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映画・演劇のレビュー

金蘭会高校『僕たちの好きだった革命』

2022-07-31 18:53:24 | 演劇
金蘭としては3度目で、6年ぶりの再演となる。以前の2作品も見ている。変わることなく素晴らしい。今回久々にこの作品と対面して、改めてこれは金蘭会の代表作なのだと実感した。これからも自分たちの十八番として何度でも上演するといい、と言いたいところだけど、残念だが、今回が見納め、たぶん最後となることだろう。しみじみと作品と集団の相性というか、自分たちの方向性と作品が見事一致するときの快感、というか。そんな . . . 本文を読む
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MODE『見よ、飛行機の高く飛べるを』

2022-07-31 10:24:20 | 演劇
ウイングでこういう大作を見られるというのはうれしい。それってほんとに久しぶりのことだ。コロナ禍で作品自体も減っていたし、公演される芝居はどうしても少人数の上演時間の短い作品が中心になる。堂々たる大作は、狭い空間で密になるここではリスクがあまりに大きすぎるからだ。だからこれは久々の試みとなる。2時間45分(休憩10分を含む)、20名に及ばんとするキャストが見せる大作。 以前、この戯曲を吉田美彦先生 . . . 本文を読む
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恒川光太郎『箱庭の巡礼者たち』

2022-07-31 09:45:48 | その他
正直言うとまるで期待しないで読み始めたのだが、あまりの面白さに愕然とした。並行世界や別次元なんていうSF的設定の凡百な仕掛けとは一線を画する壮大な世界がそこには描かれる。独立した短編としても最高品だと思うけど、それが見事につながり、この世界を構築していくさまは圧巻だ。マーベルの得意技(というか、そればかりの)マルチバースを恒川光太郎が手掛けるとこんなふうに壮大な世界観を形成することになるのか。驚愕 . . . 本文を読む
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横関大『忍者に恋は難しい』

2022-07-28 11:38:45 | その他
この手の中間小説はめったに読まないのだけど、今回なんとなく、タイトルに惹かれて手にした。『ルパンの娘』の作家の作品だということは、読み始めてから気付いた。たしかにあのドラマ、映画のテイストに似ている。それとこれもTVなのだが『奥さまは取り扱い注意』にも似ている。そういえばあのドラマの映画版はひどい作品だった。せっかくの設定をまるで生かせないまま意味のないアクションや派手な設定でしょぼい映画もどきを . . . 本文を読む
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『マルケータ・ラザロヴァー』

2022-07-28 11:13:36 | 映画
なんと55年前に作られたチェコ映画だ。モノクロ、シネマスコープのスクリーンに展開する壮大な歴史絵巻は、なんだかよくわからない話で、見ていて、これは一体何なのか、どんな話なのかすら、摑みきれない。これには困った。まるで僕にはお話すらわからないのだ。主人公たちの顔の区別もつかないし。誰と誰がどこで何してどうなっているのか、わからないまま、話はどんどん進んでいく。さすがに参った。しかも映画は2時間46分 . . . 本文を読む
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豊島高『-- - --・ クエスト~強力勇者~』

2022-07-28 10:55:57 | 演劇
メイシアター中ホールという広い空間を縦横に駆使して、派手なアクション満載で見せるエンタメ作品。20数人にも及ぶキャストが舞台上を走り回り、ここでもなんだか狭いくらいだ。ゲームの世界が描かれる。勇者が冒険の旅に出るというよくあるパターンだ。たったひとりでいいという勇者と、仲間が大事という彼と向き合うことなる敵のキャラたち。ラスボスが担任の先生で、敵対するのはクラスメートという2重構造もよくあるパター . . . 本文を読む
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『憂鬱之島 Blue Island』

2022-07-28 10:22:46 | 映画
映画を見ながらずっと泣いていた。昨日見た東海大付属大阪仰星高の芝居に続いて、ここでもまた、同じようにこの世界の不条理を思う。今、香港で起きていること。最近ではもうほとんどTVで報道されないけど、今も香港はちゃんとある。あれからもなお悲惨な現実は続いている。当たり前の話だ。この映画は、その後の香港のレポートではない。3つの時代を振り返りながら、未来の香港に思いを馳せる。決して明るいものではないことは . . . 本文を読む
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東海大付属大阪仰星高『フエキ、りゅーこう』

