温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

韓国の目次

2020年02月21日 | 韓国
2020.2.22作成


当ブログで記事にしてきた韓国の温泉や旅行記を一覧にしました。一部の旅行記を除き、県別に分けております。



海雲台温泉 海雲温泉
海雲台温泉 海雲台温泉センター
東莱温泉 大盛館温泉ホテル
東莱温泉 虚心庁
東莱温泉 マンス湯
水安堡温泉への道
水安堡温泉 水安堡温泉ランド
水安堡温泉 水安堡Hi-Spa
温陽温泉 神井館温泉湯


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温陽温泉 神井館温泉湯

2020年02月16日 | 韓国

年明けから連続して韓国の温泉を取り上げてまいりましたが、今回でひとまず打ち止め。
最後にご紹介するのは、ソウルから容易に日帰り可能な距離にある忠清南道牙山市の温陽温泉(オニャンオンチョン。온양온천)です。韓国で最も古い温泉らしく、その歴史は百済の時代まで遡れるんだそうですが、長らく王朝の保養や湯治に使われ続け、歓楽や庶民の入浴といった用途へ開放されるようになったのは日本統治時代なんだとか。
ソウルからこの温陽温泉へ向かうには、いくつかの方法がありますが、私はKTXで天安牙山駅まで乗り、その駅構内で接続しているソウルの首都圏電鉄1号線に乗り換えて、温陽温泉駅で下車しました。



電車の運転本数は決して多くないのですが、駅舎はなかなか立派。
駅前広場も広く、そのスペースを活かして、私の訪問日には何やらイベントが開催されていました。


駅の周辺には庶民的な街並みが広がっているのですが、温泉を駅名に冠する場所だけあって、駅の徒歩圏には温泉の公衆浴場が点在しています。たとえば入口にアーチが立っている上画像の施設とか・・・


線路に近い場所に位置するこの施設・・・


商店街の中で存在感を放つこの施設や・・・


路地の奥にポツンと佇むこんな施設まで、とにかく駅前周辺をあてもなくフラっと散歩しただけでも、たくさんの温泉公衆浴場を見つけることができました。絶対数は大分県別府に歯が立ちませんが、一定面積当たりの密度でしたら、意外と良い勝負になるかもしれません。できれば、その全てをハシゴしてみたかったのですが、旅程の都合で1ヶ所に絞らざるを得ませんでした。


関西の商店街を彷彿とさせる庶民的なアーケード商店街をどんどん歩いてゆくと・・・


アーケードを抜けた先の広い通りに面して建っているのが、今回私が目指した温泉公衆浴場「神井館(シンジョングァン 신정관)温泉湯」です。男女別の入り口、庇の温泉マークなど、昭和の日本でよく見られた銭湯と同じような懐かしい佇まいに、思わず心が躍ってしまいました。調べたところによると、この浴場は当地で営業する最古の浴場らしく、70年近く前からお客さんに愛され続けているんだとか。なるほど、施設名の下にハングルで「第1号元湯」と書かれていますね。


男女別の入口を入ってすぐのところにある小さなカウンターは、日本の銭湯と同じ番台です。中にいるおばあちゃんに湯銭を支払うと、「入浴券」と漢字で印刷された赤い小さな券が手渡されますので、それを手にして脱衣室へと向かいます。


番台の裏には衝立に囲まれた古い革張りのソファーが置かれていました。何十年にもわたって湯上がり客がここに座り、汗を拭いながら休憩していたのでしょう。茶色い皮革の放つ鈍い光沢が、浴場の歴史を静かに物語っているようでした。


入室するや否や一気に40~50年前へタイムスリップしたかのような錯覚に陥る脱衣室の雰囲気もたまりません。中には三助のおじいさんがいるので、先程手にした入浴券をその方に手渡しました。なお一般的な韓国のサウナと違い、タオルは有料のようです(おそらく200ウォン)。


浴室も一般的な韓国の銭湯に比べると小さいのですが、天井に湯気抜きを設けたその場内は飾り気がなく実用本位。相当の年季が感じられます。九州あたりの古い温泉銭湯を彷彿とさせるその味わい深い雰囲気に私は心を奪われ、しばしその場で立ち尽くしてしまいました。床は全面タイル張りですが、至る所に補修の跡があり、何度も何度も修繕を繰り返しながら今日まで使われ続けてきたことがわかります。

