映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「フラグタイム」

2019年11月30日 | アニメ映画

主人公の女子高生には、
3分間だけ時間を止められるという特殊な能力がある。
彼女はストレスを受けるとその能力で逃げ出して心を落ちつけていたが、
あるときクラスで一番の美少女のぱんつを覗いていると、
その美少女に話しかけられて…という百合もの。
DIOさまもびっくりの能力の使用方法。

すごい内気な女の子は、たとえ時間が止まっていても
他人のパンツは見ないと思いますが、
たぶん男性の感情移入を呼ぶための設定なのでしょう。

客は(私たちを除く)18人中
17人が男性、カップルの片割れの女性が1人で、
百合人口の圧倒的男性率の高さを目の当たりにしました。

キス止まり、本番行為はなし。
「女同士なのに…」とかそういうのもなし。21世紀ですね。

付き合い始めのドキドキエピソードから、
本音ぶつけあいのラストという、ベーシックな構成。

内容ばれ

周囲100人の100通りの要望を全部叶えて
そのように振舞えるキャパを持った人も確実に存在するから、
そういう人はそのように生きればいいけど、
そうじゃない人が無理するのはやめときなよと思います。
周囲の1割くらいと上手くやれたらいいやーくらいが楽だと婆は思う。

主人公のコミュ症ぶりが相当なもので、
学校に慈悲などなかった時代なら壮絶ないじめに遭ってたと思います。
それがあんなマイルドな影口で済むなんて、
子供全般が上品になって(?)なによりですよ。
影口もなくなるといいけど、大人でもそれは難しいもんね。
いやでも主人公の影口遭遇率は高すぎる気はしますけど。

原作の、教師による性加害エピソードは削られたようでよかったです。

主題歌の「fragile」、これすごい知ってるけど懐かしいけど
タイトルなんだっけなんだっけ!って苦しんだ(笑)
エンドテロップの最後でスッキリしました。


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「ゾンビランド ダブルタップ」

2019年11月29日 | ホラー映画

ゾンビハザードを生き延び、チームを組んだ
男性2名、女性2名のコミュニティは
家族のように仲良く暮らしていたが、
最年少の女性リトルロックは
いつまでも子供役を押しつけられるのに息苦しさを覚え
とうとう家出してしまう。
彼女を追う3人だが…というゾンビ人情ブラックコメディの第2作。

小ネタが豊富で、新顔も次々出てくるが、
まあ死ぬ人は死ぬ。

げろシーンが豊富です。

内容ばれ

おばかさん男子も、おばかさん女子もかわいかったし
案外生き延びた。
ニセ黄門様ご一行みたいなそっくりさん2人も
面白かったのに死んだ。残念。

意外と丁寧な生活系というか、どんな状況でも楽しく暮らすコツが
会得できる映画のような気もするけど気のせいかも。
何にでもあだ名を付けるとか。
(新種のホーキングって、あそこまで知性があるなら会話が可能なのでは…)
タラハシーはトゥインキーねたやってくれなかったけど、
食べすぎて飽きたのかな?

バビロン、最後絶対阿鼻叫喚だわ…って思ったけど
みんな無事だった。まあ他の大半の監督は血祭りになるよね。
優しい世界ゾンビランド。

ゾンビの表現としては、
冒頭の倒れたゾンビの顔の皮膚の下の
液状化した組織がぶるんぶるんするところは凝ってるなーと思いました。

それにしてもなんでゾンビの運動能力が上がったり
知能が向上したりするんだろう…?

ビル・マーレイ好きすぎか!?

オープニングでコロンビアの女神(コロンビアレディ)がちょっとした芸を披露してくれるのでお見逃しなく。



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「アダムズ・アップル」

2019年11月27日 | 人情系

デンマーク・ドイツの作品。言語はデンマーク語。
封切られたのは14年前の2005年だけど
いまなぜか限定上映をしています。

スキンヘッド、マッチョ、白人男性の主人公は
ヒトラーを信奉するバリバリのネオナチ。
刑務所を仮出所したばかりで、教会の下男として雇われる。
同僚は同じくムショ帰りの、ガソリンスタンド強盗と盗癖のある男。
すぐに銃を持ちだすし、すぐ盗む。
雇い主の牧師は超マイペースな男で、
主人公がどんなに悪態をついても、
それどころか殴る蹴るの暴行をくわえても
まったく気にする様子がない。
主人公はその信仰の強さにイラつくが…というあらすじ。

