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トヨタのDNA

「ザ・ゴール」の著者ゴールドラット氏は、大野耐一氏が書いた「トヨタ生産方式」の本質的部分が理解されていない、と述べている。彼のコメントは次のとおり。

「大野氏が著書において言及しているのは「時間の短縮」というコンセプトである。しかし、一般的には「ムダ」「コスト」を取り除くという表面的な活動への理解に終わっている。この誤解を正し、コンセプトを言語化することで、他産業でも理解して実践できるようになる」

さらに、トヨタ社内においてもDNAを継承できるかどうか疑わしい、と氏は指摘する。なぜなら、トヨタ生産方式(TPS)の本質が言語化されていないからである。

では、どうすればいいのか?ゴールドラット氏の答えは「『ザ・ゴール』を読んでTOC(制約理論)を理解しなさい」、である。

しかし、『ザ・ゴール』はベストセラーになったが、TPSが広まったという話はきかない。方法論を言語化することは大切だが、やはり現場にいる人間にしかわからない暗黙知が存在するのだろう。

移転や模倣が難しいからこそ競争力の源泉になる。だからこそ、ゴールドラット氏が指摘するように、トヨタ社内においてもTPSを継承することは難しいといえる。

強みとなる組織文化や組織能力が受け継がれずに、企業が衰退していくことはよくあることである。その原因は、先駆者の本質的考えが見失われることにあるのではないか。

今、トヨタにおいて、どのようにノウハウを継承する努力がなされているのか、知りたいと思った。

出所:エリヤフ・ゴールドラット「大野耐一氏を受け継ぐ」Diamond Harvard Business Review, August, 2008, p3.
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