温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

栗駒 駒の湯温泉 2019年期は4月26日オープン

2019年04月25日 | 宮城県

(※撮影 2018年夏)
2015年の復活以来、拙ブログで応援しております栗駒の名湯「駒の湯温泉」。
栗駒山中の雪深い立地ですから、冬の間はお休みしていますが、東風が吹き雪が解けるとともに、今年も営業を再開します。
今年(2019年)は既に4月21日および22日に入浴営業のみのプレオープンを実施しているのですが、それから一旦お休みを経て、大型連休を控えた4月26日(金)に今年度の本格営業を開始します


具体的なアナウンスや営業案内については、公式サイトでご確認ください。
「駒の湯温泉公式サイト」
※駒の湯温泉の公式サイトはこの春にリニューアルしました。



昨年までと同じく、入浴と飲食による営業です(宿泊はできません)。
入浴のみ(1時間まで)は、大人500円(中学生以上、入湯税込み)、小学生以下300円、3才以上の幼児100円です。



ぬる湯ですので、本来でしたらじっくりと長湯していただきたいのですが、お風呂のスペースが限られているため、できるだけ1時間以内のご利用でお願いいたします(特に混雑時)。



駒の湯で湯浴みなさる際は、ぜひ併設の「そばカフェ」で、十割蕎麦を召し上がってください。北海道幌加内産のそば粉を100%使った、湯守手打ちの美味しいお蕎麦です。
なお、入浴とそば、もしくは入浴と休憩室利用を組み合わせたセット料金もありますよ。詳しくは公式サイトでご確認ください。


今年の連休はたっぷりお休みできますから、普段よりも遠くまで足を伸ばせますね。
是非駒の湯温泉で、贅沢にかけ流される素晴らしい温泉に浸かりながら、みちのくの春を感じてください。

アクセス:東北自動車道・若柳金成ICから県道4号線経由で約50分。「栗駒」もしくは「いわかがみ平」の標識を目印に進んでください。
なお現地までの公共交通機関はございません。東北新幹線・くりこま高原駅や東北本線・石越駅などからタクシーをご利用ください。



営業時間 10:00 ~ 17:00
水曜日および第2・4木曜日定休 
宮城県栗原市栗駒沼倉耕英88番地
0228-46-2110


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水上(うのせ)温泉 ゆの宿 上越館

2019年04月20日 | 群馬県

旅館で日帰り入浴を楽しんだ後、「また来たいな」と思ったら当たり。「宿泊したいな」だったらなお良し。そして、大切な人を思い浮かべて「あの人に教えてあげたいな」だったら大当たり。私は勝手にそんな基準を設けながら、各地のお風呂を巡っています。今回取り上げる水上(うのせ)温泉の「ゆの宿 上越館」は私にとって「大当たり」でした。国道から路地に逸れた先にある、一見すると民家と見まがうような建物が、今回訪問したそのお宿です。


 
暖簾を潜り、玄関で日帰り入浴をお願いしますと、大変丁寧に対応してくださいました。とはいえ、私は予約無し&アポ無しで伺ってしまったため、まずは館内に上がってラウンジで待機し、お宿の方にお風呂の様子を確認していただきます。

お風呂は内湯と露天の2種類あり、日帰り入浴の場合は受付時(あるいは予約時)にどちらかを選択します。訪問時は偶然にも両方空いていましたが、雪見風呂を愉しみたかったので露天を利用させていただくことにしました。



露天風呂はお宿の本館からちょっと離れたところにあります。歩いて1分ちょっとでしょうか。お宿が運営するビストロ兼甘味処の「梅の蜜」が目印。その角を右に曲がって川へ向かうと・・・



路地の突き当たりに露天風呂の脱衣小屋がポツンと建っていました。扉は施錠されていますので、本館で手渡された鍵で開けます。


 
当然ながら小屋の中には誰もいませんが、暖房が効いてポカポカしていました。予めスタッフの方が準備してくださったのでしょうね。小洒落た室内には脱衣籠や傘のほか、シャワーキャップや化粧水・タオル等のアメニティが用意されていました。用意されている数から推測するに、基本的にこの露天は2人利用を前提にしているようです。



脱衣小屋の引き戸を開けた瞬間、思わず「うわーっ」と歓喜の声を上げてしまいました。目の前を流れる利根川とその対岸に広がる白銀の山稜によって、開放的且つ美麗な景色が展開されていたのです。お風呂には小屋の庇が伸びているので、ちょっとした小雨や雪ななら凌げそう。また左右には目隠しの簾が掛かっていますが、川側は完全にオープン。お風呂に浸かりながら関東平野の母のような存在である利根川のせせらぎを独り占めできちゃうんですね。



