栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

唸るようなニアリークロスはないが、トーセンジョーダンは唸るような名配合だ

2012-10-23 12:02:18 | 配合論

ジャングルポケットはHyperion4・6・6×6・6・7・7・7・8と、血統表の隅から隅までHyperion色のクレヨンだけで塗りつぶしたような配合をしていて、我慢強くて成長力に富むが、体質は硬いしズブくてあまり速い動きができない…というHyperion的な特質を良くも悪くも伝える種牡馬です

この「良くも」をなるべく活かし、「悪くも」をなるべく活かさないようにするには、ジャングルポケットに希薄な米血スピード、それもNasrullahやHaloやTom Foolなどとリンクした柔質のものを取り込み、全体として「父スタミナ×母スピード」の配合形にすることで、母のスピードで先行し父のスタミナで頑張るような脚質にする…というのが教科書的なやり方

アヴェンチュラきょうだいやオウケンブルースリの配合はその典型だし、アヴェンチュラがきょうだいの中で最も成功したのは母のスピードが最もONになっていて最も機動力あるレースができたからでしょう

秋天に出てくるジャガーメイルとトーセンジョーダンの場合は、母系にLady Angela3×2ノーザンテーストを引きHyperionの継続クロスになるため、なおさら他の部分に柔質な米血スピードを入れる必要がありました

ジャガーメイルは母母父がノーザンテーストですが、母父にサンデーをもってきて母はTurn-to4×4

トーセンジョーダンは母父がノーザンテーストなのでジャガー以上にHyperion色が濃い配合ですが、母母クラフティワイフはミスプロとナスキロとTom Foolを持ちNasrullah5×4、しかもHyperionの血は一本も引きません
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/

昨年の秋天はピンナで追い込んで勝ち、つづくJCでバトンを受け継いだウィリアムスは、「ピンナと相談して、今回は先行したほうがいいという結論に達した」とコメントしていましたが、秋天も決して斬れでズバッと差したという勝ち方ではなく、同じく追い込んだダークシャドウとペルーサとの叩き合いにおいて粘り強さや我慢強さで上回った、という内容だったと思います

だからJCで先行したのは正解で、東京2400mでは世界一強いと思われるブエナビスタにこそ惜敗しましたが11.9-11.2-11.0-11.5-12.0のロングスパートを踏ん張りとおし、個人的にはこのJC2着こそがペストパフォーマンスだと思うし、若いころはクラフティワイフ系のスピードでフワッと先行するような中距離馬やったのに、いつの間にか日本で一番Hyperion的な中距離馬になってたんやなあ…と感動しました

「3/4Hyperion(ジャングルポケット×ノーザンテースト)」と「1/4米血(クラフティワイフ)」

スカーレットブーケ≒Storm Cat2×3とかDrone≒Terlingua3×3とか、Hornbeam≒パロクサイド3×3とかNumbered Account≒Foreign Courier2×2とか、血統屋が鼻ふくらませて唸りたがるようなニアリークロスに頼らなくても、「緊張と緩和」や「3/4と1/4」の概念だけで、トーセンジョーダンやステイゴールドやサンデーサイレンスのような馬がつくれるわけです

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「一口馬主好配合馬ピックアップ」レッドセシリアが新馬戦を快勝!

2012-10-22 17:06:03 | 共有クラブ

ここんとこ栗山さんのピックアップ馬がバンバン勝ち上がるので煽られまくりでしたが(^ ^;)、先週はレッドセシリアがデビュー戦を見事に飾ってくれました~
以下、昨年の推奨コメントです

★東京サラブレッドクラブ
父ハーツクライ
母サセッティ(Selkirk)
募集価格:2000万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104124/
レッドセインツの3/4妹ですが、こちらは父がハーツクライに替わり名繁殖My Bupersの4×3が光ります。牝馬らしからぬ力強さを誇り、同じMy Bupers牝系のダイヤモンドビコーのように先行押し切りの横綱相撲がとれる馬ではないかと思います。

実馬をみるとやっぱりダイヤモンドビコーをLyphard的粘着脚質にしたような馬で、1600mで勝ちましたが1800mあたりで前受けすればしぶとそうなタイプですね~

京都競馬場のモニターでレースを見ていて、だいたいイメージ通りに出てくれてよかったよかったと喜んでたんですが、その10分後に怪物くんの圧勝を見せつけられては顔色なし…(^ ^;)

