映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「グリーン・ナイト」

2022年11月27日 | ファンタジー映画


14世紀の作者不詳の物語「Sir Gawain and the Green Knight」を元にした映画。
王の甥たるガウェインは享楽的な日々を送っていたが
クリスマスの宴に出席した彼は、突然現れた緑色の騎士が
「わが首を落とした者に栄誉を授ける。しかし1年後に我からの斬撃を受けよ」
という挑戦を投げかけたのを受けて立ち、刃をふるうが…というあらすじ。

原典はいかにも昔のお話らしく、頓智で綺麗に閉じているけど、
映画のほうはアレンジで複雑にしてあって、ガウェインも覚悟の決まった騎士というよりは
現代の若者ぽく混迷しているキャラクター。

全シーンが絵画のようなクオリティだったが、
幻想的な話運びで所々寝息が聞こえた。


ラストばれ

グリーン・ナイトが目覚めるのを待つシーンで
そういえばこの人は
「ア・ゴースト・ストーリー」のパイ食いのシーンを撮った監督だった…
というのを思い出した。

いつまでもフラフラしている息子への母からの檄ということでいいのか…?

モフモフのキツネはかわいかった。




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「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」

2022年11月24日 | サスペンス映画

バディム・パールマン監督。
第二次大戦中、ユダヤ人の主人公は
銃殺直前に自分はペルシャ人であって、ユダヤ人ではないと嘘をつく。
幾つかの偶然が重なり、ペルシャ語を習いたいという
収容所のコッホ大尉の加護を受けた青年は、
まったく知らないペルシャ語を大尉にレッスンする羽目になる。
しかしそれは命がけの授業だった…というあらすじ。

もうちょっとシチュエーションコメディ風の、
どたばたが含まれると予想してましたが、
作中のドイツ人は皆、ユダヤ人を人間だと思っておらず、
ユダヤ人を殺すと世の中がよくなると信じているため、
曇りなき差別、悪意なき殺人シーンがてんこ盛りでした。

でたらめの言語を教えるだけならまあ誰でもできそうですけど
教えた内容を相手はちゃんと学習しているので
こちらも覚えてないといけない。
しかも相手は筆記用具を使えるがこちらは使えないという大きなハンデがあり
もうだめだ……という感じが最初からしてました。

映画の内容が良いのに公開劇場が少なすぎるように思います。
日本では知名度の高い俳優さんが出ていないと
見に行く人が極端に少なくなるというのは分かりますが、
席数が少なすぎてチケット争奪戦の現在の状況。

ラストばれ

対等な関係ではないのに、対等な友情だと思い込んでいるグロテスクさ。
去り際の大尉がすごいいい笑顔だったので
「まさか監督は2人の間にあったのは友情だと考えてるんだろうか…?」
と恐れたけど、違ってよかったです。
大尉は戦争がなければ単なるパワハラおじさん、DV夫で済んでいたかもしれない。
セリフにもあったけど、彼は自分が誰かを殺したとは考えてないし
悪人だとも思ってない。でも主人公が言ったようにそれは違う。

昨日感想を書いた映画でもそうでしたが
「彼はちゃんと好意を示しているし、優しい人じゃないか」
という感想の人も一定数いらっしゃると思います。うん。





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「ドント・ウォーリー・ダーリン」

2022年11月23日 | サスペンス映画

フローレンス・ピューさん主演、
ハリー・スタイルズさん助演、
「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」の
オリヴィア・ワイルド監督。

砂漠近くの郊外に住むジャックとアリス夫妻は、
野心があり仕事熱心な夫と、献身的で家庭的な美しい妻という
理想的な夫婦だった。
彼らはビクトリープロジェクトという、
ジャックの勤務先がプロデュースする街の住人で
排気量の大きな車に乗る夫、バービー人形のような美しいドレスの妻、
といった50年代の典型的なライフスタイルだった。
しかしアリスの友人が精神に変調をきたし…というあらすじ。
サイコサスペンス、少しホラー要素あり。

主人公が危機感を覚えるまでが少し長く感じられますが
毒があってなかなかよいです。

ラストばれ

で、出~。性差別ホラーだ~!
ハイテクやわらかめの「侍女の物語」、
ジャネール・モネイ2020年主演の某作品、
MCUの某ドラマ、
その3作未見のひとはマトリックスを連想するかも。

自分は無能で高給は稼げないけど、
妻は夫のためにずっと家にいて尽くしてほしい。
人形のように美しい存在でいてほしい。
我々は愛し合っているのだから当然それが叶うはず、という
かなり柔らかくて分かりにくい性差別。

しかし、なんというか妻の了承を得ていないカップルはほぼ確実に
妻のほうが稼ぎが上。
(でなければ現実で満足するだろう)
そんなスキルなしの男たちが日中いくら現実で頑張ったところで、
あのシステムの維持費を稼ぎ出せるようには思えない。
バリキャリ女性だが夫に尽くしたいタイプの女性をスカウトして
お金を巻き上げたほうが、ビジネスとしてはいいのでは…?

アリス、連続勤務30時間で6時間後に出勤、って書いてあったように思えたが
私は字幕を読み違えただろうか。人間は30時間働けるもの?
(20時間の見間違い?仮眠時間含む?)
そして医者がそこまで働いてメイドを雇えないというのは
アメリカの医者の給与はどうなってる?学資ローンの返済とかか?
30時間働いて帰ってきて、ずっと家にいた配偶者に
「ごはん作ってない。お湯出ない。さみちかったよお」
って言われたら、私なら絶望して家に火をつけるわ…。

クリス・パインラスボスと思わせて実はジェンマが真のボス…
と分かった時点で、「これは超こわい追跡者ジェンマが追ってくる?」と思ったが
特になにも起こらなかった。続編への引きなのか?

