映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「リアリティ REALITY」

2023年11月27日 | 実話系

国家安全保障局の契約社員が
2016年の大統領選に関して
業務上知り得た機密をマスコミに流し
有罪判決を受けて4年服役したという、
実際にあった事件のFBI捜査官の取り調べを完全再現した映画。
音声記録をもとに撮られていますが、
時々実際の音声も流れます。

被告人リアリティ・ウィナーが買い物から帰ると
見知らぬ男性が声をかけてきて
あなたの機密の取り扱いに問題があり、
捜査令状が出ている。
これから家の中に入るという説明を始めます。

誰もフィクションの捜査官のように怒鳴ったりしないし
被告の女性も泣きわめいたりしない。
(彼女は元空軍所属で4か国語をマスターしている)
静かな会話で進行していきます。
でも駆け引きは確実にあって、それが面白かった。

ラストまでばれ

最初に捜査官が「自分も保護犬を飼ってて」
って発言した時は
「はい、嘘~。被疑者を油断させるための嘘~」
って思ったけど、 最後まで見ると、
あれ…嘘じゃなかった…?と思いました。

FBI捜査官のひとたち、本当に言葉の調子がソフトで、
逆に怖かったです。
君のこと大物スパイだとか黒幕だとか思ってない。
ただミスをしたなと思ってる。
って先生みたいに優しく繰り返す。
(当局が恐れていたのは被疑者の後ろに
凄腕のハンドラーがいて、
その子飼いの密告者がウジャウジャいることだろうけど)
すごく丁寧に、水飲む?座る?どこで話す?
と何度も言ってくれる。あれも話術の一種なんだろうか。

被疑者は始終冷静だけど、
やばいなと思ったところだけ笑顔になる演技が良かった。
怖いといえば、自宅の敷地をあんなふうに
「犯罪現場」 の黄色いテープでぐるぐる巻かれたら、
もうあそこは引っ越すしかない。
あとノートにこっそり描いてたナウシカのイラストとか、
残さなくてもいいやんね…
機密漏洩とかするときは創作物は全部燃やしてからやれ。
冷蔵庫のマグネットとかオタクグッズも
捜査資料として残されたくなかったら燃やせ。
それとTorブラウザ、インストールしているだけで
何らかの嫌疑がかけられたとき不利になるっぽいぞ!

被告は有能な人なのに、なんで消印のこととか配慮せず、
残りの封筒も持ちっぱなしだったのか不思議だったんですが、
どちらかというとインターセプトが
密告者に関する情報を漏らしたのが異常なのか。
そりゃあそうだよね、もう誰も危ない橋を渡って
インターセプトに情報を渡したりしないだろうし
それどころか報道機関への信頼が下がって内部告発だって減るだろう。

告発内容は、ロシアがアメリカの大統領選に干渉しようと
ハッキングをかけていた事実に関して。
演出として、 極秘情報部分になると
言葉が途切れるのはわかるんですが、
人物もドゥー…ンと消えてしまうのは、
なんだかゲームのおもしろバグみたいでした(笑)。

最後にアメリカは地球の害悪とまで言った!




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「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」

2023年11月26日 | コメディ

関東の中で見下されてきた埼玉県が
尊厳を取り戻すコメディファンジーの続編。
今回は関西にスポットが当たります。

和を勝ち取ったのも束の間、
県民の心がバラバラになるのを察した麗は、
埼玉に海を作る計画を発表する。
まずその第一段階として、
和歌山の白い砂を持ち帰ろうとするが、
途中座礁して仲間たちとはぐれてしまう。
流れ着いた彼が見たのは、
大阪府知事に支配される
和歌山県民たちの哀れな姿だった…というあらすじ。

関西で見てましたがわりとクスクス笑いが起こっていました。
ギャグの特性として、
誰に対しても刺さる広範囲向けのねたよりも
わかる人間の少ないねたのほうが深く刺さる。

嘔吐シーンがあるよ。

内容ばれ
サラダパンとか、平和堂のシンボルとか、
すぐ止まる湖西線とか、最強岸和田軍団とか
なぜか堺市disとか。
それにしても滋賀や奈良や和歌山のひとは
あそこまで底辺描写をされて大丈夫だったろうか…。

飛び出し注意の男の子の看板が滋賀県産だったとは知らなかった。
(西川貴教さんは絶対出るだろうなと思ってました)
(ヴォーリズねたもあると思ったがなかった)

現実部分の、浦和と大宮の対立とか、
熊谷が暑いとか(力士が倒れるほど!?)は、
へー!そうなんだ!という感じ。



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「首」

2023年11月25日 | 時代劇


「龍三と七人の子分たち」以来約8年ぶりの監督脚本作品。
信長統治下の不安定なパワーバランスを、
監督の独自解釈でシニカルに描くR15作品。
タイトル通りバンバン首が飛びます。
げろもあります(それ以外にも色々ありすぎるが)。

内容ばれ

男同士の友情をBLにするなとはよく聞く意見ですが、
北野監督は今回、寵愛や謀反などの武将同士の関係の変化を、
性愛による嫉妬懸想が原因でもあるという風に解釈した。
しかし日本にあった衆道関係とも違い
そこには権力勾配がなく(光秀と村重には)
どちらかといえば西洋の同性愛関係に近い。
かと思えば本来の衆道に近い関係もあり(信長と蘭丸)本当に独特である。
ファンタジーホモソーシャル時代劇という感じ。

村重おまんじゅうエピソードは文献にあるらしい。
村重はあのあと箱の中から脱出して生き延びたことになるが、
一体どうやった?フーディニかよ!?

