映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「ベイビーわるきゅーれ」

2021年09月27日 | 暴力orハードボイルド系

阪元裕吾監督
殺し屋のハイティーン女子2人が同居しながら仕事をする
ガンアクション女子バディ青春コメディ暴力映画。
口コミでじわじわと人気がでてきた感じです。
10月封切り映画が多いので難しいかもだが
公開劇場、もう少し増えてほしい。

鑑賞後いちごのケーキが食べたくなるかもなので買っておくとよい。

アクション監督は「HiGH&LOW」Season2を担当なさった園村健介さん。
殺し屋少女の片方は本業スタントさん。
陰キャ女子とコミュ強女子のゆるい会話による日常系のおもしろさ、
甘さ抜きのガンアクション、どっちも楽しめてお得な感じ。
殺しを統括する組織と掃除屋とヤクザが出てくる世界観も良い。

ラストまでバレ

2人のやりとりは全部よくて書ききれませんが
ごはんを食べているシーンが何気に多くて好きです。
まひろは食べるのがちょっと下手な子なんだなとかわかるようになっている
(中身が落ちちゃうのが2回あった)。
歩いて帰るのが好きな女はメンヘラが多いって会話があって、最後歩いて帰ったり、
ラーメンのスープをはね散らかして頭をどつかれたりとか、
Netflix?への「スタッフへのリスペクトがない!」とかいう文句、
殺しの仕事が終わってから一緒に映画に行くところ、
フローリングを歩く時に爪が鳴る犬の足音を口真似しながら歩くちさと、
おねだり上手のちさとと、そういうの一切不器用なまひろ。
(やくざも「オーシャンズ8とか見てないのか」とか言っちゃってポリコレヤクザで
中盤は面白かった。怒鳴り出すと普通のやくざになっちゃうんだけど)

アクションは、ウェイトの差をどうするかという解がないままだったので
そこは少し不満でしたが、頭部に一発蹴りを食らったら
ガタンとパフォーマンスが落ちたりとかああいうシビアなところはよかった。
あとともかく沢山刺すというナイフの動きと、
ガンアクションの、人体を盾と障壁代わりにする手慣れた感じも。

殺し屋組織がかなりホワイト企業で
高校生までは社宅完備、給与の一部積み立てをしてくれて、
大人になってからも一般的な社会経験を義務付け
住居の手配から頼めば確定申告までやってくれるという。

お掃除組織もかっちりしていて、会社通さないと保険が効かなくて
料金が高くなる。あと職業意識の高さを求めてくる感じ。
(「便利屋みたいに思ってるのかもしれないけど僕たちも人間なんで」
って言われている時のちさとの、叱られた猫みたいに虚無の目、可愛かった。
脳漿の掃除が難しいのかな?それとも頭は血の飛び散りが激しい?
でもあの人数のヤクザを殺して2200万円?なのは安いのではと思ったよ)

年配の男性が撮るティーン女子2人は大抵、語彙だけが若くて
やたら感情的で喜怒哀楽が分かりやすく、テンプレ台詞しか言わないんだけど
そういうのがなかった。
最近の日本の若い女子はもっと感情表現が薄くて、めちゃくちゃ空気読んで
怒っていても、あなたはあなたでそういう意見ねハイハイみたいな客観性が残っている感じ。
で、数秒後にスン…ってなる。切り替わりが早い。
あと世界的に女子2人ものは、倫理観が高く臆病で感情的で物欲が強く注意力散漫、
能力が低い、でもかわいいみたいなのが多いんで、普通に糖度低いのが出てきてくれて嬉しい。
同じくティーン女子2人の殺し屋ムービー、
「天使の処刑人 バイオレット&デイジー」を見たときに感じた不満が全部解消された。

不満点は、最初の空想と、途中の時系列入れ替えが、特に効果のないわりに
全体が分かりにくくなっていたところです。あれはなかったほうがよかったかも。

ラストシーン、よい切り方でにっこりした。

この2人の女子高生殺し屋、監督の前作「ある用務員」に出てるんですね(ただし別の設定で)。




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「マスカレード・ナイト」

2021年09月20日 | サスペンス映画
ホテルで起きる殺人を未然に防ぐため潜入する警察官と、
ホテルマンとの共闘を描いた「マスカレード・ホテル」続編。
東野圭吾さん原作。

マンションで見つかった他殺死体に関して
「犯人がホテル・コルテシア東京の年越しイベントに現れる」という密告状が届く。
参加者は全員仮装するきまりのその催しを監視するため、
再び新田がホテル従業員になりすます…というあらすじ。