先週はレッドセシリアが新馬戦を快勝!サンブルエミューズは芙蓉S優勝でクラシックに名乗り!
サンブルエミューズ(父ダイワメジャー)、ロードシュプリーム(父ロードアルティマ)、ディアデラマドレ(父キングカメハメハ)、ディアマイベイビー(父ディープインパクト)、ハドソンシチー(父マンハッタンカフェ)、ブルーボンボヤージ(父Medaglia d'Oro)、ホワイトフリート(父クロフネ)、マイネルクレイズ(父ダンスインザダーク)、マイネルブルズアイ(父アルデバラン)、マジェスティハーツ(父ハーツクライ)、レッドセシリア(父ハーツクライ)、ローブティサージュ(父ウォーエンブレム)と、昨年ピックアップ馬が続々勝ち上がり!
現在ウイン、キャロット、グリーン、シルク、ターファイト、ノルマンディー、ラフィアン(一次、二次)、ローレル、東サラの募集馬をピックアップ中!
栗山求・望田潤の「一口馬主好配合馬ピックアップ2012」
http://miesque.com/c00009.html

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秋天の人気馬が持つニアリークロス早見表

2012-10-22 15:19:08 | 血統予想

秋天で人気になるような馬は、やっぱりなんかカッチョイイことやっとりますな

カレンブラックヒル
の母チャールストンハーバーが持つDrone≒Terlingua3×3
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106230/

  ┌Royal Charger
 ┌○
┌○
│└Somethingroyal
Drone
│ ┌Menow
│┌Tom Fool
│││┌Bull Dog
││└△
└△
  ┌Nasrullah
 ┌○
┌○
│└Somethingroyal
Terlingua
└△
 └△┌Menow
  └△┌Sir Gallahad
   └△

カレンブラックヒルが持つスカーレットブーケ≒Storm Cat2×3

 ┌Northern Dancer
 │ ┌Chop Chop
┌○┌○
│└△
スカーレットブーケ
│┌Crimson Satan
││ ┌Bull Lea
└△┌○
 └△┌Royal Charger
  └△

 ┌Northern Dancer
 │ ┌Bull Lea
┌○┌○
│└△┌Chop Chop
│ └△
Storm Cat
│ ┌Nasrullah
│┌○
└△┌Crimson Satan
 └△

ダークシャドウの母マチカネハツシマダが持つNumbered Account≒Foreign Courier2×2
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

   ┌Pharamond
  ┌○
 ┌○└Alcibiades
┌○
Numbered Account
│┌○
│││┌Beau Pere
││└△┌War Admiral
││ └△
││  └Betty Derr
└Intriguing
 │┌Nasrullah
 └△┌War Admiral
  └△
   └△
    └La Troienne
┌○
│└△
│ │┌Pharamond
│ └Athenia
│  └△
│   └Alcibiades
Foreign Courier
│ ┌Nasrullah
│┌○
││└△
││ │┌○
││ ││└La Troienne
││ └△
└△┌War Admiral
 └△┌Beau Pere
  └△
   └Betty Derr

ルーラーシップが持つHornbeam≒パロクサイド6×4・4
http://db.netkeiba.com/horse/2007103143/

Hyperion
Hornbeam
│┌Nasrullah
└△ ┌Vatout
 │┌○
 ││└Plucky Liege
 └△

 ┌Nasrullah
┌○
│└△┌Vatout
│ └△┌○
│  ││└Plucky Liege
│  └△
パロクサイド
└△┌Hyperion
 └△

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Allegedの菊(2)

2012-10-22 09:55:08 | 血統予想

菊のファンファーレが鳴るちょっと前ぐらいかな、「WIN5リーチかかったけど、ゴールドシップだとたぶん儲からない…」というメールが二件たて続けに入ったので、「隼人が勝つから大丈夫」とレスしといたんですが(^ ^;)
そういえば毎年恒例ですが、菊花賞デーはまた歴代アクセス数最高を更新しました~
こんな血統のややこしい話ばっかり書いてるブログに、3000IP近いアクセスがあるとは本当に感謝していますm(_ _)m
フェデラルホールで外しましたが、また気が向いたら見にきてください(^ ^;)

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菊の回顧をザックリ書きながら考えていたことを付記しておくと、「Allegedの菊」でもそのような言い回しをしましたが、「Tom Rolfe系のスタミナは伝わりにくい」という表現も良し悪しやなあ…と

もっと正確にいうならば、Tom RolfeやAllegedはスタミナと同時にパワーの要素も強く主張するので、Tom Rolfe系のスタミナで日本の長距離界を制覇するためには(日本の芝長距離の最高峰はいずれも京都外回りなので)、パワー走法を改良する必要がある…というべきですね

