習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

白岩玄『世界のすべてのさよなら』

2017-10-18 21:00:18 | その他
  30歳を目前にした4人の男女の憂鬱。大学時代の同級生で仲良しだった4人組は今も変わらず、つるんでいる。男3人女1人というバランスのよさ(それとも、わるさ)。恋人にはならない。友情で結ばれている。でも、実は危うい。美術系の大学を卒業し、絵を描くことの周辺で仕事したいと思うけど、なかなか上手くはいかない。一応、デザイナーや画家をしている。でも、満足はしてない。   四章か . . . 本文を読む
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高橋弘希『日曜日の人々』他

2017-10-13 23:26:37 | その他
高橋弘希『日曜日の人々』他 なんだかのんびりしていて牧歌的なタイトルだが、実際はとてもキツい話だ。自殺サークルのお話。そこは、日曜日に集まってそれぞれが自分の抱える問題を話す自助団体なのだが、結果的にここからたくさんの自殺者を出すことになる。   恋人で、従姉の自殺。主人公は、彼女の死の秘密を知りたくて彼女が所属していたこのサークルに入会する。彼女の残した遺稿を読みたくて。だが、気 . . . 本文を読む
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『どんぶらこ』『月の満ち欠け』『春や春』

2017-10-02 21:19:25 | その他
  9月に読んだ本は15冊。毎月そのペースなのだけど、なかなか感想を書く時間がない。今月もすごくよかったのに、書いてない本がたくさんあるので、その中から3冊。   いとうせいこう『どんぶらこ』 桃太郎の桃の話から始まり、じいさんとばあさんの末路と彼らの子どもたちによる介護を描く21世紀の昔話。読みながら、ドキドキするのは、自分の母親のことが頭をよぎるからか。たった3日の . . . 本文を読む
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大崎梢『空色の小鳥』

2017-09-24 15:36:50 | その他
  あまりの面白さに本を読む手が止まらない。一気に最後まで読んでしまった。この後どうなるのかが気になり、仕事が手につかないほど。   天涯孤独の身になった就学前の6歳の少女と、彼女を引き取ることになる叔父。彼は義理の兄の残した娘と彼の妻のもとにいく。彼女は病気で生い先短い。兄のため、彼女の最期も看取り、娘を引き取る。独身でひとり暮らしの青年がいきなり6歳の女の子の父親にな . . . 本文を読む
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原田ひ香『失踪. com』

2017-09-24 15:35:40 | その他
  『東京ロンダリング』の続編なのだが、これは単純な続編ではない。まず、最初に前作の主人公がなかなか出てこない。お話は、「誰か」が、ではなく、そこで起きている「出来事」、それが前面に出る。これはロンダリングを巡る様々な人たちのお話なのだ。(お話の終盤になり、前作の彼女も登場するのだが)前作と違い「誰か」のお話というよりも「この世界の置かれた状況」を描くドラマとなる。   . . . 本文を読む
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島本理生『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』

2017-09-15 22:27:38 | その他
   こういう恋愛小説もありかぁ、と思う。読んでいるとなんだか、ちょっと寂しくて、つらい気持ちになるけど、でも、最後にはささやかな幸せで満たされる。ここには特別なことなんて何もない。変わりばえのしない平凡な毎日の生活。その繰り返し。でも、そんな積み重ねのなかにほんのちょっとした変化がある。とても地味なお話で派手なことはない。 HIVに感染して、人生は終わったと思っていた中年 . . . 本文を読む
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小路幸也『東京バンドワゴン ラブ・ミー・テンダー』

2017-08-08 19:38:40 | その他
  番外編である。昭和40年代を舞台にして、今回は我南人と秋実さんの出会いを中心にしてワンエピソードで見せる。お話はいつも通り、よく出来すぎていて、嘘クサいところもあるけど、でも、なんとも心地よいから、素直に騙されようと思えられる。そして、幸せな気分になれる。こんなふうにしてあのふたりが出会ってやがて、結婚するのか、と。まだ40代の勘一さんや、何より我南人が20過ぎで、秋実さんは高校生 . . . 本文を読む
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宮西真冬『誰かが見ている』

