがある。そのわからなさが、作品をどんなふうにも理解させる。それをある種の方向に向かわせるのが、演出だと思うが、今回の伊藤さんは、そのスタイリッ . . . 本文を読む
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ugly duckling『箱師よ、その町の暁に釘を打て』

2007-10-29 21:23:51 | 演劇
 芝居が始まると、そこは閉鎖された空間だ。明かりはなかなか入らない。ゆっくりと闇の中にぼんやり浮かび上がってくる2つの影。彼らは狭い場所に閉じ込められている。そこがどこなのかはわからない。  いじめにより、飛び降り自殺をして、死んでしまった69<ロック>(樋口美友喜)。そんな彼を助けられなかったという心の傷を抱いたまま生きる69<無垢>(村上桜子)。老いた祖父母を棺おけに入れて、一人生きていこう . . . 本文を読む
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『エクスマキナ』

2007-10-26 00:00:39 | 映画
 今更こういう話を見せられても、新鮮味はない。散々この手の映画は作られ続けているし、どれほど凄いCGがあろうとももう驚かない。(たとえ実写であろうとも同じ)  ということは、後はストーリーと、世界観、それらをどう見せるかに懸かっている。作家としてのセンスの問題である。ありきたりな設定では、もう誰にも相手にされない。この映画は、士郎正宗の『アップル・シード』の続編。荒牧監督伸志監督が再びあの世界に . . . 本文を読む
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瀬尾まいこ『卵の緒』

2007-10-25 23:29:33 | その他
 瀬尾まいこのデビュー作である。第2作の『図書館の神さま』以降の作品は、全てリアルタイムで読んでいるのに、この作品だけは、なぜか今まで読む機会に恵まれなかった。  中篇2作が収められている。2作とも子供を主人公にして、ちょっとした児童文学の装いをしている。そんな中で、不完全な家族が、だからこそより強い絆で結ばれていく様が、とても優しくて力強いタッチで描かれていく。  父親不在の(作者の実体験で . . . 本文を読む
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『ローグ・アサシン』

2007-10-25 22:59:25 | 映画
 どうしてどいつも、こいつもこんなふうに『用心棒』が大好きなんだろうか。三池崇史の『ジャンゴ』に続いて、この映画も、である。いささか食傷気味。しかも、出来がよかったなら、ともかく、これではちょっとなぁ。  あのシンプルなストーリーを生かし切るだけの演出力がないのなら、もっと小細工だらけの、練りに練ったストーリーを作ってくれよ、と思う。2つの組織があって用心棒(この場合は殺し屋)があっちこっちに行 . . . 本文を読む
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『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

2007-10-24 21:11:06 | 映画
 前作を超えるような映画を作ることは不可能である。なぜなら、あれは一回こっきりの《夢の再現》だからだ。  夢は、1度だから、美しい。昭和33年。今から50年近く前の日本、東京。あの頃の思い出がいっぱい詰まった風景をもう一度、見せる。たった一度の魔法だからこそ、みんなはその世界を心から愛せた。これは夢なんだ、と思いながらその心地よい夢の世界を満喫した。  懐かしい風景、人々、笑顔。日本人がまだま . . . 本文を読む
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『サウス・バウンド』

2007-10-24 19:59:55 | 映画
 これはあまりに無茶苦茶な映画だ。お話自体がどんどん横滑りして行き、気が付くと思いもしないところに連れて行かれている。もちろん原作は発売された時に読んでいるから、ストーリーがどうなるのかは、充分知っている。とんでもない話だ、なんて先刻承知の上で見たのに、驚かされた。このドライブ感の虜になった。さすが、森田芳光監督だ。『間宮兄弟』で『家族ゲーム』の20年後とでも言うべき続編を作ったのに、今回はさらに . . . 本文を読む
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『夏音』

2007-10-24 19:07:16 | 映画
 歌手のIZAMが初めて監督した青春映画。2,3分見て、「これは、あかんわ」と思ったがせっかくレンタルしてきたのに、見ずに返すのは勿体無いので、しかたなく一応最後まで見ることにした。  高校生たちが文化祭のために8ミリフイルムで映画を撮る、というお話。これを現代の設定にするのは不可能だろう。8ミリフイルムなんてもうどこにもないのではないか。もし、それでも敢えて8ミリに拘るというのなら、この映画は . . . 本文を読む
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-レンチ『もみじの頃』

