温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

下風呂温泉 大湯 惜別入浴

2020年11月24日 | 青森県

前回に引き続き、2020年11月末を以て閉鎖される下風呂温泉の2軒の公衆浴場を取り上げます。前回は「新湯」でしたが、今回は「大湯」です。「新湯」同様、建物の外側に券売機がありますので、まずはそこで入浴券を購入し、券を手に取って男女別の入口から中に入ります。


下足場では風間浦村のマスコットキャラクター「あんきもん」が、お別れのプレートを抱えながら入浴客をお出迎え。ウインクしているのは、愛想を振りまいているのか、はたまた悲しみを表現しているのか・・・。私が訪ねたのは、閉館までちょうど3週間。プレートも日々カウントダウンしています。「新湯」同様にノートが置かれており、当地を訪ねた旅人や温泉ファンが思い思いにコメントを寄せていましたので、私も勝手ながら下風呂温泉に対する想いを書かせていただきました。


昭和の面影を色濃く残す脱衣室に入り、入浴券を番台のおばちゃんに差し出します。冷蔵庫にはビン牛乳が並べられていましたので、私も湯上りにグビっと一気飲みしちゃいました。もちろん腰に手を当てながら・・・。
画像をご覧のように私が訪問した時にはどなたもいらっしゃいませんでした。というのも朝一番で伺ったのです。実は前夜にも利用しているのですが、その時には地元の方がたくさんいらっしゃいましたので、翌朝出直したのです。前夜は湯気で真っ白く霞んだ浴室の中、強い下北弁が方々から飛び交い、みなさん翌日襲来するらしい寒波について話していらっしゃいました。利用することでその地方の方言のみならず、会話から風土、生活、文化などが伝わってくるのは、公衆浴場が持つ大きな魅力ですね。


木の床に、漁船の船底のようなコバルトブルーの浴槽。これぞまさに下風呂温泉の公衆浴場です。
画像を見ますと、まだ洗い場の床板が乾いていますね。上述のように朝一番で伺ったので、つまり一番風呂なわけです。入室した瞬間、鼻孔を突いてくる硫黄の湯の香に思わずニンマリ。そして口開けの一番風呂に巡り会えた幸運にもニンマリ。自分では気づかなかったのですが、けだしこの時の私は気持ち悪いくらいにニヤニヤしていたのではないでしょうか。ところで、この床板は温泉のお湯で濡れると大変滑りやすく、数年前に私もこの床で滑って顔面右半分を思いっきり痛打した苦い思い出があります。ニヤニヤしながらもそんな経験を思い出し、浮かれて再び滑らないよう注意しながら、桶でお湯を汲んで掛け湯させていただきました。


窓の沿って並ぶ洗い場。いかにも昭和らしい公衆浴場ながら、水栓一つ一つの設置間隔が広く、ソーシャルディスタンスが叫ばれる以前からしっかりディスタンスが確保されていました。もちろん設置した当時はそんなことなんて微塵も考慮されていないかと思いますが・・・。


コバルトブルーの浴槽は2つあり、それぞれ同じ大きさなのですが、温度別に分かれていて、脱衣室側がぬるめ、もう一方が熱めです。ぬるめと言っても一般的なお風呂より熱いことが多く、前夜に利用した際にも、当地の旅館に宿泊している浴衣姿のお客さんが、このぬるめの浴槽に入ろうとしていましたが、つま先を入れただけで熱くて入れず、掛け湯だけにとどめていました。一方で、地元の方はぬるめは勿論、熱い湯船にも平気な顔で肩まで浸かっていらっしゃいましたから、場数を踏めば熱いお湯も快適に感じられるのでしょう。かく言う私も場数だけは多いので、熱い浴槽にすんなりと入ることができました。強がりを言うわけではありませんが、ピリピリする熱いお風呂も、慣れると結構気持ち良いんです。やや倒錯気味のマゾ的快楽なのかもしれませんけどね。




