温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

苗栗県大湖郷 湯神温泉会館

2023年01月29日 | 台湾

(2023年1月訪問)
前回記事に引き続き、イチゴの産地である苗栗県大湖郷の温泉を取り上げます。以前拙ブログで取り上げた大窩温泉は廃墟になってしまいましたが、その大窩温泉跡から左斜め(南東)方向に逸れる路地に入り、イチゴ畑に囲まれた坂をひたすら上って登ってゆくと、上画像のような門が見えてきます。ここが今回の目的地である「湯神温泉会館」です。早速門を潜って敷地内へ入りましょう。


門を潜ると坂道の勾配が急になり、更に進んでゆくとお宿の建物の前にたどり着きました。敷地全体が急な傾斜地に広がっており、本棟や宿泊棟、そして駐車場も傾斜地にあるのですが、駐車場を求めて無闇に上の方へ登ってしまうとスペースが無くなって難渋するので、車は無難に下の方で止めておいた方が良いでしょう。


本棟に入り、フロントで日帰り入浴の料金を支払います。露天風呂(大衆池)はフロントの右手にありますので、支払いが終わりましたら右へ進みましょう。なお今回は利用していないのですが貸切風呂もあるらしく、利用する場合は料金支払い後に一旦本棟を出て後方へ下ったところにあるようです。
なお露天風呂(大衆池)は水着と水泳帽を着用して利用します。男女別のシャワールームで水着へ着替えるのですが、狭い上に足元がびしょびしょなので(台湾の温泉施設ではよくあります)、ちょっと着替えにくいかと思います。コインロッカーは10元有料です。


露天風呂(大衆池)は大きな三角屋根に覆われており、上下二段に分かれています。私の訪問時には上下ともに多くのお客さんが湯浴みを楽しんでいらっしゃいました。
上段の浴槽は大きな木の葉のような形をした主浴槽で、大小に二分されており、全体の5分の4を占める大きな方は40℃未満の「常温池」で入りやすい湯加減に抑えられている一方、残りの5分の1は「高温池」とネーミングされており、私が利用した時には温度計が42℃を表示していました。台湾なのでぬるいお湯を好まれるかと思いきや、お客の爺さん婆さんは挙って高温の湯船に集まり談笑していました。

一方、下段には打たせ湯がたくさん並んでおり、ボタンを押すと勢いよくお湯が噴き出てきます。一つ一つは吐出口の形状が異なるので、ご自分が好きな形状を見つけながら打たせ湯をハシゴするのも面白いでしょう。もちろん、台湾の温泉施設ではおなじみの、首がもげそうなほど強烈な勢いでお湯が吐き出される沖撃湯もありますよ。
なおこの下段のプールサイドにはサウナ小屋もあるのですが、訪問時は使われていませんでした。

温泉のお湯に関しては、無色透明ですが、僅かに濁っているように見えました。湯口からはしっかりお湯が落とされているのですが、お客さんが多かったので、湯疲れしていたのかもしれません。主浴槽吐出口の湯を口に含んでみますと、重曹泉らしい味とともにお煎餅のような香ばしい風味もかすかに感じられました。あのお煎餅風味は何に由来しているんだろう・・・。なお湯中ではツルスベの滑らかな浴感を楽しむことができました。


主浴槽はちょっとお客さんが多くて騒がしかったので、階段を上がったところにある小さな浴槽に行ってみました。4〜5人サイズで底にご当地名産のイチゴが描かれており、「按摩池」と名付けられています。屋根の柱にボタンがついていたので、試しに押してみたのですが、たしかに浴槽内に水流が発生するものの、按摩と言えるほどの勢いはなく、背中をサワサワとくすぐる程度でした。機械の調子が悪かったのかな。でも湯加減はちょうど良かったので、私はしばらくここでのんびりお湯に浸かっていました。


この「按摩池」へ上がる階段ではブーゲンビリアが綺麗に咲いていました。1月といえば日本では厳冬の真っただ中で、お花とは縁のない季節ですから、1月にこのような綺麗な花が見られ、春を先取りできて嬉しい気分でした。


傾斜地の高台に立地しているため見晴らしが良く、また緑に囲まれているので環境も良好です。台湾の田舎の屋外温泉施設にありがちな音楽(演歌)垂れ流しということはなく、寧ろ周辺から鳥の囀りが絶え間なく聞こえてきます。
環境の良さがお客さんを惹きつけるのか、常連のおじさんおばさんが途切れることなく談笑していらっしゃり、ちょっとした社交の場にもなっているようでした。


