温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

草津温泉 極楽館 2021年8月再訪(その2・3つの貸切風呂)

2022年05月25日 | 群馬県
前回記事の続編です。


さて、お部屋に荷物を置いたら、浴衣に着替えて1階に下り、渡り廊下を歩いてお風呂へ向かいましょう。
前回記事でも述べましたが、こちらのお宿にはお風呂が3室あり、全て貸切で利用します。なお貸切に当たって予約は不要。空いているお好みのお風呂を使うことになります。


3つ並ぶお風呂のうち「極」は右側に位置しています。以前こちらを取り上げた際の記事でも「極」に入っていますので、拙ブログで紹介するのは2度目です。


後述する「楽」や「一坪」に比べ、格子の窓が2方向に設けられている「極」は明るく、実際の床面積以上に広く感じられます。お風呂は2人がゆったり入れるサイズ。大きな○玉をぶら下げたオスの狸の石像が置かれている湯口より、お湯が滔々と注がれており、私が湯船に入ると洗い場へ勢いよくお湯が溢れ出ていきました。絶妙な湯加減のお蔭でじっくり名湯を堪能できます。


直角に位置する格子窓の角に洗い場が設けられ、その角には大日如来が祀られています。仏様に見守られながら湯浴みするのもなかなか良いものですね。


続いて「楽」と、その奥にある「一坪の湯」にも入ってみましょう。


「楽」のお風呂は「極」とシンメトリーに近い構造で、湯船の大きさもおそらく同じかと思います。相違点として「楽」は窓が1ヶ所であることと・・・


湯口の上に置かれた狸がおかめ姿のお嬢さんである点です。
このおかめ狸さんは大きな茸を抱えていて、なんとも意味深ですね。もしかしたら子宝に恵まれるのかも。


一方、「一坪の湯」は本当に1坪(2畳)、つまり約3.3㎡程度しかないコンパクトなもので、親密さを楽しみたいカップルにはもってこいかもしれませんね。狭いながらもちゃんとシャワーがあり、使い勝手に問題はありません。もちろん他の2室と同じお湯が注がれており、湯船が小さい分、オーバーフロー時のあふれ出しが豪快なので、お湯が溢れる贅沢な感覚を味わいたい方にもおすすめです。

お湯はちょっとぬるい自家源泉「大日の湯」と、町有で熱い「西の河原源泉」をブレンドさせることにより、加水することなく入浴に適した温度にしています。共同浴場も旅館も、草津のお風呂はちょっと熱めである場合が多いのですが、こちらは40~41℃ほどなので、じっくりと長く浸かっていられます。また基本成分が硫酸である草津のお湯はえてして体への刺激が強く、源泉によっては湯船へ入った瞬間からピリピリとした刺激を受けますが、「大日の湯」源泉を主体とするこちらのお湯は刺激がさほど強くなく、湯中では優しいフィーリングに包まれます。それでいて、湯船に浸かっていると心臓が激しく拍動しはじめ、全身が力強く温まります。大日様の霊験あらたかな名湯は、優しくてパワフルなのです。

私は宿泊中に3つのお風呂を何度も入って、この名湯を存分に楽しみました。
リーズナブルで且つ利便性が高く、お湯も素晴らしい。みなさんにおすすめしたいお宿です。


大日の湯・西の河原源泉 混合泉
酸性-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 42.1℃ pH2.1 蒸発残留物1.34g/kg 成分総計1.49g/kg
H+:7.95mg, Na+:53.8mg, Ca++:67.8mg, Mg++:30.9mg, Al+++:42.3mg, Fe++:11.9mg,
F-:12.3mg, Cl-:311mg, Br-:1.4mg, SO4--:539mg, HSO4-:144mg,
H2SiO3:202mg, H2SO4:2.9mg, CO2:20.5mg, H2S:0.5mg,
(平成23年8月4日)
加温加水循環消毒なし

群馬県吾妻郡草津町草津507 
0279-88-2142
ホームページ

日帰り入浴については施設へお問い合わせください。
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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草津温泉 極楽館 2021年8月再訪(その1・客室と食事)

