習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『VIVANT』

2023-12-31 20:52:00 | 映画
今年大ヒットしたTVドラマを3日に分けて見た。第1回を見た時、さすがに驚いた。こんなドラマは今まで日本にはなかったはずだ。凄まじいスケールの超大作である。どれだけの予算を投入したか、と思う。長期間のモンゴルロケを敢行してさまざまな困難を乗り越え作った。砂漠での撮影も普通じゃない圧倒的なスケール。TVサイズには収まらない迫力。  お話自体のスケールも破格のレベル。よくもまぁこれだけの壮大 . . . 本文を読む
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『14歳からの映画ガイド』

2023-12-31 08:53:00 | 映画
2023年最後の一冊をこの本にした。25人の著名人が14歳にお勧めする一本のとっておきの映画。さらには後3本を追加して贈る。合計100本の映画ガイドだ。  もうすぐ中学を卒業する子供たちに大人からのおせっかい。ちなみに僕はこのリストにある25本をすべて見ていた。と言いたいところだが、あまりにマニアックな映画もあり22本。さらに100本の方は79本。まぁ自慢にはならない。見てない映画だが . . . 本文を読む
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工藤純子『ルール!』

2023-12-31 03:18:00 | その他
読んでいて胸が熱くなった。クライマックスの中学生の主張の場面だ。体育館で全校生徒や先生たち、保護者の前で自分たちの想いを彼女は話す。学校の理不尽なルールについて。生徒を抑えつける教師に向けた反抗ではない。自分たちの正直な気持ちを込めて伝える為に訴える。その素直な想いが胸に沁みる。 あの頃、僕たちはとても不自由だった。僕は中学生が嫌いだ。中学生が、というよりたぶん中学時代が、である。大人でもなく子 . . . 本文を読む
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『レベルムーン PART1』

2023-12-30 18:51:00 | 映画
ザック・スナイダー監督によるSF超大作。2部作の1作目。例によって12月配信Netflixお正月大作映画だ。劇場映画はもうお正月向けの大作映画なんていう宣伝をしなくなったけど、Netflixは律儀にこの時期毎年お正月向けの超大作映画を配信する。 冒頭から明らかに『スターウォーズ』である。話が始まると,まるで西部劇。小さな村に巨大な宇宙戦艦がやって来て、彼らは村人に理不尽な量の食料を要求する。それ . . . 本文を読む
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図野象『おわりのそこみえ』

2023-12-30 09:10:00 | その他
こんなえげつない話に耐えられない。吐き気がする。だけどこれは確信犯だ。読者を不快にさせるためにやっているわけではない。ましてや下品なゲテモノでもない。そこには確かな意図があり、それが知りたいから、最後まで読んでみることにした。いろんな意味でこれは衝撃的な作品である。   彼女がこんな暮らしをする。ここまで自分を追い詰めていくのは両親のせい、なんていうアホな答えではない。見境なしのセッ . . . 本文を読む
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『Perfect Days パーフェクトデイズ』

2023-12-29 19:49:00 | 映画
ヴィム・ヴェンダース監督が日本映画に挑んだ作品だ。昔撮った『東京画』はドキュメンタリーだったから劇映画としては初めてだろう。とってもいい映画だと思う。ヴェンダースは初期の『都会のアリス』の頃に戻ったように瑞々しい。スタンダードサイズの端正なスクリーンの中でドキュメンタリーのようにひとりの男の日常が綴られていく。主人公の平山(役所広司)はほとんど無口なまま。必要な部分ですら喋らない。もどかしいくらい . . . 本文を読む
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西澤栄美子『本の庭へ』

2023-12-29 10:53:00 | その他
冒頭の『虚無への供物』を知らない司書の青年が『去年の九月』と聞き間違えたというエピソードには笑ってしまった。楽しい。それくらいにいろんなものが過去になる。  さらに次のエッセイ『短歌から川柳へ』の冒頭で寺山修司が引用され、なんとそこで「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし見捨つるほどの祖国はありや」と書かれているのを見た瞬間、凍りついてしまった。『見捨つる』って。本気か! 『身捨つる』ではな . . . 本文を読む
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『枯れ葉』