2022-07-28 09:59:45 | 演劇
阪本先生のオリジナル台本を、仰星演劇部が渾身の力を込めて見せきる。ウクライナで起きていることを自分たちの視点から考えるための試みだ。どうして戦争はなくならないのか、何が悪いのか。どうすればいいのか、阪本先生が提示したものを自分たちの問題として受け止め、答えを出す。プロパガンダではなく、真摯な問いかけだ。自分たちに何ができるのか。自分たちの問題として考えていくためには、自分の身に置き換えるのがまず一 . . . 本文を読む
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窪美澄『夜に星を放つ』

2022-07-28 09:24:17 | その他
ようやく直木賞を受賞できてよかった。3度目のノミネートらしい。以前の2作が何だったのかは知らないけど、彼女の作品なら、どれでもその時に受賞していてもおかしくないだろう。それくらいにいつも完成度が高い。できることなら渾身の長編で受賞してもらいたかったけど、それはまぁ、仕方ないことだろう。 今回の作品は5つのお話からなる短編集だ。いずれもタイトル通り夜空に輝く星を題材にして、取り入れている連作だが、 . . . 本文を読む
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『ゴーストブック おばけずかん』

2022-07-25 19:34:16 | 映画
山崎貴監督のデビュー作『ジュブナイル』がとても好きだ。子供たちが生き生きしていて、彼らとともに時間を旅する香取慎吾が子供たちをしっかりとリードする子供心を今も持ち続ける大人を演じた。今回の作品はあの映画のテイストを引き継いだものだ。彼にとってもある種の原点帰りの一作であり、初心に戻り、今の自分を再確認する、そんな作品になったのではないか。 僕はあの映画を見て彼のファンになった。あんなにも楽しくて . . . 本文を読む
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山内マリコ『一心同体だった』

2022-07-25 10:44:48 | その他
平成の始まりから終わりまでの30年間を背景にして、8人の女性の物語がリレー形式で綴られていく。1990年、10歳だった女の子のお話から始まり、ほぼ5年刻みで、前話に脇役として登場した人物が次の主人公となり、次のお話を担う。10歳、14歳、18歳、20歳、25歳。30歳、34歳、40歳。1990年から2020年。さまざまな状況の8人のはずなのに、それがまるでひとりの主人公のお話のように思える。同じ時 . . . 本文を読む
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劇団大阪シニア演劇大学新3次生『想稿・銀河鉄道の夜 Ver.3.1』

2022-07-25 09:48:02 | 演劇
3年ぶりの本公演となるようだ。コロナのために公演の延期、中止を強いられ続け、ようやく満を持しての上演になる。ここに至る過程は想像を絶する。シニアが演じるというリスクの高さゆえ、慎重に慎重を期して挑む。劇団ではなく「演劇大学」という名目での公演だが、彼らは本気だ。そこには老後の手慰みでしかない甘えはない。これは暇つぶしの遊びや余芸、習い事ではなく、みんながお芝居に全力で挑む。挑戦なのだ。芝居に賭ける . . . 本文を読む
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大谷演劇部『なんてまてき』

2022-07-25 08:53:59 | 演劇
敢えて大谷高校という表記はしない。なぜならこれは中学生が補助ではなく、確実に大事なポジションを担っているからだ。まのせい役のふたりのダンサーが中学生だなんて、ビックリ仰天だ。彼女たちのパフォーマンスの完成度の高さが作品自体のレベルを確実に高める。主人公たちの体を張ったパフォーマンスとの対比が鮮やか。簡素そうに見えて実は見事に考えられた舞台美術。あきれるほどに早いテンポの展開。オペラ『魔笛』を下敷き . . . 本文を読む
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『グレイマン』

2022-07-23 20:47:42 | 映画
ネットフリックスの新作映画だ。先週から劇場公開されているが、1週遅れで配信公開がスタートした。イオンシネマや、大阪ではシネリーブル梅田で上映されてはいるけど、1日1回程度の上映で、それって劇場で見たい人のための上映で、本番は配信公開である。だが、これだけの大作映画が大々的に上映されないのはなんだかもったいない気がする。でも、これが現状なのだ。この映画を大ヒットさせるためにはよほどの上手い宣伝がなく . . . 本文を読む
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桜塚高校『あざみ』

2022-07-23 10:45:49 | 演劇
今年のHPFオープニング作品だ。まず、舞台装置がとてもいい。舞台中央奥に図書館のカウンターと書棚。シンプルだけど、とてもちゃんと作られてある。前面上手(中央ではない)は机が4つ。教室である。こちらもさりげない。机と椅子だけ。それでいい。安易な空間ではない。考えられてある。さて、この図書館。学校図書館ではないし、公共図書館でもないようだ。では、何なのか?  お話は高校3年生になったばかりの教室から . . . 本文を読む
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