映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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「シュガー・ラッシュ オンライン」

2018年12月23日 | アニメ映画

6年前のアニメ映画「シュガー・ラッシュ」の続編。
あれからヴァネロペとラルフは親友として、毎日楽しく暮らしていたが、
ヴァネロペは繰り返される日常に物足りなさも感じていた。
そんな彼女を気遣ったラルフのちょっとした思い付きが原因で
シュガー・ラッシュの筐体が壊れてしまい、廃棄処分が決定してしまう。
2人はシュガーラッシュを救うべく、ネットオークションで部品を手に入れるために
オンラインの世界に旅立つが…というあらすじ。

この世のすべての版権がディズニーにあるように錯覚してしまう。
ディズニープリンセス全員、スターウォーズも、マーベルも次々と出てきます。
圧倒的版権の火力。
ネット世界を具現化した演出が面白かったです。
IPや、ポップアップ広告の擬人化、SNSでの拡散。
あと散りばめられるインターネットミームねた。

ラストばれ

シャンクがめっちゃ格好良かった。イエスも、嫌な人かと思ったけど親切な人だった。
「スローターレース」のカーアクションはクールだったし、
突然のプリンセス歌唱ムーブには笑顔になってしまった。
(花火の代わりにガチ爆発してるし、
「タイヤはいかが?」ってあれ火がついてるからギャングの処刑方法ですよ)
プリンセスたちは全員かわいいし(なにげにプリンセス登場作品全作見てます)、
メリダのスタジオ違いのメタねたやっちゃうし、アナは拳で戦うスタイルだし、
ムーランのスカジャンめっちゃ似合ってるし、
プリンセス達が最後はおいしいところ持っていくし、
ありがとうございました!ところでカラー・オブ・ザ・ウィンドって固有技扱いなの!?

しかし脱お約束を同時に複数やろうとしたため、
少々構造がぐらついている気がする。
まずヴァネロペとラルフが、通常のディズニーアニメと比べると
少々アクが強いキャラクターであるのと、
ディズニープリンセスの苦難を助け憧れを受けるのが親友の男性ではなく、
(ラルフは結果的に状況を悪化させてしまう)新しいキャラクターで女性のシャンクスであること、
ヒロインであるヴァネロペは頑張って部品を入手してくれたラルフの献身に感謝を示さず、
少々唐突に感じられる別離を選び、ラルフはそれを受け入れず、事態は泥沼化すること、
通常子ども向け映画では、友情は永遠!ずっと一緒!という結末になる筈が、
離れ離れになるエンドであること、等々ですが、
最終的に丸く収まるものの、少々釈然としない気持ちになりました。
ウィルスのエピソードはいらなかったような…ヴァネロペとラルフはもうちょっと対話を…。

あ、推しのネタを見るために封切り即見たのですが、ありがとうございました。
あと、ヴァネロペがストームトルーパーに追われだしたあたり、
アイアンマンの近くにいたのは、あれはスタン・リーおじいちゃんですね?
亡くなられた後もこうやってどんどん映画に出演なさってほしい。
関係ないがリュウとケンが早朝デートしてた。


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「いつだってやめられる 闘う名誉教授たち」

2018年12月18日 | サスペンス映画

イタリアの「オーシャンズ11」とも言われる、
大ヒットアカデミックケイパーもの3部作の完結編です。
大変楽しいラストでした。
リストラで職を追われた学者たちが、
サイドビジネスで合法ドラッグを始めるが捕まり、
彼等のスキルに目を付けた司法の取引に応じて
合法ドラッグの製造元を割り出す業務に従事するが、
その過程で、神経ガスを製造しているグループがいることに気付く…
というあらすじ。

相変わらず浮世離れした教授たちが、わちゃわちゃしています。
予告で見て「!?」って思ったシーンも全部納得しました(笑)

