温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

梵梵温泉 2019年春 再訪

2019年05月30日 | 台湾
今回も引き続き台湾の温泉を巡ります。
前々回記事の清水地熱、そして前回記事の排骨渓温泉と、2ヶ所連続で野湯に入れなかった私は、「三度目の正直」という言葉を信じて宜蘭県大同郷の英士村へ車を走らせることにしました。英士村の野湯といえば梵梵温泉です。
この温泉は台湾に数ある野湯の中でも、アクセスしやすく且つ大きな湯溜まりで入りやすいため、温泉愛好家のみならず手軽なアウトドアレジャーの目的地として、台湾のメディアなどでもしばしば取り上げられている有名な場所です。拙ブログでも以前にご紹介しております。

拙ブログでは2013年に取り上げております。その時の記事はこちらです。
「梵梵温泉」(2013年5月3日)

現地までのアクセスは、当時も今回も同じですので、詳しくは以前の記事でご確認ください。



まずは英士村の無料駐車場に車を停め・・・



看板が指し示す方へ歩いていきます。野湯なのに看板が出ているんですよ。



堤防の上を歩き・・・



堤防が切れるところで河原へと下ります。



6年前に訪れた時には、上画像に写っている木の橋を渡ると、その先の河原が崖と川の流れによって断ち切られて先に進めなかったため、やむを得ず渡渉を繰り返すはめになりました。しかし、その後川の流れが若干変わったらしく、今ではこの橋を渡って川の右岸を遡ると途中で渡渉せず目的地まで歩いていけます。でも、そんなことを知らなかった私は6年前の記憶を頼りに「この橋を渡るべからず」と決めつけてしまい、川の左岸を歩いてしまい、結果的に渡渉することになりました。



石ゴロの河原を上流へ向かって歩いてゆくと・・・



駐車場から歩き始めて約10分で、砂利を積んでできた右岸の築堤の向こう側から人の歓声が聞こえてきました。6年前に訪問した時、この場所には32℃前後のぬるい湯溜まりがありましたから、今でも温泉が自噴しており、そこで野湯をたのしんでいる人の声が聞こえたのでしょう。でも渡渉するのが面倒だったので、今回ここはパスしてしまいました。従いまして、現在どんな湯溜まりになっているのか、わかりません。なおGoogleマップでは、この場所は「梵梵温泉A区」と表示されています。



上記の「梵梵温泉A区」から更に数分ほど歩いて遡ると、同じく右岸で白い湯気が上がっている光景が目に入ってきました。前回訪問時に私が入浴した湯溜まりとほぼ同じ位置であり、Googleマップでは「梵梵温泉B区」と表示されています。



ここの湯溜まりはかなり広いので、場所によって差異があります。下流側の湯溜まりはぬるく、しかも藻が発生して深緑色を呈していますが・・・



上流側では湧出する温泉が辺りの礫をオレンジ色に染めていました。



上流側の湯溜まりは温度が高く、お湯の透明度も高いので、気持ち良く入浴できそうです。



湯溜まりの随所でプクプクと気泡が上がっています。つまりこの直下で温泉が湧いているのですね。
湧きたてのお湯は45℃近い熱さですが・・・



そこからちょっと下ると40℃近くまで下がるので・・・



適温の湯溜まりを見つけて入浴しちゃいました。
お湯の見た目は無色透明ですが、入浴してお湯を動かすと、礫に付着していたオレンジ色の苔みたいな沈殿が舞い上がり、その一部が体に付着します。その手の物に神経質な方ですと気持ち悪く感じるかもしれませんが、野湯慣れしている方や湯の花好きな方なら大丈夫でしょう。お湯は湧出したばかりでとってもフレッシュ。しかも開放的。せせらぎを目の前にしながら大自然の中で雄大に湯浴みを楽しめる、実に素晴らしい野湯でした。





宜蘭県大同郷英士村

私の好み:★★★
コメント (2)
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排骨渓温泉 2019年春 再訪

