いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

減税と還元のスパイラル。 spiral of a tax reduction and more reduction

2024-05-03 20:53:57 | 日記
 (1)自民党が織り込み済みの敗けるべくして敗けた衆院3補選全敗は、岸田首相は国民の審判を重く受け止め、反省するものは反省してのいつもの定例句を述べているが、6月に実施する1人あたり4万円の定額減税を政権維持につなげたいところだ。

 (2)春闘での大企業中心の平均5%超の賃上げもその後の中小企業へは思うようには波及せずに、急激な円安が続く物価高の前では実質賃金はマイナス成長で恩恵は少ない。そこで6月の4万円の定額減税効果に期待を示しているといわれるが、1回限りの定額減税では国民にどれだけの所得感を実感できるのかは疑問で、国民からは人気取り政策との醒めた受け取り方が大方だ。

 (3)減税では給付に比べて利益、所得感は少なく、さらに1回限りの減税ということで恩恵も少なく、事務処理を担う自治体では減税対象者の選定や減税と給付を組み合わせる低所得者向け対応やらあれこれ複雑で入り組んだ制度となっており、報道では「土日返上で働いて、正直疲れ切っている」(自治体職員)との声もある。

 (4)岸田首相が3兆円規模の予算で国民負担の軽減をはかろうという政権浮揚をかけた財政処置、政策なのだから、まかされた自治体としてもやるしかないのだが、原資は国民投資(税負担)でさらに土日返上で自治体の経費増も招いて、どれだけの減税効果、実感があるのか制度、仕組みの複雑さ、入り組みもあってとにかくわかりにくい定額減税だ。

 (5)ここ2年は円安効果もあり企業業績が好調で法人税などの税収増が続いており、岸田首相も成長と分配の理論から国民に還元するとの発想だが1回限りの定額減税ならなぜ所得実感の高い給付でなかったのか、税収増の国民還元という趣旨からみズレたおかしな定額減税だ。
 結局は給付ということになれば、大型物価高で苦しむ国民には消費行動につながらずに貯蓄に回り、市場にカネが回らない経済不利益が考えられ、国民還元とはいえない政府の目論見違いの経済対策だ。

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