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聴いたCD イソクラティセス(Isokratisses):クライ・ウィズ・ティアーズ

2024年01月09日 | 民族音楽・ワールドミュージック・カントリー・純邦楽等

 

 かつてハマりにハマったブルガリアン・ポリフォニー好きの血が、久しぶりに騒ぐようなCDに出会う。

 ズバリ、これまで全く知らなかったバルカン南部は、ギリシャ/アルバニアのポリフォニー歌唱です。

 まあ、考えてみればこのようなポリフォニー合唱って、当然ブルガリアだけのものではなくて、バルカンの色んなところに伝わっていたはずなのだが、しかしCD屋やYouTubeでたまに捜索をかける程度だった自分には、このような新たなポリフォニーを自分で発掘することはなかなか難しかった。

 それが、今回の「アイソ・ポリフォニー」はユネスコの「世界無形遺産」に登録されているほど名の知られた文化だったということで、これまでいかに自分の探求が上っ面だけだったかを思い知らされた次第(泣)。

 で、本作で聴かれるのは、そのギリシャ北部からアルバニア南部にまたがるエピルス地方の女性たちによって結成された「イソクラティセス」というグループによるポリフォニー合唱。

 ちなみに、この「アイソ・ポリフォニー」は基本的にはソロが2パート(メロディーと、カウンター・メロディー)あり、それにドローン合唱が加わるという構成で、このCDでは基本的にこの歌唱が最後まで続くので、ブルガリアに比べるとすごく素朴というか、エンタメ性に欠けるような印象も受けるのだが、逆に言うとそれがむしろ東欧のポリフォニーの祖型のひとつを想わせるというか、また単純ゆえの力強さといったものも感じさせられる面もあるのではないかと。

 また、本作でこのグループが歌っている曲も、ミロロギア(mirologia)と呼ばれる伝統曲のヴァリエーションが多く、こちらもかつてはバルカン半島南部の様々な土地で歌われていたのが、現在ではエピルス地方以外では消滅してしまったのだとか。

 (ただ、そんな彼女ら「イソクラティセス」が、実は比較的最近結成された現代のグループであるという点、このCDで聴かれる歌はやはり100%古い伝統ではなくて、現代性もある程度は含有されているとは思うんだけど)。

 で、年末にこのCDに出会って半月あまり。最初の頃はやはりずっと同じような曲が続くし、合唱パートのドローンも上下なく同じ音を続けるばかりだしで、どうしても後半は飽きてくるなあなんて思っていたんだけど、さっきも書いたようにその後少しずつ単純さの中にも人を惹きつけるパワーや魅力がかなり含まれていることに気づき始めて、今は聴いていてちょっと陶酔感さえ覚えつつある、という段階。

 そして、気がつけばこうしてアルバニアの伝統音楽に接したのって、これが生まれて初めてだったかもしれない。アルバニアって、かつて90年代頃の東欧革命の際にちょっとニュースになったりしたのを覚えているくらいで、当時は鎖国状態で貧しい社会主義国家だったようなイメージしかなかったけど(でも、それで結果的にこういう伝統的なポリフォニー合唱が残ったという可能性もあるのだろうか)。

 しかし、南はギリシャに接し、アドリア海を挟んで対岸にはすぐイタリア半島の靴のかかとの部分が見える、という地域に位置していてどうしてこんなに国情が違うのか、一歩歴史が違えばガラッと国情が変わったんじゃないかなんてことも、あの頃は思ったりしたこともありましたっけ。

Between the Three Seas

Isokratisses - livesession during Le Guess Who? 2019

Richmond Folk Festival 2022, Isokratisses, Polyphonic singing, Epirus Deropoli, Politsani, Albania 7

↓ (アイソ・ポリフォニーの解説動画。みんなで手をつないでちょこちょこステップして踊るの、かわいいですね)。

Albanian Folk Iso-polyphony

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