Tom Rolfe系の特徴である硬い体質や立った肩を、デルタブルースやヒルノダムールのように改良しなければならないのだ…ということが言いたいわけで、だから決して「スタミナが伝わってない」わけではないんですよね~

今年の菊花賞は2,3着がTom RolfeとGraustarkを通じるRibotのクロスで、4着もAllegedの血を引いていて、それぞれRibot系のスタミナや底力を受け継いでいたからこそ、あの過酷な持久戦に耐えて踏ん張ったのだと思います

しかし展開やレース運びなどその他の問題ももちろん含んだうえでですが、勝ち馬も含め、前肢が伸びる順にゴールインしていたのも事実です

Tom RolfeとGraustarkを通じてRibotをクロスして菊に勝った2頭、デルタブルースとスリーロールスの走りをみていただければわかると思いますが、彼らは前さばきがきれいで、それはサンデーやHaloからそういう要素を受け継いでいたからでしょう

Tom Rolfe系のスタミナで菊や春天を勝つためには前駆の動きを改良する必要があり、その際に有効なのは、デルタブルース(Halo≒Sir Ivor3×4)やヒルノダムール(Halo≒Boldnesian≒Red God3×5・5)の配合に倣うならば、Haloの血をニアリークロスすることではなかろうか…と

しかし実際はスカイディグニティもユウキソルジャーもHaloのニアリークロスは持っておらず(スカイディグニティはHalo自体持っていない)、走法をHalo的に改良できそうな配合をしているのは父がHalo≒Sir Ivor3×5のベールドインパクトなのですが(^ ^;)、ディープにTom RolfeをもってくるとPocahontasの牝馬クロスになるし、母ヴァイオレットラブはRomanのクロスも持つので、Tom RolfeでもPocahontas-Roman的な側面がONになりやすい仕掛けの配合でもあるわけです

「Allegedの菊」でそういうことを問題提起していた立場としては、Ribot軍団はよく頑張ったけれど、ゴールドシップの牙城に迫るところまではいかなかったのは、それはスタミナの絶対値の問題でもRibotやHyperionの血量の問題でもなく、京都外回りにおける走法の問題に帰結するんじゃないか…と

菊花賞の直線の攻防をみながら、再度そういうことを思ったのです

ま~考えてみればこれはRibot系に限った話ではなく、たとえばサドラー系のスタミナだって日本では「伝わりにくかった」わけで、サドラーを日本向き走法に改良してSingspielやフサイチコンコルドが出たり、デインヒルを日本向き走法に改良してナカヤマフェスタやエイジアンウインズが出た…というのと同じ類の問題なのでしょう

ちなみにですが、先日10/7にリスポリを背に仏G1カドラン賞(ロンシャン4000m)を勝った牝馬Molly Malonは、Surumu3×4に、Alleged経由のTom Rolfe4×5です
http://www.pedigreequery.com/molly+malone12

「molly malone Prix du Cadran」で検索かければ映像もみれますが、シャドーロールをつけて頭の高い走りで、ベールドインパクトに似た感じもあって面白いですよ~

菊花賞回顧~下って平坦、最後は前肢が伸びたもん勝ち
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/6b2401f4cc07ccb5b685d07b68d568ad
Allegedの菊
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/97676601a3b40d541f92a80a21fe14cb
スカイディグニティを淀の長丁場で買える理由
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/beeadaff4d7fbbe157e10ae3af0d9347

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菊花賞回顧~下って平坦、最後は前肢が伸びたもん勝ち

2012-10-21 19:49:01 | 血統予想

京都11R 菊花賞
◎2.フェデラルホール
○1.ゴールドシップ
▲16.スカイディグニティ
△6.ロードアクレイム
×7.エタンダール
注17.タガノビッグバン
◎はステイゴールド産駒でノーザンテースト4×3、母父ドクターデヴィアスはトゥルビヨン系のアウトサイダー、そして母系の奥にアリシドンのスタミナと、配合の大まかなアウトラインはオルフェーヴル兄弟と似ている。3頭とも骨格はノーザンテーストがオンになっているが、そこに硬肉がシッカリついてピッチ走法で加速するのがドリームジャーニーで、柔肉がシッカリついて兄よりストライドが伸びるのがオルフェーヴルで、フェデラルホールはというと柔らかな筋肉が必要最小限しかついていない。そうした体質に加えて、ディクタス、アホヌーラ、アレッジド、ガーサントといったアウトサイダーな血が絶妙のタイミングで注入された配合、馬ナリならどこまでも走り続けられそうな全く無駄がない燃費のいいフォーム、これらを全部ひっくるめた上で、この馬はステイヤーなのだと声を大にして言いたい。ビッグウィーク、ソングオブウインド、デルタブルースなどはステイヤーゆえに中距離での勝ち方が渋く地味で、距離延長を味方につけても勝ちきるまではどうか…と思われたからこそ単勝がついた。九十九里特別の渋~い勝ち方、あれがいいのです。