内容ばれ
敵も学者だし、協力者も学者。
憎めない感じの事情ある敵でした。
世界的に大学ってどんどん予算縮小される傾向にあるんですかね。

おおむねハッピーに終わって、
かといって元妻が、ああん、やっぱりスッキ!とか言って
主人公のところに帰ってくるわけでもない、
そこのところはちょっとほろ苦いエンドでよかったです。
学術を探求する徒であるが、
学生を守り導く先生としての矜持もあるという。
ほぼ何もしてないメンバーもいるけど、みなさん可愛いので許す。

余談ですが、ハリウッド映画を見慣れているので
人種のばらつきがないことに違和感がありました。
しかし考えてみたら邦画だって大抵はアジア人のみなので、
イタリアの大学の理系教授人種構成がああいう感じなのでしょう。
あと性別も、学者は全員男性で、
死んで復讐の動機になる学者だけが女性。
ちょっと気になったのでイタリアのジェンダーギャップ指数を調べましたが
2017年は82位。わあ、一緒に頑張ろうね!
(日本は114位でプークスされるほど低い)

フランス語の「ピュターン!」に加えて、
イタリア語の「カッツォ!」も聞き取れるようになりました。
この調子で世界の「くそ!」を制覇するぞ!


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「グリンチ」

2018年12月17日 | アニメ映画

フー村では村民が皆クリスマスの準備に大忙しだが、
村外れの洞窟に住まうクリスマス嫌いのグリンチは面白くない。
彼は愛犬マックスと、村のクリスマスを台無しにしてやろうと決意するが…
というあらすじ。
原作は絵本で、何度か映画化されているようですが、
私は今回初めて見ました。
(それで台本のト書きのようなナレーションがあったのか)

ミニオンズのイルミネーション制作のアニメ。
というかミニオンのショートフィルムが同時上映です。
クリスマスの飾りやご馳走、グリンチの珍発明品は
細部まで丁寧で見ていて面白し、キャラクターの表情は魅力的です。
あとマックスがかわいい。賢くて好奇心旺盛な若い犬!という感じ。
シンディ・ルーもタフで優しい良い子!
音楽がエルフマンなので、ちょっとナイトメア・ビフォア・クリスマスを思い出します。
田舎なので字幕の上映がありませんでしたが、
大泉さんが巧くて、違和感全然なかったです。

内容ばれ

グリンチの改心が早すぎて、ちょろいヒロインみたいでした、
が、シンディ・ルーがスパダリなのでチョロインでいいのかな…?
フラッシュモブ聖歌隊のシーンが一番好きです。ホラー的…。

ただ、予告にも使われていた食料品店でのグリンチの嫌がらせは
ちょっとやりすぎで(口に入れた食品を吐き戻して瓶に詰め直して
他人の買い物かごに入れる。棚に体当たりをして商品を落として壊す)
普通に器物損壊で警察を呼んでいいと思う。
あと、ああいう場合のモブは「まあ、なんてひどい」みたいな態度しか取らないが、
たまには背後から無言でバットを脳天に振りおろすモブがいてもいいと思う。

しかしイルミネーションはそろそろ、
孤児=不幸!という認識を世間に広めるのはやめないか?
なお、ツンデレ発明家=萌え!という趣味は
大変結構なのでそのまま続けて下さい。

グリーン・ホーネット(2011年映画版)のファンは、
お目ざめのラテのシーンでソワソワするかもしれない。私はしました。



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「メアリーの総て」

2018年12月16日 | 実話系

超有名怪奇小説にしてSFの開祖とも言われる
「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」を
十代で執筆したメアリー・シェリーを描いた映画。
オカルトっぽい切り口で描かれがちなディオダディ荘の怪奇談義を
愛憎とフェミニズムという、ありそうでなかった角度から表現。
監督はサウジアラビア出身のハイファ・アル=マンスールさん。

思想家を父母に持つ16歳のメアリーは、
美しい貴族の青年シェリーと出会って恋に落ちるが、
最初は理想の相手と思えたシェリーに妻子がいたことや、
金に困っていることなどが次々と判明し…というあらすじ。

