映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「アリータ バトル・エンジェル」

2019年02月25日 | バトル映画

監督ロバート・ロドリゲス
脚本ジェームズ・キャメロン

「銃夢」実写化。
まさかクリストフ・ヴァルツ演じるイドを見ることになろうとは。
漫画表現に近付けるためにアリータの目はCG加工されています。

身体の機械化を専門とした医師イドは
スクラップの山から少女のサイボーグの頭部を発見する。
亡き娘と少女を重ねるイドは、
記憶を失くした少女に娘の名とボディを与える。
町では連続で女性が襲われる事件が発生しており、
巻き込まれた少女は異常な身体能力を発揮するというあらすじ。

原作のエピソードを贅沢に使用。
大筋は忠実で、キャラクターもたくさん登場。原作愛を感じます。

東洋の拳法スタイルをミックスしたアリータのアクション、
見ごたえあります。早くて目で追うのが精一杯だった。
アップやスローモーションが効果的で、
いい意味で漫画っぽかった。

内容ばれ

ただ、20年前の漫画なので、
強力な力を持っているが無垢で無知な少女が
男性に心酔し身も心も捧げ尽くすっていう人物設定、
近年のハリウッド映画では批判されているパターンなので
ちょっとヒヤヒヤしました。
(日本のアニメやゲームではまだまだ現役の人気パターンですけど)
(そこのところももう少し変えてもよかったのよキャメロン!イドの設定も少し変えたんだし!)
(あと世話を焼くだけの有色人種の助手の女性も相当やばいと思う)
イドとチレンの役割を入れ替えればよかったのでは…?

アクションが格好良かったので、
肝心のお話が古びているのがちょっと勿体ない気がした。

あっ、サンドイッチは最後まで食べよう!(デブの着目点)


犬!死ぬ!注意!(死ぬところは映りません)



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「THE GUILTY ギルティ」

2019年02月24日 | サスペンス映画

小島 秀夫監督が猛烈にプッシュしておられたので見た、
デンマークのサスペンス。
室内から始まってそこから出ないまま、
電話の会話のみですべてが完結する話です。緊張感がすごい。

主人公は緊急ダイヤルのオペレーターを務める公務員。
元は現場の捜査官だったが、なにか事情があって現在は内勤をしています。
そろそろ交代の時間という頃、女性からの通報を彼は受けます。
どうやら女性は男性に拉致され、現在脅されて車に同乗させられているようです。
主人公は相手の男性の情報や、車種などを上手く聞きだそうと試みます。
果たして主人公は女性を助け出す事ができるのか…というあらすじ。

誘拐された女性の声が印象的で、そしてたぶんとても上手い。
音楽も効果音もほとんどないし、当然現場の映像もありませんが
状況が目に浮かぶような、真に迫った演技です。

全部映像として見たい人、
サウンドノベル的な、想像力を必要とする話が苦手な人にはこの映画は不向きですが、
圧迫感のあるサスペンスが好きな人にはおすすめ!

ラストばれ

最初から主人公が、ちょっと正義戦士気味だなーとか、
態度が独善的だなとか色々匂わせが細やかでした。

オチはまあ、予測可能ですけど、
でもあの自宅に急行した警官が子供部屋で見つけるシーンは
息を止めて見守ってしまいましたね。

顔の分からない人物との電話のやり取りをメインに進行していくサスペンスは多くて、
本作と同じ緊急通報のオペレーターが主役の「ザ・コール 緊急通報指令室」や、
「フォーン・ブース」「交渉人」「グランドピアノ 狙われた黒鍵」、
ホラーですが「ソウ」シリーズ等々。でも大抵は場所を移動して現場でクライマックスを迎えます。
しかし本作は最後までずっと執務室の中にいて、大変珍しい。

終盤で登場人物が、
「警察にも病院にも、自治体にも助けを求めたけど、なにもしてくれなかった」
というようなことを言いますが、どこの国も似たような状態なのかなと思いました。
そして別の登場人物が主人公に、嘘をつかないでほしいと言います。
それがあの告白と、ラストの行動に繋がったのかなと。
(関係ないですが、立ち上がったら主人公めちゃスタイルが良くて、
ずっと座ってたらもったいないじゃんー!?という気がした)




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「ファースト・マン」

2019年02月14日 | 実話系

監督デイミアン・チャゼル
脚本ジョシュ・シンガー

初めて月面を歩行した宇宙飛行士、
ニール・アームストロングの伝記を元に
アポロ11号の月面着陸成功の過程と
それまでの試行錯誤や事故、
アームストロング氏とその家族のやり取りなどを細やかに描写した映画。

「ラ・ラ・ランド」で脚光を浴びた監督の、
音楽関係ない作品を見るのは私は今回が初めてでした。
こんな悲壮なアポロ計画の映画を見るのも初めてだったけど!