京都8R かえで賞
◎3.プレイズエターナル
○5.ティーハーフ
▲2.モグモグパクパク
△1.エイユーモモチャン
×7.ドリームマークス
×8.スクワドロン
注4.モンマックス
注6.ハイマウンテン
◎の母メイビーフォーエヴァーはサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)勝ち馬で、ミスプロ系でボールドルーラーのクロスを持つ軽いスプリンター。半兄エクセルシオールは福島2歳S勝ちで、この馬も手先の軽い走りをするから京都1200mは合っていそうだ。新馬戦で叩き合ったローガンサファイアは函館2歳Sでは直線渋滞で追えなかったが内容的にはティーハーフと僅差、前走で3馬身ちぎったケントヒーローは小倉1200mでマイネルエテルネルやプリムラブルガリスにも3~4馬身負けている。ここらとだいたい五分の評価だとすると、京都で更に前進を見込めるのなら◎が打てる。

--------

また発売になったらお知らせしますが、今夜中にとあるムック本の原稿を仕上げないといけないのでノンアルコールで帰宅(Kさん、菊花賞でも私は締め切りは守ります…)

菊の回顧だけやっときます

フェデラルホールはま~だいたい思った通りのレース運びで、バテずにずっと同じ脚で上がってはきましたが、けっきょくトボトボ同じフォームで走っているだけではダメで(^ ^;)、京都外回りのG1を勝つのに必要な斬れる脚は全く持ち合わせてはいなかった(≒トウカイトリックの春天的負け方)と認めるしかない負け方でしたね…

あとはやっぱり、Allegedがポイントとなったように思います

「スカイディグニティを淀の長丁場で買える理由」や「Allegedの菊」で書いたように、血統表だけみるとAlleged持ち4頭のなかではスカイディグニティが一番力馬に出そうなんですが、しかしなぜか母系のBold Bidderのボルキロ柔さがONになっていて、パドックでも柔らかな身のこなしで周回するし、前肢がわりと伸びるので下ってから惰性で伸び続けることができるのです

たとえばスカイディグニティの全きょうだいが10頭いたら、たぶん7頭ぐらいは硬肉で掻き込んで走る札幌2600m向き中長距離力馬に出るんじゃないかと思うし、たとえば私が実馬を全く見ずに血統表だけでスカイディグニティの評価や解説をするならば、「小回り急坂洋芝向きの中長距離馬に出る可能性が高い」とやっぱり書くでしょう

しかし実馬をみると、どうもそういう血統表から受けるイメージよりは、京都外回りに向いた体質や走法がONになっているようですよ…ということを書いておきたかったのです

ナリタブライアンもマヤノトップガンも、タキノギムレットもサニーブライアンも、京都外や東京のG1を勝ったブライアンズタイムは、動きが滑らかで前肢が伸びました

しかしファレノプシスやヴィクトリーは体質が硬かったり肩が立っていたりで、あまり前駆が伸びる走りではありませんでした

ベールドインパクトはどちらかというとファレノプシス的な体質走法で、だからきさらぎ賞も京都新聞杯もそして今日も、京都外回りだとビュンときたかにみえてあと200mからが伸びきれないというか、決して止まっているわけでもないしバテてるわけでもないんですが、でもゴールドシップやワールドエースやトーセンホマレボシのように前肢が伸びる馬との比較では、不利は不利です

その走法や体質はどこからくるかというと、主に母系の奥のLa Troienneのクロスと、母父に入るAlleged~Ribotの血でしょう

ストライドが伸びない=ピッチ走法ですからトップスピードに乗るのは速いのですが、ゴール前の走りを見比べてもらえば明らかなように、前肢が伸びているのはスカイディグニティのほうです

今日の内容からすると、スカイディグニティとベールドインパクトはスタミナも地力も全く互角じゃないかと思いますが、その前駆の使い方の違いだけが、最後の最後に出たというだけの僅かな差だったかなと

そしてスカイよりさらに体質が柔らかく、さらに前肢が伸びて圧勝したのがゴールドシップでした

なかなかスピードに乗りきれないけれど、いったん乗ってしまえばストライドを伸ばして惰性で伸び続けることができるというのがゴールドシップの最大の長所だとすれば、Princely Giftのクロスはスタミナを与えることはないけれど、全身を柔らかく大きく使えることができるような体質は伝えるので、オルフェーヴルともナカヤマフェスタともまた違う持続力惰性力抜群緩慢ストライド走法の形成においては重要な役目を果たしている…といえるでしょう