温泉の成分表示見当たらず

苗栗縣大湖郷大寮村大窩1-10號
ホームページ

露天風呂8:00~21:00
200元
ドライヤーあり、コインロッカー10元有料

私の好み:★★

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苗栗県大湖郷 温泉民宿 湖畔花時間

2023年01月24日 | 台湾
(2023年1月訪問)
拙ブログでは久しぶりに台湾の温泉を取り上げます。まだ2022年の国内ネタがたくさん残っているのですが、海外については変化のスピードが激しいので、国内ネタは取り敢えず脇に置いておき、台湾ネタを優先させます。
台湾に温泉が多いことは、近年あらゆるメディアで紹介されるようになっていますので、温泉に興味がある方なら多少の情報は既にお耳に入っているかと思います。台湾で温泉と言えば、台北近郊の北投や烏来、中部の泰安や谷關、南部の關子嶺や四重溪、東部の礁溪や知本などが有名な温泉地として日本のメディアに取り上げられますが、もちろんそればかりでなく、各地にいろんな温泉が数多く点在しています。


今回取り上げる苗栗県大湖郷は、台湾屈指のイチゴの産地として偶に日本のメディアでも紹介されることはありますが、実は温泉施設も点在しており、知る人ぞ知る温泉郷となっています。おそらく日本のメディアでこの大湖の温泉を取り上げているところは、まだ無いのではないでしょうか。なお大湖では11月頃から翌年4月頃までイチゴが生産され、観光農園ではイチゴを摘み取って量り売りで買い取ることもできます。


私のようなオッサンが一人でいちご狩りをするのは寂しいので、摘み取らず箱で買ってしまいました。
当地で生産されているには「とよのか」ではないかと思われます。甘くて美味しいイチゴでしたよ。


拙ブログでは以前に大湖の大窩温泉を取り上げましたが、この温泉は現在廃墟のようになってしまいました。しかしながら、大湖に広がるイチゴ畑を取り囲むように、複数の温泉施設が営業しています。今回はその中の一つである「湖畔花時間」を訪ねました。
大湖を南北に貫く台3号線から県道55号線に入り、イチゴ畑の中を進みながら途中で細い道に逸れ、坂道を上がってどんどん進んでゆくと、やがて小埤潭という溜め池が右手に見え、池が終わる辺りで今回目的の施設にたどり着きます。


駐車場に車を停め、階段を上がって受付で入浴したい旨を伝えると、スタッフの方は笑顔で対応してくださいました。料金を支払うとバスタオルを1枚貸してくれますので、それを手に取って・・・


まずは更衣室(兼シャワールーム)に入って水着に着替えましょう。台湾で水着着用の露天風呂では水泳帽の着用も求められますので、忘れずに水泳帽も被りましょう。なおシャワールームのシャワーから出てくるお湯は温泉でした。


露天風呂(大衆池)はもうひとつの溜め池(大埤潭)の池畔に位置しており、広い敷地には複数の浴槽が設けられています。
パーゴラの下にあるのは適温の温泉が張られた主浴槽です。


緑に囲まれた溜め池では噴水が上がり、アヒルがグワグワと啼いていました。とても長閑で良い環境です。


主浴槽の隣にあるのこの浴槽は水風呂です。夏の暑い日に入ると爽快なんでしょうね。


水風呂の先には、セルフでコックを開閉してお湯を張る小さなお風呂が並んでいます。
どのお風呂もお湯は使い切りで、使用の度にお湯を張り替えます。


このように、ちょっと大きめの壺湯みたいな浴槽もあります。
こちらも使用の都度、お湯を張り替えるので、常に新鮮なお湯を楽しめます。


水着で入る露天風呂の他、このような個室風呂も3室ありますので、別料金になりますが、一糸まとわぬ姿で温泉に入りたい方はこちらの個室風呂の利用が良いでしょう。


上画像は主浴槽の湯口です。こちらの温泉のお湯は無色透明で、口に含むと清涼感を伴う重曹味の他、うっすらとしたミシン油風味が感じられます。湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が全身を覆い、お風呂上がりには嫌味の無い優しい温もりが残ると同時にさっぱりとした爽快感にも包まれ、なかなかの良泉であることを実感できました。