ラストまでばれ

やっぱり50年前のテクノロジーなので機械廻りがゴツゴツしている。
技術燃えの人にはそこのところが見所。
しかし軋みやがたつきも凄くて、ずっとガタガタガタガタガタガタガタ鳴ってて、
画面も揺れるので、酔いやすい人は酔う。
まあ終盤の月面で、
音がふっと途切れる完全な静寂が際立つんだけども。

この手の映画だと主人公の奥さんは
「帰ってきて……」「愛してる……」しか言わない
おしゃべり金髪ワイフ人形みたいなキャラクターが多いのですが
しかしこの映画ではアームストロング氏の出発の前夜に、
自分が死ぬかもしれないって自分の口から子供に言えよ?
荷造りなんかしてる場合かよこのスットコドッコイが!って
鞄をバーンと床に叩きつける奥さんで
「エエエエエェェェェェェェ!?」ってなりました。びっくりした。

実際のアームストロング氏は、もうちょっと
アグレッシブな人だったんじゃないかと思いますが、
ライアン・ゴズリングさん演じる彼は、
静かで繊細そうな人でなんだかずっと悲しそうだった。
ドキュメンタリー風の撮影といい、今度こそ作品賞を獲りにいったの?
と思ったんですが、今現在の賞の流れからして
有色人種を一切排除せざるを得ないこの題材はどうかと素人の私でも思う。
まあチャゼルくんの過去作も、有色人種のメインキャストあまりいないけど…。

そういえば月面に国旗を立てるシーンがなかったことで
保守派からのバッシングを受けたとwikipediaに書いてありましたが、
私は途中までの糖度を見て、月面歩行もなしかもしれん…と思ってたので
ちょっとびっくりしました。
キメキメのインテリアの部屋の真っ白な壁に、
お土産のペナント張れって言ってるようなものなんよそれは…。
そこのところはチャゼルくんに同情しました。

月着陸研究機の事故とかアポロ1号の火災とか失敗の数々も描かれますが、
当然怒った国民が税金の無駄遣いすんな!ってデモを行います。
妹がネズミにかじられた、白人は月へ行く、
夜のトイレに照明がない、白人は月へ行く、って歌っている人がいましたが、
いや、個人の話になりますけど
私も最近ネズミに頭を登られたんですが、あっネズミって貧困の象徴か!
私もオリンピック開催に絡めてラップをするべき?ってちょっと思いました。
(幸いトイレの電気は点きます)

セットとCGのみかと思ったら、ミニチュア班も人が多かったので
ミニチュア映像もあったんだなあ。全然分からない。



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「メリー・ポピンズ リターンズ」

2019年02月12日 | 児童文学系映画

1964年「メリー・ポピンズ」続編。
監督ロブ・マーシャルと音楽マーク・シャイマンのベテランタッグ。
むかし不思議な乳母メリー・ポピンズの教育を
一時期受けていたバンクス家のマイケルは、
大人になり家庭を設けたが妻を喪い、3人の子を抱えて困窮していた。
そこへ昔とまったく変わらない姿のメリー・ポピンズが現れ、
バンクス家にまたもや不思議な出来事をもたらす…というあらすじ。

コリン・ファースが意地悪な銀行頭取役で登場。
喧嘩友達のヒュー・グラントもパディントンで悪役をやっているので
バランスがとれていいですね。
作中アニメーションの声優も担当していますが、
オーバーな演技も様になっててめちゃキュートでした。
エミリー・ブラント、古風なメイクと衣裳がとっても似合ってた。
ベン・ウィショーのマイケルは迷子の子犬ふう。

楽曲は、当時のファン層向けにしたのか
ややクラシックな印象。

内容ばれ

大人になったマイケルが多額の借金を抱えていて、
期限までに返済しなければならないというオリジナルの骨子に、
「帰ってきたメアリー・ポピンズ」の陶磁器の中に入る話、
修理屋のいとこ、風船売りのおばあさん、のエピソードを使用。
(あとなぜか王様と、のらくらものの話を歌にして歌った)
原作のジェーン、マイケル姉弟の下の弟妹である3人が
(1人性別を変えて)マイケルの子供設定になっています。
そういえば修理屋のいとこも性別が違ったな(奥さんと融合した的な)。

原作のメアリー・ポピンズは、やれやれ無双系の元祖ともいえる、
結構難のある性格でナルシストなんですが万能無敵で
どこへ行っても皆に尊敬され称賛を浴びる存在です。
子等への態度もきついし、せっかちだし、
褒め言葉が足りないとむっとするし、自分にうっとりする。
でも、ほんの少しだけ、チラッとだけ子供への愛情が表現される。
そこが魅力的なツンデレの元祖でもあります。
前作映画ではその性質が丸められて
厳しい女性、くらいまでトーンダウンしたのですが
今回のメリー・ポピンズはちょっぴり原作に寄った感じ。
そこは良かった。