2019年05月25日 | 台湾
話の流れとしては前回記事から続きます。
宜蘭県大同郷の清水地熱へ向かったにもかかわらず、以前あったはずの野湯に入浴できず落胆した私は、そこを去って別の野湯へ移動することにしました。その名は排骨渓温泉。排骨渓という小さな川の川岸に湧く小さな野湯です。スペアリブ(排骨)がプカプカと流れてきそうな名前ですが、お肉料理とは無縁な山の中にあり、野湯のわりには楽にアクセスできるため、台湾の温泉ファンや一部のアウトドア愛好家の間では名の知られた場所のようです。私も6年前に一度訪れたことがあり、渓流と一体になったワイルドかつ麗しいロケーションで野湯に入れたという悦びに心から感動しました。その感動をもう一度味わいたく、今回の旅行で再訪することにしたのです。


拙ブログでは2013年に取り上げております。その時の記事はこちらです。
「 排骨渓温泉」(2013年4月26日)



上の前回記事を書いたときには、吊り橋の下に車を停めて歩いたのですが、今回は川の水嵩が低かったため、レンタカー(普通の乗用車です)で直接川を越え、細い道を行けるところまで進みました。



舗装路が尽きるところで車を停め、更に道を歩き・・・



足元に気を付けながら坂を下りてゆくと・・・



川に出ました。
ここまでの道のりは前回と同じ。ここを右に曲がて下流側を目指せば良いはずです。



大きな岩を乗り越えて、先が見通せる場所(↑画像の場所)まで進むと、何かに気づいて一旦停止しました。



足元には、明らかに人間が掘った(あるいは堰き止めた)と思しき小さな池が複数個並んでいたのです。



池には温泉が流れ込んでおり、その温度は53.3℃という高温なのですが、いかんせん湧出量が少なく、そればかりか・・・



流れ込む川水の量が多いため、池では23.8℃まで下がっていました。また、池そのものも作られてから日数が経っているのか、砂利が入り込んでかなり浅くなり、人が入れるようなサイズではなく、せいぜい足湯をするのが精いっぱいでした。残念です。



入浴できずに落胆する私をあざ笑うかのように、池を堰き止める石の上ではカジカガエルが美声で歌いながら、重なり合ってイチャイチャと愛を育んでいたのでした。
でも6年前に入浴した野湯はここではなく、更に数十メートル下流へ進んだところでしたから、まだ諦めるのは早い。



川の中に入りながら、6年前に私が入浴した野湯があった場所へ向かったところ・・・



湯溜まりらしきものは皆無でした。おや、上画面の右の方で、岩の色がちょっと赤くなっている箇所があるぞ。



その変色している箇所に温泉が流れ込んでいるのは明らかなのですが、でも川水の流入が多く、とても野湯を楽しめる状況ではありません。



岩の隙間を調べたら、私の推測を裏付けるようにちゃんと温泉が湧出していたのですが、その量は僅か。これでは圧倒的に多い川水に負けてしまい、野湯どころではありません。
他にも湧出箇所は無いかと周囲を調べてみましたが、ここと同じく滲み出るような僅かな湧出が見られるだけで、入浴に適した湧出や、入浴に適したような湯溜まりの存在は確認できませんでした。6年の間に川の流れや河原の場所、そして湧出する温泉の状況が変化してしまったのですね。仕方ありません。
前回記事の清水地熱に続いて、ここでも野湯を諦めざるを得ませんでした。

残念です。

ここもダメならあそこしかない。「三度目の正直」と言う言葉を信じ、私は自分を再度奮い起こして、別の場所へと向かったのでした。
(次回に続く)




宜蘭県大同郷排骨渓

私の好み:評価不可


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清水地熱の野湯 2019年春 再訪

2019年05月21日 | 台湾
引き続き台湾の温泉を取り上げます。
前回記事の礁渓温泉でレンタカーを借りた私は、宜蘭市街を経由しながら台7線という幹線道路を走って、蘭陽渓という大きな川をさかのぼりました。この川の中流域にあたる大同郷というエリアは秘湯の宝庫であり、以前にも拙ブログでその数々を紹介させていただきましたが、今回(2019年)の旅はその中から強く印象に残っている野湯を再訪してみることにしました。
まず向かったのは清水地熱です。