日本から持参した温度計で計測したところ、湯口では47℃でした。施設側の説明によると温泉は地下1569メートルから汲み上げた自家源泉で、加水加温循環することなく源泉そのままを各浴槽へ供給しているそうです。かけ流しの湯使いを実践しているところは、温泉ファンとして嬉しいですね。
こちらではもちろん宿泊も可能です。喧騒を離れた緑豊かな環境でかけ流しの重曹泉に入り、ご当地の甘いイチゴをいただきながら、のんびりとした時間を過ごす・・・。もう最高じゃないですか。
台湾にはまだまだ知られていない良いところがたくさんあるんですね。


碳酸氫鈉鹽泉(ナトリウム-炭酸水素塩泉) 46.7℃ 他の出^他データは不明

苗栗縣大湖郷義和村淋漓坪126號
ホームページ

日帰り入浴(大衆池・水着着用)8:30~22:00(受付21:00まで)
300元
(個室風呂800元/1時間 9:00~20:00)
ロッカー(無料)・ドライヤーあり、バスタオル貸出

私の好み:★★★

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観光渡航が再開された台湾でレンタカーを利用 2023年1月版

2023年01月17日 | 台湾
(本記事の内容は2023年1月上旬時点のものです)

各地の温泉を取り上げている拙ブログですが、その中でも閲覧回数が多いのは2013年にアップロードした台湾のレンタカーに関する記事です。温泉ではないという点に私はちょっとしたモヤモヤを覚えるのですが、いや、むしろ皆さんにとって必要な情報をご提供できたのだと嬉しく思っております。当時はまだ日本人が台湾でレンタカーを利用するためのHow to 記事がネット・書籍ともに少なく、ネットで調べてみても「危ないからやめるべき」「海外資本のレンタカー業者が無いので利用しにくい」など否定的な書き込みが散見されるばかりで、積極的に利用するための知識や知恵をネットから拝借することは難しい状況でした。

しかしながら、レンタカーがあれば公共交通機関やタクシーに頼ることなく自由に行動できるのも事実。虎穴に入らずんば虎子を得ず、車を利用しないと台湾の真の魅力には出会えない、野趣溢れる温泉に入れないと決断して、実際に台湾でレンタカーを利用してみたところ、想像よりはるかに容易であり、かつ現地におけるハードルも低く、むしろ漢字が読める日本人だからこそ台湾では運転がしやすいのではないか、という事実に気づいたのでした。そこで、ぜひ皆さんにも利用して台湾の更なる魅力に触れていただきたいと考えて、レンタカーの利用に関するHow to を記事にしたのですが、この記事はその後多くの方にご覧いただくようになり、やがて(日本語の)ネット上では否定的な見解が消え、台湾のレンタカーを積極的に利用する紹介記事が激増していきました。コロナ禍の間はともかく、ここ数年は日本人によるレンタカー利用も増えたのではないでしょうか。ということは、私は台湾における日本人のレンタカー利用促進に一役買っているわけですから、台湾レンタカー業界は私に幾許かの謝礼金をよこしてくれないかなぁ・・・。

なんて戯言はともかく、2020年春からはじまったコロナ禍の間は台湾へ旅行できなかった訳ですが、2022年10月より台湾では入国者に対する隔離義務が撤廃されて、実質的に外国人の観光が解禁されましたので、2023年1月上旬に弾丸旅行ながら台湾へ行ってまいりました。コロナ禍の前と現在とで、大きな変化は無かったように感じたのですが、細かいところで違いや注意点をいくつかご紹介させていただきます。


●JAFでの運転免許中国語翻訳が、ウエブ申請可能に

日本と台湾(中華民国)の間には国交がありません。また台湾は道路交通に関するジュネーブ条約も締結していません。このため台湾では国際免許が使えません。かといって日本の運転免許がそのまま使えるはずもありません。
ではどのようにしたら良いのか・・・。
この点については拙ブログの以前の記事でも書いた通り、JAF(日本自動車連盟)にお願いして、運転免許証の中国語翻訳(以下、中文翻訳)を発行してもらうことになります。この翻訳はあくまでJAFが発行したものに限り有効であり、ご自身や民間翻訳会社などで翻訳したものは無効です。
この中文翻訳を入手する際、これまではJAFの窓口で直接申請するか、郵便で申請するかのいずれかの方法を選択していましたが、最近になってネット申請が主流となりました。なおネット環境が使えない人は引き続き郵送でも申請可能です。

