温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

青根温泉 名号湯

2023年11月28日 | 宮城県

(2022年10月訪問)
今回記事からしばらくの間はみちのくの温泉を連続して取り上げてまいります。東北は私の第二のホームグラウンドと言うべきエリアですので、ブログ記事を書いている時でも訪問時を思い出して気分が高揚してしまいます。
宮城県青根温泉は、蔵王連峰の麓にある温泉地で、拙ブログでもこれまで何度が取り上げています。今回取り上げる「名号湯」は、かつて「大湯」とともに当地の共同浴場として親しまれてきましたが、2006年の「じゃっぽの湯」開業に伴って「大湯」とともに一旦閉鎖されてしまいました。その後、「大湯」は旅館「湯元不忘閣」の宿泊者専用内湯として復活。一方「名号湯」は長年閉鎖されたままでしたが、数年前に貸切風呂としてようやく復活に至っています。

私は蔵王山麓に紅葉が広がり始めた2022年10月に利用させていただきました。利用に際しては事前の予約が必要です。私の利用時にはネット(じゃらん)からの予約を求められましたが、この記事をしたためるに当たって現状を確認したところ、現在はネット予約ではなく、前日から電話予約のみ受け付けるスタイルへ変更されたようです。なお私が予約した時には、予約確定メールに利用方法や守るべき決まり事がいろいろと説明されていまたのですが、電話予約のみの現在は電話越しで説明を受けるのでしょうか。今回記事ではメールでやりとりしていた2022年時点での利用方法をご紹介します。現在と異なる可能性がありますので、その点はご了承ください。
出入口は男女別に分かれており、ドアには暗証番号式の電子錠が取り付けられていますので、メールに記載された番号を入力することで開錠されてドアが開きます。


こちらの浴場は無人施設です。
上画像はドアを開けたところに位置する更衣スペースの様子。カゴ、ドライヤー、扇風機、綿棒など、各備品類が用意され、室内は綺麗に維持されています。上述の通り、私の利用時はじゃらんで予約したものの、支払いは現地で現金払いでしたので、メールでの指示通り、洗面台のミラー下に置かれている小箱へ料金を投入しました。


浴室はシンプルな設えながら綺麗に維持されており、どなたでも気持ち良く利用することができます。
なお洗い場にはシャワー付き混合水栓が設置されており、私の利用時には石鹸類の備え付けが無かったものの、現在ではボディーソープやシャンプー類が備え付けられているそうですので、タオルさえあれば湯浴みを楽しめますね(タオル類の販売はありません)。


浴槽はタイル張りで縁には木材が採用されています。その大きさは目測で2.5×1.8メートル程でしょうか。
無色透明の綺麗に澄み切ったお湯が静かに張られていました。加温加水循環消毒が一切ない完全掛け流しの湯使いです。


湯口からトポトポと投入されるお湯は無色透明無味無臭で、サラサラやスルスルといった形容が相応しい、やや熱めですが、優しく癖のない上品なお湯です。完全かけ流しのお湯は鮮度感も抜群。あまりの気持ち良さにいつまでも入っていたくなり、後ろ髪を引かれてしまいますが、貸切の時間には制限があるので、時間ギリギリまで湯船に浸かって、その浴感をしっかりと心身に滲み込ませました。


混合泉(新名号の湯・花房の湯・新湯・山の湯源泉・蔵王の湯・大湯)
単純温泉 49.5℃ pH7.5 溶存物質849.6mg/kg 成分総計868.8mg/kg
Na+:207.6mg(84.47mval%), Ca+++:23.2mg(10.85mval%),
Cl-:71.3mg(19.27mval%), SO4--:220.3mg(44.01mval%), HCO3-:224.4mg(35.28mval%),
H2SiO3:75.2mg,
(平成30年11月26日)
加水加温循環ろ過消毒なし

宮城県柴田郡川崎町青根温泉4-6
.ホームページ(「一棟温泉宿」公式サイト内)
予約電話番号は上記サイト内にてご確認ください。
なお予約は利用の前日から受付とのことです。