2017-07-28 21:16:06 | その他
  これは痛い。ここに描かれる4人の女性たち。彼女たちがそれぞれの環境の中でもがき苦しみながら生きている姿を目撃しながらも、目を背けたくなる。小さな話だ。このちいさなコミュニティで閉じてしまう。社会に目を向けたなら、もっといろんなことがあるのだが(そんなこと、わかっている)そんな余裕はない。   まず、一人目の女性の問題。目の前の幼い娘(終盤で彼女が娘ではなく、息子だった . . . 本文を読む
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青山七恵『ハッチとマーロウ』

2017-07-22 21:39:47 | その他
  11歳のふたごの女の子たちの1年間のお話。1月から始まり12月まで。その間にふたりは5年生から6年生になる。今は、9月まで読んだところ。この後、どんなことが起きるのかはまだわからないけど、きっと特別なことなんかない。   この年齢にしてはちょっと子供っぽすぎるかな、とも思うけど、ふたりはかわいいし、一生懸命なので、いい。まるでもっと小さな子どもたちのお話のような展開な . . . 本文を読む
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川上未映子(訊く)+村上春樹(語る)『みみずくは黄昏に飛びたつ』

2017-07-19 21:14:26 | その他
  4回わたる膨大なインタビュー。『騎士団長殺し』を中心にして、川上未映子が村上春樹に迫る。村上春樹の創作の秘密に迫る、とか、そんな感じではなく、だけど、読みながらいろんなことが見えてくる。村上春樹を通して、世界が見えてくる。大好きな作家とその本の話をする女の子。川上未映子はインタビュアーとしても優れているけど、それは相手が村上さんだったから出来ることで、ふたりの幸福な出会いが、この本 . . . 本文を読む
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千早茜『ガーデン』

2017-07-07 19:54:12 | その他
  帰国子女として途上国から日本に戻ってきた男が、その後もこの国(日本です)になじめず大人になった。そして30歳になった。そんな彼の日常のスケッチ。部屋の中には、たくさんの植物。そこをガーデンとして暮らしている。人と付き合うのがあまり好きではない。だから、特定の恋人は作らない。(もちろん、結婚もしない)ただ植物を愛する。   雑誌の編集の仕事をしている。毎日をただ静かに生 . . . 本文を読む
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七月隆文『ケーキ王子の名推理2』

2017-07-05 19:59:55 | その他
  今回も別にミステリーではないし。前作の続きで、同じパターン。でも、この(よくあるパターンの)ケーキ大好き少女と、イケメン・クールのパティシエ志望の男の子のお話は、楽しい。おいしそうなケーキの話と、ふたりの恋(以前の)話は、だらだら読んでいるだけで、けっこう幸せな気分になれる。好きなものを好きと言える。好きを楽しめる。そんな当たり前のことが、ちゃんと描かれる。 こういうライトノ . . . 本文を読む
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飛浩隆『自生の夢』

2017-06-27 21:57:11 | その他
  このSF小説は凄い。SFなんてめったに読まない僕が言っても説得力はないかもしれないけど、しかも、ここに描かれた世界観を半分も理解できてないけど、難しくてよくわからないなりに、でも、そのすさまじさはちゃんと伝わってくる。圧倒的なイマジネーションの世界だ。   短編連作なのだが、すべてがつながっている。1つめの『海の指』を読みながら 難解すぎて、止めようか、と思ったけど、 . . . 本文を読む
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森絵都『出会いなおし』

2017-06-22 21:00:31 | その他
森絵都『出会いなおし』 最初の3つの物語が素晴らしい。こういうふうに、ものごとを受けとめることが出来るって、凄いと思った。自分らしく生きるって、100人100通りの生き方がある、ってことだけれど、自分はひとりなので、残りの99通りは、実は理解の外。なのに、人は自分の生き方に人の生き方を当てはめようとしてしまう。バカだ。   もちろん、理解の範囲内のこともたくさんある。でも、そうじゃ . . . 本文を読む
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宮下奈都『静かな雨』

2017-06-05 21:28:26 | その他
  この小さな小説は、(大きな小説という言い方もヘンだけど、これも実にヘン)この世界のかたすみで、ひっそりと息を潜めるように生きる、たったふたりの毎日を静かに切り取るだけ。行助とこよみ。足の不自由な行助が、パチンコ屋に寄生するように店を出す、美味しい鯛焼きを焼くこよみと出会う。   やがて、彼女は交通事故に遭い、昏睡状態になる。彼は毎日見舞いに通う。やがて、目覚めた彼女な . . . 本文を読む
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