いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

天皇生前退位と宮内庁。 abdication of tenno while in life and the imperial house-hold agency

2016-07-15 19:54:58 | 日記
 (1)天皇が生前退位(abdication of tenno while in life)、譲位の意向を宮内庁(the imperial house-hold agency)関係者に伝えていた(報道)ことが毎日の新聞紙面を大きく飾っている。

 なぜか宮内庁長官はこの報道を真っ向から否定(同)して「第三者が推測したり解説したりするのは適当ではない」(同)と否定した。天皇制度を規定する皇室典範には天皇は終身の位であり、生前退位の規定はない。

 報道されるところの解釈によると、天皇の地位を利用、悪用して陰謀策略をはかる意図をなくして、天皇の地位にからんだ争いに巻き込まれたくないことが天皇終身制の趣旨のようで、宮内庁の立場もそれに沿った意向のようだ。

 (2)天皇が任務を遂行できない場合には皇室典範では代理を置く摂政制度があり、これで対応するのが法規上のルールだ。
 ただし現在の天皇の身分、地位は憲法で「日本国の象徴」として規定されており、政治とは一線を画して象徴天皇としての「国政に関する権能を有しない」としているのだから、宮内庁のいうような天皇の地位の利用、争いに巻き込まれることを拒むための終身地位だとすれば、少し趣きが違うように思える。

 (3)宮内庁の意向、見解では逆に天皇の地位、身分に何か権能、権威をを持たせるかのごとく権威主義を感じるもので、それこそが天皇の地位の利用ではないかと危惧する、感じるもので、素直に「国民統合の象徴」としての精神的支柱としての天皇地位であるべきことをまず確認すべきだ。

 そういう意味でも宮内庁というのはほとんど機関としての情報公開性が乏しくて、まるで伏魔殿のように神秘に包まれている。何千年にも及ぶ天皇性の歴史的継承にとってはその神秘性は財産なのだろうが、現代憲法上の天皇はすでに国民の象徴天皇(symbol)として認知されており、パラドックス(paradox)としてそうだからこその国民からの尊厳と畏怖の念を持って迎えられているという事実がある。

 (4)生前退位という皇室典範に規定のない事例について天皇が言及されたという特別の情報源まで宮内庁長官が完全否定するという不自然さは宮内庁の情報閉鎖性、権威主義を象徴するもので危惧を強くする。

 一方でこういうことが外部情報発信で起きて周囲が騒がしくなるから、生前退位規定がないともいえるわけだ。
 天皇は高年令で近年大きな手術も二度経験して健康上の問題も抱えており、あたらしい時代観の天皇の意向として次世代への譲位、生前退位を考えていることは十分理解できる。

 (5)天皇はそれまでの皇室慣習を見直して初めて民間出身の皇后を迎えて、これも慣習とは別に天皇継承の子ども(皇太子)も両親(天皇、皇后)のもとで育てるなど、まさしく国民の象徴として国民(生活)に寄り添った普通の日常生活を実践してきた信念が見受けられる。

 天皇の地位、意向は憲法規定により首相の助言により支えられてきた微妙に政治的な側面もあって、それを取り持つ宮内庁の役割も大きくて国民の理解を得るための情報開示性(disclosure)、風通しの良さは避けられない。

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