7:00〜18:00 利用可能時間:50分間
1名利用時 1,200円 / 2名以上利用時は一人につき1,000円

私の好み:★★★
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松崎温泉 炉ばた館

2023年11月22日 | 静岡県

(2022年10月訪問)
前回記事に引き続き西伊豆の松崎を巡ります。今回訪ねるのは松崎市街の南部、道部交差点(丁字路)の角に位置する「旅宿炉ばた館」です。一見すると何の変哲もないごく普通の民家のようであり・・・


玄関もやはり民家と勘違いしてしまいそうな佇まい。でもれっきとした温泉宿なのです。しかも訪問した時期には立ち寄り入浴ができるという情報を得ていたので、余計に驚きます。私も実際に訪ねるまでは「本当に立ち寄り入浴できるのかしら」と不安でいっぱいだったのですが、引き戸を開けて中に入り、奥にある帳場で声を掛けたところ、快く受け入れてくださいました(現在の立ち寄り入浴営業実施状況については直接施設へお問い合わせください)。


お風呂は帳場の目の前にあります。ドアを開け、細長くて質素な脱衣室を抜けて浴室へ。
建物の外観から想像できるように、お風呂は民宿のようなこぢんまりとした作りで、露天が無い内湯のみの質実剛健タイプ。床はタイル張り。洗い場にはシャワーが4つ設けられています。


浴槽は台形のような形で2〜3サイズ。岩が積まれた湯口から温泉がチョロチョロと投入されています。おそらく供給されてくるお湯が熱いので、投入量を絞ることによって湯加減を調整しているのでしょう。加水加温循環消毒なしの完全掛け流しです。前回記事で取り上げた国民宿舎「伊豆まつざき荘」と同じ町有源泉を引いていますが、こちらのお風呂ではトロトロとしたお湯はお湯の特徴がよく実感でき、浴感は頗る良好です。


湯口周りのみならず浴槽の縁にまで白い析出が付着していますね。
お湯からは石膏味と芒硝風味がしっかりと感じられ、松崎混合泉の特徴や持ち味がはっきりと実感できます。
しかも余計な設備がないためお湯の良さとじっくり対峙できます。
松崎のお湯の良さを再認識できますので、温泉ファンにはおすすめです。


混合泉(町営6号泉(松崎6号)、町営9号泉(松崎13号)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 52.8℃ pH8.6 成分総計2.077g/kg
Na+:310.9mg, Ca++:308.9mg,
Cl-:80.6mg, SO4--:1288mg,
H2SiO3:57.1mg,
(令和4年6月29日)

静岡県賀茂郡松崎町道部58-2
0558-42-3070
ホームページ

日帰り入浴15:00以降(時間は施設へお問い合わせください)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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松崎温泉 伊豆まつざき荘

2023年11月17日 | 静岡県

(2022年10月訪問)
風光明媚な西伊豆にはたくさんの温泉が湧いており、なかでも松崎エリアはなまこ壁の街並みと美しい自然が相まって観光地として人気がありますが、今回はそんな松崎市街の入り江に面して建つ国民宿舎「伊豆まつざき荘」で日帰り入浴した際のことをレポート致します。

港町である松崎の市街地は駿河湾に面して入り江のような地形を有しており、「伊豆まつざき荘」はその入り江の北側に立地しています。6階建のホテルで、日帰り入浴の利用も可能。1階の立派なフロントで入浴したい旨を申し出ると「町内の方ではないですよね」と聞かれたのですが、後で調べたところによると、松崎町民の入浴料金はなんと半額。ご当地にお住まいの方がちょっぴり羨ましくなりました。私は町外ですので通常料金を支払いますと、引き換えに小さなタオルを下さいました。それを手にしてエレベーターに乗り、最上階へと向かいます。