拙ブログでは2013年に取り上げております。その時の記事はこちらです。
「清水地熱の野湯」(2013年5月1日)

当時は人影の少ない山奥の静かな場所で、国策企業が開発した地熱研究所の跡地に簡素な観光施設が建てられたばかり。その近くの川原で熱い温泉が自噴しており、そのお湯を溜めることによって気軽に野湯を楽しめたのでした。とても開放的なロケーションの中で浸かる白濁のお湯に感動した私は、その野湯の画像をしばらく拙ブログのタイトル画像に設定したほどでしたが、今回の旅でもあの野湯に入りたいと願い、期待に胸を膨らませながら現地へ向かったのでした。



幹線道路「台7丙」の途中から脇道に入って現地を目指します。以前はアウトドア好きな方か事業用の車しか目指さなかったような僻地でしたが、数年経って再訪してみると、現地へ向かう車の種類が明らかに異なっており、家族連れと思しき乗用車が目立っていました。しかも台数が多いのです。現地に到着すると、以前には無かった立派な駐車場ができており、平日だというのに多くの車がとめられていました。しかも駐車場は有料。この時点で私はイヤな予感を覚えたのですが、とりあえず車を降りて、先へ歩いてみることに。



駐車場から公園への動線が綺麗に整備されているではありませんか。なお駐車場は有料でしたが、公園自体は無料です。とはいえ、ここへ公共交通機関で来ることはできませんから、駐車料金が実質的な入園料になっているのでしょう。



先述のように、ここ清水地熱では台湾の国策企業「中国石油」が地熱発電プラントを試験運用していましたが、思うような効果が得られずプラントとしての運用は中止され、設備も放置されています。しかし・・・



構内は地熱を活かした公園として整備され、駐車場の車の多さが示唆していたように、園内は多くの観光客で賑わっていました。



このように足湯を楽しむ方もいれば・・・



100℃近い沸騰状態で湧出する温泉を活かし、タマゴやトウモロコシを茹でている方もたくさんいらっしゃいました。



園内には売店があり、ここで茹でる食材を販売しているのです。以前訪問した時には、こんな施設はありませんでした。



目の前で食材を売っているのですから、ここへ来たらみなさん食材を購入しちゃいますよね。ボイル槽には大量の食材が入れられていました。以前訪問時には食材を持参する必要がありましたから、随分便利になったものです。



でも私は、足湯をしたいわけでも、食材をボイルしたいわけでもありません。野湯に入りたいのです。
ということで、6年前の記憶を頼りに、一旦公園から出て堤防を下り、目の前の川原へ向かうことにしました。



礫が広がる広い河原の奥で、白い蒸気が上がっていますね。
でもその場所は川の流れの向こう側なので、流れの手前で靴を脱ぎ、ズボンの裾をまくり、裸足になっていざ渡渉!



思いのほか深くて流れが急な川の渡渉に難儀しながらも、なんとか湯気が上がっている箇所に到着しました。
6年前に訪れた時と比べ、湯気の立ち上る勢いがいまひとつ心細い感じがします。



心細いのは湯気だけではありませんでした。以前は白濁した温泉が入浴できるほど大量に自噴していましたが、今回私が発見できた湯溜まりは直径にして50~60cm、深さは10cmあるかないかという非常に小さなもので、入浴はおろか足湯すらできない代物です。これでは悔しいので、あたりを探索してみましたが、野湯らしきものは発見できませんでした。

