映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「女神の継承」

2022年07月31日 | ホラー映画

「哭声」のナ・ホンジン監督が続編のプロットを
タイのバンジョン・ピサンタナクーン監督に提供した土着宗教ホラー。
タイの東北の小さな村で信仰される女神バヤン。
代々その依代を輩出してきた家と
現在の巫女への密着取材を模したモキュメンタリー形式。

祖母から叔母、そして自分が代々女神バヤンの依代を引き継いできたニム。
彼女は村民と女神の橋渡しを務め、儀式を執り行ってきた。
彼女の姪の様子がおかしくなり、巫女の代替わりかと思われたが…というあらすじ。

本当はニムの姉が巫女になる予定だったとか、姉は妹に巫女の役割を押しつけ、
以来姉妹は不仲で、兄が仲を取り持とうとしたがうまくいかない…とか、
確執と宗教がじわじわと絡み合い、
不仲な親族と断絶している訳でもないモヤモヤした感じ、
アジア人としてなんとなく感覚的に理解できた。

台湾ホラー「呪詛」と共通点が幾つかあったが
ホラーとして怖いのは「呪詛」、
じわじわ嫌な土着感が強いのは「女神の継承」です。

注意点(軽くねたばれ)としては
お色気シーンがあります。
犬がめちゃくちゃ残酷に殺される(撮影で動物は傷つけてないとのこと)。
嘔吐っぽいシーンがあります。
重い生理の描写と出血描写が長い。
排尿あり。

タイの風習、特にお葬式関連が大変興味深かった。

ラストまでばれ

怪異が早く起こってほしい派には、前半が冗長に感じられるかも…。

私は、卵の中身が黒かった→自殺した悪霊の仕業ではないし、廃墟に姪がいる、
って根拠なくニムが分かった経緯から
あの廃墟の看板が繊維工場だった→ニムは元は服飾デザイナー志望だった→
儀式パートの最後に映ったヤサンティア家への呪いの人形は昔のニムによる儀式→
ニムの最期のインタビューから女神バヤンは存在せず、
単に婦人病を患いやすい、憑かれやすい家系→
だが一族の義務を自分に押し付け幸福な結婚をした姉に対するニムの怒りは
ヤサンティア家に恨みを持つ霊や殺されてきた犬たちの恨みを呼び、
ニムは悪霊の媒介となった。
発動した呪いは姉の義父、姉の夫、姉の息子を殺し、娘の精神を破壊し、そしてとうとう姉本人を殺した…
と解釈したのですが、同じ意見の人がネット上に存在せず、
女神バヤンが実は悪霊だった…という考えのひとは幾人かいらっしゃった。
えー!?私何か幻覚を見た…?

タイのお葬式、仏像が電飾で光るのは知ってましたが
遺影も供花も光ってた。
火葬の着火を、ロケット?ロケット花火?的なもので行ってた。
お通夜の夜は夜中まで飲んで騒いで、会場で小さな蚊帳を吊って各々寝てた。
同じ仏教でも随分違うんだなあ。

「呪詛」ねたばれ。共通点

頭を自分で打ち付けて死ぬ人がいる、
悪霊払いの儀式が母親の愚かな行いによって破られ祓い師が死ぬ、
というのが「呪詛」との共通点ですが、
今回のはしょうがないですね。
いや1回攫われてるんだから遠方のホテルにでも詰めときなよ…とは思いますが。


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「ミニオンズ フィーバー」

2022年07月26日 | アニメ映画
原題「Minions The Rise of Gru」

時間的には「ミニオンズ」の少しあとくらい。
若い頃のグルーとミニオンたちがわちゃわちゃします。

グルーの憧れである悪の組織、
ヴィシャス・シックスが新規メンバーを募集し、
グルーは面接に向かう。
しかし彼等は内紛の最中であり、
巻き込まれたグルーは…というあらすじ。

相変わらずヴィランたちのデザインは面白いし、
カンフーの修行をするミニオンたちは、
本筋にはあまり絡まないけど、最高にかわいくユーモラスに振る舞い、
小さな観客をキャッキャさせます。
(でもあのカンフーマスター、イルミネーションじゃなく
ピクサー世界の人みたいだったな?)

内容ばれ

干支のこともゾディアックって表現するのかー。

過去作品(時間軸的には未来)とのリンク、
私ですらいくつか気付いたので、もっとたくさん仕込んであるんだろうな。


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「キングダム2 遥かなる大地へ」

2022年07月25日 | バトル映画

監督佐藤信介さん
脚本黒岩勉さん原泰久さん

魏の大軍による侵攻をうけて急遽防衛戦を行うことになった秦、
主人公は従軍して何度も死地を切り抜ける。
羌かいという、奇妙な武術を使う得体のしれない人物と同じ隊になるが、
やがて心を通わせるようになり…というあらすじ。

予算の潤沢さを感じられる合戦シーンとアクションで、
邦画の大作としてとても良い部類だと思います。
アクションは、一対多数の戦闘を謎の風圧で誤魔化さずに、
なるべく剣で打ち合いをしようと言う姿勢に好感がもてました。
羌かいは、舞踏+加速ふう表現でしたが違和感なかった

げろあり注意。
エンドロール後に次回予告があります。

内容ばれ

原作にとても忠実だけど、戦場の悲惨度は少し下げてあって、
あと羌かいと打ち解けるスピードをあげるために、
暗殺事件を冒頭に(羌かい抜きで)、過去打ち明けシーンを中間に持ってきて、
相手を主人公に変えてあった。納得の分かりやすさ。

班長さんが「カメラを止めるな!」の監督役の人で
言われてみれば顔がそっくりだった…不思議…。

脚本の黒岩勉さん、「ONE PIECE FILM RED」も仕事なさってるので大忙しだ。
集英社御用達みたいな感じなのか?