アリスの隣の家に住む仲良しの美女、監督なんですね。


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「HiGH&LOW  THE PREQUEL」

2022年11月21日 | 舞台

「HiGH&LOW  THE PREQUEL」
「Capricciosa!!」
宙組公演

噂のヅカローをライブビューイングで見てきました。
コブラさんの恋の話と聞いていたので、商店街の小粋なラブロマンスだと思ってたけど、
外敵がSWORDを潰しにカチこんできて、5つの勢力が集結、殴り合いをするガチのHiGH&LOWでした。
むしろ新作映画だった。
ウルヴァリンの爪みたいなの装備した娘役VS特服着た娘役の乱闘とか、
気品あるヅカを愛するHiGH&LOW未履修のファンのかたは大丈夫だったか心配になりました…。

すごい駆け足ではあったが、鬼邪高校の儀式や、
ノボルがムショにいる話、ロッキーの母姉、達磨との因縁、スモーキーの病気の、シーンまたは説明があった。

HiGH&LOWは設定的に死んだ人や、設定的に卒業した人、
中の人が引退、中の人が犯罪、色々あってもう絶対に全員は揃わないんですけど、
ヅカ舞台では前述の人々が全員揃って殴り合っていて、
「今後続編はヅカでやろうよ!?」て正直思いました。 

ヅカローのSWORDの5人、宙組の男役の上位5人だそうで、
どうりでバチバチのイケメンで足が5mのひとばっかりなわけだよ…。

主役の真風涼帆さん、宙組のトップの方なんですね。
男物の浴衣を着て、足をカッ開いても、
男性としての色気があるのは、何?体型補正?どうなってる???と思いました。
あとSWORDの中ではロッキーさんが好きなんですが、演じた芹香斗亜さん、
普通の人の胃のあるあたりに足の付根があって、怖かったです。足が長すぎる!
それと黒木啓司さんと同じ表情をされる瞬間があってリスペクトを感じました。
眉間の皺のセクシーな、完璧なロッキーでした。

内容ばれ

全チームが舞台の上で乱闘するシーンがありますが、
え……?この人数が載るのっておかしくない?
宝塚の舞台って小学校のグラウンドくらいの面積がある…?と思った。
それと、ライビュはある程度カメラが「ハイ、ここ見て!」と指定してくれるが
舞台を見ている人はどこを見りゃいいのか分からなくなるのでは?
5回見に行けばいいのかな?

すごいカジュアルにSWORD地区が燃やされていたのには少しふいた。
火事のみ抽出した時系列表が待たれる。
クラブheavenって通算何回燃えたっけ…もういい加減ガス系の消火設備を設置しなよ…。

「Capricciosa!!」は、イタリアの有名都市の名前を歌いながら
美男美女が歌と踊りで恋を表現する(?)というショーで、
違法な幻覚物質を摂取したら見える映像ってこんなんかなー?って感じでした。
「Capricciosa…yeah…」って気付いたら歌っています。

次は監獄ロック、またはリトルアジアで偶然の邂逅とかそういうのやりましょう。

あっ、床屋のジャンプ、鬼滅連載時のやつだね?

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「ザ・メニュー」

2022年11月20日 | サスペンス映画

ホーソーンは予約の取れない超高級レストランで、船でしか渡れない孤島に建っていた。
主人公は男につれられて店に行くが、客は有名人か成功者ばかり。
食材へのこだわりも、スタッフたちの意識の高さも一流の名に恥じぬものだったが、
やがてコース料理の演出が、不穏なものに変わっていく…というあらすじ。
ホラー寄りのサイコサスペンスとして面白かったです。

痛いシーンが幾つかあります。

ラストばれ

料金は1250ドル。125000円かーって一瞬思ったけど、
円安なので現レートだと175000円ですね。
最近ものすごくおいしいコース料理を食べたばかりなので
偉人の顔が描いてある紙が何枚か減るくらい全然惜しくないわ!て心境はまあ分かる。
お料理は、流行の先端のやつで、分子ガストロノミー要素も取り入れつつ
ピンセットでレイアウトする感じで、
私はもうちょっと塩!脂!肉!海産物!ドーン!って風なのが好きですが
ジオラマみたいで綺麗ですね。
予告に使われてましたがラストの料理がビジュアル的にも、皮肉な説明文も好きです。

ハンニバルとソウを足して割ったような……。
シェフはドラマ版のレクター博士と対談してみてほしい。
でもオーナーの殺し方とか料理に比べてすごく稚拙で(天使って)、
レクター博士やジグソウと比べると、猟奇に対して特に情熱や興味がなく、
完全に仕事で神経をやられたひと、という感じで気の毒だった。
(ハンニバルなら「血のワシ」をやって、料理も殺し方にちなんだものにしただろう)
カルト宗教の集団自殺、もしくは赤軍の自己批判いわゆる総括というか。
コースのテーマは「持てる者の暴虐・持たざる者の抗議」だと思うけど、
シェフ自身も総括されるのが面白かった(性別上は強者)。

今この瞬間も「作品の価値も分からない凡俗どもめ!」と頭を掻きむしりながら
それでもクオリティ向上のために生命を削って
音楽や絵画や演劇や映画や小説や漫画を作製している人たちがいるのかも。
でもそれらは運が良ければ10年後、100年後に正しく評価される可能性があるけど
料理だけは不可能なので、心を病むのも致し方ないかも…。




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