国民宿舎「伊豆まつざき荘」の開業は東京オリンピックと同じ1964年。その前年には町営の温泉源泉掘削に成功しておおり、開業当初から大浴場へ温泉を引いていたそうです。2006年に現在の建物へ全面リニューアルされ、現在でも館内は大変綺麗に維持管理されています。
上述の通り温泉浴場は最上階(6階)にあり、通路を進んだ突き当たりの左右に男女の暖簾が掛けられていました。なお貸切風呂も用意されていますが、これはおそらく宿泊者向けの設備かと思われます( 45分間1100円。現地予約制16:00~22:00)。
脱衣室も綺麗で広く、天井も高いので明るく開放的です。ロッカーのほか冷水機など各種設備が用意され、使い勝手は良好です。


お風呂は松崎の入江を展望する気持ちの良いロケーション。さすがに6階の高さですので見晴らし良好です。足元には伊豆青石が敷き詰められているので、室内を歩いた際に足裏から伝わってくる感触も快適。
男湯の場合、浴室へ入って右手に洗い場が配置され、シャワーが計12ヶ所設置されています。またシャワーの手前には掛け湯の枡も設けられています。なおシャワー・掛け湯ともにお湯は水道の沸かし湯です。


海に面した窓の下に同じサイズの浴槽が2つシンメトリに配置されています。それぞれの大きさは目測で4.5m✕2mの6~7人サイズといったところでしょうか。海に向かって左はぬる湯、そして・・・


右があつ湯という設定になっているのですが、でも私の利用時には双方であまり温度差が見られなかったような気がします(湯口はたしかにあつ湯のほうが熱かったのですが)。なお両方の浴槽とも、湯口は焼け爛れたような赤茶色に染まっており、温泉成分の存在をビジュアル的に入浴客へ訴求しているかのようでした。


内湯の奥にあるドアを開けると、そこには露天風呂がお湯を湛えていました。
露天の浴槽は5〜6人サイズでしょうか。伊豆青石張りだった内湯とは異なり、こちらは石材を多用した設えです。


静かな入り江越しに駿河湾が遠くまで眺望でき、大変気持ちの良い入浴環境です。また松崎の景勝地である弁天島(陸繋島)が目の前にあり、露天からは遊歩道を歩く人の姿も見えました。正直なところ柱や梁がちょっと鬱陶しく感じることもありますが、こればかりは構造上仕方ないところでしょう。


赤茶色に染まった内湯の湯口とは対照的に、露天の湯口には白い析出が付着していました。同じ源泉なのに現れ方が異なる点は興味深いですね。なお湯加減維持のため、この湯口のほか、浴槽内からもお湯が投入されています。
このお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で湯の花などは無く、湯口のお湯を口に含んでみますと石膏の味と匂いが淡く感じられました。循環ろ過消毒が行われていない放流式の湯使いですが、加水加温されており(おそらく加温された水道水が投入されているものと思われます)、それが原因なのか成分表示よりも知覚的特徴が薄く感じられました。あくまで個人的な感想ですが、同じ松崎の混合泉でも、以前このブログで紹介した「豊崎ホテル」の方がお湯の感覚は濃く現れているように思う一方、施設の開放感や明るさ、新しさ、眺望などは「伊豆まつざき荘」に軍配が上がるため、なんだかんだでどちらも甲乙つけがたいな、などと無責任な意見を述べて今回の記事をおしまいに致します。


混合泉(町営6号泉(松崎6号)、町営9号泉(松崎13号)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 52.8℃ pH8.6 成分総計2.077g/kg
Na+:310.9mg, Ca++:308.9mg,
Cl-:80.6mg, SO4--:1288mg,
H2SiO3:57.1mg,
(令和4年6月29日)
加水あり(適温を保つため)
加温あり(冬期のみ適温を保つため)
循環ろ過消毒なし

静岡県賀茂郡松崎町江奈210-1
0558-42-0450
ホームページ

日帰り入浴14:00~20:00
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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野沢温泉 新田の湯

2023年11月05日 | 長野県

(2022年6月訪問)
野沢温泉の共同浴場では「熊の手洗い湯」が近年全面改築され、伝統的な趣きを残しながらもすっかり綺麗な姿へ生まれ変わりましたが、同様に最近建て直された共同浴場がもうひとつあります。今回取り上げる「新田の湯」は2018年に全面改築され、入口の破風や高い湯気抜きなど以前の姿の特徴を残しつつ、以前のような白壁ではなく材木の素材感を全面的に活かした総木造の湯屋建築として、完全リニューアルされました。