まず詳しくはJAFの「日本の運転免許証を台湾で使うための中国語翻訳文について」をご覧になり、委細を確認してください。

運転免許の中文翻訳について内容が理解できたら、続いて「翻訳文ウェブ申請について」をご覧になり、ページの下の方にある「ウェブ申請を開始する」をクリックして、申請手続きを進めてください。
PCでもスマホでも操作可能ですが、途中で運転免許証の表と裏の画像を撮ってアップロードしますので、スマホで撮影しながら入力した方が楽かと思います。なお中文翻訳発行手数料(4,400円)の支払いはクレジットカード決済のみです。ウェブ申請手続きの後半で決済画面になりますので、カード情報を入力します。クレジットカード以外で支払いたいという方はJAFへ問い合わせてみてください。でも、台湾でのレンタカー利用にはクレジットカードが必須ですから、ここで躓いちゃうとこの先が思いやられます。

無事に各項目の入力やアップロードが終わって申請が問題なく済むと、JAFから「(JAF運転免許証翻訳文 申請サイト)申請を受け付けました」という件名のメールが届きますので、以後は翻訳完成まで待つことになります。JAFの説明によれば発行には約2週間を要するとのことでしたが、12月下旬に申請した私の場合、金曜日の深夜に申請して、翌週月曜日のお昼過ぎには「コンビニ印刷の準備が完了しました」という件名のメールが届きましたので、実質的には翌営業日にできあがったことになります。あまりの早さにビックリしたのですが、もちろんタイミングによってはしっかり2週間を要することもあるでしょうから、時間には余裕を見て申請してください。

JAFで作ってくれた中文翻訳は、セブンイレブンのマルチコピー機でプリントアウトします。届いたメールの記載内容に従ってマルチコピー機を操作し、プリント料金20円をコピー機へ投入すると、晴れて免許証の中文翻訳が印刷されますから、これを持って台湾へ旅立てばOKです。なお中文翻訳は角印が捺されているにもかかわらず白黒印刷で出てきますが、実使用の上では白黒で問題ありません(不安になった私はJAFに電話確認しましたが問題ないとのことでした)。
ちなみにJAFの中文翻訳を出せるマルチコピー機はセブンイレブンのみ。他のコンビニは対応していないようです。関東甲信越などセブンイレブンが多い地域は問題ありませんが、沖縄、四国、北東北など、セブンイレブンが少ない地域はネット申請してしまうと却って不便でしょうから、このような地域は郵便申請の方が結果的に便利かもしれません。


台湾のレンタカー業者に関しては、コロナ前と現在とではあまり違いが無いように感じられました。もちろん業者によってウェブサイトの構成が変わった(たとえば最大手である和運租車のサイトから日本語サイトが消えた)等の小さな変化はありますが、実際の予約から利用に関しては特に変化はありませんでした。

今回私が利用した業者はIWS(愛旺)租車です。公式サイトにLINEアカウントのQRコードがあるので、LINEやメールを使って予約を進めました。基本的に英語と中国語のチャンポンでコミュニケーションしたのですが、予約センター内部は日本語が分かる方がいらっしゃり、途中で日本語のメールも届いたりして分かりやすかったのが印象的です。また空車の都合で私の希望より大きなサイズの車を予約することになったのですが、定価4500元/日のところ、2200元/日という半額以下の料金にしてくれたのも、この業者に決めた大きな一因でした。


今回は桃園空港で借りて高鐵台中駅で返却しました(貸出と返却で異なる場所になることを台湾では「甲租乙還」と言います)。桃園空港には営業所が無いので、到着ロビーで営業所に電話して所定の場所で待っていると、送迎車がやってきて近くの営業所へ連れて行ってくれました。ピックアップ時も返却時も、コロナに関する制約などは一切なし。今まで通りごくごく普通に利用できました。
上画像の白いSUVは今回借りた車、トヨタのカローラクロスです。まだ走行距離が7000km程度なので新車同然。新しく綺麗な車だったので、とっても快適に利用できました。

●空港では抗体検査キットをセルフで

ここからは現時点ならではの体験談をいくつかご紹介します。
上述したように台湾では2022年10月から外国人に対する隔離措置が解除され、7日間の自主防疫期間が設定されました。と言っても「自主防疫期間」って意味がよくわかりませんよね。簡単に言ってしまえば「隔離しない代わりに一定期間、自分で抗原検査キットを使い、定期的にチェックしてね」ということです。
空港に到着して飛行機から降り、空港内の通路を歩いてゆくと、防疫や入国審査の手前に上画像のようなコーナーが設けられています。ここには抗原検査キットがたくさん積まれていますので・・・