2023-12-29 10:30:00 | 映画
一度は引退したはずのカウリスマキが6年振りに新作を引っ提げてカムバックしてきた。とてもうれしい。まだまだ若いんだから彼には映画を撮ってもらいたい。僕は初めて彼の映画を見たときの驚きを忘れない。『真夜中の虹』である。今は亡き(無き、ですが)ミニシアター国名小劇だ。あの小さな映画館も忘れられない。たった75分のあっけない映画に震撼させられた。あの後、続々と過去作も含めて公開されることになった。もちろん . . . 本文を読む
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『リング・ワンダリング』

2023-12-28 21:53:00 | 映画
先日の『うかうかと終焉』や『オールド・ジョイ』に続け、とばかりにAmazonプライムで見つけた初めて見る若手作家の作品にチャレンジしてみた。まるで予備知識ゼロで見始めたけど、残念ながらあまり弾まない。失敗だ。テンポも悪いし、なかなか面白くならない。20分くらいでやめたくなったが、一応最後まで見る。悪い映画ではないけど、下手。監督は金子雅和。  なんとこれはファンタジーでタイムスリップも . . . 本文を読む
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清水晴木『17歳のビオトープ』

2023-12-28 08:23:00 | その他
高校の用務員をしている平人生(凄い名前だ!)。彼のところにやってくる高校生たち4人の4つのお話が綴られていく。まぁ、人生先生による悩み相談が描かれるというわけだ。よくあるパターンだが、展開が少し安直でガッカリした。 この校務員(用務員ではなく、校務員と記載される)がなんだか謎の人で、彼が生徒たちとビオトープを作る話。いきなりのビオトープって唐突すぎて驚く。もっと自然に描かなくてはならない。4話で . . . 本文を読む
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宮木あや子『令和ブルガリアヨーグルト』

2023-12-28 05:21:00 | その他
「明治ブルガリアヨーグルト」50周年記念作品。こんなコラボってありなんですね。それにしても「令和ブルガリアヨーグルト」って。笑える。さらには明和乳業って。あからさまにモデルは明治乳業ですと明言している。これは企業協賛企画でコマーシャルであります、って感じ。   読み始めるとさらなる驚きが。なんと主人公は新入社員の由寿ではなく乳酸菌だった。(あっ、それは言い過ぎ。ふたりが主人公です)由 . . . 本文を読む
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『うかうかと終焉』

2023-12-27 22:53:00 | 映画
こんな地味な映画がようやく大阪でも(地元である京都でも上映されているようだから関西でも、か)ひっそりと公開される。東京から2ヶ月以上の遅れでたった1週間、シネリーブル梅田で1日1回だけの上映。 閉鎖間近の学生寮で住人たちがともに過ごす最後の5日間をつづった青春ドラマだ。「日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞した大田雄史と出口明の戯曲を原作に、大田が自身の母校である京都大学吉田寮をモチーフに脚本をつくり . . . 本文を読む
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『ファースト・カウ』

2023-12-27 22:13:00 | 映画
先日たまたま偶然見たばかりの映画『オールド・ジョイ』のケリー・ライカート監督の新作である。(と、いってもこれは2019年作品だから最新作ではない。しかも僕が見た時になんと隣の劇場【シネリーブル梅田の3番スクリーン】でやっているK24特集では彼女の最新作も同時間に上映されていた!)彼女の映画は日本では今回が初めての劇場公開になるらしい。たまたま初めて先日見て驚いた作品の監督の映画が、たまたま上手いタ . . . 本文を読む
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『65』

2023-12-27 06:18:00 | 映画
サム・ライミ監督プロデュース作ということだけで劇場で見ることにしたけど、都合ざつかず見逃してしまった作品だ。早くも配信スタートで早速見る。  まさかのB級映画。でもそれなりに予算を使った作品で、わざわざこんな映画をサム・ライミが作ったのは何故? アダム・ドライバー主演のSF大作のはずが、あり得ないバカバカしさ。話もショボいし、展開は単調、気が向いたら恐竜が出てきて戦うけど、だからどうし . . . 本文を読む
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吉田修一『素晴らしい世界 〜もう一度旅へ』

2023-12-26 18:13:41 | その他
『翼の王国』連載のエッセイ集の最終巻。15年続いたらしい。お疲れさまでした。僕はANAに乗ることはあまりないけど、たまたま乗ったANAの機内誌でこのエッセイを見つけて喜んでしまったことを憶えている。「吉田修一だよ」と。それは旅するスタートにふさわしい気持ちいいエッセイだった。  あれから10年以上経つ。あれはどこに行ったときのことだったのだろう。そんなこと覚えているわけはないけど、あれ . . . 本文を読む
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