浴槽は2つに分かれていますが、そこへお湯を供給する湯口は共通。それどころか、女湯とも共通なんですね。つまり浴場の中央にお湯を吹き上げさせ、そこから男女、それぞれのぬる湯とあつ湯に分配されているわけです。シンプル且つ合理的な構造です。
大湯のお湯はしっかりと白濁し、酸味や硫黄感が強く、またクレゾールを彷彿とさせるような刺激臭も感じられます。濃いお湯ながら体になじみ、熱いながらも病みつきになる気持ちよさがあって、湯船に浸かって逆上せかかっても、気持ちよさに後ろ髪を引かれて出るに出られなくなってしまいます。また湯上りの温浴効果も素晴らしく、以前私も厳冬期に利用したことがありますが、お風呂から出てしばらくは外套要らずで外を歩くことができたほどです。

今回の惜別入浴では、夜、そして翌朝と2回連続で入り、熱いお湯で全身を真っ赤にさせながら、思う存分に下風呂温泉の公衆浴場を堪能することで、「大湯」と「新湯」に対する未練を断ち切ることができました。改めて良い浴場であり良い湯であることを再認識しました。いままで両浴場の運営維持に携わってこられた関係者の皆様方に、一介のファンとして篤く御礼申し上げます。


以前「長谷旅館」があった場所に、新施設「海峡の湯」が建てられました。もちろん津軽海峡を臨むロケーションがその名前の由来となっていることは容易に想像できますが、井上靖が小説『海峡』の終盤を執筆したのが「長谷旅館」でしたから、当然その小説の名前にも因んでいるはずです。下風呂きっての老舗旅館だった「長谷旅館」の跡地に建ち、「大湯」「新湯」という二つの公衆浴場が担っていた役割をも引き継ぐ、当地にとって極めて重い役割を持つこの新施設。昭和の面影を強く残す浴場が過去帳入りしてしまうことに一抹の寂しさを覚えますが、12月からオープンするこの施設が下風呂の新たなランドマークとして地元の方々や旅行者に愛され、下風呂の振興の大きな推進力となることを願ってやみません。


私が11月上旬に「海峡の湯」を外側からちらっと見た時、内部では開業に向けてスタッフの方々が研修に励んでいらっしゃいました。なお開業後の営業時間などは上の画像をご参照ください(変更になる可能性もございます)。


建物は海に面して全面窓になっていますから、おそらく浴場からの眺めは格別でしょう。私も機会を見つけて再び下風呂を訪ねたいと思っています。

下風呂温泉は東京から800キロ以上あるにもかかわらず、お湯、景色、佇まい、そして味覚と、余多の魅力があるため、私はいままで何度も訪ねてその素晴らしさを堪能させていただきました。当地にとって2020年は一大転換点となるかと思いますが、これからも今まで同様に、あるいは今まで以上に、下風呂ならではの魅力と癒しを旅人に与えつづけていただきたいと冀っております。


大湯1号泉(再分析)
酸性-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 56.5℃ pH2.17 湧出量測定不能(自噴) 溶存物質3.681g/kg 成分総計4.266g/kg
H+:6.8mg, Na+:703.2mg(54.51mval%), NH4+:5.2mg, Ca++:172.9mg(15.38mval%), Al+++:27.0mg, Fe++:18.1mg,
Cl-:1339mg(68.65mval%), Br-:2.5mg, I-:0.7mg, S2O3--:1.6mg, HSO4-:167.3mg, SO4--:7.4.7mg(27.81mval%),
H2SiO3:170.8mg, HBO2:185.8mg, H2SO4:2.9mg, CO2:584.2mg, H2S:0.8mg,
(平成24年12月17日)

青森県下北郡風間浦村下風呂97

4月~10月→7:00~20:30
11月~3月→8:00~20:30
350円 月曜定休

私の好み:★★★
コメント (10)
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下風呂温泉 新湯 惜別入浴