洗い場には7か所のカランが並び、その反対側には立って使うシャワーが5ヶ所取り付けられています。カランやシャワーから出てくるお湯はおそらく温泉でしょう。古い銭湯ですからカランは混合水栓ではなく、熱いお湯と水が別々ですので、カランを使う際には水栓の下に大きな盥を置き、お湯と水を適温に混ぜてから使います。こんなところも九州の古い温泉銭湯みたいです。


温泉浴槽はひとつだけですが、アメーバのような歪な形状をしており、10人は余裕で入れる大きさです。お湯は浴槽内で投入されており、たしかオーバーフローがあったような気がしますが(記憶が曖昧ですいません)、浴槽内に循環用の吸引口は見当たらず、そもそも料金が安いので循環装置を導入しようにもできないでしょう。お湯は無色透明無味無臭でアッサリしたタイプですが、湯船に浸かるとしっかりツルスベ浴感が得られました。泉質はわかりませんが、おそらく弱アルカリ性の単純泉かそれに近いタイプではないかと思われます。湯加減もちょうど良く、レトロな雰囲気の中で実に心地よい湯浴みを楽しむことができました。

泉質不明


ソウル1号線温陽温泉駅より徒歩10分
忠清南道牙山市温陽1洞

3500ウォン
石鹸あり、ロッカーあり、ドライヤー有料(100ウォン)

私の好み:★★★
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水安堡温泉 水安堡Hi-Spa

2020年02月10日 | 韓国

前々回の記事では水安堡温泉までの道のりと温泉街の様子を取り上げましたが、その中で、表通りに面した角の曲面ガラス窓に53℃を示す温度計を大きく描いた建物があることをご紹介しました。この建物は「水安堡Hi-Spa(수안보하이스파)」と称し、図書館や集会所など公的な施設のほか、内部に大きな温泉公衆浴場を擁していますので、入ってみることにしました。



こちらが入口です。たしかに温泉浴場というより、お役所みたいな雰囲気でした。でもその左側には観光地図が掲示されているほか、上部には「1日4800トン」「疲労回復」「53℃」「地下250m湧出」といった当地の温泉をアピールする文言が書かれているので、温泉に関係する建物であることがわかります。



入口ドアの脇に掲示されていたフロア案内。浴場は地下にあり、2階から上には図書館や住民センター・観光協議会など公的な施設が入っているようです。



まずは1階玄関を入り、正面左側の番台で座っているおばちゃんに湯銭を支払います。公営だからなのか、前回記事で取り上げた「温泉ランド」よりも料金が安いんですね。



女湯は番台の左側、男湯は右側という感じで、それぞれ入口が分かれており、番台の前には休憩用のベンチが置かれています。脱衣室は番台と同じ1階にあり、小さな子供なら走り出してしまうのではないかと思われるほど中は広々しています。なお下足箱(任意の場所を使う)の鍵と脱衣室のロッカーキーは共通でした。



浴場は地下なんですね。上画像は脱衣室から浴場へ下る階段を写したもの。全裸になって階段を上下すると、体にぶら下がっている臓器と言うか付帯物と言うか、いわゆる息子(しかもダメ息子)が動きにつられて上下運動を繰り返すので、通常の生活では得られない不思議な感覚を得ながら異国のお風呂へと向かったのでした。

浴場の中では多くのお客さんがいらっしゃいましたので、写真はございません。文章のみですのであしからず。

浴場はとても広く、天井も比較的高いので、地下であることを忘れてしまいます。洗い場も広く確保されており、たくさんのシャワー付きカランが並んでいました。奥の方にはアカスリ場とサウナが、そしてサウナの近くのちょっと高い位置に大きな水風呂がそれぞれ配置されています。私の訪問時には垢すり台の上でオジサンが気持ちよさそうな面持ちでゴシゴシと全身を擦られていましたが、客はもちろん、施術をするオジサンも途中から水着を脱いでスッポンポンになったことには驚きました。