高度に発達した信仰心はコメディと見分けがつかない。
あるいは高度に発達した信仰心は狂気と見分けがつかない。
信仰についての、人と人の関係についての映画ですが
妙に脱力系です。

牧師は「本当の悪人などいない」と心から思っている
敬虔な信者で、演じるのはマッツ・ミケルセン。
様々な彼が見られるので、ファンは必見です。

猫と鳥が銃で撃たれるのと、人間の頭の中身が出ちゃうので注意。

ラストばれ

牧師は子供の頃に実の父から性的虐待を受け、姉は死に、
息子は重度の脳障害、自分は脳腫瘍で余命わずかという人生で、
それらすべては悪魔による信仰心への攻撃であると強固に考えていて、
それらが覆ると、彼の精神は崩壊する。
私はどの宗教にも懐疑的だが(仏教はブッダになるための学問だと認識してます)、
彼の信仰にはどうこう言えない。

人は罪を悔いてやり直せるということと信仰がテーマなんだと思う。
(ただしパキスタン人の更生は描かれないので、
取りこぼされる可能性も示唆されている)

ただ、登場人物が猫を撃ち殺したとき、ちょっと宗教について考えたのですが、
「老猫だった」ととりなすシーンがあって(たぶんコメディ文脈)、
例えばこれ人間相手の、例えば性暴行だった場合どういう言葉になるんだろう。
(実際、盗癖ぽっちゃりの過去の罪状に性暴行があった)
あなたは年寄りだから許しなさい?
主語が巨大になるが大抵の宗教は、繰り返し改心しては再犯する者がいた場合、
罪人の改心を助け、被害者の許しを促し平穏へと導く
というスタンスだと思いますが、、
加害者に寄り添い更生を助ける姿勢が被害者を量産するとしたら、
果たしてそれは善だろうか…?

牧師とネオナチマッチョとアップルケーキのエピソードは微笑ましいし、
運命の出会いだなって思いました。
(FBI捜査官ウィル・グレアムを地獄に導いた
「ドラマ版ハンニバル」の真逆バージョンですよね!)



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「アナと雪の女王2」

2019年11月26日 | アニメ映画

通常邦画タイトルは「2」を付けるのを頑なに避けますが
(初見のお客さんが敬遠するため)この映画は別ですね。
圧倒的知名度。

幸せに暮らしていたエルサとアナ姉妹だが、
エルサは近頃不思議な歌声がどこかから聞こえてくるのを気にしていた。
ある夜、アレンデール王国から火や水が消え去り、
大地が崩れ落ちる不思議な現象が起こり、
姉妹は原因を調べるべく、北の森を目指す…というあらすじ。

主題歌「Into the Unknown」がともかく良い。
歌い手を信頼した、超難易度の、うねるようなメロディが、
淋しそうではなく、パワフルな勇ましいイメージなだったので、
繰り返し聞きたくなる感じでした。

ラストばれ

二種族間で、恐れが原因となって諍いがあり、
非は(白色人種の特徴をもつ)自陣営にあり、
主人公が二種族間の争いを止めるという粗筋は
「マレフィセント2」と同じなので、
ちょっと今回冒険を避けた感じがします。
自力で何とかするヒロイン、超常能力を持ったプリンセス、
姉妹の物語、とディズニープリンセスものの常識を破った前作の続編なのだし、
さらに無茶を重ねてもよいのでは?と思ったけど、
ディズニーの稼ぎ頭なので、そういう訳にもいかなかったのかな。

細かいギャグが好き。
特にオラフによる前作の雑語り、笑った。
早すぎて通じないでしょ…って思ったら通じてた。
エルサも前作のあらすじを流し見てたけど、
彼女的にはレリゴーは、ちょっと黒歴史っぽいのかな。
ハンスが嫌いなのは分かりました(笑)
クリストフによるクイーンパロディ(?)は、
メイン観客層てきに理解可能なのか…?
ところで前作から6年経ってるんですね。
前作を12歳で見た子はもう今18歳だ!!こわい!!
私の体感的には2~3年ほど前です。