2020年11月20日 | 青森県
前回記事まで九州の温泉を連続して公開していましたが、今回と次回は日本列島を一気に北上し、本州の北端である青森県下北半島の下風呂温泉を取り上げます。拙ブログではこれまで何度も下風呂温泉をご紹介していますが、今回は特別な事情があってどうしても2020年11月末までに取り上げざるを得ない事情があったのです。

と申しますのも、当地を代表する2軒の公衆浴場「大湯」と「新湯」が2020年11月末を以て閉館してしまうのです。日本全国に星の数ほどある温泉の中でも、下風呂温泉は私が特別に思い入れている大好きな温泉地ですから、何が何でも現地に赴いてお別れを告げたいと思い、私の仕事が落ち着き始めた11月上旬に時間を作って日本列島を北上したのでした。閉館まであと3週間というタイミングでした。


まずは「新湯」から。なおこの画像は入浴した日の翌朝に撮ったものです。
私が当地を訪ねた日は折からの寒波が俄然強まり、青森や盛岡などの市街地でも初雪が観測されたほか、この下風呂でも白いものが空からチラチラと舞っていました。また津軽海峡を挟んだ対岸の北海道に連なる恵山やその周りの山々も、稜線付近は真っ白に染まっていました。上画像で男湯の暖簾がめくれ上がっているのは、おそらくそんな寒風の影響か、あるいは意図的に竿へ上げているものと思われます。


券売機で入浴料を支払い、プラスチックの入浴券を手に取って館内へ。
脱衣室からは昭和の香りがそこかしこから漂っており、実に良い雰囲気です。おばちゃんがテレビを見ながら番をしている番台には今時珍しいピンクの電話が置かれていました。


壁に貼られた伊奈かっぺいの防犯ポスターがいかにも青森県。
天井にはシーリングファンなんて物が取り付けられていたんですね。


さて、着替えてお風呂へ。次回取り上げる予定の「大湯」は浴槽が2つあって、温度別に分かれていますが、「新湯」は一つだけ。しかも結構熱いので要注意。木の床、そしてプールか生け簀を連想させるコバルトブルーの浴槽は、下風呂温泉にある2つの公衆浴場の共通した特徴です。この独特な景観も過去帳入りするのかと思うとセンチメンタルになってしまいます。
はっきりと白濁する「大湯」の源泉に比べ、「新湯」のお湯は透明度が高いことで知られていますが、私が入浴した日は「大湯」に負けないくらいしっかりと白濁していました。独特の香りや味のみならず、気温・湯温・照度・濃度など、その時々のコンディションによっていろんな姿に変幻するのが硫黄泉の面白いところです。
湯船に入ると熱さで全身が真っ赤になってしまいますが、でも何故か気持ち良い熱さであるため、いつまでも浸かっていたくなるのが実に不思議。本当に良い湯なんです。


男湯の湯口に限り湯呑みが置かれています。一般的に、湯呑みで飲むのはお茶のお湯ですが、ここでは温泉のお湯を飲むわけです。一見珍しいように思えるものの、両方ともお湯なので字面としては決して不思議なことではありません。湯口のお湯は大変熱いので、私も火傷しないようにふぅふぅ吹きながら飲泉しました。湯口からは硫化水素の香りが強く放たれ、お湯を口に含むと、硫黄らしい味とともに塩味もしっかり感じられます。実に良いお湯です。


下足場にはこんなプレートが置かれていました。またプレートの脇にはノートも行かれていましたので、僭越ながら私もそのノートに短くコメントを記入させていただきました。
素晴らしい風情を残すこの浴舎が消えてしまうのは大変惜しいのですが、2つの旧施設を解体して新施設に統合するのは地元の方の要望だそうですから、こればかりは致し方ありません。今年12月から開業する新施設には心から期待しています。
次回記事では「大湯」を取り上げます。


新湯1号泉・2号泉・3号泉・4号泉(混合泉)
含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉 78.8℃ pH7.40 溶存物質5.280g/kg 成分総計5.331g/kg
Na+:1179mg(62.23mval%), NH4+:136.4mg(9.17mval%), Ca++:274.7mg(16.64m,val%),
Cl-:2402mg(86.35mval%), Br-:3.6mg, HS-:2.8mg, S2O3--:8.7mg, SO4--:294.0mg(7.80mval%), HCO3-:250.9mg(5.24mval%),
H2SiO3:128.0mg, HBO2:378.7mg, CO2:49.5mg, H2S:1.3mg,