冒頭の長いタンゴシーンと、木村さんがイベント名を言ったら
それがエコーになってタイトル、という演出は少しレトロすぎるように思った。
ホテルのグランドフロアは相変わらず豪華。

そうそう、この映画の無茶ぶりの客を見ると、
両ひざを金属バットで砕きたくなるんだった、と懐かしく思い出した。
今作の無茶ぶりは前作より少しまし…?片膝くらいで勘弁してやる。

犯人ばれ

原作未読ですが、2股によるあれがミスディレクションで
まんまと騙された。
プロジェクションマッピングの光が瞳に反射しているところ、
とてもお美しかったです。

相変わらず山岸さんの客至上主義は徹底してましたが、今回の
「あの女性と話したい」というゲストのご要望に応えてしまうのはどうかと思いました。
女性客も当然ながらホテルにいる時間をお金で買っているわけですから。
というか若い女性はホテル内でも気を抜かず防犯に気をつけている人が多いので、
まずは女性客のほうに相談すべき案件なのではないだろうか…?

沢村さん演じる日下部は、片膝で勘弁してやんよ。

小日向さん、最近「危険なビーナス」や「MIU404」でお見掛けしてて
設定が脳内で混ざり、「この小日向さんはどういう小日向さんだっけ…?」ってなった。



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「レミニセンス」

2021年09月20日 | サスペンス映画

温暖化による海面の上昇、富裕層による土地の買い占め、
戦争による貧民の増加の起きた都市で、
過去の記憶を再生し、追体験できるサービスを提供している元軍人の主人公は
家の鍵を失くして在処を探している美しい女性の記憶を再生するが
それがきっかけで彼女と恋に落ちる。
しかし彼女は姿を消し、主人公は憑りつかれた様に女性を探し求める…というあらすじ。
ヒュー・ジャックマン主演。

ノーラン弟の脚本だと思っていたが違って、
ノーラン弟の奥さんのリサ・ジョイさん初監督・脚本作品だった。
ノーラン弟さん、ノーラン兄さん作品における外付けの人情装置だと私は思っている…。

予告ではインセプションの設定を使ったミステリーという風情だったが、
ラブロマンス6割+サスペンス4割くらいだった。
水没したマイアミ、気温上昇による昼夜逆転生活、という世界観と画はよかった。

おちばれ

ヒュー・ジャックマン演じるキャラクターにしては弱くて
(何らかの後遺症で足が少し不自由?)
ピンチになるたびに奇跡的に助かるんだけど、
同じ元軍人が情けを掛けて見逃してくれたり助手が助けてくれたり
愛され主人公なので問題ないのだった。
それはそうと悪漢と格闘する際に構図のためかマナー足格闘になっていた。

マフィアを1人で殲滅できるほどの凄腕のガンマンの助手さん、
元軍人でアル中というニヒルな設定なのですが、
(1人でポリコレを背負ってた感はまあ少しあるが)
主人公は彼女を選ぶべきだったと思う。

運命の女メイは、
マフィアの薬物をちょろまかして売って、隠れて生きることはできたのに
どうしてほとぼりが冷めるまで海の家で潜伏していられなかったのだ。
まあ恋に狂って戻ってきてしまったということでいいけども、
なぜ突然命懸けで子供を助けないといけないって思ったのだ。
ええ感じの理由で死ぬことが優先されて、
彼女の人生およびその設定はふんわりした感じになったような。
というか焙りハゲが、知ったら後悔するとか呪われるとか言うから
何があったのかと思ったけど、普通にいい話じゃないか。

あれ肉体の生命維持はどうなってるんだろう。
実は朝昼晩は三食食べているのか?

あとドライランドというとウォーターワールドを思い出します。

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「スパイラル ソウ オールリセット」

2021年09月17日 | ホラー映画

「SAW」シリーズ9作品目、2度目の新生SAW。
監督はダーレン・リン・バウズマン。

新人の頃に仲間の悪事を暴いて以来、職場で疎外されてきた主人公が、
ジグソウの模倣犯で警官ばかりを狙う謎のシリアルキラーから
挑発を受けるという話。
怖さよりも痛さに重点を置いたグロなので苦手な方ご注意ください。

このシリーズのホストであるジグソウと、
他の映画に登場するモンスターや殺人鬼との違いは、
彼の目的が被害者の更生である点です。
犠牲を払う覚悟さえあればクリアできるゲームが用意されていて、
被害者はその成功体験と、ジグソウが示した自分への理解に
心酔してしまう者がでるくらいでした。
しかしシリーズが進むにつれて、単なる面白処刑ショーになり、
その特色は失われたのですが、このリブートもやっぱりクリア不可能な残虐ゲームばかりで
そこはがっかりしましたけど、別の箇所に愛情があって良いなと思いました。