そこから各自1つずつ取って先に進みます。抗原検査キットの箱の右側には、名刺大の小さなカードがあり、それも1枚取ります。防疫カウンターでは特に何も言われず、チェックされることもなく、提出や提示する書類も無く、そのままスルーして入国審査(パスポートチェック)へと進みます。あまりに何も無くスムーズに入国できたので拍子抜けしてしまいました。
さてこの抗原検査キットですが、入国した当日、翌々日(3日目)、5日目・・・というように1日おきにキットを使用して感染の有無をセルフチェックし、感染していなければどこにも報告することなくそのまま観光を継続できます。7日目を超えたらセルフチェック自体不要です。また入国の翌日や3日目など7日に満たず帰国(台湾から出る)場合は、抗原検査キットを使いきる必要は無く、持ち帰るなり捨てるなり、各自の判断に任せられます。
とにかく感染していなければ報告義務が無いので、正直なところ、抗原検査キットを使わずそのまま旅行を続けてもお咎めを受けない(バレない)という結構緩い施策です。

緩いと言えば、現在の台湾におけるコロナ対策意識はかなり緩くなってきたように感じました。
コロナ禍直前(2020年初頭)の台湾では市民一人ひとりが厳しい防疫意識を持っており、自主的に消毒や検温など行っていましたが、あれから数年が経った今日、台湾の方々はマスクこそ着用しますが、施設入館時の消毒はあまりせず、検温も行わず、マスク以外は通常の生活様式に戻っているような感を受けました。私の旅行中も、接種済もしくは陰性証明の提示を求められるようなことは一切ありませんでした。総じて今の日本と大差ないかと思います。

ちなみに、もし感染を確認したら名刺大のカードに書かれているところへ連絡し、入院して隔離措置をとることになります。その際の費用は全額自己負担になりますから、台湾旅行だからと言って軽く考えず、海外旅行保険に入ることを強くおすすめします。

●ガソリンが安い

上画像は高速道路走行中の様子です。台湾の高速道路料金は、日本とは比べ物にならないほど安いので、距離の長短に関わらず気軽に利用できます。以前の拙ブログ記事でも紹介しました通り、台湾の高速道路は完全ETC化されており、料金所は一切なく、レンタカー利用者の場合は返却時に営業所にて料金を現金精算します。


営業所で車を返却すると、即座に高速道路の利用履歴が端末上に表示され、明細がプリントアウトされて利用客に渡されます。その利用履歴が上画像の紙です(皺くちゃでごめんなさい)。今回は高速道路だけでも250km以上走行しているのですが、にもかかわらず、合計料金は133元。日本円に換算して僅か500円強なのですから驚きです。


今回特に安いと感じたのがガソリン価格です。
上画像は台中で返却する前に満タン給油した際のレシートです。わかりにくいかと思いますが一般的なオクタン価95(日本のレギュラーに相当)のガソリンを29.51リットル給油したところ903元でした。これをリッターあたりに換算すると約30.6元/Lとなり、更に日本円へ換算すると約130円/Lとなります。2023年1月16日現在、東京都内のレギュラーガソリンは155円~170円が相場ですから、台湾はそれより25円~40円も安く、都内の軽油とほぼ同じような価格になっているのです。
日本と同じく石油をほぼ完全に輸入に依存している台湾で、なぜこのような価格設定になっているのか調べたところ、ちょっと古い内容ですが、以下のような記事を見つけました。

「台湾当局、原材料の税負担軽減措置を延長、国際価格の高騰に対応」 JETRO「ビジネス短信」 2022年4月1日付

どうやら台湾では、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う石油の国際価格高騰が市民生活や企業活動に与える影響を考慮し、ガソリンや軽油に係る税率を下げているらしいのです。それによって日本より大幅に安いガソリン価格が実現できているのでしょう。石油元売りに補助金を出しておきながら市場価格がなかなか下がらないどこかの国の施策とは大違いですね。


(ここから先は単なる愚痴ですので、読み飛ばして下さって結構です)