ラストばれ

シェリーがあまりにもクズ寄りのキャラクターになっているので
ラストはちょっと「え…そいつでいいの…?」と不思議に思いましたが、
事実を変えるわけにはいかない。
しかしまあ最初から双方自由恋愛でという意思確認はしているので、
騙されたという訳でもない。メアリーも正妻からシェリーを略奪している訳だし。
むしろなぜ自分にだけは誠実でいてくれて、
一夫一婦制を守ってくれると勘違いしたんだメアリー。

父と母から教養と創作への情熱を受け継ぎ、
ずっと文章を愛し続け、
自分の人生をすべて注いでフランケンシュタインの物語を創造するくだりは熱かった。
(しかし怪物=女性というのは私とは解釈違い…なぜなら怪物が作中でずっと
「女くれ女!女!女!」って言ってるから)
フランケンシュタインは、最初から最後まで文章の調子が一定に保たれ、
十代でこれを書いたんなら、メアリー女史はかなり冷静な人だったんじゃないかなと
私は思ってました。

ディオダディ荘の関係者、早世したり自殺したり病死したり自殺したり
これまではオカルト案件にしか思えなかったのですが、
この映画を見て、そりゃあ昼間から酒飲んで室内にこもってこんなに放蕩三昧してたら、
借金もかさむし、鬱にもなるし痴情がもつれるし病気にもなるわ…。という気付きを得ました。





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「来る」

2018年12月10日 | ホラー映画

ホラー小説「ぼぎわんが、来る」映画化。
娘の生まれたばかりの幸福な家庭におかしな現象が起こり始め、
やがて円満であるかに見えた夫婦の関係に影が差す…というあらすじ。
人間の嫌な面、人間関係の嫌な面が細やかに描写されますが、
松たか子さん演じるハイパー霊能者が漫画的で、不快感が相殺されます。
原作のほうが構成が端正ですが、映画のほうがエンタメ的。
特に終盤が文章では難しいド派手な展開で、
ジャンルを越えたあの宗教的スマブラのシーンはワクワクした。
そんなに怖くないと思います。

監督4年ぶりの新作という事で、「渇き。」は2014年なんですね。
時間が経つのは早い。
スローモーションと幻覚のような色彩設計は今回薄くて、
うーんとでも大衆居酒屋のシーンと、中華定食屋さんの色は良かった。
(オムライスの国は、うん、ちょっとよく分からないですね…)

内容ばれ
あの総力戦のシーンは、京極堂に解説してほしかった。
一番高いところで踊り狂ってた人達は、
沖縄の宗教なのかな?と思ったけど
検索してみた限りでは違うっぽいので、衣裳からすると韓国の呪術?
コクソンに出てきた祈祷師が、あんな格好をしていた気がする。

原作との比較(原作ねたばれ)
原作は家長による妻子へのモラハラDVが
世代を越えて、ぼぎわんを存在させ続けるという主旨だったと思いますが、
映画版では男女両成敗というか、酷い親が子供を不幸にし、
子供がぼぎわんを呼ぶというように、さり気なく変えてありました。
男女どちらも楽しめるようにという配慮でしょう。

でもその流れで、原作中いちばん怖いシーンの
おじいちゃんを迎えにくる場面がかなりふんわりしてしまい、
そこは残念です。あれをオープニングにしてほしいくらいなのに。
姉妹萌えがちゃんと拾われているのは、さすが分かってらっしゃる!と思いました。
ところで、幽白が表紙のジャンプを見て「夢か…」って描写に納得するのは
非おたくの人では少数派だと思いますよ監督(笑)。

くず夫と、その友達の民俗学者が少し掘り下げられ、
会社の人間関係が更に嫌な感じになり、
飲食店で会った霊媒師の女性がちょっとグレードアップしてた。



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