東京や阪神外回りと比較しても、京都外回りというのは下って平坦なので、伸びつづけるというよりはいかに惰性を保ちつづけることができるかというところがひとつの勝負で、だから前駆の使い方が重要になってくるんじゃないか…と私は考えています

あまり話があちこち脱線するとアレですが、トニービン直仔が東京は鬼なのに京都が鬼門といわれたのも、前肢のフットワークにカギがあったんじゃないかと思っています

この全く緩みのないペースでこの上がりですから、上位入線馬はみんなスタミナがあることを示したと思いますが、ゴール前の各馬のフォームをみると、最後の最後は前が伸びるかどうか、そこが明暗を分けた菊花賞だったように思いました

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日曜のボツ予想~タキオン×3/4Hyperion=シンプルイズベスト

2012-10-21 09:45:04 | 血統予想

過去の菊花賞のレース映像が流れてるのをボーッと見てて思ったことは、菊で勝ち負けしてるダンス産駒ってみんな父同様Nijinsky的に胴が長くて、クラレントやダノンヨーヨーみたいなやつはやっぱりいませんね(^ ^;)
ダンスってのは、もちろんKey to the Mintのスタミナはあるんですが、あの体型で長距離を走るんやなあ…と改めて思いました

あと参考レースや追い切りの映像をボーッと見てて思ったことは、タガノビッグバンはこんな感じのリアルシャダイがヒシミラクルの2着にきてたなあ…と思ったらサンライズジェガーに雰囲気が似てるかなと
こんなリアルシャダイがあの頃はちょくちょくいました

--------

東京7は◎スプリングパリオ
母スプリングドリューは48戦7勝、7歳春に福島牝馬Sに勝った遅咲きの中距離馬
その父ミシルはMiswaki直仔で母母がAlycidonのクロスで自身はLa Troienneのクロス、パワーとスタミナはあるものの種牡馬としてはスピード不足に苦しみました
種牡馬アドマイヤムーンも柔らかさしなやかさを伝えるので、こういう硬肉のパワー型牝馬との配合が成功するのはステゴと似ていますね~
わりとマイラーっぽい体型だしアドムーン産駒らしいしなやかな動きで走るし、東京マイルは合ってるんじゃないかと思うので狙ってみます

南武は▲エキストラエンドが人気ですが、兄弟のなかでも最もBold Ruler的忍者走法がONになっていて機動力抜群で、レースパフォーマンスはあすなろと弥生(フェノーメノと同じぐらいのロスで同じぐらいの着順)が双璧でベストは小回り平坦2000m、格は上でも東京2400mだと他にひねってみたいんですよね~
ま~この頭数でウェルテクスの単騎ですから、スローのヨーイドンならサササッと足音も立てずに抜け出してしまうかもしれないですが(^ ^;)

タイセイグルーヴィはノーザンテーストが強い体型体質でチョウサンみたいなタイプだし、ニシノボレロはBramalea≒BeautillionにGold Diggerを合わせていて典型的なRoberto走法だし、△ヴァーゲンザイルもネオユニ×ノーザンテーストですからHyperion的なしつこさはあるんですが斬れには欠けます

ネオブラックダイヤは母母がトニービン×ノーザンテーストですから、ゼンノロブロイにHyperionクロスを1/4異系的に注入した成功形で(クロフネ×トニービンのニックスと理屈は同じ)、体型走法はわりとトニービンが強いので東京2400mはベストコース
あまりにも東京向きすぎて上がりが速くなりすぎるとどうかという面はありますが、昨暮に阪神2400mで上がり10.9-11.7をタガノキャプテンと叩き合ってますから、離されず追走なら最後は適性で何とかなるのでは…と

ステイゴールドはしなやかさ柔らかさを高確率で伝えるので、そこに更にナスキロ柔さをもってくるとトウショウウェイヴとかワルキューレとかマイネルネオスのように緩慢なストライド走法で加速に時間がかかるような脚質になりやすいのですが、母父がSecretariat系の○レオプログレスもそんなタイプで東京2400mが稼ぎ場所

甲斐路は◎サトノアポロ
母はアスタルテ賞(仏G2・芝1600m)勝ち馬で兄姉もマイラーっぽい馬が多く、シンボリクリスエスもマイラー牝馬との配合でマイラー寄りの活躍馬を出す種牡馬ではあるのですが、母はWild Riskのクロスでフレンチな斬れを伝えるし、父譲りの長手の体型でもあり、どうみても東京や外回り向きの斬れ方をするのに中山や福島でビュンと差し届いてしまうのが見事で、前走の斬れならここもまとめて面倒みるでしょう