公園整備に伴って関係する役所が野湯できそうな湯溜まりを埋めてしまったのか、あるいは川の増水で地熱の噴出箇所が変わってしまったのか・・・。なぜ湯溜まりが消えてしまったのか不明ですが、とにかく残念です。公園内に全身浴ができるお風呂でもあれば、まだ精神的に救われたのですが、公園が整備されてもお風呂は新設されなかったため、とにかく当地では入浴することができません。
潔く湯浴みを諦めた私はここを離れ、他の場所へ移動することにしました。

次回に続く。






宜蘭県大同郷三星路八段501巷139号
電話03-9894500
開園時間9:00~17:00
(現地までの公共交通機関は無し。駐車場有料)

私の好み:評価不可
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礁渓温泉 礁溪春風日式泡湯

2019年05月15日 | 台湾
 
前回に引き続き、台湾の礁渓温泉を取り上げます。
温泉街の中心部から湯圍渓という小さな川に沿う形で、忠孝路1巷という路地が山に向かって伸びていますが、この道の両側には複数の日帰り入浴専門施設が営業しており、昼夜を問わず利用客の車が狭い路地をひっきりなしに往来しています。上2枚の画像は、この路地沿いの施設の外観を写したものです。その多くは個室風呂を専業としているらしく、お風呂の窓からは湯浴みするファミリーの声が路地へ漏れ聞こえていました。



さて、今回はその中から「春風日式泡湯」という施設を選んでみました。日式とは「日本式の・・・」という意味であり、看板に「大衆池」と表示されていることから、日本のように公衆相手の大きなお風呂に裸で入れるんだろうと推測して、沿道に数ある施設の中からこちらを選んだのでした。



駐車場の奥へ進むと、片田舎の農作物集荷場の事務室を思い起こさせるような、かなり殺風景な受付窓口に行き当たりました。この窓口にいる女性に利用したいお風呂の種類、つまりを個室風呂か大衆浴場(大衆池)か伝え、料金を支払います。窓口には「民国107年(2018年)1月6日から、安全上の理由により個室風呂の一人利用を全面的に禁止します」と注意喚起されていたため、一人旅の私は個室利用という選択肢が採れず、有無を言わさず大衆池利用となりました。



受付を抜けると、緩やかな登り傾斜に沿って個室風呂がズラリ。無機質とはいえ、これだけ個室風呂が並ぶと圧巻ですね。



ちなみに、これが個室風呂のひとつ。四方を塀で囲まれた閉塞感の強い空間に浴槽がひとつあるという、台湾の個室風呂でよくあるシンプルなレイアウトです。なおこちらでは全ての個室の大きさを2人用(利用人数追加可能)で統一しているようです。



坂を上がりきった突き当たりが男湯大衆風呂の入口です。
ドアを開けるといきなり更衣スペースとなり、すぐ目の前に後述する大きな浴槽がお湯を湛えていました。全体に屋根が掛けられているのですが、側面は目隠しの塀が立っているだけで、塀の上から風が入り込んでくる半露天のような構造です。しかも鋼材感丸出しで温泉風情はありません。こうした構造や雰囲気もまた台湾の温泉ではおなじみです。
なお更衣スペースにロッカーはありません。先述の殺風景な受付に隣接して、ドライヤールームが設けられていましたから、ロッカーも受付の周辺にあるのかもしれません。



大衆池へ入って右手に洗い場があります。石鹸類の備え付けは無いので持参しましょう。なお水栓から出てくるお湯は温泉です。



浴槽は人研ぎ石のような素材で設えられており、お風呂というよりプールと称したくなるほどの大きさを有しています。その大きな浴槽は、大部分を占める適温の主浴槽のほか、奥に水風呂と熱い浴槽があり、特に熱い浴槽はあまりに熱すぎて、脛を数秒入るのが精いっぱいでした。おそらく源泉のお湯をそのまま投入しているのでしょう。なお適温浴槽はその熱い槽から流れてくるお湯を受けています。

