北29条「むさしの」の鳥天定食を食らいながらスポーツ新聞を広げると、エイシンフラッシュの藤原英師が「距離、左回り、開幕週の馬場と勝てる条件が全て揃った」と豪語している記事が目に入りました
私もそうでしたが、あのダービーを勝ってしまったために、エイシンフラッシュは東京でこそ爆発するタイプなのだ…というイメージを、未だに引きずっている人が多いような気がします
私は春天で◎にしたときに「この馬はスローで機敏に反応するけれど、スタミナ自体は豊富なステイヤーで、ドイツ血統というのは一瞬の脚とスタミナという相反する要素を持ち合わせているところがある」と書きました
「斬れ」と「瞬発力」、この定義も曖昧なところがまだありますが、エイシンフラッシュは超スローのダービーを瞬発力でスルスルッと抜け出してローズキングダムに競り勝ったのであって、ブエナビスタのような斬れ味でズバッと差して勝ったのとは少し違うと思うのですよ
私はよく「東京や外回りでもあまりにスローになると、むしろ小回り向きの機動力加速力がモノを言うことがある」と書きますが、あのダービーもその類のレースやったと思うんです
エイシンフラッシュはダービー以後、東京と外回りでは⑧⑥②⑧②で、春天の2着は純粋にスタミナで追い込んだという内容だったし、神戸新聞の2着は超スローでダービーの再現という内容でした
つまりこの馬は、直線の長いコースで真っ当な斬れ味が要求されたときには、2歳時の萩S3着も含め、あまり威張れるようなパフォーマンスはみせていないのです(もちろん引っかかったりデキ一息だったりと、他に敗因が求められるケースもありましたが)
むしろ昨年の有馬2着や宝塚3着を見てのとおり、内回りを巧みに立ち回って好走しているケースのほうが多いのではないかと
ドイツ牝系にドイツ血脈とハイインロー血脈を代々重ねてきた配合ですが、父父Kingmamboは欧マイルG1を3勝、母母父Sure Bladeは欧マイルG1を2勝した馬で、この2頭のマイラーを通じるMr.Prospector≒Stay at Homeのニアリークロス3×6(Nasrullah,Polynesian,Sir Gallahad=Bull Dog,Blue Larkspur,Discovery)と、それに似た組成のRed Godが絡むことで、この重厚な血統表に潜む数少ないスピードの血を拾い上げることに成功しています
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102951/
┌Sickle
┌○
┌Polynesian
┌Native Dancer
││┌Discovery
┌○└△
Mr.Prospector
│ ┌Nasrullah
│┌○
└△
└△┌Bull Dog
└△┌Blue Larkspur
└△
┌Nasrullah
┌○
││┌Discovery
│└△
Stay at Home
│ ┌Sickle
│ ┌○
│┌Polynesian
└△┌Blue Larkspur
└△┌Sir Gallahad
└△
┌Nasrullah
Red God
│ ┌Pharamond
│┌Menow
└△┌Bull Dog
└△┌Peter Pan(Blue Larkspurの父父)
└△
ここで考えなければならないことは、この3血脈の絡みによってエイシンフラッシュにONとなった「スピードの質」で、ようするにNasrullahとSickle=PharamondとSir Gallahad=Bull DogとBlue Larkspurですから、これはHaloの血脈構成そのものといえます
┌Royal Charger
┌Turn-to
┌Hail to Reason
││ ┌Blue Larkspur
││┌○
│└△┌Sir Gallahad
Halo└△
│ ┌Pharamond
│┌○┌Blue Larkspur
││└△
└△
エイシンフラッシュの上がりの競馬に機敏に反応する脚、内回りを器用に立ち回る脚は、Mr.Prospector≒Stay at Home(+Red God)が表現する「Halo的なスピード」がONになっているからである
こう考えると、一見つかみどころのないこれまでの戦績が、概ね納得できるものになってきませんか?