●日本入国(帰国)時の「デジタル」が役立たず
さて台湾をたっぷり満喫して日本へ帰国です。
羽田へ着陸した直後の機内アナウンスでは「降機してすぐVisit Japan Webの画面提示が必要になります」と告知していたので、旅行出発前にスマホで必要事項(接種証明のアップロードを含む)を入力しておいた「Visit Japan Web」の画面を開きながら飛行機から降り、羽田のターミナル内を歩きました(昨年までコロナの接種証明などは「My SOSアプリ」を使っていましたが、2022年11月に「My SOSアプリ」は廃止になり、アプリのダウンロードが不要な「Visit Japan Web」に移行されています)。

この羽田の通路で、帰国早々奇天烈な光景に出くわしたのです。防疫カウンターや入国審査へたどり着くまでの長い通路には臨時職員と思しき大量のスタッフが立っており、ある人は「画面を用意して」と叫び、ある人は「この紙をお持ちください」と紙を手渡し、ある人は夜中で薄暗いのにQRコードが印刷された見難い小さなボードを掲げ・・・という有り様で、デジタルとは縁遠い人海戦術で何かしらのお仕事をなさっている。ただ何の仕事をしているのか、さっぱりわからない。面倒に思った私は、3回接種済みを示す青い画面を出したまま早歩きで前へ進んでそのスタッフたちを無視しつづけていたのですが、しばらく進むと「ちょっとお待ちください」と行く手を遮られて赤い紙を手渡されました。A5サイズの赤い紙は「健康カード」と題されており、厚労省などの公式サイトのQRコードが印刷されているだけなので、「案の定くだらない案内だ」とその紙をバッグにしまって防疫カウンターを通過しようとしたら、今度はカウンターの前で「ちょっと待ってください」と止められ、赤い紙の提示を求められました。「Visit Japan Web」登録及び入力時の説明では、3回接種済みを示す青い画面を防疫カウンターで提示すれば良い、とのことでしたので、カウンターで青い画面を見せたのですが、それではなく赤い紙を見せろとのこと。何のことやら理解できずバッグの中から赤い紙を出してようやく防疫カウンターを通過できたのですが、ということは"Visit Japan Web"の接種済み画面は、防疫カウンターではなく通路にたくさんいたアルバイトスタッフが確認していた(赤い紙がその証拠)ということなのでしょうか。防疫カウンターで画面を見せるだけで十分なのに、なぜたくさんの人員を雇って紙を配って利用客に不可解なことを強いるのでしょうか。デジタルと称しておきながら思いっきりアナログを温存し続ける日本政府の運用が、私にはさっぱり理解できません。

理解に苦しむのはそれだけにとどまりません。荷物(なぜか私の便はバゲッジクレームで1時間以上も待たされました)を受け取った後の税関申告は、輪をかけてア●と貶したくなるような体たらく。典型的なお役所仕事を目の当たりにしたのです。言わずもがな国際線利用時には空港から出る前に税関を通ります。日本の場合、いままでは申告内容の有無にかかわらず税関申告書に必要事項を記入し、税関職員がいるカウンター(レーン)で申告書を提出し、パスポートを提示しながら、必要に応じて荷物のチェックを受けていました。ところが「Visit Japan Web」の導入により、予めスマホで必要事項を入力しておけば、税関申告書の記入は必要が無くなったのです。ここだけ聞けば「デジタル行政万歳!」なのですが、そうは問屋が卸さないのが日本のデジタル行政のダメなところ。税関カウンターへ向かう前に、まず専用端末にパスポートと「Visit Japan Web」の税関に関するQRコード(スマホの画面)を読み取らせ、顔認証登録をする必要があるのです。どうしてこういうひと手間を挟む必要があるのか、このあたりが如何にも日本のお役所らしいところですが、羽田の場合は専用端末の設置場所がわかりにくい上、台数が少ないため、専用端末での読み取りを知らないまま税関カウンターへ行って追い返されてしまったり、少ない専用端末の前で並ばされたりと、多くの利用者が戸惑っていました。しかも専用端末で読み取った後は、専用の「税関検査場電子申告ゲート」を通過して空港の制限エリアから出ることになるのですが、この専用ゲートが少ないため(私が利用した時はなんと1つのみ!)、本来はスムーズに流れるべきはずの「電子申告ゲート」に行列が発生してしまい、申告書を係官に提出する従来型のゲートの方が待ち時間無しで滞りなく流れるという本末転倒な状況が発生していました。なぜデジタルを利用した方がストレスを溜めなきゃいけないのか・・・。この国の行政がデジタルに手を出すとろくなことがありません。