お湯の特徴としては無色透明で、前回記事の「阿先湯泉養生會館」と同じく重曹味や土気のような風味が感じられたほか、湯中ではツルスベ浴感としっとり感の両感覚が体を包んでくれたのですが、お湯の鮮度が若干良いのか透明度が高く、濁りや色付きのようなものは見られませんでした。いや、味や匂いも弱かったので、単純に溶けている成分が薄いのかもしれません。いずれにせよ、お湯の状態が良かったことは確かであり、浴槽のお湯は切り欠けからしっかりと溢れ出ていたほか、シャワーのお湯からは温泉の知覚的特徴がしっかり現れていました。

個室風呂は2人で200元(40分)ですが、大衆風呂は80元で利用でき時間制限も設けられていませんから、リーズナブルにゆっくりと入浴したい方には向いていますね。しかも民間の入浴施設で100元未満はかなり廉価だと思います(以前拙ブログで取り上げた春和日式大浴池の70元に次ぐ安さです)。風情はさておき、とにかく安く温泉に入りたい、という方におすすめです。


碳酸氫鹽泉(日本語では重曹泉)


礁渓バスターミナルから徒歩15分(約1km)
台鉄礁渓駅から徒歩12分(約800m)
宜蘭縣礁溪鄉忠孝路1巷2-2號
入浴80元
ドライヤーあり

私の好み:★★



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礁渓温泉 阿先湯泉養生會館

2019年05月09日 | 台湾
今回から連続して、久しぶりに拙ブログの得意な範疇である台湾の温泉を取り上げます。

まずは台湾東部の宜蘭県、台湾屈指の温泉地である礁渓温泉から。
山間に立地することが多い台湾の温泉にあって、珍しく平地にひらけている礁渓温泉は、近年超大規模な温泉ホテルが次々に建ち、旧来からの温泉旅館との競争が激化して、全体的に客室供給過多な傾向にあります。このため、台北のホテルが高いとお嘆きの旅行者の方は、高速バスで1時間ちょっとの当地へ足を運べば、廉価なお宿を見つけることができるかもしれません。また、台北に何度も訪れており、北投や烏来ではない別の温泉で日帰り入浴したいという方にも、交通の便が良く施設の選択肢も多い礁渓温泉は、手軽な湯浴みにもってこいの場所です。ただ、施設の数があまりにも多すぎるため、玉石混交の中から自分の好みに合うお風呂を見つけるのは至難の技。かくいう私も、ロシアンルーレットのように、とにかく行き当たりばったりで特攻し、戦果を得ることもあれば、玉砕することもしばしば。失敗を繰り返しながら、勘を養うほかありません。
先日私が台湾を訪れた際にも、初日の宿泊地に選んだのがこの礁渓温泉でした。羽田からの飛行機が松山空港に到着し、そこから公共交通機関を乗り継いで、礁渓温泉にたどり着けたのは日没後。この日の宿(次々回で取り上げます)に荷物を下ろしたあと、夕食を摂りながら、お風呂探しの勘を養うべく、夜のとばりが下りた温泉街を散策して、時間と体力の許す限り日帰り入浴を楽しむことにしました。

バスターミナルから近い裏道を歩いていると、なにやら私の勘をくすぐる怪しげな光景を発見。駐車場の片隅に「阿先 湯泉」と書かれた看板が立っていたのでした。もしかしたらここでは良いお湯に出逢えるかもしれない…。そんな予感を抱きながら、日帰り入浴のため施設を訪うことにしました。
なお本記事では、はじめの2枚の画像だけ翌朝に撮影したため、私が利用した夜の様子ではありません。



上画像に写っているホテルのフロントで日帰り入浴したい旨を告げたところ、すんなり受け入れてくれました。言われた通りに料金を支払うと、樹脂でできた丸いトークンを渡してくれます。



そのトークンを手にしながら、スタッフが教えてくれた通りに建物の裏手に回ると、広い駐車場があり…



駐車場の奥に浴場の受付窓口、そして改札機がありました。受付の中には誰もいない様子。
なお、上画像で私の指が持っているのがそのトークンです。改札機にトークンを投入すると、回転ゲートのストッパーが開錠され、中へ入場することができました。