四角い浴槽はおおよそ1.8m~2m弱といった大きさ。2人入るとちょうど良いサイズですね。浴槽の縁には木材が、浴槽内は力責凝灰岩の石材が用いられており、見た目にやさしい色使いと、実際に触れて心地良い感触をもたらしています。また浴槽の周囲には碁石のような石が敷き詰められており、和の雰囲気が利根川の景観と実によく調和しています。
なお露天風呂に洗い場はありません。しっかり体を洗いたい方は内湯へどうぞ。



石積みから突き出ている筧より注がれるお湯は単純泉。無色透明で無味無臭ですが、湯船に入るととても優しく体を包んでくれ、湯船の中でお湯を掻いてみるとうっとりするほど柔らかいのです。キリリとした硫酸塩泉が多い北毛エリアで、このようなアッサリ系の単純泉は珍しいかと思いますが、単純という言葉を使いたくないほどジェントリーな浴感であり、また湯加減も絶妙。まさに微睡の湯です。
湯使いは完全掛け流しであり、夏季などは熱交換によって温度調整しているそうです。なお、訪問時の筧には竹筒が被さっており、その筒によって浴槽内でお湯が出るようになっていました。また湯船には保温マットが浮かべられていました。これらは冬季の露天風呂が冷めないようにするための措置かと思われます。



川の対岸には上越線の線路が敷かれています。私が入浴していると、偶然にも長岡方面に向かって上越線の普通列車(E129系)が走り去って行きました。



それにしても良い風呂だぁ。雪見風呂の雰囲気が素晴らしい。
でも私が下手に言葉を書き連ねると、却ってその魅力が伝わらないかもしれません。素晴らしいロケーションが生み出す景色のみならずお湯も最高。その上お風呂も綺麗。

貸切の露天風呂に入っただけでお宿の良し悪しを語るわけにはいきませんが、でもスタッフの方の接客や露天風呂の様子だけでも十分にお宿の良さが伝わってきました。一度宿泊してみたいなぁ。


湯檜曽温泉(薬師の湯)
単純温泉 53.3℃ pH8.2 湧出量測定せず(動力揚湯) 溶存物質0.42g/kg 成分総計0.43g/kg 
Na+:74.3mg(58.85mval%), Ca++:42.8mg(38.89mval%),
Cl-:106mg(54.41mval%), SO4--:96.5mg(36.63mval%),
H2SiO3:67.7mg,
(平成26年10月14日)
加温加水循環消毒なし
(5~10月頃は熱交換により温度を下げています)

群馬県利根郡みなかみ町大穴794
0278-72-2216
ホームページ

日帰り入浴 時間不明(利用の可否も含め、お宿へお問い合わせください)
内湯1300円、露天1500円(いずれも貸切)
ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント (2)
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湯宿温泉 太陽館

2019年04月16日 | 群馬県

前回記事の猿ヶ京から三国街道をちょっと下って、私が好きな湯宿温泉へとやってまいりました。個人的な話で恐縮ですが、いままで温泉街にある外湯は全て入ったことがあり、大抵のお宿にもお邪魔しているにもかかわらず、なぜか国道から最も目立つ場所にある「太陽館」だけは一度も訪れたことがありませんでした。わかりやすい場所にあるため「いつでも行けるから後回しでも大丈夫」なんて思っていたのかもしれません。好物の食べ物を目にしたら、真っ先に食らいつく人と、楽しみを後にとっておく人の2パターンに分かれますが、後者に属する私はいろんなものを後回しにするため、横取りされたり、そのものが無くなっちゃったりして、ちっとも楽しみを享受することができない情けない性格です。そんな自分の毎日に反省を促す意味でも、猿ヶ京を訪れた日にこちらにも立ち寄って、後回しの連鎖を断ち切ることにしたのです。

日帰り入浴を歓迎する電光掲示が立っている駐車場に車を停めて、日帰り入浴をお願いしたいと伺ってみたところ、お宿の方は快く受け入れてくださいました。



お風呂は階段を上がった2階の奥です。建造から相当の年月が経っている建物自体は、正直なところちょっとお疲れ気味のようですが、館内は明るくリニューアルされており、お風呂までの廊下を歩くだけでも経年を払拭しようとするお宿の努力が伝わってきます。内湯は24時間入浴可能ですが男女入れ替え制。宿泊すれば両方のお風呂に入ることができるでしょう。