2022年05月20日 | 群馬県

(2021年8月訪問)
昨年(2021年)の夏、地獄釜みたいな東京の猛暑から逃げ出したくなった私は、7月につづき8月も草津温泉へ向かったのでした。8月訪問時お世話になったのは、以前拙ブログでもご紹介した「極楽館」です(以前の記事はこちら)。大正時代に開業した老舗で、2011年からは素泊まり専門の宿として生まれ変わり今日に至っています。こちらでは3つある浴室全てが貸切利用するスタイルを採用しており、他のお客さんに気兼ねすることなく落ち着いて入浴することができます。また食事については温泉街にある多くの飲食店でカバーできるのみまらず、館内にもレストランが併設されていますので、素泊まりとはいえ実質的には宿の中で食事を摂ることも可能です。そんなこんなで何かと便利なこの「極楽館」で一泊お世話になりました。


1階の「カフェ・スパ・ノイエポスト」でチェックインを済ませた後、ちょっと急な階段を上がってお部屋へ向かいます(館内にはエレベータがありません)。
今回通されたのは3階のこのお部屋。明るい角部屋の和室で、ひと通りの設備は備わっており、Wifiも使えて便利です。
なお今回の私の訪問目的は避暑だったわけですが、もちろんエアコン無しで快適に過ごすことができました。


窓からは西の河原通りを見下ろせます。この日も、通りの途中にあるお店で買った食べ物を口にしながら歩く観光客や、どこかの旅館に泊まっている浴衣姿の宿泊客が、湯畑へ西の河原へとひっきりなしに通りを往来していました。


館内には宿泊者用共有スペースがあり、温泉街にあるコンビニで買ってきたお弁当を電子レンジで温めて、ここで食べることもできますが・・・


今回の宿泊で私は旅館内のレストランで夕食・朝食ともお世話になりました。
上画像は夕食時に2階「ノイエ・ポスト・ダイニング」でいただいたカレードリアです。ドイツ語で店名が表記されているこちらのお店は欧風カレーやソーセージ、そして各国のビールなどがいただける洋食屋さん。私はカレーやチーズが大好きなので、両方が一度に味わえるカレードリアは正に大好物。この他ビールと、ビールに合うようなソーセージの盛り合わせも注文。ちょっとしたドイツ気分を楽しめました。客室側の廊下からスリッパを履いたまま店内へ行けるので便利です。


翌朝は1階「カフェ・スパ・ノイエポスト」でモーニングセットのサラダとベーコンレタスサンド、そしてコーヒーを注文しました。シャキッとしたレタスに自家製ドレッシング、そしてジューシーなベーコン、それら全てが美味。

一般的に温泉旅館に泊まると、どうしてもボリューム過多な和食のオンパレードになり、たまに飽きてしまうこともありますが、このように館内にあるレストランを任意で利用でき、かつ洋食がいただけるので、いつもと違う温泉旅館の旅を楽しむことができ、とても利用価値が高いかと思います。

さて、次回記事ではお宿ご自慢の源泉「大日の湯」が張られているお風呂を取り上げます。

次回記事に続く。
コメント (2)
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草津温泉 草津館 2021年7月再訪

2022年05月10日 | 群馬県

(2021年7月訪問)
前回まで連続して草津温泉の旅館を巡り、お宿ご自慢のお風呂に入らせていただきました。各旅館の訪問に際しては、加盟旅館に宿泊した時のみ購入できる和風村「湯めぐり手形」を利用したのですが、その際に宿泊した旅館は、以前拙ブログでも取り上げたことのある「草津館」でした。以前の記事でも述べましたが、こちらで所有する自家源泉「若の湯」があまりに素晴らしく、あのお湯に浸かって一晩ゆっくり過ごしたいと思い続けていたため、仕事で心身の疲労がピークに達した2021年7月の某日、宿泊でお世話になったのでした。


物腰が柔らかくて心優しそうな女将さんに案内されたのは、3階「月の間」。部屋の広さは10畳あり、窓からは隣接する「御座の湯」の様子がよくわかります。室内にはトイレや洗面台、そしてファンヒーター・窓エアコンが設けられています。冬にはファンヒーターが必要になりますが、夏は日が暮れたら涼しくなりますので、エアコンを使う機会はあまり無いと思います。地獄のような東京の猛暑の中で暮らしていると、どうしてもエアコン漬けになってしまい、機械的な冷風のために体調を崩してしまいがちですが、そんなときには涼しい草津温泉へ避暑し、エアコンを使わないで過ごすことをお勧めします。草津の湯に浸かってエアコン不要の環境でのんびり過ごせば、心身の疲れが忽ち回復しますよ。なおwifi環境も良好ですから、テレワークができちゃうかもしれませんね。


洗面台の水は山の湧水なんだそうです。
実際に飲んでみると、非常にうまい!