ゲートを抜けてすぐのところには、ドライヤーがたくさん置かれたブースや売店などがあり、そこを通過すると温水プールのゾーンになります。湯気が上がるそのプールでは、水着を着た家族連れやお年寄りなどがのんびりと泳いでいました。



温水プールの向かいには女湯の建物が。



温水プールの脇を通り過ぎ、照明の光が弱くなる奥へ進んでゆくと、男湯の建物に辿り着きました。その入り口には「湯」「裸」の文字が掲示されているではありませんか。男女別の浴場は裸で入浴できるのですね。これは嬉しいぞ。



これが男湯内部の様子です。場内は半露天で、倉庫のように武骨なH鋼の柱と梁で組み立てられた構造の上に、鋼矢板みたいな鋼板で屋根が葺かれています。そして、壁にはなぜか裸婦絵が飾られています。私が訪れた時に雨が降っていたのですが、完全に屋根掛けされており、そのおかげで雨を全く気にせず入浴することができました。
この画像には写っていませんが、建物の中に入るとロッカー、ドライヤー、そして更衣スペース(浴槽から丸見え)があり…



更衣スペースの裏手には洗い場とトイレが配置されていました。なおシャワーからは温泉のお湯が出てきます。



男湯にある浴槽は、プールのように大きな主浴槽と、奥に設けられた小さな浴槽の2種類。
主浴槽には台湾の温泉ではおなじみの「沖撃湯」が設けられています。「沖撃湯」とはいわゆる打たせ湯で、スイッチを押すと吐出口から一定時間お湯が出てくるのですが、その勢いが強く、気を付けて浴びないとムチウチになるんじゃないかと思うほど。慣れないと、恐怖感を覚えるかもしれません。
この「沖撃湯」のほか、一角には泡風呂の装置も設けられ、おじさんのお客さんがボタンを押すと、底から勢いよく泡が上がっていました。



主浴槽は大きく、目測で6m×10mはあるでしょうか。湯加減は40℃前後。石積みから突き出るパイプ(上画像)を通じて浴槽内にお湯が供給されているほか、浴槽内の壁面からもお湯が出ていました。



浴槽の縁には排水路が設けられ、お湯が惜しげもなくオーバーフローしていました。掛け流しかそれに近い湯使いかと思われます。



大きな浴槽の奥には、三角形の浴槽が2つ向かい合わせに設けられています。いずれも6~7人サイズで、お湯は浴槽内投入されており、縁からしっかり溢れ出ていました。いずれも42~3℃前後の湯加減でしたから、熱いお風呂が好きな日本人にはこちらのお湯の方が気に入るかもしれません。

浴槽のお湯は無色透明ですが、浴槽の湯面ライン上や手すりなど、お湯と設備が接触する箇所にベージュ色の析出が現れており、お湯を口に含むと重曹味とともに土気のような風味も少々感じられました。湯中ではツルツル感が楽しめるのみならず、肌を擦るとしっかりグリップが効き、ツルスベとしっとりの両面を得ることができました。いわゆる重炭酸土類泉あるいは塩化土類のような知覚的特徴と表現したら良いでしょうか。いかにも礁渓温泉らしい特徴を有するお湯であり、特に奥の熱い浴槽でこうした特徴がよく表れていました。

あまり風情はありませんが、広いお風呂に裸でノビノビと入浴でき、しかも温泉のコンディションも良いので、私としては結構気に入りました。温泉街の公共浴場と比較するとちょっとお高めですが、広さやお客さんの少なさを考えると、こちらを選択するのも良いかと思います。

なお今回この宿で宿泊していませんので、お宿としての評価は控えさせていただきます。


碳酸氫鹽泉(日本語では重曹泉)


礁渓バスターミナルから徒歩5分程度(約700m)
台鉄礁渓駅から徒歩10分強
宜蘭縣礁溪鄉忠孝路103巷22弄1號
入浴120元
ドライヤーあり、ロッカー10元(有料)

私の好み:★★+0.5






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