2007-10-21 21:08:26 | 演劇
 かなり微妙な作品に仕上がっている。これでは解らないという人も多いのではないか。作、演出の中山治雄さんはいつもながら、とてもテンションの低い芝居を作る。こういう過激な内容で犯罪すれすれのものを扱っても、いつも同じである。  今まで静かに話していた男が、ある瞬間スイッチが入ったように逆ギレしてしまい、暴走していく。静かなドラマだったのに、いきなり暴行、監禁のバイオレンスになってしまう。その突然の展 . . . 本文を読む
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空晴『きのうのつづき』

2007-10-21 10:57:07 | 演劇
 元ランニング・シアター・ダッシュの岡部尚子さんを中心にして結成された劇団の旗揚げ公演。さすがにとてもよく入っていて凄い。芝居自身はあまりに単純すぎて、僕は、ちょっとひいてしまったが、ダッシュのファンの人たちはとても暖かくこの作品を受け入れているんだなぁ、と思うと、なんだかそういうコミュニティーって決して悪くない、と思った。終わりのほうでは、泣いている人もたくさんいて、そんな心優しいファンに恵まれ . . . 本文を読む
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『ダンスの時間 17』

2007-10-21 10:07:15 | 演劇
 ロクソドンタというスペースは、そこそこ広いのに、客席が迫っているために、ダンサーたちの息遣いまでもが、伝わってくるのがいい。『ダンスの時間』は批評家の上念省三さんが、自分の目でセレクトしたダンサーたちを、彼自身の紹介のもと、それぞれのパフォ-マンスを見せていくという企画だ。  このあくまでも個人的な、というところがいい。上念さんの演者に気を使ったインターミションがいつも素敵で、それぞれのパフォ . . . 本文を読む
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『ツォツイ』

2007-10-21 08:09:02 | 映画
 久々に力の籠ったいい映画を見た。緊張が持続したままラストまで一気に突き進み、見終えた後には、何とも言い難い昂揚が残る。うまく言葉にはならない興奮が、体全体を駆け抜けていく。もどかしさではない。心地よさであり、痺れるような快感なのだ。  何よりもまず、ロケーションの凄さ。この映画の描こうとする世界の空気のようなものが刺激的だ。冒頭描かれるスラムの風景。四人の部屋から彼らが出て行く場面が空撮で捉え . . . 本文を読む
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『カンバセーションズ』

2007-10-20 00:01:25 | 映画
 シネスコのスクリーンを完全に2分割して、10年振りに再会した男女の1夜限りの物語を見せていく。ずっと2人が喋っているだけの84分。スクリーンは右と左で全く違うことが描かれたり、同じシーンを視点やアングルを変えて見せたりと、とても慌しいので、見てて疲れる。セリフは途切れることなく続いていくし、そんな中で2人のかっての日々が挿入されたり、その後の2人の人生のこと。そして、偶然この日、知り合いの結婚式 . . . 本文を読む
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『スターダスト』

2007-10-19 23:32:12 | 映画
 「この物語の感動は、まさしく宮崎映画の実写版を見ているようだ。」って一体誰が言ったんだい?宮崎映画の実写なんか誰も見たくはないと僕は思うね。あれはアニメだから、感動できるのだ。例えば『もののけ姫』の実写なんて誰が見たいと思う?まぁ、今回の作品は『天空の城 ラピュタ』あたりをイメージしたのだろうが、これはただの単純ファンタジーと考えたほうがいい。  『もののけ姫』の英語版台本を書いたらしいニール . . . 本文を読む
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『象の背中』

2007-10-19 22:54:59 | 映画
 渡辺謙の『明日の記憶』と並べたくなるような役所広司の『象の背中』である。同じ世代の働き盛りの中年男が、ある日、病気の宣告を受け、妻に支えられて、最期の一時を生きる。彼らと同世代だから、というわけだけではないが、なんだか他人事とは思えない。まぁ、僕はエリート・サラリーマンではないし、彼ら見たくかっこよくないから感情移入とまでは行かないし、もし、自分が癌とか若年性アルツハイマーになったりしたなら、彼 . . . 本文を読む
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