早速浴衣に着替えて1階のお風呂へ。
暖簾を潜った先にある脱衣場へは数段のステップを下ります。そして脱衣室からお風呂へ向かう際にもステップを下るんです。全国を温泉巡りをしていると、どんどん下ってゆくお風呂はえてして名湯であることに気づくため、このような造りのお風呂に出会うとワクワクします。


男女別の浴室は内湯のみで露天風呂はありません。でも一つの浴室内に2つの異なる源泉が引かれており、一粒で二度美味しい欲張りなお風呂になっています。脱衣室・浴室内ともに木のぬくもりが感じられる木造で、足元は切り出し石材が敷き詰められています。伝統的な材質によって作られたこの浴室からは、老舗温泉旅館らしい安心感と重厚感が伝わってきます。


手前側の小さな浴槽はお宿の目と鼻の先で湧いている白旗源泉のお湯です。灰白色に濁ったお湯の中ではいろんな大きさの湯の花が浮遊しており、お湯を口に含むと強い収斂酸味や金属味が口の中に広がって口腔の粘膜を刺激するとともに、アルミ箔を齧った時のような独特の感覚が口の中に広がりました。
多少熱めの湯加減ですが、石造りの浴槽はどっしりと入り応えがあり、熱いながらもお湯の濃さをじっくり味わいたくなる不思議な湯船です。


奥の大きな浴槽が、ここでしか入れない自家源泉「若の湯」。手前の白旗源泉と違ってこちらは白濁しているものの透明度が比較的高く、また浴槽内部が全体的に緑色に染まっています(イデユコゴミのような温泉藻の影響でしょうか)。
そして何と言っても素晴らしいのが、誰しもを長湯に誘う絶妙な湯加減です。湯口の上には3分の砂時計が置いてあるのですが、私は5回ひっくり返しても浸かり続けられる程でした。尤も草津のような強いお湯に長く浸かるのはあまり良くないのですが、わかっちゃいるけど、でもついつい長く入り続けたくなるほど蠱惑的な極上浴感なのです。


湯口のお湯を口に含んでみますと、白旗源泉と比べて若干優しく、航空の粘膜を刺激する収斂も幾分穏やかなように感じられます。また白旗源泉は酸味が強く前面に押し出されて感じられましたが、若の湯は柑橘類のような果実感を伴っており、ほろ苦味も混在することで、複雑かつ奥深い味を得ることができました。
品が良くて且つ入りやすい温度で湯船へ流れ込む自家源泉「若の湯」。あまりに素晴らしいので、宿泊中は何度も部屋とお風呂を往復してしまいました。


前回の記事でもご紹介しましたが、館内の窓から「若の湯」が湧出している様子を見ることができます。
湧きたてのお湯が僅か数メートル流れた後、そのまま浴槽へ注がれているのです。お湯の状態が良いのは当然ですね。
避暑と湯あみによりすっかり元気を取り戻した私は、足取り軽く東京へと戻ったのでした。仕事に疲れたらまたこちらのお世話になるつもりです。


若の湯
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 50.5℃ pH2.0 湧出量測定不能(自然湧出) 溶存物質1.80g/kg 成分総計1.92g/kg
H+:10.2mg(38.88mval%), Na+:56.1mg, Mg++:35.4mg, Ca++:73.9mg(14.11mval%), Fe++:18.8mg, Al+++:49.4mg(21.03mval%),
F-:9.3mg, Cl-:326.6mg(34.38mval%), SO4--:701.3mg(54.50mval%), HSO4-:241.7mg,
H2SiO3:234.2mg, H2SO4:6.2mg, CO2:110.0mg, H2S:6.0mg,
(令和元年12月2日)