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「アクアマン」

2019年02月11日 | バトル映画

「ジャスティス・リーグ」に続くDCEU6作目ですが、
タイトルロールのアクアマンさん1本目なので予備知識なくても大丈夫です。

アトランティス帝国の元女王アトランナと灯台守である人間の男が恋に落ち、
息子のアーサーが生まれるが、海の王国から追手が来て、
母は連れ戻されてしまう。
アーサーは超人的な肉体の男に成長し、海の悪漢たちを成敗しながら暮らしていた。
しかし異父兄弟のオームが、地上への侵略を画策しており、
アーサーは否応なく巻き込まれていく…というあらすじ。

監督はジェームズ・ワン。推し監督です。
若くして「ソウ」で鮮烈デビューを果たし、
その後「死霊館」シリーズ、「インシディアス」シリーズで
じゃんじゃん稼いで実績をあげ、「ワイルド・スピード」シリーズに起用、
そして今回のDCEUです。
あとMCU、DCEU初のアジア系監督。嬉しいです。
(無印「ハルク」はアン・リー監督だけど、あれはMCUにカウントされてないからね…)

ジェームズ・ワン監督の必殺技は夫婦愛。
今回もアトランナ女王と灯台守のおとんの短いけど濃いラブストーリーに涙を絞られます。
ヒロインのメラすごい強いしでも地上の事は何も知らなくてキュートだし、
主人公の師匠役のウィレム・デフォーが、現在の主君である弟王との板挟みになってかわいかった。
ジェラシーすごい弟王のなかの人は実際は主人公よりわりと年上なんですけど、
頑張って弟役を演じておられます。
死霊館シリーズではラブリーな夫役。(知ってるひとが欲しかったのかな監督…)
なにより主人公を演じるジェイソン・モモアがとっても魅力的でした。
天真爛漫で、素直でワイルドで父親思い。

すごい効率的に山場を作っては次、作っては次、と移っていくので
ノンストレスでアトラクションを巡っていく感じでした。
編集が、ちゃんと効いていてもったりしてない。
エンタテインメントのいいところ全部盛りみたいな映画なので、
「マイティ・ソー?」「パイレーツ・オブ・カリビアン最後の海賊?」
「アントマン2?」「パシフィック・リム?」って所々思いました(笑)

ラストばれ

ブラックマンタ氏という人が出てきて、
彼はアクアマンに終盤気付きをもたらすヴィランなのですが、
ジェラシー弟から支給された超化学兵器を、
持って帰って即分解して塗装するような科学男児スピリットの持ち主で、
「おっまあなんかダサかったから格好良くするんだね」って思ったら
想像を絶する、全ヒーロー映画でもぶっちぎり上位にランクインするほどダセエ、
遮光器土偶みたいなスーツを開発して、なんか好感度が上がりました。
(あえての原作通りなんでしょう…)
見れば見るほどださい…目からビームとか…。

あとジェラス弟は、お母やんが出てきたら子猫ちゃんみたいになっちゃって、
そりゃニコール・キッドマンがお母さんとかマザコン待ったなしでしょうけど、
なかの人45歳なのに…って思うとちょっと面白くて肩がふるえました。
お母さん、生まれたばかりの長男を、地上のアーサー王より偉大な存在になる、
地上と海をつなぐって言ってて、なにか思い出すと思ったんですが
スーパーマンさんのお父さんのラッセルさんも
うちの子は他の子と違って特別製なので、地球の救世主になるんだもんねって感じだったので、
DCEUの親は溺愛モンペが多い印象ですね。
(ドラマを見る限りフラッシュさんの父、義父ともにとてもいい人だし、サイボーグさんのところもそう)
MCUの父はスタークさんがネグレクト風味、ソー父クズ、スタロ父スペシャルクズ、
ガモーラ義父クズクズ、という感じなので、微笑ましいです。
真面目な話、でも本当にアーサーは王を越えた英雄になれて、
それは師匠や父やメラの言葉を素直に受け入れ、
そればかりかジェラシー弟やブラックマンタからも学べる気質を持っていたからなんですよね。

アトランティス帝国崩壊のシーンでは、
DCEUもMCUも北欧バイキング風コスチュームの髭おじいは碌なことしないな…って思いましたけど。

三又の鉾はゼウスの武器を打ち直した云々って言ってましたけど、
DCEUの世界、とりあえずギリシャ神話の神々は実在するって設定でいくのかな。
やがてバットマンさんとゼウスがしばき合ったりする?

海の世界綺麗だった。情報量が多かった。
どうやって撮ってるんだろうと思ったけど、カメラテスト映像を見たら
基本は吊ってて、移動は刺又の親玉みたいなのを使って人力で役者を動かすという
けっこう原始的な方法だった。衣装や髪の揺らめきはCGなんだろうな。

監督どっちかといえば閉じた空間、狭い面積での話がお得意なのに、よく頑張られた。
船を襲撃されるシーンはもろにホラー文法だったけど、
監督的には癒しのシーンだっただろうたぶん…。
続編も同監督でよろしくお願いします!



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