血統予想の第一歩は種牡馬で予想することで、だからまずはデータと傾向で産駒のスタンダードをつかむことから始まるのは言うまでもないですが、それを押さえたうえで、個々の配合や体型や走法を考察して、スタンダードからどういう方向に振れているかを考える…というところまでステージを上げることができればなおいいんですよね~

たとえばダイワメジャー産駒は中山マイルの成績がいいから中山マイルでは黙って買い…というザックリした網の張り方でトータルプラスになれば、それはそれでひとつ有効なやり方なんですが、○ダイワマッジョーレはハイアーゲームの3/4弟で母母はSir Gaylord3×4、母はナスキロ3本、自身はHalo≒Sir Ivor3×5で、父と骨格は似ているけれどこちらのほうが薄手で、よくいえば柔らかく、悪くいえば非力なほうに振れているんだなあ…と、だから父のように中山マイルをパワーで先行して押し切るようなレースはできないけれど、そのぶん新潟外1800mでしなやかに斬れるんだなあ…と

あるいはハッピーパレードはサンデー×Seattle Slew×ミスプロだからサダムパテックやリーチザクラウン的な配合形で、だからネオユニ産駒にしては背中と脚が長くてストライドで走るので東京向きなんだなあ…と、でも飛節は父譲りだから馬場が渋るとかで上がりがかからないと届かないぐらいの斬れなんだなあ…と、そういうところまで全ての馬たちを考察できればいいんですが、それにはなかなか時間と鍛錬が足りないわけです…

…とまあ、この◎○以外にひねりようがないので、予想とは直接関係ないことをクドクド書いてしまいました(^ ^;)

北野は◎カナロア
母がマンボサドラーのエルコン配合でAlydarのパワーも入り、しかも牝祖BalidaressにもFair Trialのクロスがあり、ディープ産駒でも明らかに捲り型機動力型で内回り向き

桂川は△ニシノビークイックは前走◎にしたときに「阪神で上がりがかかる流れなら狙いが立つ」と書いたようにパワーと粘りで差すタイプで、京都ならハクサンムーンの猛ラップを追いかけざるをえなかった○アイラブリリを上位視

しかしこれも夏から4走していてそろそろデキ下降も心配されるだけに、前走で高速決着にもメドが立った◎アースソニックでもう一度いきます

オールブランニューはアフリート≒Gone Westのニアリークロスだけに揉まれ弱く大外一気しか手がない馬で、だから出走頭数が13頭以下のときは③③④と追い込み堅実

菅名岳は◎スターコレクション
母はトニービン×ノーザンテーストでHyperion4・6・6×5・6、その母母シャダイフラッグがヒッティングアウェー×ラヴァンダンでまさに1/4異系、そこへタキオンですからダイワスカーレットやレッドデイヴィス型の配合でシンプルイズベスト、実直にシッカリ伸びつづけるいい馬で、これはまだまだよくなってきそう

ミスプロと「Round TableとNasrullah」のクロスで外1800mは凡走なしの○シンゼンレンジャーが相手一番手

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土曜のレース回顧~宿命のライバル、今日もコンマ1秒差

2012-10-20 18:17:54 | 血統予想

東京11R 富士S
◎15.フラガラッハ
○10.ファイナルフォーム
▲18.クラレント
△4.ツクバホクトオー
△8.コスモセンサー
×9.ガルボ
注7.セイクレットレーヴ
注13.ダノンヨーヨー
マイルCSのステップ的な位置づけのレース。◎○は本番でも楽しみな前走の勝ちっぷりで、それだけに次を見据えた仕上げなのかもしれないし、ここはツクバの単騎ならあまり後ろからでは苦しいかもしれないが、◎も○も前々走はとても届かないような位置からスローの速い上がりを差し切っており、あの脚をみると、本格化をたどる今、ここでもモノの違いで勝ち負けになるのではないか…という結論に達した。

東京9R いちょうS
◎15.マンボネフュー
○4.ドラゴンレジェンド
▲9.ピュアソルジャー
△3.サトノノブレス
△6.フラムドグロワール
◎はヌレイエフ3×3とレッドゴッド≒ヘイロー≒ターリングアのニアリークロス4・5×3だから機動力が抜群で、明らかに東京で差すより中山で捲るレースに向いた脚質だ。とはいえコース形態が合わないという理由だけで、ここで負けてしまってはいけない馬だろう。それぐらいの大望を抱ける血統配合だと思う。○はステイゴールド産駒が大物を出す配合パターンにハマっているし、母がナスキロのクロスだから3/4姉のアニメイトバイオ同様、東京1800mの斬れ勝負に向いている。▲はジャンポケとキンカメの東京向きのナタの斬れがオンになった走りで、上がりがかかればこの相手でも圏内。