白旗源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 50.8℃ pH2.1 湧出量測定せず(自然湧出) 溶存物質1.66g/kg 成分総計1.76g/kg
H+:8.91mg(36.30mval%), Na+:54.4mg, Mg++:37.4mg(12.63mval%), Ca++:76.5mg(15.67mval%), Fe++:17.6mg, Al+++:43.9mg(20.04mval%),
F-:9.5mg, Cl-:310mg(35.19mval%), SO4--:651mg(54.61mval%), HSO4-:195mg, Br-:1.5mg,
H2SiO3:216mg, H2SO4:4.4mg, CO2:88.0mg, H2S:7.7mg,
(平成25年5月15日)

草津温泉バスターミナルから徒歩4〜5分(約350m)
群馬県吾妻郡草津町草津甲419  
0279-88-2027
ホームページ

日帰り入浴時間要問い合わせ
800円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★★

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草津温泉 群龍館

2022年05月01日 | 群馬県

(2021年7月訪問)
前回記事に引き続き、草津温泉の和風村「湯めぐり手形」を使って旅館のお風呂を巡ります。前回記事で取り上げた「山本館」から西の河原通りを奥の方へ進んでゆくと、まもなく見えてくるお宿が今回取り上げる「群龍館」です。老舗旅館とはいえ、外観は昭和40〜50年代の中小規模旅館そのものであり、草津温泉というよりも、山形県の赤倉温泉や岩手県の鶯宿温泉に立ち並ぶ旅館を彷彿とさせるようなファサードです。


実際に玄関から中へ入りますと、館内には家庭的な雰囲気が漂い、老舗ならではの敷居の高さや入りにくさはあまり感じられず、親戚が営むお店へお邪魔するかのような気兼ねない感じで尋ねることができるかと思います。こちらのお宿は基本的に日帰り入浴を受け入れていないのですが、和風村「湯めぐり手形」を使えば入浴のみの利用も可能になります。私が手形を提示しながら入浴をお願いしますと、お宿のご主人が実に丁寧に対応してくださいました。あまりに腰が低いため、こちらもついつい恐縮してしまいますが、嫌な顔せず歓迎してくださるので、とてもありがたいですね。


ご主人に案内されながらエレベーターで下のフロアへ移動します。
お風呂は3室あり、いずれも、日帰り利用の場合でも貸切で使用します。今回は最も手前側に浴室を案内してくださいました。
まずドアにかかっている上画像の札を・・・


裏返して「入浴中です」を表示させてから、いざ入室です。


お風呂は最近改修したのでしょうか、ウッディーな温もりが伝わる室内は、シンプルな作りながら、とても綺麗で明るく清潔感にみなぎっています。


洗い場にはシャワーつき混合水栓3つ並んでいます。水圧良好です。


浴槽はタイル張りで4~5人サイズでしょうか。注がれているお湯は前回記事の「山本館」と同じ白旗源泉なのですが、「山本館」のお風呂と比べると濁り方が若干弱いような気がします(気のせいかも)。一方、湯加減はこちらの方が入りやすく、じっくりと湯浴みでき、後を引いてなかなか出られなくなってしまうほど良い湯です。しかも貸切なので他の人に気を遣う必要もなし。良泉を独り占めしながら、たっぷり堪能させていただきました。おすすめ。


白旗源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)
50.8℃ pH2.1 湧出量測定せず 溶存物質1.66g/kg 成分総計1.76g/kg
H+:8.91mg(36.30mval%), Na+:54.4mg, Mg++:37.4mg(12.63mval%), Ca++:76.5mg(15.67nval%), Al+++:43.9mg(20.24mval%),
F-:9.5mg, Cl-]310mg(35.19mval%), SO4--:651mg(54.61mval%), HSO4-:195mg(8.11mval&), Br-:1.5mg,
H2SiO3:216mg, H2SO4:4.4mg, CO2:88.0mg, H2S:7.7mg,
(平成25年5月15日)
加水加温循環消毒なし

群馬県吾妻郡草津町大字草津394-2
0279-88-2079
ホームページ

日帰り温泉は和風村「湯めぐり手形」利用時のみ可能

私の好み:★★★
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