映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ちいさな英雄  カニとタマゴと透明人間」

2018年08月28日 | アニメ映画

「カニーニとカニーノ」(18分)米林宏昌監督
父親とはぐれてしまったカニの兄弟の冒険を擬人化で描く。

「サムライエッグ」(16分)百瀬義行監督
重度の卵アレルギーを持つ少年の日常。

「透明人間」(13分)山下明彦監督
体が透明で誰にも認識されない青年の話。

スタジオポノックの新作短編アニメーション集。
これは…どうだろう。もうちょっと製作期間が延びても、
長編を作るべきだったのでは。せめて3本のうち1本でも
明るく楽しい話をいれておくべきだったのでは。

カニは魚がこわい(シンゴジの蒲田くん的なこわさ)、
卵はアレルギー反応で皮膚が爛れて瀕死になる描写がこわい、
透明人間は最後まで認識されない描写がこわい、ので
こわがりのお子様向きではないかも。

「カニーニとカニーノ」
3本の中では一番明るい。カニの兄弟もかわいい。
水がほぼ実写に見える。ただ魚がこわい。

「サムライエッグ」
卵を咀嚼している人の唾液の飛沫が自分の食品に入っても駄目だし、
歩いている最中に通行人が手に持っている粉もの(のマヨネーズ?)が
顔にぶつかって口についても駄目という
重度のアレルギー体質の子供がどう生活しているか初めて知りました。
食品アレルギーの子供が主人公の映画はこれまで見た事がなかったので、
いい試みだなって思ったのですが、それゆえに結末部分が、
がんばって卵が食べられるようになるという宣言だったのには仰天しました!
エッ…!?いいの!?

でもとりあえず粉ものを持って歩く時は気をつけようと思った。
どうでもいいことですが、マンション住まいの子供の歯が抜けたら
他人の家の屋根に投げるの…?できればやめてほしい…。

「透明人間」
食べ物が口に入った瞬間消えるので、
透明というより光学迷彩人間なのではとか、
あと入社試験どうしたんだろうとか、賃貸契約はとか、
バイク買うときは、とか色々妙な点があるので
なんかこうメタファ~てきなやつだと思いますけど
最後が、いくらなんでも強引すぎやしないだろうか。



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「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」

2018年08月27日 | ミュージカル映画

「マンマ・ミーア!」続編です。
あれから10年。
ホテルのリニューアルオープンに漕ぎつけたソフィの元に
続々と懐かしい顔ぶれが集まってくる…というあらすじ。
大学を卒業して旅に出発し、運命の男性3人と出会う過去のドナと、
その娘ソフィがホテルの再開業に向けて奮闘する現在が
交互に描かれます。

年齢を重ねても、元気で友情に厚く、お洒落で、
結婚経験者でも未婚でも恋を楽しんで、対象は異性でも同性でも、
という人生謳歌ミュージカル映画だったので、
見終わって明るい気持ちになりました。
太陽光が(ライティングが)明るくて、
登場人物たちがともかく仲良くて
憎みあったりしないというのも大きい。

序盤のフランスのカフェのシーン、
群舞は若く美しい人だけではなく年配の人も適度にいらっしゃったし、
車椅子のかたも踊っておられたので、
誰でもいつまでも人生は楽しめるというのは、
今回のテーマであると思う。
特にエンドクレジットの映像が良かったので、最後まで見てほしい。

最後までばれ

過去の親友三人娘や、現在の恋人同士、おばあさま、死んだ母、
過去のパパ三人衆、死んだ母と娘、母と死んだ娘、
現在のパパ三人衆、過去の自分と現在の自分をそれぞれの人が、
時間と空間を越えてみんなで楽しく歌い踊るとか、
極楽浄土のようなエンドクレジットでした。

ドナが出会う男性と次々に関係を持ってしまうのは、オイオイ…なんですけど、
天真爛漫な彼女の性格と歌のパワーで、なんとなく自然な流れに見えた。
「グレイテスト・ショーマン」と同じで歌の力は大きい。