青森県下北郡風間浦村家の尻13
0175-36-2860

4月~10月→7:00~20:30、11月~3月→8:00~20:30、火曜定休
350円

私の好み:★★★
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琴平温泉 露天風呂「ゆめ山水」

2020年11月14日 | 大分県
前回記事の続編です。


今回も大分県日田市の琴平温泉を取り上げます。私が利用した「ゲストハウス縁」に宿泊すると、チェックインした日の夜まで露天風呂「ゆめ山水」を、翌朝には家族風呂を無料で利用することができます。前回記事では後者の家族風呂を利用した際のリポートをお伝えしましたが、今回は前者の「ゆめ山水」を利用した時の様子や印象などをご紹介させていただきます。


日没後に利用したため、私が撮った画像は全て暗くて見にくいものばかりになっています。申し訳ございません。
上画像は受付。露天風呂の一般客はこちらで料金を支払うわけですが、私のような宿泊客は、鍵を見せたか専用のチケットを提示したか、どちらかで入場することができました(どちらだったか失念しちゃいました。ごめんなさい)。しかも営業時間内だったら何度でも入れます。実際に私も、夕食前と夕食後の2回入らせていただきました。




受付からお風呂へ。
こちらの露天風呂は二手に分かれており、男湯の場合は「あうんの湯」「のらり湯」と名付けられています。それぞれに脱衣室が設けられているものの、受付のおじちゃん曰く、双方に入りたければ裸のままで移動してくれ、とのこと。裸のままといっても、専用の通路があるわけではなく、思いっきり表を行き来するのです。頭のネジが何本か外れている私は平気ですが、人によっては抵抗感があるかと思いますので、無理して裸のままでなくとも、一旦着替えて移動すれば良いでしょう。
なお各脱衣室には100円有料のコインロッカー、ドライヤーが備え付けられており、またエアコンも設置されているので夏や冬でも快適に利用できるかと思います。


こちらは「のらり湯」の浴槽。川に沿って大きな岩風呂がひとつ据えられ、手前側に掛け湯と洗い場が設けられています。
洗い場にはシャワーが5箇所用意され、シャンプー類も備え付けられています。洗い場も屋外なのですが、年末の厳寒期に利用した私は寒さで体をガタガタ震わせながらシャワーを浴び、慌てて体を洗って湯船へ急行しました。内湯や屋内の洗い場が無い開放的な造りなのですが、私のような厳冬期、もしくは荒天の時にはちょっと難儀するでしょう。


15人が同時に入れそうな大きな岩風呂には、竹の筧から温泉がふんだんに投入されています。そしてお湯のオーバーフローは川へ落ちています。湯量豊富なんですね。



一方、こちらは「あうんの湯」の湯船。「あうんの湯」は下流側にあり、しかも様々な大きさの岩風呂が複数設けられています。
上画像は最も脱衣室に近い場所にある大きな浴槽です。
7.

こんな感じで、蹲みたいな掛け湯もあります。


この他「あうんの湯」には川岸へ向かって段々状に湯船が設けられています。中段の岩風呂は5~6人サイズ、下段は3~4人サイズで、特に下段は渓流の川岸に位置しており、対岸には滝が落ちていて、まるで渓流と一体化したような気分で湯あみができる絶好のロケーションです。しかも夜間には対岸の滝がライトアップされ、大変綺麗です。そのかわり、下段の湯船は中段の湯船でオーバーフローしたお湯が注がれているらしく、他の浴槽よりも温度が低くてお湯も濁っていました。これらの川岸のお風呂の画像をご覧になりたい方は公式サイトでご確認ください。