 
お風呂入り口の前には「長寿の水」なるものがあり、山の清水がチョロチョロ落とされています。湯上がりに飲んで水分補給に役立てると良いですね。



大浴場は内湯のみ。暖色系のタイルでまとめられており、山に向かって大きな窓が設けられています。その窓の下に据えられている大きな浴槽は、縁が木で内部のステップは石板タイル、そして底は水色のタイル貼りです。目測で奥行2メートル弱ほど、幅は2.5メートルほどでしょうか。深めの造りなので、肩までしっかり湯に浸かれ、入り応えも十分です。


 
手前側の左右には洗い場が設けられ、シャワー付き混合水栓が計6基並んでいます。なおカランから出てくるお湯は真湯です。浴槽に近いシャワーでシャンプーしていたら、グラインダーで削ったような縁の切り欠けから、浴槽のオーバーフローがグレーチングに向かってしっかり流れていました。



浴槽には柱が出っ張っており、そこに取り付けられている木枠の湯口から温泉が投入されていました。画像にも写っているように、湯口まわりには白い析出がびっしりこびりついています。こちらのお宿に引かれているお湯は湯宿の主要源泉である窪湯源泉です。無色透明なお湯からは、芒硝や石膏の味が感じられるほか、木材をちょっとあぶったような香ばしい匂いも得られます。また塩味もちょっぴり含まれていました。湯中ではしっかり引っかかる浴感が得られます。
なお湯使いは放流式ですが、温度調整のため加水を実施しているとのこと。とはいえ私が入ったときにはちょっと熱めの湯加減でした。加水量をなるべく抑えようとしているのかもしれませんね。


 
ちなみに、大浴場がある2階から更に階段を上がって3階に向かうと、貸切露天風呂が2つ並んでいます。布袋、そして観音の名を冠する2つの露天は、いずれも三国街道や川に向かって視界が開けており、シャワーが2基設置されていて、大浴場と同じ窪湯源泉の熱いお湯が、桧風呂にチョロチョロと注がれていました(私が訪ねた冬の某日は、湯船に保温マットが被せられていました)。明るく綺麗で女性受けしそうなお風呂です。なお、この両露天風呂はシンメトリな構造をしており、お風呂の先に設えられているお庭の仏様以外に特にこれといった違いはありませんから、わざわざ両方入ることはないのかもしれません。どちらか片方をゆっくり利用すれば十分に寛げるでしょう。

石畳の細い路地に昔日の宿場風情が残る湯宿温泉は、温泉県である群馬県の中でもあまり目立たない存在ですが、かえってそれが燻し銀の良さを生み出し、本物の旅好きに受け入れられる雰囲気を醸成しています。今回もそんな長所を実感しました。特にこちらのお宿は当地でも日帰り入浴の受け入れ時間帯が長いので、当地を往来する旅人にとって重宝すると言えるでしょう。かけ流しのお風呂に入って心身を癒された私ですが、お風呂が良いことはもちろん、いままで後回しにしてきたお宿にお邪魔できたことで、余計に安堵感が得られたのでした。


窪湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 59.1℃ pH8.0 蒸発残留物1.372g/kg 成分総計1.31g/kg
Na+:227mg, Ca++:156mg,
Cl-:120mg, SO4--:693mg,
H2SiO3:60.6mg, CO2:14.1mg,
(平成5年8月6日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温・循環・消毒なし

群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉2384
0278-64-0211
ホームページ

日帰り入浴11:00~21:00
600円(公式サイトに割引クーポンあり)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5




コメント (3)
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猿ヶ京温泉 温泉農家民宿はしば

2019年04月09日 | 群馬県

前回に続いて群馬県猿ヶ京温泉を巡ります。前回記事で取り上げた施設は地元民向けでしたが、今回は観光客ウエルカムの民間施設です。猿ヶ京温泉の中心部、関所跡の信号角にある「温泉農家民宿はしば」で日帰り入浴してまいりました。敷地内はいくつかの棟に分かれているらしく、国道17号線に面した角がお土産屋さん兼食堂、その奥が民宿や浴場のようです。
まずは上画像のお土産屋さん兼食堂で料金を支払います。