アレンデール王国の、王位継承者の非業の死率が高い。
あと小さな子供のいる夫婦としても、
王と王位継承者という点でも、リスクの高い行動を一緒にとるべきではない。

猛烈なアナの結婚プッシュは、
前作で男性キャラクターの扱いの悪さにブーイングがあったので、
(卑怯な悪人and女性を救って愛を得る訳でも地位を得る訳でもない善人)
姫というトロフィーを得る男性サービス、そして幸せな結婚を夢見る女児むけ、
キリスト教徒むけアピールかな?と思いました。
それと前作で、クリストフをはじめとするトナカイ飼い達が
サーミをモデルにしているのに、描き方が正しくないのは
文化の盗用ではないかという批判があった事を受けて、
今回ノーサルドラ族を描写するにあたって、
サーミの指導者と契約を取り交わし正しい描写になるよう尽力したとのこと。
(ということはクリストフたちはノーサルドラの分派かなにかで、
エルサアナ母と同郷…?)

「Into the Unknown」が、謎の歌声に呼応する旋律になっているところが
すでに暗示しているあのラスト、これまでのアナの言動から考えると
すごく反対しそうなんだけど、姉妹の葛藤と、
考えの変わるシーンも、ほんのちょっと見たかった。
(精霊世界で別人みたいに生き生きしているエルサを見るとか)
でも円満解決でエルサがとっても伸び伸びとしてたので、
いいラストだなと私は思いました。
きっと今ならジェスチャーゲームも、もっと上手くできるはず。
というか人体との比較によるダムの大きさと、
水量と、アレンデールまでの距離で
エルサが瞬間的にどの程度のエネルギーを発せるのか
大まかな計算が可能だと思うんですけど、
X-MENでもアベンジャーズでも立派な主力選手になれるよエルサ…。


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「アイリッシュマン」

2019年11月21日 | 実話系

2019年11月27日より配信予定のNetflix映画。
一部劇場で期間限定公開中です。

20世紀半ば、加入者は150万人を越えた、
トラック運転手組合の理事を務め、
経営者相手に一歩も引かぬ交渉力と胆力を称賛された一方、
他のライバル組合を潰して回り、
目的のためにはマフィアとも手を結ぶ非情さを恐れられていたジミー・ホッファ。
1975年に起きた彼の失踪事件を中心として、
犯行を告白したのち死亡したフランク・シーランとの交流を
シーランの回想という体裁で描く。

ジミー・ホッファ失踪事件が知識にあった方が、
見ている間、頭の中が整理しやすいかな?という気はしたが
絶対に知っておいた方がいいという程でもない。

スーパーカリフラジリスティックエクスピアリホモソーシャル。
ホモソーシャルの誕生と全盛期、そして老化と臨終を
じっくりじっくり、おじいちゃんがぽたぽた焼きあげた
ホモソ~~シャル焼き。

言葉にせずとも視線で察して、多くを語らず仕事は確実、
ひとかどの男として認められ、尊敬を払われる事が肝要で、
なめられたら終わり。メンツ!仲間!野心!男!
しかし3じかん30ぷんは長い。特に老境に入ってからが長い。
年寄りの15分と若者の15分は違うんよ。私も年寄りだから言うけど。

公開前に監督がマーベルのアメコミ映画をdisって物議を醸しました。
MCU叩きって、もはや無料プロモーションと同義になってますが、
まあ、スクリーンの占領をやめて無名の若者にもチャンスを与えよ、
という話なら一応分かる。
でもワシの長編大作にスクリーンを譲れ!という話だと賛成しかねるなあ…。
というか今後の映画界は配信の比率が徐々に増えていくのでは。

今回の騒動関係なく、人間が描けている、描けてない、よく話題になりますが、
映画界の巨匠の大作における「人間」って、
イコール「オッサン」であることが多いなと3じかん30ぷんの間に考えてました。
オッサンの政治的信条や信仰、野心や友愛、様々な社会活動が描かれるが、
女性登場人物は愛情や家庭にしか関心がなく、カナリア並みの自我しかない。
まあ若者にとって人間とは若者だろうし、
貧者にとっては貧者が人間。巨匠監督は圧倒的にオッサンが多いので、
人間を描くとなると、やはりオッサンが描かれるのだろう。



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