--------

マンボネフューは考えうる最悪の競馬になってしまいましたが、にしてもこれだけ負けるとは…
たとえば1,2着馬のゴール前の走りや脚色なんかと比べてみても、器では決して見劣らないと今でも思ってるんですが、大敗は大敗ですからここは黙っときます…

クラレントダローネガの宿命のライバル対決4回目はクラレントが先着し、これで2勝2敗のタイとなりましたが、どちらも母父がLyphard系だけに少しでも前で受けたほうが先着していて、今日は道中同じようなポジションにいたのでデイリー杯に続いて大接戦となりました(^ ^;)
ポートアイランドの回顧では、「このメンバーでマイルで重賞級なのはオリービンとクラレントだけで、フレールジャックは1800mで、ダローネガは中距離で重賞級だ」と書きましたが、ダローネガは地力があってマイルでもそこそこ好走してしまうので、なかなか距離延長に踏みきれない部分はあるのかなあ…と

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土曜のボツ予想~バゴ×ブライアンズタイムの長打力

2012-10-20 09:33:26 | 血統予想

母父Unbridled's Songは京都芝[5.0.2.17]阪神芝[1.0.2.21]東京芝[5.4.1.20]中山芝[3.4.2.20]、トーホウアマポーラが快時計で圧勝したように平坦向きで京都大好き、Unbridled's Songの全妹アジアンミーティアの仔にはダコール・ルシュクルの平坦鬼きょうだいもおり、壬生は○クリーンエコロジーに距離&コースと条件好転
他にもBold Rulerクロスの忍者走法スプリンター▲タガノラヴキセキは京都で見直し当然、あとデム兄の☆マイネショコラーデも北海道では不利やロスが続いたし、△ミヤジエムジェイや△メイショウイザヨイの押し切りまで目移りします
がしかし、この人気ならば休み明けには目をつぶって、大器◎サカジロロイヤルに一票投じてみましょうか
バゴ×ブライアンズタイムというのはとてつもないステイヤーかダート馬かスプリンターが出る配合で、この馬は母がGraustarkやHasty Roadのクロスでブライアンズタイムのパワーを増幅していて、ここ2走の勝ちっぷりは掛け値なしにオープン級、血統背景からは頂点にまで駆け上がってしまう可能性すらあります

古都は◎ヴィクトリースター
母母がLear Fan×Nureyevなので前走のようにソコソコ小回りもきくのですが、ディープ×Caerleonですから京都外回りも黄菊③、梅花②と凡走なし、△アドマイヤラクティが内回り向きのパワー加速だけにこちらを信用
他では戦績や血統から夏馬疑惑はあるのですが○セイカプレストが面白いかなと
サドラーの影響が胴長体型なので長いところが向くんでしょうが、脚捌きは意外に斬れがあって、父イーグルカフェはNHKマイルに勝ち安田も例年人気薄で好走したように東京向きの斬れがあった馬で、その父と似た脚さばきで走るだけに京都外2400mは悪くない条件に思えるし、これだけ斬れなさそうな馬が揃えば2着3着なら十分ありそうな

岩船は前走に続いて◎シャドウバンガード
ハーツクライ×Rainbow Questというのは重々しい字面ですが、Halo≒Red Godと「HyperionとFair Trial」のクロスですから機動力と粘りで走るので内回りロングスパートに適した配合でもあり、ルイーザシアターが中山をねちっこく捲るようなイメージですわ

寺泊は◎メイショウゲンプ
Gone West×ブライアンズタイムですから内1400mがピッタリの血統で、ケイムホームはNasrullahがクドいだけにこういうNasrullahについてアウトな牝馬をもってくるのがセオリー

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Allegedの菊

2012-10-19 20:09:53 | 血統予想

実家の本棚に懐かしい本があったのでパラパラみてましたが、10年前とか今読むと赤面するようなことも書いてますな(^ ^;)
ま~今でも、毎日のように恥ずかしいこと書いてますけどね(・∀・)ワッハッハ

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Allegedは凱旋門賞連覇のRibot系の名馬ですが、そのスタミナは日本では伝わりにくいというのが自説で、それはなぜかというと
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0012f7/