浴場の中央に2つの浴槽が設けられています。主浴槽と称すべき大きなものは湯加減が39℃に設定されており、槽内では泡風呂装置も稼働しています。この湯船に入って天井を見上げると、地元の観光地や名産物・グルメ等を撮った写真が電照パネルになって大きく掲示されていました。湯あみ客に訴えかける地域振興策の一環なのでしょうか。
この主浴槽の隣には、3分の1程度の大きさの副浴槽があり、44℃というちょっと熱めのお湯が張られていました。私が訪れたのは夏の暑い日でしたから、みなさんは39℃の主浴槽かサウナ近くの水風呂に集まる傾向がありましたが、身をシャキッと引き締めたいと考えるオジサンたちは涼しい顔をしながら44℃の湯船に浸かり、瞑目していらっしゃいました。

浴槽のお湯は無色透明無味無臭で癖のないアッサリとしたタイプです。主副量浴槽とも槽内にてお湯が投入されており、いずれにおいても(私が見た限りでは)浴槽内循環が見られず、熱い浴槽から39℃の主浴槽へお湯の流れ込みも見られました。


水安堡温泉では温泉資源を集中管理しており、玄関横には日付とともに、外気温、温泉の湧出温度、この日の湧出(汲み上げ量)、そして供給温度がそれぞれ表示されていました。マニアとしては重要な関心事項です。

安くて広いからか、私が訪問した夕方には常時10人以上のお客で賑わっていました。地元中高年のオアシスなのでしょう。地元の雰囲気が味わえる便利で快適な温泉浴場でした。



忠清北道忠州市水安堡面温泉里227-1(충청북도 충주시 수안보면 온천리 227-1 )
043-846-8898

6:00~21:00 年中無休
入浴6,000ウォン
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★
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水安堡温泉 水安堡温泉ランド

2020年02月04日 | 韓国
前回記事では韓国・忠清北道の水安堡温泉へ辿り着くまでの道のりをご紹介しましたが、今回記事からは実際に当地でお風呂に入ってみることにしましょう。どんなお湯に出会えるのでしょうか。


まず向かったのは、川沿いに建つ大きな入浴施設兼ホテル「水安堡温泉ランド(수안보온천랜드)」です。



玄関からは昭和の日本らしい雰囲気がプンプン香ってきますが、建物自体は2015年にリニューアル済みとのこと。ネットで調べたところによると、当地ではかなり古くからある施設らしく、100年前から営業しているんだとか。お安く泊まることもできるようですが、今回は入浴のみの利用で訪問しました。



玄関入って右手にある受付で料金を支払って、貸しバスタオルを受け取り、玄関前を通過して階段で地下へ下っていきます。




階段の踊り場には水安堡温泉の歴史を描いた絵画や史書が掲示されていました。私はハングルが全く読めないので、残念ながらどんなことが説明されているのかわからなかったのですが、その絵画を見ますと、皮膚病を患ったような人々がお湯に浸かっている姿が描かれていますので、かつては日本の温泉と同じようにかつては湯治目的で利用されていたでしょう。



階段を下った右が女湯、左が男湯。



脱衣室入ると、左右にロッカーがあり、洗面台などは左側に固まって配置されていました。ロッカーは大きくて使いやすく、使い勝手良好です。



脱衣室(だったはず)に掲げられていた2枚の古い写真。
スマホの翻訳によれば、1900年代初頭の当地を撮影したものなんだとか。当時は川の畔に数軒の木造建築が建つ、長閑な秘湯だったのでしょうね。



こちらもスマホの翻訳機能で解読してみると、上画像に写っている建物は公衆浴場であり、1916年8月に近代的な浴場として現在の温泉ランドがある場所に建てられたんだとか。台湾の温泉の多くが日本統治時代に開発されたように、この水安堡温泉も朝鮮王朝時代には発見されていたものの、本格的な開発は日本の統治下にあった20世紀初頭に、民間の日本人によって行われたんだそうです。この写真も当時のものであり、掠れているのでよく読み取れないのですが、写真には「温泉入浴客」「割引」という明らかな日本語的な漢字表記が写っていますので、ハングルが読めない私でも日本統治下の時代の写真であることがわかりました。それにしても、時代や場所を問わず、日本人は温泉に対して飽くなき執念心を燃やしてしまうものなんですね。



さて、歴史のお勉強はそこまでにして、実際にお風呂へ入りましょう。
浴室は広いが天井が低いので、実際の床面積ほどの開放感は無いかもしれません。手前側に洗い場が配置され、シャワー付きカランがたくさん並んでいます。