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船原温泉 船原館

2023年01月13日 | 静岡県

(2022年3月訪問)
中伊豆から土肥方面へ抜ける船原峠の東側には船原温泉があり、日帰り入浴施設と温泉旅館がちょっと離れた位置でそれぞれお客さんを迎え入れています。今回は温泉旅館「船原館」で日帰り入浴させていただきました。
帳場にて声をかけて入浴をお願いしますと、ご主人が快く受け入れてくださいました。湯銭をお支払いするとき、帳場のカウンター上に面白い案内を発見。宿泊客向けに書かれたその日のお食事の食材に関する説明で、シイタケは上船原産、ワサビは天城産、という感じで食材とご当地の地名が書かれているのですが、イノシシの肉については「このあたりの山」という大雑把ながら簡潔かつ分かりやすい言葉で表現されており、具体的な固有名詞よりも寧ろリアリティがあってユニークです。

さて私はご主人の案内に従いお風呂場へ向かいました。廊下の右手に浴場があり、左手の窓の向こうに建つ離れには「立ち湯」という浴場があります(窓越しに立ち湯の浴槽がちょっと覗けました)。こちらのお宿は「立ち湯」という入浴方法を提唱し、お客さんに供用していますが、今回私は立ち湯を体験しておりません。次回宿泊する機会があれば是非とも体験してみたいものです。


脱衣室は古いながらも明るくて綺麗に維持されています。室内の壁には目的別の入浴方法や浴槽の温度区別が手書きで張り出されていましたので、私もよく読んでから入浴させていただきました。その説明を読みながら着替えていると、ドアの向こうのお風呂から「ボコッボコッ」という音が聞こえてくるではありませんか。ワクワクしながらドアをあけて浴場へ入ると・・・


浴槽の下からお湯が音を木霊させながら噴き上がっていました。湯量が豊富なのでしょう。この浴槽はS字の川のような造りで、出入口付近にお湯が噴き上がる投入口があり、そこを上流として窓下の方へ流下する過程で少しずつぬるくなっていきます。ちょうどS字の中央部分に対岸へ渡る渡り石があって、その渡り石が仕切りのような役割を果たしており、渡り石より右側(下流側)が若干ぬるくなっていました。上述の通り、脱衣室には「気持ちのいい温泉の入り方」として、疲労回復、ストレス解消、ケガの後遺症、それぞれにあった温度別の入浴方法が説明されていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。


洗い場のシャワーは脱衣室側に4ヶ所、浴槽の向こう側(対岸)に3ヶ所あります。
浴槽のお湯は浴槽から惜しげもなく溢れ出ており、オーバーフローが流れる床は赤く焼け爛れたような色に染まっていました。


ボコッボコッと大きな音を轟かせながら噴き上がるお湯は無色透明無味無臭で、加温加水循環消毒は一切行われていない完全かけ流しです。とにかくお湯の鮮度感が素晴らしく、お湯が粒立っていると表現したらよいのか、湯船に浸かるとシャキッとした感覚に包まれ、且つ優しくまろやかでもあり、一度湯船に浸かると後ろ髪を引かれて出られなくなってしまうほど気持ち良いお湯でした。


露天風呂は川沿いに設けられた3~4人サイズの岩風呂で。目隠しの柵が高いため景色はあまり期待できませんが、柵の上から周囲の山を見上げることができますので、宿泊の際は「食事に出てきたイノシシはこの山のどこかにいたんだろうな」と想像しながら湯あみすると面白いかもしれません。
なお露天風呂も内湯と同じ源泉を使っているはずですが、露天の湯口ではチオ硫酸イオン的な風味を少々感じました。内湯からはそのような風味は感じられなかったのですが、源泉由来なのかあるいは別に理由があるのか、この風味の違いについてはよくわかりません。

修善寺からあまり離れていない場所であり、且つ西伊豆へ向かう観光客の往来が激しい国道沿いであるにもかかわらず、このお宿は実に静かで、ここだけ別世界にいるかのような不思議な雰囲気に包まれていました。しかも豊富に湧出する自家源泉のお湯は大変素晴らしく、この上ない気持ち良さを享受することができました。
次回は宿泊し、立ち湯を体験しながらご当地産の食材に舌鼓を打ってみたいものです。