光秀は、西島さんの平常力の強い演技が生きた、
とても味のある狂人造形だった。
あの中にいると常識人に見えるけど
全然そんなことないという。
「以前から懸想しておりました!」
てきなことを咄嗟に言ったところの表情とか
「命が惜しくて咄嗟に口走ってしまった…」
てきなセリフのところとか。
(北野監督、麒麟がくるをご覧になっていたのか?)

造形としての首の出来具合は今一つのように見えました。
最初に出てきた、中からザリガニがこんにちはしてるやつはよかった。
(首じゃないけど)

監督は、やはり少し年を取られたな、と思う部分もあり、
家康の草履を懐に入れた後で3人でわちゃわゃしている
アドリブっぽいシーン、ここは10秒くらいでいいのでは?
っていうのが切られずに長々と入っていたりとか、そういうの。
あと細かいことを言うと「とんでもございません」とかメジャーな誤用が
(現在では言葉の変遷として定着しつつあるが)
時代劇のセリフに入っていると、格が下がるように感じた。

でもまあ湿度の低い、とぼけたような味わいの死と暴力を描けるのは
北野監督の芸風だなあと思いました。




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「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

2023年11月19日 | アニメ映画
PG12指定
血まみれになって立っている
ゲゲゲの父さんと水木さんのビジュアルが気になって行ってきました。
昭和31年、血液銀行に勤める水木は、
担当している龍賀製薬の財閥当主が急死したと知り、
思惑もあって葬儀に出席するため哭倉村へと駆けつける。
哭倉村には妻を探しに来たという謎の白髪の青年がいて…というあらすじ。

いやー、推理のない横溝でした。ベースになっているのが犬神家。
結構残虐に人が殺されます。
えっていうくらいお客さんが多くて、
前列と端以外の席は埋まってた。
PG12は伊達ではなく、ファミリーや怖がりさん向けではない。

終盤の展開ばれになるので反転しておきますが
苦手要素
気管支の弱い子供の近くでの喫煙
げろあり
串刺し目玉取れ
家庭内性虐待の設定(性虐待シーンはない)

水木先生の原作1話が無料公開されているようです。
映画→1話→入場特典カード
の順番が良いように思った(私は)。
予言しますが、水木とゲゲゲの父さんにやられたひとは
入場特典カードを見ると「ギャァァァァー!」って言う。

鬼太郎の誕生
https://comic-days.com/episode/3269754496757637235

ラストまでばれ
水木のキャラクターが良くて、
自分のこと上昇志向が強くて冷酷な人間だと思っているが
捨てたつもりのデッカイ正義感が背中からはみ出してるぜ…っていう。
あと耳が欠けてて、顔面と胸に傷があるってフェティッシュな造形。
関係ないけどビンタされている水木さんの隣、水木先生がいたような?
ゲゲゲの父さんとは性格が対称で、相性抜群でしたね。
父さん突然の入浴シーンに戸惑いましたが
目玉の父さん=入浴、だからか!

裏鬼道衆、てっきり陰陽バトル開始かと思ったが
突然の物理アクションが始まってびっくりした。
しかもすごく動いた。ゲゲゲの父さんヒーロー着地したし。

家庭内性虐待については
横溝作品ですら近年映像化の際には未成年性虐待をカットするのに
なぜ令和の今…って気はします。
単に病院の管理をやらされていた、不要な人間の始末を指示していた、
でもいいように思う。

めちゃ上手に原作1話につなげたな!と思ったが
ゲゲゲ夫妻、血液銀行に売血してるのだけは惜しい感じ(笑)
今回たぶん中ヒットくらいの成績を納めそうなんだけど、
もし続編あるいはシリーズが作られたら、
水木さんが何度も記憶喪失にさせられそうで少し心配です。

眠らず飲まず食わずで働ける薬って、要するにヒロポンやね?




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「デシベル」

2023年11月13日 | サスペンス映画


過去に潜水艦ハルラの副長を務めていた主人公に、
サッカースタジアムへ爆弾を仕掛けたという予告電話が入る。
その爆弾は周囲の音量を計測し
一定音量を越えると制限時間が半分になるという仕様だった。
観客を避難させれば即座に爆破するという脅しに主人公は…というあらすじ。

爆破テロリストとその指示に翻弄される主人公の
ハラハラする攻防が楽しめました。
一昔前の「スピード」や「ダイハード3」のような勢いがあった。
しかも主人公と爆破テロリストの間に因縁があり
実は…という告発がサブのストーリーとして進行していくので
最後までダレずに見られました。

私は音響兵器に関する映画だと思って
「へー、殺傷能力があるやつが開発されたのか」と見に行ったのですが
全然違った。

内容ばれ

韓国語、今回初めて「同じ発音の言葉が多い…?」と思った。
「発射」とか、「ハッシャ」と言っているように聞こえた。
「30分」とかも。
数字の発音に似ているものが多いのかな?

声を上げると爆発して死ぬ仕様の爆弾というのは
沈黙させられ、声を上げれば抹殺される自分たちの復讐の表現なのだと思うが
(あと音響探知が専門だったテリョンの復讐)
そのへん言葉で説明しないのはよいね。

この映画のせいではないが、敬礼が感動記号になっちゃって
ゲシュタルト崩壊を起こしそうだよ~。
なんで複数人で腕を135度ほど曲げると格好いいって思うんだよ~。

韓国映画、終盤に告発シーンが来るものが多い印象だが
必ず吹き抜けで下手側がガラス張りのような?
なにか映像上のお約束なんだろうか?
あるいは告発記者会見で有名な場所なのか。



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