男女別の浴室へ入ってみましょう。
内部構造としては、野沢温泉の他の共同浴場と同じく、脱衣ゾーンと入浴ゾーンが一体化している伝統的な造りを踏襲しており、壁や天井などに全面採用されている木材の美しさと温かみが優しく湯浴み客を包んでくれることでしょう。
浴槽は横に長い長方形で、3~4人サイズといったところでしょうか。浴槽には無色透明のお湯が掛け流されており、湯中では白い湯の花がたくさん浮遊しているのですが、浴槽縁の黒御影石がビジュアル的な引き締め効果をもたらしており、また白い湯の花との色彩的な対比も成していて、木材の美しさも相俟って、実に心地よい空間です。

引かれているお湯は麻釜で湧出する複数の源泉をメインとする混合泉。無色透明ながらも硫黄感がしっかり得られ、ちょっと熱めながらも心身が冴え、湯上りのさっぱり感もあり、実に良いお湯です。
湯屋を新しくしても伝統的な建築を残そうとしてくださる地元の方々に感謝です。


丸釜・茹釜・竹挿し釜・下釜・御嶽の湯混合
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 77.0℃ pH8.8 湧出量記載なし 溶存物質1.059g/kg 成分総計1.059g/kg
Na+:203.7mg(65.87mval%), Ca++:87.0mg(32.27mval%),
Cl-:86.5mg(17.02mval%), HS-:5.2mg, SO4--:529.0mg(76.78mval%), CO3--:15.0mg,
H2SiO3:104.1mg,
(2014年11月14日)

私の好み:★★★
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野沢温泉 横落の湯

2023年11月02日 | 長野県

(2022年6月訪問)
野沢温泉の共同浴場といえば大湯に代表されるような立派な木造湯屋建築が印象的ですが、肩ひじを張らず周辺の建物と同化しながらひっそりと佇む共同浴場もあります。今回取り上げる「横落の湯」もそんな浴場のひとつ。バスターミナル付近の十字路付近に位置しており、浴場がある建物を表通りから見るとインバウンド向けのお店が目立っているため、どこに浴場があるのかわかりませんが・・・


十字路から坂の下の方へまわってみると、出入口には浴場名が揮毫された扁額がかかっており、ここに至ってようやく共同浴場であることがわかります。


男女別の浴室には、他の共同浴場より若干大きなサイズの浴槽が一つずつ据えられています。黒い御影石の縁により、お風呂が引き締まって見えますね。お風呂そのものの造りは至って質素で、これは他の共同浴場と共通していますね。
引かれている源泉は丸釜・茹釜・竹挿し釜・下釜・御嶽の湯のミックス。つまり麻釜で湧出する源泉をメインにした混合泉ということでしょう。なお以前は茹釜と下釜の2源泉混合だったようですが、現在は上述の6源泉混合となっているようです。湯船のお湯は無色透明で、硫黄感がそこそこしっかり感じられます。ちょっぴり熱いけれども、その分シャキッとする爽快感も得られ、風呂上がりのさっぱり感もしっかり。いかにも野沢という感じの良いお湯です。

バスターミナルから最も近い共同浴場ですので、バスへ乗り込む直前にひとっ風呂浴びたくなったら、こちらを利用してみるのも良いかもしれません。私個人としては、こうした隠れキャラ的な目立たぬ存在の共同浴場に愛着を感じてしまいます。


丸釜・茹釜・竹挿し釜・下釜・御嶽の湯混合
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 77.0℃ pH8.8 湧出量記載なし 溶存物質1.059g/kg 成分総計1.059g/kg
Na+:203.7mg(65.87mval%), Ca++:87.0mg(32.27mval%),
Cl-:86.5mg(17.02mval%), HS-:5.2mg, SO4--:529.0mg(76.78mval%), CO3--:15.0mg,
H2SiO3:104.1mg,
(2014年11月14日)

私の好み:★★+0.5

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