・Tom Rolfeの母PocahontasがRoman産駒でBuchanをクロスするので、この圧倒的な米血パワーがONになりやすい(フォーティナイナーが伝える傑出したパワー加速も母父Tom Rolfeの影響が大)

・Allegedが持つWar Admiral3×4は、日本の高速馬場では力馬っぽさとして表現されやすい

・Determineが持つAlibhai×Mahmoudの組み合わせもダートの大物によくみられるように、硬く力馬っぽい体質を伝えがちである

ようするに体質の硬い、突進型のスプリンター~マイラーか、パワー型のダート馬に出やすいのです

同じRibot系でもGraustark=His Majestyきょうだいの場合は、母が“ハイインローの肝っ玉母さん”Flower Bowlなので、こっちをいじくることでスタミナを表現しやすいんですよね~

母父Allegedのスタミナで菊を勝ったマンハッタンカフェや英ダービーを勝ったドクターデヴィアス、またTom Rolfe直仔でJC2着のアレミロードなどが、短いところをパワーに任せて突進するような産駒をよく出したのは、この父系のパワーの要素がONになりやすいからなのです

しかしこのスタミナを高速馬場向きにうまくカスタマイズすることができれば、マンハッタンカフェ→ヒルノダムール親子やデルタブルースのようなステイヤーをつくることもできるわけで、ではこの3頭がどのようにカスタマイズしていたかというと、マンハッタンカフェ(Halo≒Boldnesian2×4)、ヒルノダムール(Halo≒Boldnesian≒Red God3・5×5)、デルタブルース(Halo≒Sir Ivor3×4)と、サンデー経由でHaloのニアリークロスの力を借りていたわけですね~

だからこれらはスタミナはあっても、Tom Rolfe的Alleged的な力馬っぽい走りはあまりONになってないのです

今年の菊にはエタンダールスカイディグニティフェデラルホールベールドインパクトと4頭のAlleged持ちが出てきますが、ベールドインパクトは「アレミロード的な中距離馬で内回り向き」と書いてきたしだからすみれSしか◎は打ったことがないですが、他の3頭はHaloのニアリークロスやナスキロ柔さが大なり小なりONになっているので、Allegedの力馬っぽさはあまり感じられない…というのが私の見立てです

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ステイヤーとは

2012-10-18 09:03:39 | 配合論

サッカーボーイという馬は、Nearco3×3のロイヤルサッシュにLady Angela3×2のノーザンテーストが配され、自身はNearco4×4・4としたダイナサッシュに、NearcoもHyperionも持たないディクタスが配されたという、この緊張と緩和のリズムの爆発力だけで生まれたような名馬でした

ご存じのように、サッカーボーイの全妹ゴールデンサッシュはステイゴールドの母でもあります

サッカーボーイの代表産駒で菊と春天と宝塚に勝ったのがヒシミラクルで、その配合はというとNearco4×4のシュンサクレディにNasrullah4×4のシェイディハイツが配されて、母シュンサクヨシコはNasrullah5・5×4ですから、ようするにディクタスを「1/4異系」にして「残りの3/4をNasrullah-Nearcoの継続クロスでまとめた」という、これまた「3/4,1/4」の配合様式だけで生み出されたといっても過言ではない配合をしていました
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999104693/

もう一つポイントをあげるとすると、ディクタス×ノーザンテーストによって薄くですが生じる、DonatelloとMolly Desmondを通じる「SwynfordとPretty Polly」の組み合わせが、シェイディハイツの母系に入るAlycidonによって継続されている…ということですか(Alycidonはメジロマックイーンの母系にも入る)

Princely Gift(The Tetrarch4×5)とMill Reef(The Tetrarch4×6)とGrey Sovereign(The Tetrarch4×5)というNasrullah系でもThe Tetrarch的な柔らかさを伝えるラインと、Bold RulerというNasrullah系でもっとも機動力を伝えるラインを通じてのNasrullahの継続クロスで、一見すると迫力不足にみえる無駄な筋肉ゼロの馬体と無駄な動きゼロのフォームこそがステイヤーの証で、この体質でこの走り方ならそりゃなかなか疲れないよなあ…と今みても感心します

晩年の桑田のピッチングフォームみたいなもんで、よい子のみんな、息の長いステイヤーをめざすのならヒシミラクルおじさんのフォームを真似しましょう…というぐらいで、今でも長距離レースを予想するときは、まずヒシミラクルのフォームや体質を思い出すことから私ははじめます

あの体質あのフォームで走れたからこそ、父系のスタミナが活きたというべきなのでしょう

以上でネタ振りは終了、ではそろそろ支度して京都に向かいます~

コメント (3)
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