コリン・ファースいじりがすごくて、
「こうやっていると考えがまとまる」という無理のある理由で
なぜか椅子に両腕を縛り付けられているし、
なんの説明もなくスカルスガルド氏とタイタニックごっこしてるし、
ゲートの人にロックオンされるし。
(あとお仕事で日本に来ている設定でしたが、壁に「整合性」って書いてました…)
(いや、熟語であれば何でも壁に飾るという訳じゃないです…)

エンドクレジットのあとでもう1シーンあります。



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「誰もいない国」

2018年08月21日 | 舞台

ハロルド・ピンター作
初演1975年

舞台劇。ナショナル・シアターライブで見る事ができました。
富豪の文学者ハーストが、バーで知り合った貧しい男スプーナーを
客人として部屋に迎え入れるところから舞台は始まります。
とりとめなく話す初老の男2人。
しかし翌日になるとなぜかハーストはスプーナーをチャールズと呼び、
学友として扱います。スプーナーも思い出話に応じ、
互いのスキャンダラスな過去を暴きあったりする。
その家にいる秘書の青年と執事も現れ、
どこか不穏な彼等の会話は続きます。
よく分かりませんが不条理劇なのだと思う。
ピンターの愛読した作家陣の中にベケットの名前があるので。

年老いた詩人2人をイアン・マッケランとパトリック・スチュワートが演じます。
当たり前ですがさすがの名演だった。
サー・イアンの、年齢以上に老け込んだ呼吸器を悪くした人の喋り方、
サー・パトリックの、興が乗ったきらきらした目と、ぼんやりとした虚ろな目のギャップ。

解釈・内容ばれ

芝居後のディスカッションも見られたのですけど、
サー・イアンの解釈は、すべて現実ですべて存在している。
サー・パトリックの解釈は、ハーストは認知症である(幻覚の可能性?)。
司会の方は、死の待合室であるという解釈があると仰ってました。
これといった正解はないのでしょう。
私はタイトルが誰もいない国なので、素直に誰もいないんだろう、
つまりハースト以外は存在しないんだろうと思ってましたが、
(詩を書く人が多すぎる。全員に同性愛的な雰囲気がある)
リンチの「マルホランド・ドライブ」のように、1幕目が現実で
2幕目がスプーナーの理想の世界なのかもなとか、後になって考えました。

序盤から客席に笑いが何度も起こって、
なにがジョークなのかも分からなかったのですけど、後で調べると
ハムステッド・ヒースが所謂ハッテン場のような場所で、
そこを散歩するというセリフが受けていたようでした。
要するに「2丁目を歩いてた」ってことなのかな。
しかし1975年には先鋭的なジョークだっただろうけど
21世紀の客が笑うようなねたかな?とは思いました。

ハロルド・ピンターの舞台劇を見るのは初めてですが、
2007年に脚本を書かれたリメイク版「スルース」は見ていて、
(その翌年亡くなられている)
ゲイ文化に並々ならぬ関心のあるかただったのだな…と思いました。

舞台の最後に、1度変えた話題は、もう変えられないという事実が
ぞっとするような雰囲気の中で告げられるのですが、
あれは何を意味するんだろうと、ふと考えてしまいます。
あ、でもサー・イアンの「全部現実の、普通の会話劇」という解釈も好き。





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「インクレディブル・ファミリー」

2018年08月16日 | アニメ映画

2004年の(!)「Mr.インクレディブル」の続編。
前作ラストからシームレスに続いています。
ヒーロー活動が禁じられている世界で、
相変わらず隠れて人助けを続けている一家だったが、
法律を改正して再びヒーローを復活させようという富豪からのオファーがあり、
活動支援を受けるが…というあらすじ。

