枠からはみ出す仕事術 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2011-03-14 |
評価 (4点/5点満点)
美崎栄一郎さんはじめての語りおろしとなるスタイルの本書(サンマーク出版さんが得意とするところです)は、ご自身が少しずつ編み出してきた、サラリーマンとして働きながらも自分の好きな仕事をやっていく方法です。
美崎さんは長い間、仕事を楽しむという発想はなかったけれど、会社の外に目を向けたおかげで自分が楽しいと思って仕事に取り組まないかぎり、いつまでたっても楽しい仕事なんてやってこないということに気づかされたそうです。
ちなみに「枠」には、自分という枠や会社という枠などいろんなものがありますが、今までの自分や既存の価値観を超えるヒントがこの本には詰まっていますよ。
【my pick-up】
◎「楽しいかどうか」をつねに自問する
ラストシーンがない仕事は、いくら成果が出ても楽しくないのです。
「ものを完成させること」にゴールを置くのではなく、そのさらに先で「感動」をつくる。
◎早く終わったら、自分のために時間を使う
嫌いな仕事は与えられた時間より早く終わったからといって、早く提出しないことです。
期限として与えられた時間は、あなたの裁量で仕事をしていい時間。疾走して早く着いてしまえば、あとの時間は、自分のために使ってもいい。
私は期限より早く提出することは絶対にありません。できていても締め切りギリギリで出すようにしています。残りの時間で、自分の好きな仕事をしたいからです。
◎ゴールより、そこへ向かう道を共有する
「1つのゴールに向かう」「ゴールを共有する」という考え方は、個々人の仕事が多様化している現在の社会には、当てはまらないのではないかと私は思います。
成果を出すためにはゴールそのものよりも、そこへ向かっていく一歩一歩を共有することのほうが大事です。
人は、ゴール(結果)よりも、どんな人と仕事をし、その中でどんな体験ができるのかを知りたいのです。
◎メンターは多いほうがいい
会社の外には、自分を認めてくれる人がいる。会社だけに自分を閉じ込めていてはいけない。そこだけを自分の世界だと思い込んでしまうと、そこで何かあったとき、追い詰められてしまう。他に場を持っていれば、抜け道になる。
勉強会を主宰することにしたのは、それがきっかけでした。
◎サラリーマンの弱点とは?
枠から飛び出すためには、越えなければならない課題があります。
それは、自分の能力を誰にでもわかるように説明すること。誰もが応用できる形で提供できるようにすることです。私がこのことに気づいたきっかけは、転職活動でした。
「自分のスキルを誰にでもわかりやすくプレゼンする」。これは、多くのサラリーマンの弱点なのではないかと思います。
自分の専門分野、あるいは同じ業界の人たちとなら話が通じるけれど、それ以外はからきしダメ。だから、自分の活躍できるフィールドが狭くなってしまうのです。
◎人のブランド力を借りる
新しい活動を、本業に匹敵するくらいの比重を持つ、あなただけのブランドにしてください。
そのためには、その分野の達人の一歩後ろに陣取ることです。今ある1を1.1とか、1.2にすることも、クリエイティブな仕事なのです。もし自分のやりたいことをすでに誰かが達成しているなら、そのブランド力を借りない手はありません。
すでに誰かが達成していることには、その人を踏襲してたどり着く。そこからスタートすれば、ゼロからはじめるより、自分が先頭に立つ日はずっと早く来ます。
先輩の実績に、新しさや自分の工夫を付け加える。1のものを、1.1、あるいは1.2にするとは、そういうことです。