源泉名未定
単純温泉 45.6℃ pH8.0 187L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質711.8mg/kg 成分総計716.9mg/kg
Na+:182.3mg(78.98mval%), Ca++:40.4mg(20.12mval%),
Cl-:96.1mg(27.75mval%), HS-:0.02mg, SO4--:297.6mg(63.49mval%), HCO3-:48.2mg,
H2SiO3:38.8mg, CO2:5.1mg,
(平成26年11月25日)

静岡県伊豆市上船原518-1
0558-87-0711
ホームページ

日帰り入浴時間は施設へお問い合わせください
800円
ドライヤー・シャンプー類あり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★★
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温湯温泉 佐藤旅館 後編(お風呂)

2023年01月07日 | 宮城県
前回記事の続編です。


さて今度は温泉のお風呂へと参りましょう。
前回記事で紹介した小さな売店や自由に使える大広間の前を歩いてお風呂へと向かいます。大広間の先からお風呂までの間は建物が新しくなっており、真新しい緩やかなスロープを下った先がお風呂です。以前は混浴内湯だったためか、男湯の出入口は2つあり、脱衣室も二手に分かれていますが、浴室でつながっているので、どちらの脱衣室を利用しても同じお風呂に入れます。なお脱衣室と浴場は以前の建物のまま使われています。


男湯の暖簾の前で後ろを振り返ると、新しい洗面台が設けられていました。ここにはドライヤーが備え付けられており、明るくて使い勝手が良いので、私が宿泊中は、洗顔や歯磨きなどをここで済ませました。なお男湯入口の先にロッカーがあり、その更に奥が女湯です。


正面向こう側に積み上げられた岩が武骨なイメージを与える男湯の内部。なかなか広いお風呂です。古いお風呂をそのまま使っていますが、浴槽の縁は新しい木材に張り替えられていました。
浴槽の手前側はw字のような形状を描いており、左右幅や約9メートル、奥行き約5メートル、というかなり大きな浴槽です。15人は余裕で入れるのではないでしょうか。なお中程で半分に仕切られていますが、完全に分かれているわけではなく、湯面下2センチほどは仕切りがありません。それでも仕切りを挟んだ左右で湯加減に多少の差があり、湯尻に当たる右側の方が若干ぬるく感じられました。


洗い場では塀を挟んで2つのシャワーが向かい合うように並んでいます。


おそらく男湯と女湯を隔てていると思しき岩組みの壁から温泉が落とされており、その音は浴室中に木霊していました。言わずもがな循環や加水・加温などの無い掛け流しの湯使いです。ぬるゆという名前の割りには、源泉湧出温度が64.4℃もあり、上から落とされる温泉も直に触るのが躊躇われるほどの熱さがありました。
湯舟のお湯はほぼ無色透明ですが微かに褐色を帯びているように見えます。
温泉成分の析出がサンゴのように付着している湯口のお湯を口に含んでみますと、弱い塩味の他、ほのかにお煎餅を焦がしたような香ばしい匂いが鼻へ抜けていきました。湯船に浸かるとツルスベの滑らかで優しい浴感が肌に伝わってきます。実に良いお湯です。


営業を再開するにあたって、温泉利用許可を取り直したんですね。


以前は露天風呂にも入れましたが、現在は使われていないようでした。またかつて利用できた貸切風呂も現在は使用できません。


露天風呂のまわりは広いお庭のようになっていますから、私はお風呂上がりにこの庭をぐるっと回って、お風呂で火照った体をクールダウンさせつつ、当地の爽やかな空気を胸いっぱい吸い込んで、身も心も清浄化させました。

お食事佳し、お風呂も佳し。
名湯が復活するのが実に嬉しく喜ばしいことですね。
皆さんも機会があれば、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。


よしの湯
ナトリウム-塩化物温泉 64.4℃ pH7.5 溶存物質1248.8mg/kg 蒸発残留物1085mg/kg
Na+:358.2mg(87.48mval%), Ca++:33.5mg(9.38mval%),
Cl-:472.8mg(76.01mval%), SO4--:61.8mg(7.35mval%), HCO3-:171.3mg(16.01mval%),
H2SiO3:86.1mg, HBO2:49.0mg, CO2:30.8mg,
(令和2年1月30日)
加水・加温・循環なし
消毒あり(浴槽衛生管理のため塩素系薬剤を使用)

宮城県栗原市花山字本沢温湯8-1
0228-56-2251
ホームページ

日帰り入浴10:00~19:39 火曜・木曜定休(祝日は営業)
500円
宿泊利用については宿へお問い合わせください。

私の好み:★★★
コメント (4)
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