Halo的機動力と、ドイツ+ハイインロー的スタミナで走るのがエイシンフラッシュという馬で、だから(折り合うことを前提に)小回りの長丁場がベストパフォーマンスを出せる舞台ではないかという暫定結論に私は達したので、この秋振る印はもうだいたい決まっています
Nasrullahクロスの緊張と緩和
サウンドリアーナの牝系をさかのぼっていくと、ネヴァービート×モンタヴァルでNasrullah3×4という当時の最高のNasrullahクロスを持つメジロカンノンに辿り着き、そこにWild Risk系ボンモー、Prince Rose系ボールドリックとNasrullahを持たないアウトサイダー血脈を重ね、そこにNorthern Dancer×Turn-toのダンシングブレーヴを配し、ミスプロ系でNasrullah≒Royal Charger5・5×5・6・6のケイムホームを配したという、Nasrullah≒Royal Charger血脈の緊張と緩和のリズムが最高です
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010101646/
このリズムとSecrettame≒Droneのニアリークロス3×4によって、Gone Westを長手にして柔らかくしたような、カネトシディオスのようなナスキロ柔いマイラーが出たのです
ディープ×ラトロパワー
タイセイドリームの母モアザンベストは500キロを超す大型牝馬で芝1200mで4勝、Storm Bird≒The Minstrel3×4やPrivate Accountのパワーで突進するスプリンターでした
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010103013/
その母ラグナセカがMy CharmerとNumbered Accountという2頭の名牝から、Busanda≒Glamour=Busherの「War AdmiralとLa Troienne」の組み合わせを4本受けていて、「3歳春までに完成するディープ産駒は、La Troienne的パワーが強いスプリンター・マイラーを母に持つことが多い」とシマントガワ先生もおっしゃってます
バゴ×「3/4米」
ビッグウィーク(母はサンデー×ノーザンディクテイター、自身はHalo≒Red God4・5×3)とオウケンサクラ(母はリアルシャダイ×スルーザドラゴン、自身はHalo≒Red God≒Boldnesian4・5×6)には、
(1)母はHail to ReasonとBold Rulerを持ち、血脈構成の3/4以上が米血
(2)自身はHaloのニアリークロスを継続
という配合的な共通点があります
「3/4欧」のバゴに対して「3/4米」の牝馬をもってきてHaloをいじくってあげる…という、たしかにバゴを日本向きにカスタマイズするには、先行力機動力を出してバゴのハイインロー的スタミナを活かすには、これが最も確率の高いやり方だろうと
マンボネフューの場合は、「3/4欧」のバゴに「1/2欧米」の牝馬を配して「3/4欧、1/4米」の配合形にし、バゴとMiesqueを通じるNureyevのクロスですから、よりギャンブル色の濃い一発ホームラン狙いの配合で、下手するとダートの力馬に出そうなところの賭けに勝ったというべきで、Storm CatやBlushing GroomのスピードもONになった時点でガッツポーズなわけです
ダンツアトラスは母がフレンチデピュティ×サンデーで、自身はHalo≒Red God4・5×4ですから、(1)(2)を完全に満たしたビッグウィーク・オウケンサクラ型配合
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010103266/
フジキセキ×Deputy Minister
フジキセキ×Deputy Ministerの組み合わせはカネヒキリ、ミラクルレジェンド、デグラーティアなどが出るニックスですが、この根拠はフジキセキの母母父In RealityがWar Relic3×3で、Deputy MinisterはBunty Lawless5×3、Ladder≒Parade Girlの3/4兄妹クロス6×4・5で、下記のようにWar RelicとLadder≒Parade Girlは父父がFair Playで母系にCommandoとVoterが入るニアリーな関係だからと考えられます
┌Fair Play
┌Man o'War
War Relic
└△ ┌Commando
│┌○
└△┌Voter
└△
┌Fair Play
┌Ladkin
Ladder
│ ┌Commando
│┌○
└Panolply
│┌Voter
└△
┌Fair Play
┌Display
Parade Girl
│ ┌Commando
│┌○
└Panolply
│┌Voter
└△
メイケイペガスターはフジキセキ×ブライアンズタイム×Silver Deputy、手先のパワーを感じさせる走りでダートでも楽しめそうな中距離馬に出たのは順当
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104435/