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「呪詛」

2022年07月24日 | ホラー映画
めちゃくちゃ怖いという事前情報が流れていてすごく気になってました。
Netflixに出戻って見ました!うん、サービス満点で怖かった!
2022年の台湾のホラー、「ブラック・フォン」と並ぶNO1です。
こちらは恐怖と後味悪さに絞った良さ。

主人公は幼い娘を持つ母親。
彼女は心を病んで一時期娘と離れて暮らしていたが
安定したので手続きを踏んで娘と生活を始めたのだった。
しかし徐々に家の中で奇妙な出来事が増えていく。
実は彼女は独身時代にある恐ろしい事件を経験しており…というあらすじ。

少し内容ばれ注意書き

当然ですけどあらゆる耐性が求められます。
特にげろはたくさんある。あと集合体恐怖症のひとも無理だと思う。
虫も結構すごい。子供が酷い目に遭います。

おちばれ

暗黒仏母のデザインが強烈によかった。
見た事のないデザイン。羽根なし扇風機+チェリーパイ…。
あれだけ引っ張って中身がありきたりだとションボリするけど
期待を外さない出来だった。

彼女の家の屋上に妙な洞があったり、実は過去に高僧に会いに行っていたり、
警察の人にビデオを見せて殺していたり、
主人公の行動には「???」という点が幾つかあるんですけど、
意識的か無意識かは分からないが彼女は暗黒仏母の信者になっており、
娘も捧げるつもりだったが、途中で情がわいて気が変わったという考察を
SNSで拝見して、なるほど…?と思ったのでした。

それは別にしても躊躇なく凧を盗んだり、倫理的に信用ならない人だなあと思ってはいました。
あの民間の拝み屋さんとか、最初に無理なら帰れって言ってるのに
途中であっさり言いつけを破って、なにがしたいのだ?と腹が立ちました。
(なので別の神を信奉する人々、たとえばお守りおばさんとかを殺して回っている説に納得する)
暗黒仏母が殺した人数と、主人公が殺させた人数、同じくらいではないか。
里親の男性とかも、いい人なので本当に気の毒だった。
ところで世界<我が子で愚かな行動に出るの、だいたいいつも母親ですね。

ミステリ作家の綾辻行人先生が「ホラー映画史上初の視覚的な試みにも感心しました」
とツイートされていて
たぶんそれは錯視を利用した、
何もないスクリーンにマークが浮かび上がって見えるシーンを指しておられるのだと思いますが、
あそこは「いいねいいね!」ってなりました。

ところで昨今、観客が苦手な、トラウマを喚起させるようなシーンの回避は
作品のエンタテインメント性よりも重視されるべきという考えが広まっていて、
(私もラストのオチに関係しない場合は極力書きますが)
この映画も配信されてすぐにオチを明記した警告が回ってました。
恐怖を与えることを目的としたホラー映画で、ちょっとそれはどうかな?と思います(私は)。

あの坑道を歩いて行くアトラクションがあったら楽しいだろうな。
もちろん最後は布をめくる。



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「キャメラを止めるな!」

2022年07月21日 | コメディ

上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」フランス版です。
あらすじはほぼそのままで、 日本で当たったゾンビ映画の企画を
フランスで作ることになったという風にしてあった。

ちょっとだけアレンジもあったりして、
オリジナルが好きな人は楽しめると思います。
音楽がアレクサンドル・デスプラとあって、
同姓同名の別の人かと思ったら、
公式のお仕事一覧にあったわ…。ちょっと驚いた。

あ、ゲロと排便シーンはアレなので。
エンドロール後に1シーンあります。

内容ばれ

アツアツのひとが出ておられた。国際女優だ。
日本ねたは当然多いですけど、
日本人はゾンビに詳しい、 日本の観客はレベルが高い、 などの褒めもあれば
日本人は真珠湾を攻撃した、などのセリフもあります。
真珠湾のことで現在も日本にマイナスイメージを持つフランス人が多い感じ…?

音楽担当の人が新要素なのですが、
「比較音」と「引っかく音」のあたりは、
なんかすごく翻訳が難しい台詞なんだろうなと思った。

シワンジュク村や、ヒグラシ・ヒグラサイとか
適当名詞の宝庫だった(笑)

護身術クラヴマガはイスラエル生まれ、モサドも採用しているとかで
動画を見たら、同時に急所の3点攻撃をしていて、殺意が強すぎて笑った。
スポーツなどにするのはおそらく無理だろう。
体格の小さなひとなどでもかなり有利になるそうです。

脚本が優れている話は
役者や国や監督が変わっても問題なく面白い。
「カメラを止めるな!」はここ数年の日本の全ての映画の中で
一番脚本が優れている作品だと私は思います。




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