前回記事でも触れましたが、お湯の特徴として、見た目は薄い黄色で笹濁っており、各岩風呂の湯面ライン上には黄土色の析出が付着しています。お湯を口に含むと薄い塩味、少々の金気味、カルシウム的な味、そしてほろ苦みが感じられます。湯中ではツルスベとキシキシが拮抗する浴感が得られますが、どちらかと言うとツルスベの方が優勢だったような気がします。湯使いは完全かけながし(多少の加水はあるかもしれません)。

渓流沿いのロケーションを上手く活かした実に爽快な露天風呂であり、しかも湯量が豊富でお湯の質も良いため、満足のゆく湯あみが楽しめました。混雑するのも納得できます。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 60.6℃ pH7.5 湧出量測定せず(掘削自噴) 溶存物質2.426g/kg 成分総計2.456g/kg
Na+:654.3mg(92.89mval%),
Cl-:317.3mg(29.24mval%), HCO3-:1289.6mg(69.06mval%),
H2SiO3:72.1mg, HBO2:27.5mg, CO2:30.3mg,

大分県日田市琴平町1571-1
露天風呂 0973-23-8827
家族風呂 0973-23-7726
ホームページ

露天風呂12:00~20:30(20:00受付終了)
700円
家族風呂12:00~21:00(最終受付20:00)
2000~2500円/1室・60分
(土日祝は300円増)

私の好み:★★★
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琴平温泉 ことひらゲストハウス縁 および家族風呂

2020年11月07日 | 大分県
今回も引き続き2019年12月に巡った九州の温泉についてご紹介いたします。
大分県の小京都として観光客から人気が高い日田市には、前回記事で取り上げた天ヶ瀬温泉という有名な温泉地があるほか、日田駅付近にも数軒の温泉旅館が営業しているのですが、日田市街地からちょっと離れた郊外にも人気の温泉があるので、宿泊を兼ねて訪ねることにしました。

その温泉の名前は「琴平温泉」。九州なんだか四国なんだかわからなくなる名前ですが、間違いなく九州の日田に湧く温泉です。日田駅から3キロほど離れた郊外にあるのですが、路線バスなど公共交通機関でのアクセスが難しいため、駅前からタクシーに乗って現地へ向かいました。タクシーの運転手さんもよくご存じで、曰く人気の温泉なんだとか。


途中から離合が難しい川沿いの狭い路地を進んでゆくと、やがて旅館・露天風呂・焼肉屋や居酒屋・家族風呂などがひとかたまりになった区画に行き着きます。今回私はこの塊の中にある「ことひらゲストハウス縁」で宿泊することにしました。いろいろと建物がわかれているので初めどこを訪ねて良いものか迷いましたが、とりあえず家族風呂の受付前でタクシーを降ろしてもらい、受付のおじさんに声を掛けると、チェックインはここでOKとのこと。


ゲストハウスは家族風呂受付の裏手にある蔵のような建物です。というか、実際の蔵を宿泊施設として改築したのかもしれません。
園内は昭和レトロなおもちゃや飾りが随所に並ぶ独特な雰囲気です。


建物をぐるっと回った裏手の駐車場側にゲストハウスの玄関があります。引き戸を開けると・・・


中にはどなたもいらっしゃいません。どうやら宿泊客は自由に出入りできるみたいです。
重厚な柱や梁に関心しながら、今回宛がわれた2階の105号室へ。




室内は広く、レトロ調でまとめられた調度品も凝っており、なかなか快適です。エアコン・テレビ・Wi-fiも利用できます。


室内にはちゃんとトイレと洗面台も備え付けられています。
この日は素泊まりで8,000円でした。ちょっと高いけど広くて快適だし、後述する温泉にも入れるのだから満足だ、と初めのうちは喜んでいたのですが、私が泊まった年の暮れは九州でもしっかり冷え込み、蔵を改築したようなこの部屋は底冷えが厳しく、暖房を最強にしてもなかなか温まらなかったので、部屋にいる時はダウンを着込まざるを得ませんでした。もっとも、部屋によって事情は異なるかもしれませんが、厳冬期の宿泊をご検討の方は防寒対策を念頭に置いた方がよさそうです。