浴室の右奥にあるのはアカスリ場とサウナ。両者とも韓国の温浴場には欠かせません。



正面奥の、舞台のようにちょっと高くなっている箇所に浴槽が3つ並んでいます。



脱衣室に最も近い方の浴槽は40℃ほどのお湯が張られており、中央のやや小さな浴槽は43℃のお湯、そしてサウナに近い浴槽には冷たい水が張られていました。つまり3つのうち2つが温泉なんだと思われます。また、浴槽の後ろ側には何もないスペースが広く確保されており、日本の温泉みたいに湯船から上がってからそこでトドになる(つまり浴槽の傍で臥して休む)人もいらっしゃいました。

お湯が張られている浴槽には、湯面下まで入り込んでいるパイプから熱めのお湯が少しずつ吐出されていました。浴槽内には循環装置と思しきものは見当たらなかったので、放流式かそれに準じた湯使いかと推測されます(でも私の眼は節穴だらけなので、自信を持って断言できません。あしからず)。
そのお湯は無色透明無味無臭。これといった特徴が無いあっさりしたお湯ですが、43℃の熱いお風呂では、普通のお風呂では得られない温泉らしいシャキッとした気持ち浴感を得ることができました。

施設としては綺麗ですし、大きさもまずまずで使い勝手も良いので、当地を訪れたら利用する価値がある施設と言えるのではないでしょうか。


泉質等不明


忠清北道忠州市水安堡面 (충청북도 충주시 수안보면 주정산로 32)
ホームページ

入浴のみ8000ウォン

ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★
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水安堡温泉への道

2020年01月31日 | 韓国
前回に引き続き韓国の温泉を取り上げます。
私が次に目指したのは、韓国中部の水安堡温泉(スアンボオンチョン)です。


前回記事まで取り上げた釜山からKTX(韓国高速鉄道)で北上し、大田駅で下車します。



次に乗る列車まで時間があるので、一旦駅から出て、駅前に立っているゆるキャラにご挨拶してから街を歩き・・・



食堂でランチを摂って・・・



駅に戻って立派なコンコースで列車の時間までしばらく待機。そして・・・





忠北線の「ムグンファ号」堤川行に乗車します。





長閑な車窓を眺めながら汽車に揺られること1時間40分ほどで忠州駅に到着です。
どうやら駅前から水安堡温泉へ行く路線バスに乗り換えられるらしいですが、バス停を見てもハングルだらけでわかりません。


そこで駅からちょっと離れたショッピングセンター内にある忠州のバスターミナルまで移動し・・・



窓口で人差し指1本(つまり一人)を差し出しながら「スアンボ」と告げたところ、上に写っているバスチケットを購入することができました。
ちなみに、ソウルから水安堡へは直通のバスが運行されているらしく、釜山からのバスもあるらしいのですが、旅行していた時の私はそんな情報も知らず、やみくもに列車とバスを乗り継いでしまったのでした。


忠州バスターミナル発各方面行の英語版時刻表がありましたので、参考までに掲載いたします(2019年8月現在)


水安堡方面へ行くバスは長距離路線仕様でした。ゆったり座れて快適。


30分ほどで水安堡に到着しました。


温泉街と言うより、ひなびた田舎町といった感じの街並み。


バス通りには温度計を模した外観のビルが建っていました。ここには温泉の公衆浴場があるんですね(後日紹介いたします)。外壁(ガラス窓)の温度計には53度と書かれていますが、これは当地の温泉の湧出温度のようです。火山の無い韓国で50℃以上の温泉が湧くことは大変珍しいのでしょう。


街中にはこのようなモニュメントや・・・


温泉を記念する石碑が閉てられていました。よくわかりませんが、とにかく歴史がある温泉地のようです。


こちらはおそらく貯湯タンクでしょう。このタンクにも53℃の文字が記されています。街中に貯湯タンクがあるということは、当地では温泉のお湯を一括管理して各施設へ配湯しているのかもしれません。


街を流れる川沿いには・・・


足湯を備えた綺麗な公園が整備されていましたが、訪問時、足湯のお湯は抜かれていました。


当地はキジ料理が名物なんだとか。温泉街で営業している食堂の多くでは、店頭にキジの写真やイラストを大きく描いていました。



日が沈むと、温泉街の街路にはこんなイルミネーションが灯されました。でもこの光が温泉街の寂しさをより一層際立たせてしまうのですが・・・

さて、次回記事からは水安堡温泉のお風呂を取り上げてまいります。
コメント (4)
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