いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

米国議会の座り込み。 a sit-down tactics in the congress of usa

2016-07-02 19:53:01 | 日記
 (1)あまり大騒ぎにならなかったが、米国議会で銃規制強化を求める議員たちが議長席、演説席をぐるりと囲んで座り込み(a sit-down tactics in the congress of usa)、銃規制強化法案の成立を求めた議会占拠「事件」があった。

 座り込みは10数時間に及び日付が変わって議長が休会を宣告して座り込みは解かれた(報道)。米国議会での異例の議員による座り込みは不自然で何か打ち解けた感じで緊迫感のないもののようにも見受けられた。

 (2)米国では銃を使った市民、学生、子どもを標的にした事件が後を絶たずに、民主党オバマ大統領は事件のたびに銃規制の強化を訴えて銃規制強化法案を議会に提出しているが、共和党が多数の議会では否決されている。

 米国では全米ライフル協会がロビー団体(議会圧力団体)として議員、議会、特に共和党に大きな影響力を持っていて、議会も銃規制には消極的といわれている。
 銃による事件が起きるたびに銃規制に反対する利害関係者からは、もっと国民すべてが銃で自分を守ることになれば問題はない趣旨の発言をして社会全体としては一向に銃規制に賛同する気配は見られない。

 (3)米国社会はトランプ候補の移民排斥、過激な保護主義の発言が国民の支持を受けているように、極端な米国主義回帰の理念が支配して身を固める傾向が強く感じられる。

 オバマ大統領が中国のAIIB設立主導によるアジア経済圏への影響力を拡げていることに対してTPP交渉を主導して対抗し、中国の南シナ海領域化に航行の自由作戦で対立姿勢を鮮明にして、米国の保護主義、リバランス政策を前面に出してGDP第2位の中国との対決を鮮明にしている。

 (4)その流れに乗った共和党トランプ候補の大統領選候補者選出の背景でもある。子どもが銃によって犠牲になるという事件ではオバマ大統領も会見で涙を浮かべて銃規制強化を訴えたが、その後も米国社会での銃による事件は後を絶たずに銃規制強化の訴え、声は米国社会に拡がりを見せていない。

 そこで冒頭のように米国議会ではめずらしい銃規制強化を求める議員による議会座り込みによる占拠「事件」だった。

 (5)そのかいもなく、その後の銃規制問題が進展したという話は聞かない。沖縄における米軍基地軍関係者による市民犠牲事件も後を絶たずにその都度規律強化が叫ばれて、しかししばらくするともとのもくあみに戻るだけだ。

 米国主義がそういうものなのだろう。わずかにやむをえずに議会座り込み占拠議員が米国の良心を示してみせたが、米国主義社会ではマイノリティ(minority)でしかない現実だ。

 (6)オバマ大統領がリバランス政策で中国に対抗するために主導したTPP交渉でさえ、同じ民主党のヒラリー・クリントン候補でさえ米国に不利益な貿易自由化だとして反対を表明しており、米国の保護主義(protectionism)志向はかなり深刻な問題を抱えている。

 もちろん米国に限ったことではなくて、EUでも英国がEU離脱を決めたようにこれは他国、組織の理念、政策、方針に縛られたくない、協調よりは自らの国のこと利害関係は自らが決めるという保護主義の台頭のあらわれでもある。

 (7)EU内でもギリシャ、イタリア、スペインなど財政金融不安定国にも共通する理念でもある。これまでは現実主義(pragmatism)的な協力、理解の国内政治と見ていた米国議会での妙に打ち解けた緊迫感のない議員の座り込み議会占拠事件をみて、米国政治、社会の本質と内向き変化を感じさせられた。

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