素泊まりですが、敷地内には焼肉屋と居酒屋が営業しているので、少なくとも夕食を食べ損ねることはないでしょう(朝は何もないので、訪問前にあらかじめコンビニ等で食料を調達しておきましょう)。ネット上の口コミを拝見しますと、皆さん焼肉屋さんで食事なさっているようですが、へそ曲がりな私は敢えて焼肉屋ではなく居酒屋へ入ってみることにしました。
※焼肉屋さんはその後閉店してしまったようです。




賑わっている焼肉屋とは対照的に、客は私一人だけ。お店に入った時、店員の方は内職のような作業をしており、冴えない様子にちょっと不安になってしまったのですが、ご当地グルメの日田焼きそばと地鶏炭火焼、そしてぜんざいを注文したところ、なかなかの美味だったので、食後には不安がすっかり霧消していました。

さてゲストハウスの宿泊客は、夜22時までゲストハウスと同じ運営会社が営業している露天風呂「ゆめ山水」を何回でも利用することができます。また翌朝は家族風呂を利用することもできます。もちろん私は両方入ったのですが、「ゆめ山水」を取り上げると記事の量が増えてしまうそうなので、そちらは次回記事にまわすことにして、今回記事では翌朝利用した家族風呂をご紹介します。



琴平温泉の家族風呂は16室あるのですが、そのうち泊まった翌朝に宿泊客が利用できるのは受付前の4室のみです。


ちなみに前日のチェックイン時、16室ある家族風呂は全て利用中で、しかも空き待ちのお客さんが数組いらっしゃいました。それほど人気の施設なんですね。


さて、宿泊客が使える4室のうち1室に入りましょう。引き戸に掛けてある札を裏返して中に入ります。


脱衣室は3~4人家族が使っても窮屈さを感じない広さがあります。もちろん一人の私には十分すぎるスペースです。


こちらがお風呂の全景。なかなか立派でしょ。
家族風呂というと、一般的には小さく区切った部屋に浴槽と洗い場だけがある狭い空間を思い起こしますが、こちらは立派な岩風呂が設えられており、宿の大浴場でも通用しちゃうほどの空間が確保されています。なるほど人気を博すのも納得です。


洗い場は2つ。家族間で揉めることなくシャワーを使えそうですね。子供とお母さんがまずシャワーを浴び、お父さんは脇で待機、かな。


入室時、お風呂は空っぽです。浴槽の排水口に栓をして、チェックイン時に渡される専用コインを室内にあるタイマーに投入すると、自動的に温泉が吐出されます。


初めのうちは勢いよくお湯が出てくるのですが、湯船の水位がちょうど良くなるころになると、勢いが弱まってチョロチョロと出るように調整されます。


5~6分でお湯が溜まります。ゴツゴツとした男性的な岩風呂には薄く黄色に笹濁ったお湯が張られます。次回記事で取り上げる露天風呂のお湯と同じ源泉かと思われますが、露天風呂より色・味ともに薄く、しかも適温に調整されているので、おそらく加水されているのではないかと推測されます。この湯加減が実に素晴らしく、いつまでも長湯していたくなるような絶妙な加減なのですが、1時間制限なのが悲しいところ。
なおお湯からは少々の金気味とカルシウム風味、そしてほろ苦みが感じられます。湯中ではツルスベとキシキシが拮抗する浴感を得られるのですが、どちらかと言えばツルスベの方が優勢かもしれません。
タイマーが機能している間はお湯が注がれ続けますので、完全かけ流し状態となり、湯尻からしっかりオーバーフローします。なお湯船には水位センサーがあるらしく、湯嵩が一定以上減ると湯口から再び勢いよくお湯が吐出されます。このため、退室時には排水口の栓を抜かずそのままにして退室してください(栓を抜いて水位が減ると湯口から勢いよくお湯が出てしまいます)。

次回記事では露天風呂「ゆめ山水」について述べます。

次回につづく・・・

コメント (1)
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