入浴料金と引き換えにこのような入浴券をもらいます。再訪してこの券を提示すれば、入浴料金が半額になるそうですよ。



支払いを済ませ、券をもらったら、一旦お土産店から出て、駐車場の奥にある浴場専用の出入口へと移動します。
先程もらった券をどこかで提示するのかと思い込み、券を片手に戸を開けたのですが、中にはどなたもいらっしゃいませんでした。下足場のすぐ前が男湯。そこから廊下を進んだ奥が女湯です。脱衣室は明るいのですが、基本的にスタッフの方はお土産店にいらっしゃってお風呂は無人状態であるためか、お手入れがちょっとなおざりな印象を受けてしまいました(たまたまタイミングが悪かっただけだと思います)。



お風呂は内湯のみですが、窓から外光がたっぷり入り込んでくるので、日中でしたら照明無しでも十分明るく、屋内の閉塞感もさほど感じられません。浴室の右手には浴槽、左側には洗い場が配置され、洗い場にはシャワー2つ(左右の端に1つずつ)、そしてシャワーに挟まれる形でスパウトのみのカランが6つ並んでいます。



男湯の浴槽は壁に沿って設けられ、おおよそ3m×1.8mの四角い形状です。浴槽内はタイル貼りですが、縁には木が用いられており、部分的であっても木材のおかげで柔らかく優しい印象を受けます。私好みのやや深い造りですが、人によっては溺れちゃうかも。
なお、女湯の浴槽は違う形状なんだとか(公式サイトでご確認ください)。



お湯は壁に固定された木の枡から吐出されています。その木枡は厚くて真っ白な析出に覆われており、パッと見ですと木だか石だかわかりません。温泉マニアでしたらその析出を凝視してしまうこと間違いなし。
湯口から吐出されるお湯は熱いのですが、湯船はちょうど良い湯加減に維持されていました。加水されている様子はなかったので、きっと投入量が絶妙な塩梅に調整されているのでしょうね。完全掛け流しの湯使いです。なお浴槽の左側には山の水が引かれており、容易に加水できるようになっていますので、夏など季節によっては任意で加水するとよいのでしょう。

こちらに引かれているお湯は、猿ヶ京1号源泉と2号源泉の混合泉です。見た目は無色透明ですが、浴室のドアを開けた途端、湯気とともに、硫酸塩泉にありがちな独特の匂いが感じられました。湯口のお湯を口に含んでみますと、芒硝感(味や匂い)がそこそこ得られ、石膏感も伝わってきました。湯中ではキシキシ引っかかる浴感があり、肌にシットリとよく馴染み、よく温まる良いお湯です。無色透明ですから見た目はごく普通のお湯ですが、さすが本物の温泉と言わしめるに十分な実力を持っています。猿ヶ京のお湯を、かけ流し且つ絶妙な湯加減で、しっかり堪能させていただきました。


1号泉・2号泉混合
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 55.1℃ pH不明(7.5?) 溶存物質1.261g/kg 成分総計1.261g/kg
Na+:216.2mg(53.11mval%), Ca++:155.1mg(43.73mval%),
Cl-:234.6mg(37.64mval%), SO4--:452.2mg(53.55mval%),
H2SiO3:67.3mg, HBO2:24.8mg,
(平成22年6月29日)
加水・加温・循環・消毒なし

群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉1093
0278-66-0153
ホームページ

日帰り入浴時間不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカーなし

私の好み:★★
コメント (4)
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猿ヶ京温泉 猿ヶ京住民センター

2019年04月02日 | 群馬県

今回から群馬県の温泉を取り上げます。北毛の猿ヶ京温泉には、多くの旅館や日帰り入浴専用施設のほか、地元民向けの温泉浴場も数軒あり、わかりにくい立地(言い換えれば発見し甲斐のある立地)、鄙びた雰囲気、地元密着感、そしてお湯の良さなど、様々な要因が温泉ファンの心を惹きつけてやみません。今回はそんな地元民向け浴場のひとつである「猿ヶ京住民センター」を訪ねることにしました。
木造2階建ての1階が男女別の共同浴場、2階が集会所となっています。



建物の目の前には猿ヶ京にいくつかある源泉の一つと思しき施設があります。住民センターのお風呂には、ここのお湯が引かれているのでしょうか。



施設名が書かれた扁額の下、玄関引き戸の横には「関係者以外立入禁止」のプレートが掲示されていますが・・・



中に入ると下足入れの柱に料金箱が括りつけられており、その下に「会員以外の方も入浴いただけます」と案内されていますので、地域住民以外でも利用可能であることがわかります。かく言う私も典型的な余所者ですので、300円を納めてから利用させていただきました。玄関入って左が女湯、右が男湯です。なお料金箱が括りつけられていることからもわかりますが、この施設は無人です。