過去シリーズを見た人に少しの目配せはありましたが、
別に話は繋がってないので、この映画から見ても大丈夫です。
でもまあ1作目が偉大なので、おすすめはSAW1です。

ラストばれ

ちょっとサスペンス慣れした人なら、あのシーンですぐ真犯人は分かってしまいますが
早く気付いてほしくてウズウズしてたと考えると少しほほえましい。
子供の頃に出会った憧れの人を、満を持して迎えに行ったのだな。
あの誘い、全部出まかせかとも思ったけど、
あんなことを言わなくてもタイミングをコントロールはできただろうから、
本当に相棒になりたかったんだけど、
それが無理なら一生自分を追いかけてほしかったんだろうなと思いました。
ラストが過去の再現になってたの良かったです。

今回のゲームは、舌と指は痛みで気絶したら100%死ぬのがちょっと無理だし、
脊髄にいたっては首と肩の筋力だけで切断できるか?
蝋で焼けただれた顔は、上部と下部で不均一で、よくできているなと思いました。
マザファカおじさんは、なぜ低予算ホラー映画にでてくれたのかは分からないけど、
元気よくファックックって言ってました。

刺さる人にはすごく刺さるBL萌えがあるので、
人体破壊が平気な勇者は配信されたら見るといいと思う。
って反転せずに書くべきだけど、勘のいいひとはこれだけで分かっちゃうからなあ。



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「アナザーラウンド」

2021年09月07日 | 人情系
高校で歴史を教えるマッツ・ミケルセンは、父兄から意見されるほど授業に精彩がなく、
家庭でも妻との会話が途絶え、明るさのない日々を送っていた。
しかし悪友グループで集まった際に「アルコール血中濃度0.05%で日常生活を送れば
すべての効率が上がり良い結果をもたらす」という説を聞き、
全員で実践してみたところ、授業は生徒たちから好評で、
妻との仲も改善し、なにもかも上手くいくと思われたが…というあらすじ。

内容が内容なので、泥酔人間仕草が苦手な人は見ないほうがよいです。
あと当然ですがげろあり。酒好きのマッツファンは、
ウォッカ、シャンパン、赤ワイン ビールを用意して見ること。
余裕があればキャビアもあったほうがよい。

酔っぱらいに対して相当寛容な人むけの映画です。
様々なマッツが楽しめます。

ラストまでばれ

鼻血とか、シャワーシーンとか、腹チラとか、涙目とか。あと見事なダンス。
マッツ先生のルーズベルト、チャーチル、ヒトラーの話おもしろかった。
しかしマッツ踊ってなんとなく終わったけど、問題は山積みのままなような気がする。
特に小さい子が2人いて毎日が戦場なのに泥酔しておねしょをするところまでいった父親、
彼がどうやって許されたのか想像もつかない。
実験をもちかけた人は、お友達の死に対してもうちょっと罪悪感というか…?
いやこれは日本人的な感覚で、あくまで自己責任なのか?
たぶんこれ酒の好きな男性→酒の嫌いな男性→酒の好きな女性→酒の嫌いな女性
の順番で意見が辛くなっていくと思う。
アラフォー男性が少年に戻って仲間とキャッキャサッカーして、
泥酔して楽しいのは分かりますけどね。

作中でマッツたちの飲んでいたカクテル「サゼラック」が
とてもおいしそうに奇麗に撮ってあった。飲みたい!
本式はライウイスキーを使うみたいだけども、
映画のレシピはバーボンを使っていました。
外国のサイトで映画のレシピを公開していましたが、

バーボン90ml
アブサン15ml
ペイショーズ・ビターズ2振り
角砂糖1こ
オレンジの皮

なのだそうです。
これアルコール度数50度くらいになると思うんですが
あんなにバカバカ飲んで、アジア人とは体から根本的に違うとしか思えない。
ラストにテロップが出てましたが、
デンマークではお酒を買ったりお店で飲んだりするのは16歳から。
お家で飲むのは特に制限ないらしい。
国の推奨する飲酒量、男ビール14本、女7本までとかで
酒つよつよ遺伝子の人間ばかりなのだなと思った。

あまり関係ないが、踊りによって観客が呆然として
結末がいったん棚上げになる印象の映画、過去にあった気がする……
と思ったが、あれですね、ポン・ジュノ監督の…。




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