光産業技術動向ブログ OITT

OITTとは、Optoelectronic Industry and Technology Trendの略称です。

IOWNは2022年実装開始 オール光網の骨格作りがスタート

2022年05月25日 | 新サービス

光の可能性を最大限に活かすことで、情報通信インフラを飛躍的に進化させる──。NTTの次世代構想「IOWN」が、ついに具体的な形を見せ始めた。IOWNの基礎となる「オール光網」の構築がスタートする。 


「2030年に向けて進化していくのがIOWN。いつから始まるのか、と問われるが、2025年まで待ってと言うつもりはない。オールフォトニクス・ネットワークはすでにPoCができる状態にあり、使える場所を見つけて2022年度から入れていく」
NTTの次世代情報通信基盤構想「IOWN」。研究企画部門 IOWN推進室・室長の川島正久氏によれば、その社会実装がいよいよ始まる。
オールフォトニクス・ネットワーク(APN)とはIOWN構想の主要構成要素の1つで、電気信号に変換することなく光のみで情報を伝送する次世代ネットワークのことだ。これに、TCP/IPを使わず、通信ノード間を光の波長パスでダイレクトに接続してデータを伝送する新たな手法を組み合わせることで、データ流通の仕組みを作り直そうとしている。
中継ノード(ルーター)でパケット転送を繰り返す現在のパケット網は「バケツリレー方式」だ。スマホとWebサーバーやクラウド間のように、どこでもつながるAny-to-any接続には適しているが、無駄も多い。
APNはそこから脱却し、Point-to-point接続が欲しい場面で、大量データを一気に流すパイプライン輸送へ転換することを狙っている。例えば、IoTセンサー/カメラと、そのデータ・映像を解析するエッジAIとの間、車・ドローンと、その運行を管理するデジタルツインとの間、5G基地局のアンテナと制御部との間などだ。
Any-to-any接続が必要ないポイント間を光パスで直接つなぎ、大容量・低遅延にデータを伝送する。いわば、水道管を引くイメージだ。
このAPNは、すでに稼働している。東京・大手町にあるNTTグループの拠点と、武蔵野市のNTT研究所との間だ。今後、グループの複数拠点をつないで段階的に規模を拡張し、APNのテストベッドを作る計画だ。
また、IOWNを試したい企業や自治体、大学等があれば、それらを相互接続しながらAPNを展開することも検討中という。「インターネットの成長過程と同じように、先行してIOWNを導入する町や大学、企業をつなぎながら、IOWNの通信空間を広げていく」(川島氏)
APNは、デバイス間をエンドツーエンドに光のパスでつなぐことを最終目標としているが、いきなりそれを目指すのは難しい。

そこで、IOWN GFでは、APNを終端するブリッジ装置をユーザー拠点等に置き、これを介して、光トランシーバーを持たないデバイスもAPNに通信できるようにする「早期展開モデル」でAPNを広げていく計画を立てている。
ブリッジや光トランシーバー搭載デバイスを光波長パスで接続・中継する「APNノード」は、現在の光ネットワークでも使われているROADMを再構成して作る。その下地となったのが、光伝送システムのオープン化の動きだ。
ROADMは、多重波長の光信号を制御して、最適な伝送経路へ切り替える装置だ。これを構成する機能群を分離し、機能ごとに配置・再構成できるディスアグリゲーション型ROADMを実現するための「Open ROADM」プロジェクトが、2010年代半ばから業界団体で進められてきた。APNノードは、このOpen ROADMで定義されている機能モジュールを使う。

APNはどのようなユースケースから実用化されるのか。最初のターゲットは5G基地局、スマートシティ、そしてデータセンター間接続だ。いずれもデータ量と消費電力の増大が大きく懸念される分野である。
1つめは5Gのフロントホールネットワークだ。5G基地局は、4Gまでと比べて圧倒的に多数の無線機(RU:Radio Unit)を設置する必要がある。RUの制御部(DU/CU)との間を流れるデータ量も消費電力も飛躍的に増大する。また、ミッションクリティカルな用途に使われることを想定して、低遅延な通信が求められる。
APNは、このRUと仮想化DU/CUをつなぐフロントホールに最適な回線になり得る
2つめのスマートシティでは、サイバー空間内に実世界を再現するデジタルツイン、サイバーフィジカルシステム(CPS)の基盤として使うことを考えている。
3つめのユースケースは、従来の「大規模集中型」から「小規模分散型」へ移行していくデータセンター間を接続するネットワークだ。
「5GフロントホールやエッジAI、分散型データセンターといった未来を支えるインフラの電力効率を改善するのにAPNを使う」と川島氏。
2022年度は、IOWNの具体像が見え始める1年になりそうだ。


さらに概要を知りたい方は次の記事を見てください。
Businessnetworkのニュース 
光技術や光産業の情報交流フォーラム
エイトラムダフォーラムhttp://www.e-lambdanet.com/8wdm/






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NTTとスカパー、宇宙RAN新会社「Space Compass」

2022年05月04日 | 企業情報

NTTとスカパーJSATは、宇宙衛星事業の中核会社となる「株式会社Space Compass」を7月に設立する。宇宙データセンタ、宇宙RAN等に関する事業企画・事業開発などを行なう合弁会社で、資本金は両社が90億円ずつ出資した180億円。 


2021年の業務提携で発表した、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の具体的な一歩となるもの。宇宙空間に構築する光無線通信ネットワークと成層圏で構築するモバイルネットワークを手始めに、新たなインフラを構築する。社名は、NTTの頭文字「N」と、スカパーJSATの頭文字「S」を組み合わせると「Compass(方位磁針)」になることから由来するもので、人類が未知の価値を発見する羅針盤のような存在になりたいという思いも込めたという。
主な事業は、「宇宙データセンタ事業」と「宇宙RAN(Radio Access Network)」事業の2つ。
宇宙データセンタ事業は、静止衛星軌道上にデータセンタ機能を持つ衛星を配備し、低軌道の気象観測衛星などさまざまな情報収集衛星からのデータを受信・処理を行なって大容量データを準リアルタイムで伝送する仕組み。2024年度のサービス開始を予定。


さらに概要を知りたい方は次の記事を見てください。
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