脱衣室にはトイレ・扇風機・洗面台といった各種設備が用意されています(ロッカーは無いものの戸棚が設置されています)。地方の一般的な無人共同浴場の脱衣室は棚と男女共用のトイレがある程度で、設備面は必要最低限に抑えられているものですが、こちらの浴場はそうした通例に反し、室内も共同浴場にしてはそこそこ広い上、設備面がちょっと充実しています。しかも他の無人浴場では見られない設備は、実はこれだけではなかったのです。何があるのか、後程明らかに。



高い天井と立派な梁や天井が目を惹く木造の浴室。共同浴場にしては豪華な造りですね。こんなお風呂に毎日入れる方が羨ましい限りです。上屋は木造の湯屋建築ですが、床や浴槽はメンテナンスしやすいタイル張り。程よく薄暗くて落ち着ける室内には、浴槽に落ちるお湯の音が響くばかり。実によい雰囲気。旅館顔負けの立派なお風呂です。



先程、無人共同浴場のわりには設備面が充実していると申し上げましたが、その好例がこのシャワーではないかと思うのです。いや、単なるシャワーでしたらどんなお風呂にもありますし、それどころかこのお風呂はシャワーが一つしかないので、数だけで捉えると決して充実しているとは言えません。ではどこが凄いのか。
実は、このシャワーから出てくるお湯は湯沸かし器で温めているのです。脱衣室には湯沸かし器のスイッチが取り付けられていますので、勘が良い方でしたら入浴前にお気づきになるかと思います。湯量豊富な温泉地の共同浴場では、温泉のお湯をそのままカランへ接続させていますが、源泉温度が熱すぎる当地ではそれが難しいのか、カランやシャワーのお湯には湯沸かし器を使っています。とはいえ、限られた予算で運営せざるを得ない共同浴場なのに、イニシャル・ランニング両面のコストが嵩む湯沸かし器でシャワーのお湯を温めているのですから、驚くとともにちょっと心配してしまいます。気を遣い過ぎなのかもしれませんが、私のような余所者が使うのは忍びないので、湯船のお湯で掛け湯させていただきました。



無色澄明で大変清らかなお湯が湛えられている湯船は(目測で)1.5m×2.5mの長方形。地元民向けの共同浴場にしては大きな浴槽です。ちょっと深めの造りなので肩までしっかり湯に浸かることができ、入り応えも十分。
なお湯口から注がれる温泉は大変熱いので、もし湯船が熱ければ、浴槽の向こう側にある水道の蛇口(ホース付)で適宜加水し温度調整しましょう。私が入っている時も、先客の地元のお爺さんから加水を勧められました。



源泉から引かれたお湯は一旦壁に固定されている木の枡に注がれ、そこから浴槽へ供給されています。湯使いは純然たる掛け流し。湯船のお湯は大変フレッシュです。
使用源泉は共有の湯島泉で、ここのみならず、周辺の他施設にも引かれている当地の有力源泉です。見た目は大変綺麗な無色透明。お湯からは芒硝感や石膏感が得られ、匂いこそあまり嗅ぎ取れませんが、いかにも硫酸塩泉らしく、湯船へ入りしなには脛にピリッとした刺激が走り、肩まで浸かると腕などに引っかかる浴感が伝わってきます。そしてちょっとトロっとした感覚もあり、肌にしっとり染み入ります。まさに上毛らしいお湯であり、鮮度感を含め大変良いお湯です。

先程加水を勧めてくれたお爺さんは、その他にも「シャワーを使って良いですよ」とか「湯加減はどうですか」など、私にいろいろとお気遣い下さいました。こうした地元の方との触れ合いは共同浴場ならでは。本当にありがたく、お湯のみならず心まで温かくなります。そしてお爺さんはトド寝(※)をすすめてくれたので、私もケロリン桶を枕にしてトドを楽しませてもらいました。最高に気持ち良かった!

 (※)トド寝:オーバーフローするお湯を浴びながら洗い場で横になること。広くて空いており、湯量豊富なお風呂でないと楽しめない入浴方法。青森県の温泉で多くみられる形態。


共有泉湯島
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 55.5℃ pH7.6 蒸発残留物1.25g/kg 成分総計1.21g/kg
Na+:130mg, Ca++:218mg,
Cl-:100mg, SO4--:652mg,
H2SiO3:54.3mg,
(平成14年11月8日)
加水・加温・循環・消毒なし

群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉
(施設の性質上、場所の特定は控えさせていただきます)

開館時間不明
300円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーなし

私の好み:★★★

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