今回は一家の主婦であるイラスティガールがメインで、
Mr. インクレディブルは家の中を管理する役割。
前作と比べるとびっくりするくらい男女観がアップデートされているのですが、
それがごく自然で、どっちのパートも多くのアイディアに支えられていて
面白かったです。
子育て大変!+エンタメという意味では「未来のミライ」と
同ジャンルの映画だと言えるので、見比べてみるのも面白いかも。

内容ばれ

家事育児の大変さと、社会的に認められ充実する妻への嫉妬、
それを短い時間ながらしっかりと描写し、
親として家族に認められるには家庭内での相応の時間と努力が必要なこと、
外で立派な事をしている、お金を稼いでる、それだけではダメということも
描写してありました。しかも面白おかしく。これはすごい!

ヒーローであり家父長でもある男が、育児に専念して疲弊し、
妻は社会で成功するエンタテインメントなど、年配の男性には(相当柔軟な人を除いて)
受容しがたい物語で、この話もものすごい駄作に感じられると思います。
でもその年齢層の人はきっと数十年後にはいなくなって、
観客も、そうして新陳代謝していくので、
物語はこれからも、どんどんアップデートしていってほしい。

アクション的にはイラスティガールの能力が多彩で、
そりゃコストで考えたらどうしてもその選択になるよなあ、
という説得力があった。
あとはフロゾンさん万能、しかもいいひと。
水の供給さえフォローできたらこのひとが最強なのでは。
ジャックジャックはチート能力者なので、今後が楽しみです。
それと、あのポータルの開ける子がアシストすると
ものすごい面白いバトルになりそうなので、レギュラー化してほしい。

それにしてもインクレディブル世界だから丸く収まったけど、
ヒーローに厳しいMCU世界だったら、全員投獄されて次回に続いてたな。

ちびっこちゃんたちが終わったあと何人も
「おもしろかったー!」って言っていて、フフ…って思いました。



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「オーシャンズ8」

2018年08月15日 | サスペンス映画

「オーシャンズ13」の続編にあたりますが、
主役がチェンジしてオーシャンの妹になったので
過去作品は見ていなくても特に問題はないです。

詐欺罪で投獄されていた主人公は、詐欺師オーシャンの妹。
更生して真面目に生きると面談で涙ながらに語った彼女は
出所するや即座に昔の仲間に連絡を取り、
獄中で練り上げた計画を打ち明けるというあらすじ。

VOGUEが主催してメトロポリタン美術館で行うイベント、
メットガラが犯罪の舞台になるのですが
この祭典は毎年セレブがファッションを競い合うので有名です。
サンドラ・ブロックやケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、
リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーターなどが豪華な衣装に身を包んで
華麗なチームワークを見せるので、女子ワクワク映画です。
なんか見ているとお洒落して、仲良しとごはんに行きたくなる!
しかし男性向けの映画ではありません。
女性主人公に問題なく感情移入できるスキルのある方以外は。

サンドラ・ブロックがジョージ・クルーニーのオーシャン、
ケイト・ブランシェットがラスティの役割で、
ついつい言う事聞いて振り回されてしまうけど、
結局は好きなんだなあという感じがとっても良かったです。
こういう映画をアジアで作ると、絶対生き別れの子供がいて涙の再会とか
余命数か月の病とか、湿気要素が入ってビチャア…ってなるんですが、
湿度ゼロのふっきれた女達で、見ていて爽快でした。

男性ばっかりのチームものエンタテインメント映画を500本近く見てる気がするので
こういう女性ばっかりのチームものビッグバジェットも今後500本くらい作られてほしい。


ラストばれ
オーシャンはなんだか全然死んでる気がしない。

最初1人当たりの報酬が1650万ドルって出て、割り算して、
「どういう計算!?」って思ってたけど(追記:もしかして経費コミの計算なのか)
最終的に腑に落ちて良かった。
アンハサの女優さん、友達がいないって理由が可愛かったな…。
あとお金の使い道も。

イエンってなにげにシリーズ全作皆勤?




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